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2015年11月21日土曜日

「白ゆき姫殺人事件」 中村義洋 2014 ★★

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スタッフ
監督 中村義洋
原作 湊かなえ
脚本 林民夫
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城野美姫(容疑者) - 井上真央
赤星雄治(映像制作会社・映像ディレクター)  - 綾野剛
長谷川(映像制作会社・編集マン) - 染谷将太
狩野里沙子(典子のパートナー) - 蓮佛美沙子
三木典子(被害者) - 菜々緒
篠山聡史(係長) - 金子ノブアキ(RIZEのメンバー)
満島栄美(美姫のパートナー) - 小野恵令奈(元AKB48)
城野光三郎(美姫の父) - ダンカン
城野皐月(美姫の母) - 秋野暢子
前谷みのり(美姫の友人) - 谷村美月
水谷(情報番組司会者) - 生瀬勝久
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昨年、良くその宣伝や広告を見た覚えのある映画。「告白」、「北のカナリアたち」に続いての湊かなえ作品の映画化。2015年大河ドラマ「花燃ゆ」の主演の井上真央を主役に持ってきて、事件の真相を追う報道番組のディレクターに綾野剛、誰もが認めるいい女役の菜々緒が血みどろで殺される衝撃的な姿と、十分に興味を引く要素は十分。

それに完全にインフラの一部となったSNSを使い、顔の見えない一般の人が自分勝手に意見や推測をTwitterにてつぶやきあきながら物語が進んでいくあたりも、今を感じさせる湊かなえの見事な手腕。

人は自分が見たいように物事を見る

というテーゼがSNSによって集団的に加速され、誰も責任を持たず、誰もが好き勝手に事実を作っていってしまい、それに報道をする側も乗せられてしまい、自分の望む事実を作り上げていってしまう。

そのトリックよりも、SNSの出現によって変わりつつあるメディアの役割や、それによって流されていく人々の心理。そしてネットの向こう側で匿名を逆手にとって好き勝手に振舞ってしまう自分達の姿。その現代性に改めて驚かされると同時に、こういう少し嫌だけど、驚くほどの美人という役がすっかりはまり役になってきた菜々緒にも同じように驚きながら見終えることになる一作。










2013年4月17日水曜日

「サクリファイス」 近藤史恵 2010 ★★


世の中には、その世界で生きている人でないと分かり得ない事柄が沢山ある。それに少しだけでも触れる事が出切るのが読書の醍醐味でもある。自分でネットや本で調べてこの分野にたどり着くことはないけれど、何かのきっかけで手にとった一冊の中で展開される物語を通して少しだけその世界に足を踏み入れることができるのは、何とも言えない幸福なことだと思わずにいられない。

「ロードレース」なんてまさにその未開の世界の一つ。

はじめて補助輪無しで走れた日の喜びから、歩くよりも圧倒的に広がった自分の風景。辛い思いをしながらも、腰をあげて身体を左右に揺らしながら登り切った坂道の向こうに待っているジェットコースターの様な下り坂。頭を下げて恐怖と戦いながら、ブレーキをかけずにスピードに乗ることの気持ち良さ。自分の中では立派なレースを繰り広げる小学生時代。

深夜のテレビでアルプスの山々をダンシングしながら越えて行き、一日に何百キロも走りながら、最後の最後で集団から飛び出すスプリント勝負に全てをかけて、最終的にはパリの街で熱狂的な歓迎を持って迎えられるツール・ド・フランスの存在を知り、毎年出てくるニューヒーローと圧倒的に王者の戦いに夢中になった中学生時代。

そんな熱もその後は更に高くなることなく、大人になってロードサイクルにはまり、休日には100キロ以上走るという友人の話を聞いても、テレビで山の神と呼ばれながらお尻をフリフリ登って行くイタリア人選手に熱い視線を投げていたあの頃の気持ちを思い出すこともなく、世間一般の日常のちょっと便利な移動手段としての付き合いしかしてこなかった。

そんな中で手にしたこの一冊。大藪春彦賞受賞という言葉とロードレース+サスペンスというのに引っかかったのがきっかけだが、エースとアシストというチームプレーとして描かれるロードレース世界はなかなか興味深く、そのスピード感同様にあっという間に坂をおりきるかのように読みきれる。

自分が素人のせいかしれないが、ロードレースの世界に関しての記述があまりにきちんと描かれており、それが相当なリアルティを感じさせ物語に心地よい緊張感を与えてくれる。その部分がしっかりしていればしているほど、サスペンスの部分の作り込みが甘く感じてしまうが、それでも次に自転車に乗る時は、子供の時のように「アウト・イン・アウト」などと心の中でつぶやきながらコーナーを曲がる事になりそうだなと少なからずのワクワクを感じることになるだろうと思わずにいられない。