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2017年8月8日火曜日

「沖縄の歴史と文化」 外間守善 1986 ★★


プロジェクトがきっかけで、今までまったく縁の無かった場所に関わることができることは建築というものを生業にしているものとしての喜びであると同時に、その土地の歴史や文化、そして現在の人々の生活を少しでも理解することが、少しでも場所に根付く建築を作るための基礎であり、建築家としての責任でもあるだろう。

そういう訳で縁ができそうな沖縄の地。米軍基地や観光地としての側面だけではなく、日本の最南端として独特の文化を培ってきたその歴史を文化を少しでも基礎知識として持っておくために何冊か手にとった中の一冊。

様々な場所の地名として残るグスクの意味や、琉球王国時代と明などの周辺諸国との関係、そして薩摩藩による侵攻と江戸幕府による取り込み政策、戦場となった近代と、戦後における統治時代と本土返還後。

本土における日本史という教育ではまったく捉えきれないその歴史は、やはり馴染みの無い言葉が多く、改めて日本人として知っておくべき事なのだと思わされる。

オモロや御嶽(ウタキ)など、信仰や世界観などもその起源や流れを説明し、如何に日本の中でも独特の文化を形成してきたのか、そして現在にどう残されているのかというのが見て取れると同時に、このような土地に染み付いた文化というのは、融合政策によって簡単に消し去られるものではなく、また多中心に移りつつある現代においてこそ、じっくりと見つけなおし、伝承していくことが大切なのだろうと思わされる。

ぜひともこの知識を元に、次回はより深く、沖縄の辿ってきた時間や歴史を感じられるような場所に足を運び、現地の人の話を聞くことができればと思わずにいられない。

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目次
序章 太平洋文化圏の中の沖縄
沖縄文化のマクロ的視野
従来の沖縄文化系統論

第一章 沖縄歴史のあゆみ
1.先史沖縄
 旧石器時代
 新石器時代(貝塚時代)
 グスク時代(前半)

2.古琉球
 グスク時代(後半)
 第一尚氏時代

3.海外交易の発展
 明
 南方
 日本
 朝鮮
 16c以降の貿易の衰退

4.近世琉球
 ・第二尚氏時代(後期)

5.近代沖縄
 琉球処分(明治12年)
 奈良原県政
 そてつ地獄(大正末~昭和初め)
 沖縄戦

6.戦後沖縄
 米軍統治時代

第二章 沖縄の言語と文化
1.日本語の中の沖縄語
 沖縄語の歴史
 沖縄語の特徴的音韻変化

2.沖縄文学の全体像
 古代文学
 近代文学
 古代文学の分類

3.オモロとウタの世界
 オモロ
 琉歌(ウタ)

4.神観念と世界観
 創世神話
 『おもろさうし』にみる神観念と世界観
   (1)ニライ・カナイ
   (2)アマミヤ・シネリヤ
   (3)オボツ・カグラ
 祭祀と年中行事
   (1)御嶽
   (2)年中行事
 各地の祭り
   (1)シヌグ
   (2)ウンジャミ
   (3)イザイホー
   (4)祖神祭り
   (5)プーリィ(豊年祭)
   (6)アカマタ・クロマタ
 民俗芸能
   (1)ウスデーク
   (2)エイサー
   (3)クイチャー
   (4)巻踊
   (5)アンガマ
   (6)京太郎

5.宮廷芸能
 古典音楽
 古典舞踊
 古典劇(組踊)

6.沖縄の美とかたち
 美学
 美術

第三章 神歌にみる宮古・八重山の歴史
1.宮古島の歴史と英雄たち
 開闢伝説
 先史時代~古代
 宮古の英雄たち
 14c末~15cの宮古と八重山
 王府の宮古支配と人頭税

2.八重山の歴史と英雄たち
 創世の説話~先史時代
 八重山の英雄たち
 八重山統治と人頭税
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外間守善

2017年1月27日金曜日

伊豆国(いずのくに) ★ 東海道

平安の終わり、平清盛の命によって捉えられた源頼朝が流されたのが伊豆国(いずのくに)。危険人物を中心からできるだけ遠ざける意図を持った流刑の地として選ばれたということは、中心である京都との距離であり、そこが辺境の地としての境界線であり、世界として認識されている縁であったことがみてとれる。

そのことが良く分かるように、流刑地には時代と共に畿内からの距離によって三つの分類がされているという。一番近くに位置するのが越前や安芸の地。中ほどに位置するのが信濃や土佐。そして一番遠方とされるのが伊豆や隠岐という位置づけという。その中でも圧倒的に流された人物が多いのが、佐渡国、土佐国、隠岐国とこの伊豆国。

後鳥羽上皇や後醍醐天皇が流されたのは日本海に浮かぶ隠岐国
日蓮や世阿弥が流された佐渡国もまた日本海に浮かぶ島で構成されている
頼朝の同母弟である希義や法然が流された四国の流刑地・土佐国
宇喜多秀家や源頼朝が送られたのが東国であった伊豆国

源氏の名前が多く見受けられるのも、都を中心とした平家の時代に脅威として僻地へと送られた流刑の地政学の意味が透けてみえ、その送られた先の場所から当時の僻地の定義も見えてくるのもまた面白い。

そんな訳で源頼朝が流されて、土着の北条家のサポートを受けて決起し、鎌倉時代の幕開けをもたらし、その後長く続く武士の時代の始まりを告げる日本史における重要な場所であるのがこの伊豆国。

国府や国分寺が置かれたのは半島の付け根に位置する現在の三島市。ここには伊豆国一ノ宮である三嶋大社も置かれており、東海道を行き来する人から信仰を集めた。

伊豆長岡温泉で知られる伊豆長岡町や「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録された、韮山反射炉のある韮山町などが平成の大合併によって合併して誕生した伊豆の国市と上記の三島市がその大部分を占めていることになる。

様々な時代において、中心を特別な視点で眺めてきた伊豆国。中心とは違った風景の変遷が見れることを期待して早朝の高速を西に向かうことにする。




2015年12月29日火曜日

「大人のひきこもり 本当は「外に出る理由」を探している人たち」 池上正樹 2014 ★★★


現在の日本であれば、恐らくどこの地方都市にいっても当たり前の様に見られるようになった光景。家の周りを見渡しても、親と同居する中高年のひきこもりを抱える家庭があちこちに散らばり、親の仕事を手伝ったり、親の年金で生活をしたりと、なんとか生活を繋ぎとめている状態。

迫り来る親世代の死というタイムリミットを誰もが理解しながらも、外に出て社会の中で仕事を得て、糧を得るということがなかなか難しくなるのは、ひきこもりの時間が長引けば長引くほど。

誰もが分かっているけれど、誰もが解決策を見つけられず、放置することで問題を先延ばしにしつつ、更に状況を深刻化する。「家庭の恥」と隠すことによって問題は外から見えず楽なり、濃密な関係の家族間のみでも互いの軋轢はより激しくなるばかり。

そんな閉じられた関係性の中で互いを傷つけあい、時にどうしようもなく、親が子を、子が親を殺してしまう事件が起こる。そういうニュースを元に、世間に隠されていた実態が知れ渡る。

その当事者である「子」が、10代や20代でなく、40代や50代の立派な「大人」と言われる年齢であることに当初は驚きをもって受け止めていたのもすでに昔のこととなり、今では当たり前のニュースとして頻繁に繰り返される。

「家庭」というものが、社会や世間からのストレスを和らげ、個人のプライドを守り生きていく為のシェルターとして機能するのは当然であるが、同時に一人の社会人としてどうしても社会と向き合いながら様々な思いや重圧を折衷しながら関係性を構築し、自らの居場所を確保していく、そういう厳しさや辛さを人は誰でも受け入れなければ行けないのもまた事実。

家庭の形が変わり、社会との関わり方が多様化した中で、どうすればいいのかは決してひとつではなくなった時代に、家族のメンバーがそれぞれに社会との関係性を健康的に構築できる、それはとても難しくなった時代。

社会のあちこちで、ポツポツと沸点に達した水のようにチラホラと見えてきたこの問題であるが、それでも臨界点に達するのは、親世代が動けなくなったり、介護が必要になったり、亡くなっていくであろう数年から10年後。

少なくとも状況をこれ以上難しくしないためには、家族以外との縁をできるだけ切らないようにすること。地域との縁。友人との縁。社会との縁。声を上げられない家族に代わって、周りから「大丈夫か。こうしたらどうだろうか?」と声と手を差し伸べられるように、縁を切らないためにも、同窓会などが果たせる役割もきっと多いのだろうと想像する。

以下本文より。
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電車に乗ると、腹や頭などが痛くなって、家に引き返してしまう

「ひきこもり」該当者のうち、半数近くの約45%は40歳以上の中高年

こういう問題は家の恥として表にでてこない

/7割が男性、10年以上が3割
ほとんどが家族と同居 不登校 失業

/「自分の将来を見るようで怖い」
2011年2月3日 クローズアップ現代 「働くのがこわい、新たなひきこもり」
実は自分の身にも起こりうる

/他人に頼るべきではないという風潮
「ひきこもり」の人たちが社会復帰を望んでも、ひきこもっていた期間により生まれる履歴書の空白や社会経験の不足が、自立への道をそばむ
気力がなくても、実家にいれば何もしなくても生きていける

/行過ぎた成果主義が社員のつながりを寸断
東北地方の支店から本社に転勤
成果主義の流れがこれまでの個々のつながりを寸断し、同僚や部下を気遣うサポート体制も崩れてしまった
労働の流動化時代が到来

3 ひきこもる女性たち「それぞれの理由」
/出口のないトンネルを抜け出せない
どうして働いている若者のほうが、働いていない高齢者の方よりも収入が少ないのか?
どうして真面目に働いてきた自営業者のほうが、生活保護受給者の方より収入が少ないのか?

2 「迷惑をかけたくない」という美徳
/「迷惑をかけるな」という風潮
力のある人に都合がいい、弱い人には厳しい社会

3 「家の恥」という意識
/貧困・引きこもり・孤独死
ひきこもる当事者を抱える家族は「家の恥だから」と、本人の存在を長年にわたりかくして続けていることが多い

/「いちばんの家並みはお金がないこと」
Uさん一家の収入は現在、母親の年金のみで、月に8万円ほど
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■目次  
第1章 ひきこもりにまつわる誤解と偏見を解く
1 データが物語る「高齢化」
/「ひきこもり」と「ニート」は違う
/情報が無いからキッカケもないし何も変わらない
/新たなひきこもり層が明らかに
/支援するほうも「どうすればいいか、わからない」
/「40歳以上」が半数
/7割が男性、10年以上が3割
/認知されていない厚労省の支援事業
/暴力や変化を恐れる親たち

2 ひきこもりの「潜在化」
/「自分の将来を見るようで怖い」
/他人に頼るべきではないという風潮
/ずっと孤独だった
/どこに助けを求めればいいかわからない
/会社を辞めれば追跡されることもない
/行過ぎた成果主義が社員のつながりを寸断
/”追い出し部屋”がきっかけ
/こうしたひきこもりは大量生産され続ける

3 ひきこもる女性たち「それぞれの理由」
/息子の就活失敗を機に母が「買い物にも行けない」
/出口のないトンネルを抜け出せない
/長男とひきこもる元エリート母
/セクハラがエスカレートして
/「老後破産」激増の危機

第2章 ひきこもりの背景を探る
1 「立ち直り」を阻害するもの
/ハローワークの「怪しい求人」と「神様スペック」
/足元を見られる中高年応募者
/仕事を選ばなくても雇ってもらえるとは限らない
/代表戸締役社長
/300戦全敗
/資格はまるで役立たず
/玉石混交の人材紹介会社
/辞めさせないブラック企業

2 「迷惑をかけたくない」という美徳
/まさか30代の娘が同居していたとは
/「迷惑をかけるな」という風潮
/傷つけられ、封じ込められて消えてゆく
/働けず生活保護も受けられず
/侮辱的屈辱的な答えが戻ってくるだけ
/「常に世の中からはじまれてきた」という疎外感
/精神的なさせとなるものが少ない

3 「家の恥」という意識
/貧困・引きこもり・孤独氏
/都会の会社を辞めて実家に帰ったものの
/「いちばんの家並みはお金がないこと」
/家族ごと地域の中に埋没していく
/70歳の父親が息子の将来を悲観して殺害
/「消えた高齢者」とひきこもりの共通点

4 医学的見地からの原因分析
/トラウマとひきこもり
/内海の水位が上がっている次代
/生命力を取り戻すカギ
/ADHDとひきこもり
/診断基準
/強迫症状と依存症
/一緒にできることを考える
/自閉症とひきこもり
/特効薬が誕生する可能性
/薬物治療の意義
/慢性疲労症候群とひきこもり
/かかりやすいタイプ
/緘黙症とひきこもり
/「大人になれば治る」はずが
/年齢によって緘黙の質は変わる
/自分自身を変える大きなチャンス

第3章 ひきこもる人々は「外に出る理由」を探している
1 訪問治療と「藤里方式」という新たな模索
/共感を呼んだ活動
/拒絶されるのは当たり前
/一人暮らしをサポート
/18ー55歳の10人に一人がひきこもる町で
/ひきこもりの自覚が無い人もいる
/いろんな人が出入りするための工夫
/試行錯誤を行うほどに希望が湧いてくる

2 親子の相互不信を解消させたフューチャーセッション
/縦割り組織を乗り越えるための取り組み
/親には自分を信じてほしい
/自己満足な支援になっていないか?
/家族会にFSを取り入れてみると
/対決ムードが一変
/親子が一致した瞬間
/対話の大切さ

3 ひきこもり大学の開校
/化学反応が次々と
/「ひきこもり2.0」の始動
/美人すぎるひきこもりを売り出す
/ひきこもり大学解説の経緯
/「空白の履歴」が価値を生み出す
/地方でも開催
/ひきこもり当事者ならではのアイデアとニーズ
/ひきこもる人たちが駆け込める場所
/きっかけがあれば外に出ていける

4 外に出るための第一歩――経済問題
/支援制度
/面接は必須
/第二のセーフティネット
/住宅支援給付の要件
/「お知らせしていないわけではないが」
/押し付けではないメニューを
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