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2016年2月22日月曜日

「ももへの手紙」 沖浦啓之 2012 ★

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スタッフ
監督 沖浦啓之
原案 沖浦啓之
脚本 沖浦啓之
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宮浦もも:美山加恋
宮浦いく子:優香
イワ:西田敏行
カワ:山寺宏一
マメ:チョー
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「人狼 JIN-ROH」の沖浦啓之が12年ぶりに手がけた長編アニメーションということで手にした一作。父を亡くした少女が、母と二人で田舎に引越した際にひょんなことで見えるようになってしまった妖怪たちとの交流を通して、最後に書きかけの手紙を残した父親への気持ちの整理を描いていく作品である。

映像がどうのこうの以前に、母親役の優香の違和感のなさに比べ、メインででてくる3匹の妖怪の一つ「イワ」役の声優の西田敏行の声の存在感が強すぎて、なかなか物語りに入り込めないのは否めない・・・

キャラクターの動きの細かさや背景など、アニメーターとしてのこだわりは至る所に感じるが、全体的に間延びした感は否めなく、また原案と脚本も監督が行ったということで、物語や各キャラクターの設定がそれほど深く詰められていたかといえば、疑問を感じずにいられず、一つのテーマに対して、二つ三つのアイデアで立ち向かったという薄さは否めない。











2015年4月5日日曜日

「鬼神伝」 川崎博嗣 2011 ★

現代に住まう中学生が、ある日謎の鬼に追われ、そこを救ってくれた僧侶に連れられ時空を超えて1200年前の平安の都である京都にタイム・トラベルし、そこで人と鬼の戦いに巻き込まれる。

というストーリー。

最初の「鬼」の描き方が何かもやもやとして気になったので見てみたが、ことごとくつくりが浅い一作。平安の都の描き方がアニメーションだからこそできる特別な表現になっているかといえばそうでもなく、「鬼」として虐げられる部族と貴族の戦いで何が正義かを悩む主人公の姿も「どこかで見た設定・・・」と思わされるだけ。

なぜこの主人公がわざわざ時空を超えて平安から現代までやってきて呼び寄せられたかの深い設定も感じられず、平安という文献がそれほど残されていないだけにまだ不思議な世界観が通用する距離感とそこにアニメの手法を被せることでの期待感は分からなくも無いが、それがうまく融合されなかったという感じだろうか。

八百万の神々がもっと身近であったはずの日本の日常を、ぜひともアニメの力で説得力を持って描き出す。そんな作品を期待せずにいられない。
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スタッフ
監督 川崎博嗣
著者 高田崇史
脚本 荒川稔久、川崎博嗣
イラスト 村上豊
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キャスト
天童純:小野賢章
水葉:石原さとみ
源雲:中村獅童
源頼光:近藤隆
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2014年7月2日水曜日

「河童のクゥと夏休み」 原恵一 2007 ★★★

妻が友人の中国人と食事に出かけた時に、その友人の友人が日本のアニメなら「河童のやつが好き」と言われたらしく、家に返ってきてから「河童の出てくるアニメって何?」と聞いてくるので、「恐らくこれじゃないか」と紹介することに。

脚本も手がけたという原恵一監督。出身は群馬県。そして原作者の木暮正夫の出身もまた群馬県。同じ原風景を共有していたであろうこの二人。原作者の同名の児童文学を元に、映像化したのが今回の作品。

明らかに都会ではないと思われる通学路や近所の風景は、群馬出身という二人の脳裏にあった「あの頃の風景」が一致したものであろうと想像する。決してテレビや小説で見るようなドラマは起きないが、それでも毎日が楽しい事だらけだった子供時代。

淡い初恋を感じ始める小学校上級生時代。好きな子ができても、それをどう表現してもいいか分からず、またそんな感情を周囲に知られるのがやたらと恥ずかしく、逆に嫌がらせという表現をとってしまう。それでも気になってしまい、ついついちょっかいを出し続けてしまう。そんな子供時代の淡い気持ち。なんてことはないシーンであるが、「あった、あった」とつい共感してしまうものの積み重ねが、見る側にとって「この作り手はそういう小さな感情をしっかり積み重ねて、そして忘れることなく生きているんだな」という基礎作りを手伝うことになる。

夫婦と子供二人。昭和の時代の様なありふれた幸せな家族の風景。仕事をして家族を支える父親。そして優しくも、それでもまだ女を捨ててない可愛らしいお母さん。この登場人物設定がまた絶妙だと思わせる。見終わるとついついエスカルゴが食べたくなるのもまた描写が巧いからであろう。

話自体は決して大げさなドラマがあるわけでも、とっぴょうしもない展開がある訳でもなく、児童文学として極めて広くしられた物語である。それをアニメというメディアを駆使することで、家族の繋がりや平凡な幸せのありがたさを稀有な異邦人として河童の登場によって再認識する家族の姿。そして河童の出現により、ありふれた夏が一生忘れることのできない冒険に満ちた夏になること。

9月に入ったら当たり前の様に皆が教室に戻ってきているが、会わなかった期間である夏休みが、ただの学校のない自由な日々で終わる子供もいれば、河童に会わないまでも人生を大きく左右するような飛び切りの経験、何倍も成長させてくれるような大冒険となる子供もいるという、夏休みの大切さをしることができる。

これは子供だけでなく、自分達にとっても、一つの夏の休みがその後の人生を大きく変えるような貴重な体験に満ちた冒険にすることは可能であると教えてくれる。そんな時間の過ごし方にするためには、同じ場所にこもっているのではなく、少しでも新しいものに出会うことを求めて外に足を踏み出すことが大切だと教えてくれる一作である。
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スタッフ
監督・脚本 原恵一
原作 木暮正夫
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キャスト
冨澤風斗
横川貴大
植松夏希
田中直樹
西田尚美
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作品データ
製作年 2007年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 138分
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2014年5月4日日曜日

「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」佐藤信介 2009 ★

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フジテレビ開局50周年記念作品
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フジテレビが開局50周年を記念して、「日本からもピクサーに匹敵するようなアニメーション作品を世界に!」と意気込んで制作された作品だという。

「それは期待できる」と見てみるが、10分持たないうちに止めようかと思うほどのクオリティ。さすがに長年ピクサーのユーモアとリアリティに溢れた映像に慣らされている身にとっては、以下にそこにチャレンジしたといってもやはり脚本から世界観の作りこみというクリエイティブの部分と、かけられた人員の差が物語の背景や人物の動きなどのクオリティに反映してしまう部分で、ともにやはりピクサーの力量が圧倒的なのだと改めて感じさせられるのみ。

こういう作品を見れば見るほど、やはり日本からは世界的な作品は出ないのかと落ち込んでしまうが、あえて同じ土俵で勝負する必要も無いのにとも思わずにいられない。

たとえば「パプリカ」。あんなトチ狂ったお祭り騒ぎの物語とそれを忠実に3次元に立ち上げるアニメの力はまさに日本だからこそできた作品なんだろうと思わずにいられない。

他にも第86回アカデミー賞の短編アニメ賞にノミネートされた森田修平監督の「九十九」。こんな作品もやはり日本人独特の完成がアニメという表現方法と見事に融合して今までに見たことのない映像作品を生み出したと納得させてくれる。

そうして見ると、「アキラ」も「ナウシカ」もやはり日本から生まれたアニメである意味があるように思えるが、それが「3Dアニメ」となったとたんに、一気に世界がフラットになってしまう必要もないはずで、きっと日本の「3Dアニメ」だからこそ描ける特別な世界観があるはずだし、恐らくそれを目指して日々頑張っている映像作家がいるのだろうと期待する。


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スタッフ
監督 佐藤信介
製作 亀山千広
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キャスト
綾瀬はるか
沢城みゆき
戸田菜穂
大森南朋
谷村美月
家弓家正
松元環季
うえだゆうじ
甲斐田裕子
宇垣秀成
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作品データ
製作年 2009年
製作国 日本
配給 東宝
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2014年4月25日金曜日

「風立ちぬ」宮崎駿 2013 ★

衝撃的な引退発表の場で発せられた、「創造的人生の持ち時間は10年だ。自分の場合、そのピークの10年間はずいぶん前に終わったんだ」という宮崎駿の言葉。

本当にそうだったんだと思わずにいられない一作。

毎回新しいものを作る時に、歴史の中で誰もやってこなかった、それでいて面白くワクワクして価値のあるものと作り出そうと必死に考えて、突き詰めて、壊して、それでも作っていくのは本当に辛い作業である。

一度世間から評価を得たとしても、世間は「もっと、もっと」と貪欲である。自らももっと違う世界を、もっと違う価値観をと自分を追い詰めていく。世界中の様々な場所からインスピレーションの元となるものを探し、それを何とか昇華させ自分の言語としていく作業。

その作業を何年も、何十年も繰り返していくのは本当につらい仕事であるし、誰でも右肩上がりでいける訳ではない。何か新しい価値を作り出そうという職種についている人間であれば、誰でも必ず自覚していることである、「クリエイティブにはピークがある」という事実。そしてそれが自分にとってそのピークがいつくるかという恐怖。

誰もがそのピークをできるだけキャリアの後ろにもってこようと、様々なものを読み、様々な知識を手に入れ、様々な角度からのものの見方を習得していく。しかし一番恐ろしいのはそのピークが自分にとってすでに過ぎてしまったということ。つまり自分はすでに降りていく坂道に差し掛かっているということを認めること。

それを認めるのは恐怖以外の何者でもない。プロフェッショナルとして、クリテイターとして過去の自分にすでに適わないと理解すること。

それを避けるために一番楽なのは作らないこと。創作に向き合わないこと。

そしてかつての栄光にすがること。かつて作ったものの焼きまわしや小手先の勝負でやりくりし、地位や名誉に胡坐をかいてその地位を確保し続ける。

または別の価値観にすがりだす。アカデミックを採用し、「これが分からないからお前らにはこの価値が分からないんだ」という態度により、高みに自分を置いてしまうこと。つまり世間との距離を置くことで自らを神格化して批判が起こる可能性を削除する。

こんな風に大体の人が途中でやめる。途中で戦うことから降りる。そして高みに上がってし誰も責めてこないし批判もしない場所で地位を確保しながら時間を過ごす。自らは気がついていながらも。

昔は怖くなかったはずである。新しい企画、新しいアイデアを考える時に用意した真っ白な紙。目の前のその白紙を目にして、今は何をしていいのか分からない。手が動かない。下手なものを書いてかつての栄光を失ってしまうのではという恐怖に駆られる。

建築家もそうである。若い時代、建築を学んで学んで、寝る間も惜しんで修行して、その時間の中で次第に考えを纏めていく自分なりの建築の在り方。それをやっと自分の好きに形にできる独立したての若い頃の小さな作品。すべて自分の手で、オフィスの経営や自分の生活などの経済性を度外視してまでつぎ込んだエネルギーと情熱。

だからこそ熱い思いが込められた不器用でも何か人に伝わるものをもった建築が生まれる。それを見た人に何か伝わるものが作れる時代である。そんな表現したいと思う内容が溢れるように出てくる時期というのは確かにある。

そして繰り返すうちに、徐々に技能もあがり、様々な状況にも対応できるようになり、向き合う内容もより大きな社会へと視界を広げ、クリエイティブの活動はより活発となる。これもやりたい、これもこうやってたら面白くなるのでは、そんなことを考えながら毎日の一分一秒を過ごしていく。それがピークであろう。

アイデアを実現していくにはものすごいエネルギーが必要となる。クライアントや関係者を説得することは、情熱だけではねじ伏せることができない。経済性や機能性など様々な要因をカバーしていく必要が求められる。

どんなに時間や手間を使ってでもなんとかアイデアを実現させたいと駆り立てるエネルギーと情熱。しかしいつの間にか、それを続けていけなくなる時がくる。いつからか出来なくなる時がくる。楽をしているわけではないがそうして一つ一つに全力を傾けるよりも、全体を眺めてやれることを増やしていくことの方が大切だと思うターニングポイント。

時間とともに知識や経験は増えていく。技能で見たらそれで設計がうまくなるだろう。設計なんてまさにその通りである。熱くガリガリやっていても、それよりも大きなスケールでの決定に影響を及ぼす方がよっぽど意味があるだろう。

しかしそれではプロジェクトをスムースに進めることになるが、プロジェクトを良くすることと同意ではない。これが難しい。知識や経験がある人が作った作品が良いとは限らないと同じように、そりゃ機能的だったり、毎日使うのに適していて、世の中の主婦は喜ぶとしても、しかしそれだけでは評価できないことがあるのが建築である。

建築家のエゴだといわれるのかも知れないが、ゴツゴツして不器用であるが、何か新しい可能性、新しい思いを感じられる建築空間。その手触りがプロジェクトの中から感じられなくなった時に恐らくピークが過ぎた時なのだろうと思わずにいれれない。

宮崎駿が言った言葉の意味もそうだったに違いないと想像する。

映画も同じ。ゼロ戦に生涯をかけたとかそういうことではなく、何かこの人で無ければ作り出すことのできない世界観というのが画面上に現れたかどうか。それが映画のゴツゴツ感であろう。そしてこの映画からはそれが一切感じられなかった。

誰もが見たことの無い絵を思い描き、それが他の誰かにとっても美しかったり 感動を呼び起こすものだと信じ、情熱に突き動かされ、頼まれても無いのに何枚も絵コンテを描き続け、オフィス内で何度も激しいやり取りを繰り返しながら徐々に生まれてくる特別な世界観。

ナウシカやラピュタが持っていたあまりに新鮮な世界観。それがファンタジーであるかどうかではなく、そこにその人が介在したからこそこの世の中に生み出された新しい価値があるということ。

そんなことを思いながら、自らの建築家のピークを感じることなくいつまでもゴツゴツ感のある建築を作り続けていけるようにと机のスケッチに向き合うことにする。
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スタッフ
監督 宮崎駿 
プロデューサー 鈴木敏夫
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キャスト
庵野秀明 堀越二郎
瀧本美織 里見菜穂子
西島秀俊 本庄
西村雅彦 黒川
スティーブン・アルパート カストルプ
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作品データ
製作年 2013年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 126分
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2014年2月22日土曜日

「アナと雪の女王」クリス・バック 2013 ★★

今日は妻の誕生日。土曜日に重なってくれた事も助け、なんとか仕事を調整し一日時間を取る事ができた。

朝から一緒に出かけ、昼ごはんを共に取り、映画を見て夜は予約していたレストランへ行く予定で、久々にフルで一日一緒にいることになる。

選んだ映画はその主題歌の「Let it go」が「レリゴー」に聞こえるからといって「レリゴー現象」と呼ばれるまでに大ヒットしているというディズニー映画。ディズニーアニメが大ヒットするというのは一体いつ以来なのかと考えてしまう。せっかくなのでピクサー製作でディズニー公開の映画と合わせてみてみると下記の様になる。

1989年 リトル・マーメイド The Little Mermaid
1990年 ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え! The Rescuers Down Under 1991年 美女と野獣 Beauty and the Beast
1992年 アラジン Aladdin
1994年 ライオン・キング The Lion King
1995年 ポカホンタス Pocahontas
1995年 トイ・ストーリー Toy Story (ピクサー製作)
1996年 ノートルダムの鐘 The Hunchback of Notre Dame
1997年 ヘラクレス Hercules
1998年 ムーラン Mulan
1998年 バグズ・ライフ A Bug's Life (ピクサー製作)
1999年 ターザン Tarzan
1999年 トイ・ストーリー2 Toy Story 2 (ピクサー製作)
2000年 ファンタジア2000 Fantasia 2000
2000年 ダイナソー Dinosaur
2000年 ラマになった王様 The Emperor's New Groove
2001年 アトランティス 失われた帝国 Atlantis: The Lost Empire
2001年 モンスターズ・インク Monsters, Inc. (ピクサー製作)
2002年 リロ・アンド・スティッチ Lilo & Stitch
2002年 トレジャー・プラネット Treasure Planet
2003年 ブラザー・ベア Brother Bear
2003年 ファインディング・ニモ Finding Nemo (ピクサー製作)
2004年 ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え! Home on the Range
2004年 Mr.インクレディブル The Incredibles (ピクサー製作)
2005年 チキン・リトル Chicken Little
2006年 カーズ Cars (ピクサー製作)
2007年 ルイスと未来泥棒 Meet the Robinsons
2007年 レミーのおいしいレストラン Ratatouille (ピクサー製作)
2008年 ボルト Bolt
2008年 WALL・E/ウォーリー WALL-E (ピクサー製作)
2009年 プリンセスと魔法のキス The Princess and the Frog
2009年 カールじいさんの空飛ぶ家 Up (ピクサー製作)
2010年 塔の上のラプンツェル Tangled
2010年 トイ・ストーリー3 Toy Story 3 (ピクサー製作)
2011年 くまのプーさん Winnie the Pooh
2011年 カーズ2 Cars2 (ピクサー製作) 
2012年 シュガー・ラッシュ Wreck-It Ralph
2012年 メリダとおそろしの森 Brave (ピクサー製作)
2013年 アナと雪の女王 Frozen
2013年 モンスターズ・ユニバーシティ Monsters, University (ピクサー製作)

こうして見てみるとディズニーとしての大ヒットは2002年のリロ・アンド・スティッチ以来となるのだろうか。

ディズニーアニメらしくミュージカル調に感情を歌に乗せて表現し、その舞台は氷に閉ざされた雪の国。もうすぐ締め切りを迎えるロシアでのコンペも、美しい雪の世界観をどう表現できるかなので、恐らく参考になるだろうと期待する。

雪と氷の世界を表現するCG技術もここまで来たかと思いながら、逆に「こんな事まで表現できるんだ」と言わんばかりの過剰表現も混じっているかのように見受けられる気がしないでもない。

それにしても、「こんな寒々しい世界のありそうに無いお姫様物語が、この時代に誰に受けるのだろうか?」と思っていたら、予想を裏切るほどに日本では子供中心に大ヒット中だというから世の中分からないものである。

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スタッフ
監督 クリス・バック
原案 クリス・バック
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キャスト
クリステン・ベル アナ
イディナ・メンゼル エルサ
ジョナサン・グロフ クリストフ
サンティノ・フォン タナ
ジョシュ・ギャッド オラフ
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原題 Frozen
製作年 2013年
製作国 アメリカ
配給 ディズニー
上映時間 102分
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2014年1月19日日曜日

「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain」 黄瀬和哉 2013 ★

これほど人気シリーズになると、一体どれを見たのか?そしてそれぞれがどういう関係性か非常に分かりにくくなるが、押井守、神山健治と続いたシリーズの更なるアニメ化で、公安9課(攻殻機動隊)の創設される前の物語だと言う。その割には、キャラクターが一新されていたりと、どうにも関係性が分かりにくい・・・

黄瀬和哉を監督に向かえ新たなるアニメ化といことで、新しい世界観や映像ならではの表現方法が見られるのか?と期待するがそうでもないようである。

押井守によるアニメ化が1995年に公開され、それから20年近く経った今新たなるアニメ化を見ると、最初の衝撃がどれだけ強く、世界観がどれだけ緻密に構築されていたか。

見終わった後に、残念だが一つの衝撃の賞味期限が近づいて、そろそろ新たなるまったく新しいアニメならではの表現をする作品が出てきてもおかしくないのだろうと勝手に想像を膨らませる。

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スタッフ
総監督 黄瀬和哉
監督 むらた雅彦
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キャスト
坂本真綾 草薙素子
塾一久 荒巻大輔
松田健一郎 バトー
新垣樽助 トグサ
檀臣幸 イシカワ
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作品データ
製作年 2013年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 59分
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2014年1月14日火曜日

「言の葉の庭」新海誠 2013 ★★

未来や創造上の世界を描くものばかりと思っていたが、今回は現代。しかもど真ん中の東京。「現代で勝負するなら、それこそ直球で勝負してやろう」という想いが伝わるようなセッティング。

その中で「新宿御苑」を舞台とすることで、喧騒の街の中へ静けさを挿入する。
そして使われるのが「雨」と「和歌」。

雨の日だけ午前の授業をサボる高校生が足を向けるのは「新宿御苑」の中の東屋。そこで靴作りの為のスケッチに没頭する。その東屋である日、スーツに身を包み、仕事をサボっている年上の女性がチョコレートをつまみにビールを飲んでいるのに出くわし、その後徐々に二人の距離が狭まっていくというストーリー。

木々の葉っぱに滴となって溜まる雨。
庭先に置いておいたバケツがいつの間にか一杯になっていた「雨」。

そんな小さな頃から無意識のうちに、「雨」の時間をある風景によって認識していたんだと改めて理解させてくれるような様々な「雨」の描写が繰り返される。

日常に生きていると、傘を持って出て行ったり、服が濡れてしまったりと、ただただ「うっとうしく」思ってしまう「雨」の時間。それでもやはり日本の風景の一部であり、「雨」のお陰で楽しくなったり、美しく見えたりする時間や風景があるのもまた日本。

前作までのような突拍子もない設定が無いだけに、「一体どんな謎解きがあるのだろう?」と最後まで引っ張る要素も無いので中だるみするのは止むを得ないが、それでも現代の中で日本の美しさがしっかりと描かれているのではないだろうか。
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スタッフ
監督 新海誠
原作 新海誠
脚本 新海誠
キャラクターデザイン 土屋堅一
作画監督 土屋堅一

キャスト
入野自由 秋月孝雄(タカオ)
花澤香菜 雪野百香里(ユキノ)
平野文 タカオの母
前田剛 タカオの兄
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作品データ
製作年 2013年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 46分
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2013年10月10日木曜日

「エピック」クリス・ウェッジ 2013 ★★★

北京への帰りの飛行機の中で見た一本。ディズニーのモンスター・シリーズを見て、流石にアニメ映画のネタも尽きてきたかと思っていたが、20世紀FOXはまだまだ新しい地平を切り開いているらしい。

とんでもない新しい未来を見せてくれた「アバター」の世界は、何万光年も遠くに行かなくてもすぐ足元にあったというアイデア。

ただ今のままでは見ることができず、必要なのはスケールを小さくすること。「借りぐらしのアリエッティ」、「ミクロ・キッズ」の様に、何度も繰り返された世界観だが、古代にタイム・トラベルして巨大な恐竜に驚くよりも、小さくなって美しい自然の世界を違ったスケールで見るほうが知っているものだけに、より驚きが大きくなるという訳か。

恋愛をテーマにするのではなく、あくまでも冒険を主題に添えて、見えているものをスケール変えたらとんでもない風景が現れるということに全ての力を注いでいく。誰も見たことのないものは実はすでに目の前にあり、スケールと時間の速さを変えると全然違って見えること。

秀逸なのは、スケールを操作するのに留まらず、そこに時間の概念も持ち込んだこと。人間のスピードとは異なるスピードの世界が存在し、そのギャップの為に見ることができないということ。同じ世界を違った次元が共有する、ある意味の5分後の世界。

そう考えてみていくと、確かに良く出来てる。よっぽど流行ると思えるし、日本で上演すべきだと思わずにいられない。

アバターのような思いメッセージは発してこないが、ファンタジーの作り方にそういう、現実を構成する要素を少し変えただけでまったく違った風景が現れるという風に、日常を眺めるといろんなものが見えてくると思うと少し毎日が楽しくなる、そんな一本である。

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スタッフ
監督 クリス・ウェッジ
原作 ウィリアム・ジョイス「The Leaf Men and the Brave Good Bugs」
製作総指揮 ウィリアム・ジョイス
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キャスト
ジョシュ・ハッチャーソン  Nod 
アマンダ・セイフライド  Mary Katherine
コリン・ファレル  Ronin
ジェイソン・サダイキス  Bomba 
ビヨンセ・ノウルズ  Queen Tara
ジョニー・ノックスビル  Mandrake 
スティーヴン・タイラー  Nim Galuu 
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作品データ
原題 Epic
配給 20世紀FOX
製作 ブルースカイ・スタジオ
製作年 2013年
製作国 アメリカ
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2013年8月24日土曜日

「モンスターズ・ユニバーシティ」ダン・スキャンロン 2013 ★


言わずと知れたピクサー映画。トイ・ストーリーのカーズと合わせて、シリーズ化された人気作品。すでに3作くらい作られていると思っていたがこれがシリーズ2作目。ディズニーランドのアトラクションの印象が映画とごっちゃになっていたのかと思いながら、やはりこういうのはぜひ映画館がということで、公開日に3Dで見ることに。

前日に妻と一緒になって始めてネットでチケットを購入し、45元(700円ほど)と日本よりは比較的に手がでやすい値段ということもあり、時間があるときはよく二人で足を運ぶようになったこの頃。

内容がどうのこうのというよりも、やはりアメリカの大学の在り方がよく描かれているのが楽しめる。次の週にアメリカ人のスタッフに、「本当にあんな風なのか?」と聞くと比較的大人しい彼は気恥ずかしそうに「毎日どっかで何かのパーティーをやっている」と。

「ソーシャル・ネットワーク」でも描かれるように、本当にこういうサークル文化があるんだろうかと調べてみると、やはり映画のモチーフはアメリカの大学の伝統的なサークル文化フラタニティとソロリティという男子寮、女子寮あるいは学生のための社交団体がモチーフにされているという。

ピクサーアニメもそろそろ見慣れてきて、当初の衝撃はなかなか受けなくなってきたなと思いながら、もし将来子供ができ、留学したいと言い出したら、やはりイギリスだろうなと思いながら映画館を後にする。
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スタッフ
監督 ダン・スキャンロン

キャスト
マイク・ワゾウスキ(マイク);ビリー・クリスタルマイク
ジェームズ・P・サリバン(サリー);ジョン・グッドマンサリー
ランドール・ボッグス(ランディ);スティーブ・ブシェーミランディ
ハードスクラブル学長;ヘレン・ミレン
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作品データ
原題 Monsters University
製作年 2013年
製作国 アメリカ
配給 ディズニー
上映時間 110分
映倫区分 G
上映方式 2D/3D
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2013年8月10日土曜日

「秒速5センチメートル」新海誠 2007 ★

相変わらずの物凄いセンチメンタルな世界観。見ていてクラクラしてくるその妄想感。

東京と地方。その距離を繋げるのは手紙とメール。前作までの様に、一見普通に見えるが、少しずつ何かがおかしいという設定。それはノスタルジーに満ちた良き過去を象徴する昭和感に、テクノロジーの進んだ未来感を並列することで生まれる既視感と違和感の融合。そんな手法をとることなく、ただただ現代を生きる自分達が共通に持つ「少し前の・・・」時代描写。

ISDNと書かれた公衆電話ボックスや、今の様に増えきっていない地下鉄の路線図など、直球で勝負する為の世界観の裏づけにかなり時間が費やされたのが目に取れる。

そして秒速5センチメートルだという桜の葉の落ちるスピード。本当かな・・・と思いながらも、なんとなく信じてしまいそうなその速度。そのスピードを頭の中で再現してみると、同じように見えてくる景色が舞う雪の風景。当然の様に使われる雪のシーン。

思春期を迎えた多感な男の子が夢に見るような純情な初恋の相手。こんな情熱的な初恋がしたかった。こんな純情で可愛い彼女が欲しかった。こんな美しい出会いがしたかった。そういう純粋な妄想がアニメという表現を借りて映像化されたようなもので、途切れ途切れに紡がれる台詞は「後悔」「僕の」「心」「痛いほどの」などというセンチメンタルな自分語り。

「ケケケケケケケ」という蜩の鳴き声は田舎の山奥の代名詞で、匿名的な電車の中のシーンは都会の孤独を表現する。山崎まさよしの「One more time, One more chance」と共に、「これでもか・・・」と細切れにカットインを繰り返される最後のシーンは、眩暈を覚えずにいられない。

こういう世界観を持ちながら、現在進行形で今を生きていく。こういうセンチメンタルな世界観に影響を受けて思春期を過ごす今の中学生達は、ある種大変な時代を生きているんだなとある種ぞっとする。

この世界観を心の中に持ちながら大人になるというのは、恐らく非常に傷つきやすく、また適応することが難しく日々を生きることになるのだろうと思う。「ナウシカ」や「ラピュタ」と共にあった思春期が希望や前を向く力を現していたのに対して、あくまでも後ろ向きな、過去への視線。そんな思春期を過ごしてきた大人が社会の中心を占めていく今後の世界。一体どんなフラジャイルな社会になっていくのだろうかと思わずにいられない。

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スタッフ
監督 新海誠
原作 新海誠
脚本 新海誠
絵コンテ 新海誠
演出 新海誠

キャスト
水橋研二 遠野貴樹
近藤好美 篠原明里(少女)
花村怜美 澄田花苗
尾上綾華 篠原明里(成人)
水野理紗 花苗の姉
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作品データ
製作年 2007年
製作国 日本
配給  コミックス・ウェーブ・フィルム
上映時間 63分
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2013年7月22日月曜日

「銀色の髪のアギト」杉山慶一 2005 ★

ここ10年くらいのジャパニメーションをざーっと見ることにしている今年だが、その中でどうしてもリストの中に入ってくるようであるこの一作。なんとも深い意味が込められているのかと期待してしまうそのタイトルに重い腰を上げて見始める。

なんでも、300年後の未来の世界は人間の遺伝子操作の失敗によって自然が意思を持ち、人と都市を襲うようになってしまったという設定で、その中でも森と対峙することなく友好的に暮らしているある都市が舞台。

そんなある日、森の中でかつての自然と人類が対立する前の時代に生きた人間が、未来に向けて送り込む希望として冷凍睡眠状態で保存されていた美少女が目を覚まし、そこから自然をコントロールしようとする人間のエゴと、自然と共存しようとする人々との争いがテーマとして描かれていく。

が、様々なところで書かれているように全編を通してどうも既視感が拭えない。科学技術によって自然を支配しようとする人間のエゴと、その反作用としての森の反抗。時間を越えて蘇る高度な技術を持った古代の文明。自然とどうかしてパワーアップし髪の毛の色を変えて飛び回る主人公。

アニメの世界にまったく新しい世界観を生み出した宮崎駿。その影響を受けて思春期を過ごし、アニメの世界に入ってきたであろう製作者達。しかし、宮崎アニメがかつて見せてくれたように、実写でなくてアニメだからこそ描けるファンタジーの世界の魅力である、「誰も見たことのない世界」というのが、とてつもない創造力が下敷きになっていたということを返って浮き彫りにしている。

建築の世界でもそうであるが、まったく新しいことを始めるのは確かに難しい。新しいことがいいのかどうか、それは別にして、誰も見たことのない新鮮な価値観を想像することは、まさに天才のひらめきが必要であろう。

それでも想像された新しい価値観の上の延長線上でも、何かを更新していくこと。やり続けることのその先にきっと何か新しいことがあるのだろうと信じていること。外から見れば、小手先のパクリや、真似事の様に見られても、自分の中で新しい何かを見ていればそれはそれでいいのだと思う。

が、その何かがこの物語の中に、この映像の中にあるのかと問われれば言葉に窮する。同じように建築を設計しても、一度完成すれば必ず社会性を持ってしまう建築物だけに、背間は好き勝手にものを言い始める。その時に同じように自分達の中で見えている何かを持っているかどうか、そのことに思いを馳せずにいられなくなる一作。

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スタッフ
監督 杉山慶一

キャスト(出演(声))
勝地涼 アギト(声)
宮崎あおい トゥーラ(声)
遠藤憲一 シュナック(声)
古手川祐子 ヨルダ(声)
大杉漣 アガシ(声)
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作品データ
原題 Origin Spirits of the past
製作年 2005年
製作国 日本
上映時間 95分
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2013年5月19日日曜日

「つみきのいえ」加藤久仁生 2008 ★★



アメリカならば、先に逝ったお婆さんとの思い出を胸に生きるお爺さんが、空に飛んでいって大冒険を繰り広げるという、陽の世界なら、日本はそのお婆さんとの思い出は、沈んだ水の底にあるという、なんとも陰な世界観。

数年前にアカデミー賞のなにかの部門で受賞したと覚えていたので気になってみてみた一本。

無声映画で雰囲気のある画風。そして地球の行く末を暗示するような海面の上昇によって水没していく街と、それに伴って上へ上へと積み上げられる家。

設定もストーリーも芸術性もレベルが高いので期待をしてみていたが、あっさりの幕切れ。まぁこういう作品はそういうものだろうと一人で納得してみることにする。



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第81回(2009年)アカデミー賞 短編アニメ映画賞
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2013年5月18日土曜日

「ザ・クルーズ」クリス・サンダース 2013 ★★


日本から帰ってきた妻と一緒に、近くの映画館で見た3Dアニメ映画。ドリームワークスの最新作で、恐らく「原始時代にアルマゲドンが来たらどんな感じだったんだろうね」のような会話があって始まった企画だろうと想像せずにいられない。

アイス・エイジの最新作も同じような「子を心配する父親と、親の保護を抜け出して好奇心とともに新しい世界に飛び出そうとする子供との間の葛藤と家族愛」がテーマであったが、恐らく何でもやってあげて、すべての危険を取り除こうとする過保護の親と、その保護の下新しい世界にチャレンジすることなく小さくまとまる子供というのが、最近のアメリカでも問題になってきているのだろうと想像する。

危険を顧みないくらい、新しい刺激を求めて、新しいチャンスを求めて足を踏み出そう。というメッセージは現代のどの国にでも叫ばれる共通なものなんだろうと思わずにいられない。

「アバター」をドリームワークス風のアニメにしたら・・・のような映像がいたるところに散りばめられ、未来だけでなく、過去も同様に現在からの距離でいえば幻想を見せる可能性があるんだと改めて感心することになる。



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スタッフ
監督クリス・サンダース

キャスト
ニコラス・ケイジ
エマ・ストーン
ライアン・レイノルズ
キャサリン・キーナー
クロリス・リーチマン
クラーク・デューク
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作品データ
原題 The Croods
製作年 2013年
製作国 アメリカ
製作  ドリームワークス
配給 20世紀フォックス映画
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2013年5月12日日曜日

「イノセンス 」押井守 2004 ★★★★★


前作よりも圧倒的に洗練された様子の映像。そして恐らく同時期に制作されていたと思われる、「東京スキャナー」との類似点。恐らく作者の中には、「機械を通してみたこの世界」という、今まで誰も作りえなかった映像の姿が、明確に頭の中に描けているのだろうと想像する。

開くまでも世界観は香港をベースとしたミックスされたアジア。辛うじて物語から彼らが属するのは日本という国だと分かる程度で、映像からいわゆる「日本らしさ」という風景は一つも見えてこない。

アンドロイドによって引き起こされる持ち主の殺人事件。少佐が消えてから、喪失感を抱えるバトーを主人公にして物語りは進み、しっかりと前作で敷かれた伏線がここでも意味を持って登場する。

一体何処まで構想して作品を作り始め、どこまでも一作目で切り取るかと決断したのだろうと、その勇気に想いを馳せながら、再度、ここまでの世界観を成立させる細部とプロットへの作りこみに、作者の非常なる想像力に圧倒される一作。


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スタッフ
監督 押井守
原作 士郎正宗
脚本 押井守

キャスト
大塚明夫
山寺宏一
田中敦子
大木民夫
仲野裕
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作品データ
製作年 2004年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 99分
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2013年5月11日土曜日

「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」 押井守 1995 ★★★★★


1995年公開ということは、今から20年前の1993年には相当なところまで詰められていたということになる。相当レベルの高い想像力である。かつて見たときは恐らく「マトリックス」に影響を与えただとか「ブレード・ランナー「や「2001年宇宙の旅」などと並び、未来を描く作品の金字塔の一つとして良く語られるからとにかく見ておこうというような流れで、しっかり理解したかと言えば相当怪しいものだったはず。

士郎正宗による漫画が原作で、2029年を舞台としたSF作品ではあるが、その原作の構想力もさることながら、漫画というコマの世界から立体の都市の中で動き回る3次元の世界に立ち上げる時に、世界を補完するするために挿入される作者の想像力。

SFという近未来を描く作品では、どうしてもその物語りの背景となる社会情勢を説明することになる。それがあまりにも現在とかけ離れてしまっていると、その説明に多くの時間を要するし、様々な知識レベルの見ている観客全員に分からせようとすれば、それこそ小学校5年生にするような説明になってしまい、作品の品格はあっという間に損なわれてしまう。

そこで物語の序章部分で、説明らしくならずにそれでも物語の背景となる社会の姿を描き出す必要があるのだが、その理解の手がかりとなるような、現在の世界から理解しうる伏線を引くのが一般的だが、あまりに世界観が完結し、完成されているからなのか、そのようなおざなりの説明的シーンを取っ払って物語りは進行する。

その妥協の無さ。それを成し遂げるために、世界観を昇華させるたまのディテールへのこだわり。プロットの作りこみ。物凄いプロフェッショナルなチームの存在が感じられる。武器に関しても、電子技術、インターネットの世界の未来像、ロボット技術の発展とその後に起こるであろう問題点、現実と虚像の曖昧化とそこに現れる新たなるアイデンティティー・クライシスの形、電子時代における国家間の争いなど。その世界観が本当によく構想されている。その一つ一つに破綻がない。

それは登場人物の一つの台詞にも現れており、その台詞の裏づけがしっかりとれているのだろうと想像する。登場人物の中の一人に今の台詞について質問しても、おそらくすらりとその根拠について答えるだろうと思わせる。やはりこれがトップ・クリエイターと言われる人物の作品。そして各分野のプロフェッショナルが集ってつくることの成せる業。こういうものを見てしまうと、ハリウッドに対抗するよりも、こういう形である種の職人技的作品を世界に発表していくほうが、よっぱどその性に合っているという気がする。また、一人で妄想と狂気を抱え込み、それを自らの手で磨いていくことの差が明らかになるような気がする。

押井守といえば、かつて展示空間の設計を担当した「美麗新世界」という展覧会にて「東京スキャナー」という作品を出展しており、「これこそ新しい日本の映像作品の方向性だ」と、東京画廊の田畑さんとも話していたのを良く覚えている。

「東京スキャナー」は六本木ヒルズのオープニングに合わせて発表された押井守監修作品で、まるで地球外生命体が地球にやって来て、東京という街がどのような生態系を持ち、どのような生物が住んでいるのかをシュキャニングしていくという作品。そのアニメ的なカメラワークを現実の映像と融合させることで、今まで見たことの無い東京の姿を映し出すというもの。

この「攻殻機動隊」は「エヴァンゲリオン」とほぼ同時並行で世に出せれた作品であり、それまで未来、ロボットといえば「ガンダム」だった時代から、その硬質な機械の未来像から、透明で、粘々した、そして感情をもったアンドロイド像へと未来像を変換する。「エイリアン」の示した新しい未来に、さらに情報技術を融合させてようなものである。

その世界は極度の電脳化によって、脳へのハッキングが頻繁に起こることになる。これは後の「パプリカ」「インセプション」の世界に踏襲されていくことになる。ほぼ人間と見分けの付かなくなったサイボーグたち。感情も電子で作り出され、その先にたどり着くのは、自分が自分であることの根拠、つまりはロボットのアイデンティティ・クライシスの問題。こちらの主題は後に「イヴの時間」へ通じることになる。

虚構と現実が入り混じり、「人形使い」と言われる高度なハッカー相手が「ゴースト」を「義体」に入れ込みながら探し出したのは、鏡に映ったもう一つの自分。生命体と自分を定義するためにかけていた最後のリング。それは次世代を残すという生殖能力。そのつがいの相手。

とにもかくにも、原作の力も、それを映像化した作家の力、そしてそれをバックアップしていくチームの力。20年たった今でも全く古びないその世界観は、世界で評価されるのに相応しい名作である。

2013年5月5日日曜日

「鉄コン筋クリート」マイケル・アリアス 2006 ★★★★★


オシャレ漫画の代名詞のようなものだと思っていたこの「鉄コン筋クリート」。頭の片すみにちょっと引っかかっていた程度なので、松本大洋の名と「鉄筋コンクリート」として記憶されていたが、よくよく見ると「鉄コン筋クリート」なのだと改めて認識。

恐らく原作の完成度がとにかく高いのだろうが、鉄筋コンクリートを扱う建築の世界に身をおいているとよく分かるが、ある場面を想像した時にその角度からだけ成立するのなら、比較的簡単に素晴らしい建築は構想できるだろうが、それが空間を自由に動き回る現実の世界においても成立させるためには、何十倍もの気を遣って立体物としての建築を構築していくことになる。それを街というレベルで行うのは、相当な想像力と破綻を起こさない緻密さが要求される。

それが原作のレベルで成し遂げられていたのか、それともあくまでも2次元の漫画の世界から3次元のアニメの世界へと飛躍させるときの制作チームによってなのかは分からないが、とにもかくにも舞台となる街、その街を自由に「飛びまわる」クロとシロ。それを追いかけるカメラワーク。どこから見ても、その舞台に破綻が見えない。これは凄いことだと思う。

しかもその街並みが、どこかの風景の綺麗な田舎で写真を撮ってはパソコンで再現したようなヌルイものではなく、アヤソフィアがど真ん中に鎮座して、アジア中の神様のモチーフが散りばめられつつも、日本の路地が入り組んで、昭和の香りのする商店街が連なって、とにかくごちゃごちゃしているが成立しているということ。それを成立させるための執念のようなディテールの描き込み。

パプリカ」の映像でも、これだけ不思議なものを統一感をもって映像化するのはものすごい想像力と技術力だと思ったが、「パプリカ」に無かったのは総体としての枠組み。それがこの「鉄コン筋クリート」では、「宝町」として総体を持つ街として存在し、境界線を持つ実体として描かれる必要があるということ。

「街」というのは、どんなにその創成期に都市計画として神からの視点で描かれたとしても、「生活の場」として使われるうちに、様々な人が、様々な使い方をして、青図とはまったく違う姿を見せていくものである。トップダウンからボトムアップに変わる瞬間が間違いなく存在し、その瞬間から一つの生命体の様に日々姿を変えていく。

その人々の息吹とでもいうべき、足元で繰り広げられる様々な事象が、「街」を生活の舞台へと変換し、それがその場の豊かさ、魅力へと変わっていく。そしてそれは決して最初からは設計できないということを、世界中の建築家が既に知っている。

そんな存在しない「街」を想像し、生活の雰囲気までも創造していくその能力はまさに圧巻。様々な要素が盛り込まれているのだけども、通常そういうものはすぐに何人もの別のデザイナーが関与した取りとめの無い、曖昧なとってもつまらないものになってしまうのだけれど、様々なアイデアを盛り込むのをギリギリのラインで止めておいて、あくまでの一人のクリエイターの見た夢として統一感を与える。

「こちら地球星日本国白隊員。応答どーぞ」

目の離れたシロが、確かな人格をもった人物として徐々に認識してしまうように、その声優である蒼井優の演技もまた素晴らしい。

漫画原作というのは、どうにも好きになれないものだが、ここまで突っ走られると文句のつけようも無いというもの。明らかに00年代のトップに君臨するジャパニメーションであると思われる。

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監督 マイケル・アリアス

キャスト
二宮和也クロ
蒼井優シロ
伊勢谷友介
宮藤官九郎
田中泯
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作品データ
製作年 2006年
製作国 日本
配給 アスミック・エース
上映時間 111分
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2013年4月30日火曜日

「ほしのこえ」新海誠 2002 ★


新海誠のデビュー作らしい。

森川嘉一郎の「趣都の誕生―萌える都市アキハバラ」で書かれるように、パソコンの普及によって出現したアマチュア・スターの第一人者という位置づけのようである。勉強不足でまったく知らなかったが、同人誌業界では相当な人物のようだと、2000年以降のアニメ動向を追ってみて分かってきた。

そんな作者が監督・製作・脚本すべてをこなし、今まで溜め込んでその世界観を思う存分ぶつけたのがこの作品というところらしい。音楽もその後の作者の作品を引き続きチームを組む天門が担当し、その後の作品が納得というような世界観を作り出す。

それにしても建築批評の世界も、映画を引用する巨匠達から、小津の低い焦点に現れる風景の切り方などと映画関係者ばりの映像知識を必要する時代から、団塊ジュニア世代を育て上げたジブリ作品の世界観を考察する時代を経て、エヴァを経てたどり着くこのような作品に視られる現代の社会性などということまで重箱の隅を突かなくてはいけないのかと思うと、その苦労を想像しながらも、オタクの世界に現れるある種の無意識の現代性などと、インテリの役割として追っかけ続けるのも大変だと思うが、「こういう作品に時代的意味を見出さなくてはいけない」というある種の強迫観念も行きすぎなのではと思わずにいられない。

ガンダムをテレビの再放送で見て幼少期を過ごし、ジブリ作品とともに少年期を過ごし、エヴァを見ながら青春期を過ごしたであろう世代の作者が、妄想を膨らませて作り上げた世界観。どれだけ科学が発達していようが、お構い無しに踏み切りで電車を待つ田舎の風景。その奇異な共存が意外性を伴う不思議な世界観を作り出すというところだろうか。

何万光年も先の宇宙でガンダム張りの戦闘を繰り広げる一方で、コンビにの前でアイスを食べる中学生。

その後の作品でも何度も何度も繰り返されるようなシーン。開くまでも子供の部類に入る中学生の男女の主人公たちが、引かれながら引き離され、それでも過剰なほどに感情を起伏させるような音楽にそって自らの苦悩を言葉にしていく。

「アガルタ」や「タルシアン」といった、「いかにも」的な名称を考えるのが楽しくてしょうがなかった時代。男の子なら一度ははまる冒険やファンタジーがごっちゃになって頭の中で膨らむ妄想の世界。そこに好きな女の子との純愛が絡み、「あぁ!」とか「いけっ!」という感情を表すいかにも「アニメ的」な単純な言葉。

技術の進歩を表すためのそれらしき難しい言葉たちと、地球防衛軍に小さな少女が戦力として参加するという宇宙モノの王道の世界観。良くも悪くも一人の人間がすべてをやりきり、その人間の妄想がすべて形にされた作品。

それにしても、人をとことん感傷的にさせるような台詞と音楽と世界観。「時間や距離を越え、ただ君がいるからこの世界は存在するんだ」的にとにかく感傷的な登場人物達。

このようなアニメを見て思春期を過ごすと、それはそれは影響され、その性格も相当に感傷的になっていくのだろうと想像せずにいられない。そうして形成された過剰に感傷的な性格で、この獰猛な現代社会で生きていくのはかなり厳しいだろうと思わずにいられない。

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スタッフ
監督 新海誠
製作 新海誠
脚本 新海誠
音楽 天門

キャスト
篠原美香
新海誠
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作品データ
製作年 2002年
製作国 日本
配給 MANGAZOO.COM
上映時間 25分
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「イヴの時間 劇場版」吉浦康裕 2010 ★★★



ここ10年近くで話題に上がったアニメ作品にざっと目を通そうと調べていると、なかなか評価が高そうなこの作品。

近未来の日本が舞台で、各過程に人間型ロボットであるアンドロイドが様々な生活の手助けをするのが当たり前になっている社会。

見た目もほぼ人間と変わらず、唯一頭の上に浮かぶホログラムのような円環のみがロボットだということを示す唯一の印。

社会もその状況に対応すべく、ロボット法なるものが存在し、「人間を傷つけない」などの条項が設けられるようになる。

そうなると必然的にもちあがる、「ロボットは感情を持ちえるか?」という問題。

それは同時に「人間はロボットを人間同様な感情をぶつける相手としてみることが出来るか?」という葛藤にもつながる。

そこで選ばれるのは、感情の揺れ動きやすい高校生の二人の男子。

一人は家のアンドロイドが可愛らしい女性で、そのアンドロイドが最近命令に無い場所に入り浸っていると疑問に思いだす。もう一人は小さなころから自分の世話をしてくれていたロボットがある日を境に自分に対してなんら言葉を発さなくなり、友達だと思っていたのに裏切られた、もうロボットなんか信用しないと心を閉ざしている高校生。

そんな二人がアンドロイドが立ち寄っている場所に足を向けて見つけるのは「イヴの時間」という喫茶店。その喫茶店のルールは「人間とロボットを区別しない」という一項だけ。ここではアンドロイドもその頭の上の円環を消して、人間と同じように振舞い、他の人と交流をする。その場にいる誰が人間で、誰がロボットかすら分からない状況。

そんな表のストーリーがありつつも、裏のストーリーとしては人間とロボットが感情的な交流を持つことに対しての危機感を持つある組織が操作を開始し、その組織の動きをまた別の組織が見張っているらしい様子も描かれ、その設定や技術的背景、登場人物のつくり込みなど、なかなかの緻密さを感じさせる内容になっている。

テクノロジーが発達すれば、必然の用に日常生活の中で機械が果たす役割は増えていく。その「技術的事実」だけを描く近未来映画は多々あるけれど、それによって人の感情がどのような影響を受けるか?機械の側がどのような問題を持ちえるか?社会として何が危険視されるのか?というところに目を向けるのは、更に総合的な視点が必要で、そういう意味では未来を描く作品の中で、一歩も二歩も抜け出ている、そんな印象を受けずにいられない。

ジブリ作品など過去の作品へのオマージュかと思うくらいの既視感を感じさせる作品とは大きく違い、絵の描き方も、各キャラの設定も独特で、ズームとかカメラワークが如何にもロボットっぽく実写でもアニメでもない3DCGならではの描き方も心得ていて、非常に好感の持てる内容であり、ぜひとも次の作品も見てみたいと思わされる良作。
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スタッフ
監督・原作・脚本 吉浦康裕

キャスト
福山潤
野島健児
田中理恵
佐藤利奈
ゆかな
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2013年4月13日土曜日

「雲のむこう、約束の場所」新海誠 2004 ★



「ほしのこえ」の新海誠が挑んだ長編アニメ。

個人製作から大きなチームでの製作に移行し、その規模も世界観も作画の緻密さもより一層向上した様である。

一見なんのこともない青森の風景だが、実は戦後に津軽海峡を南北にして国が分断され、青森から見える北の風景にはすっくりと聳え立つ一本の巨大な「塔」。その直線が自然を背景にした中でどう人工性を描き出すかは言わんまでもないが、また同時に様々な人にとって目的地や思い出など、様々な意味を持つ「塔」の効用を良く描いている。

ローカル線を待つほのぼのとした風景や、木造校舎の中学校などのレトロな雰囲気と、位相変換を行い異宇宙との接合を行うような科学的発展の異種勾配がつくりだす異様な世界観は前作同様で、そこに中学生であった主人公達の揺れ動く感情が重ねられる。

乗り物のデザインや建物のデザインなど、前作よりも独自性が見えてきているように感じられるが、つっこみどころ満載のストーリーはあまり作りこまないという作者の意図も感じられるが、同時にその感傷的でナイーブな世界観もまたより一層加速されているようである。


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スタッフ
監督 新海誠
原作 新海誠
脚本 新海誠
キャラクターデザイン 田澤潮
絵コンテ 新海誠

キャスト
吉岡秀隆 藤沢浩紀
萩原聖人 白川拓也
南里侑香 沢渡佐由理
石塚運昇 岡部
井上和彦 富澤
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作品データ
製作年2004年
製作国日本
配給コミックス・ウェーブ
上映時間91分
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