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2013年12月31日火曜日

「九月が永遠に続けば」 沼田まほかる 2004 ★

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第5回(2004年) ホラーサスペンス大賞受賞
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「グロテスク」

そんな言葉を何度も頭に浮かべながらページをめくったこの一冊。非常に嫌な感じのする、全編を通して付きまとうネットリした性の気配。

登場人物がその年齢や役割に関係なく、常に「男と女」というむき出しの欲望を社会性という表面のすぐ下に隠し持ちながら役割を演じているような気にさせるほど、「性」の気配が常に見え隠れする。

「グロテスク」なものが、その差異性の為に何からしらの「魅力」を携えてしまうように、痛みを感じる描写やえぐいほどに壊れやすい美しい登場人物達は、不思議な魅力を持っているのは確かであろう。

それがいいのか悪いのか、小説として何か心に残るのかどうかは別にして、それでも目を覆う指の間から、「グロテスク」をちらりと見てみたい人間の欲望の様に、先のページに何が待ち受けるのか気になって読み進めてしまう。

よりグロテスクなものを求める。それが人間の本性だと言わんばかりに。


登場人物は決して多くは無いがその中で複雑にそしてドロドロに絡み合う人間関係。41歳のバツイチの主人公を中心にして、一見普通に見えながら、何とも心に闇を抱えた登場人物たちに絶対的に惹きつけられしまう。現実にもいる、そこに居るだけで周りをひきつけてしまう人間達。

「グロテスク」と言えば、東電OL殺人事件を元にした桐野夏生の小説を思い出すが、それとはまた違った意味の「グロテスク」の魅力と恐ろしさを描いた内容で、新しいだけにどう消化するのに戸惑う一冊。


2011年9月28日水曜日

「背の眼 上・下」 道尾秀介 ★★★












ここ数年の文学賞を総ナメにしている勢いのある作家で、「向日葵の咲かない夏」もそこそこ楽しめたので、最近作が文庫化される前に以前の作品を読んでおこうと手にした第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。

自分自身と言える作家が主人公で、福島の田舎で遭遇した不思議な現象を心霊研究をしている大学時代の友人に相談に行き、そのアシスタントと3人で事件の謎を解いていく、という分かりやすいストーリー。

天狗のルーツは、古代中国で彗星を見た人が、それを尾だと思い、天を駆ける狐、天の狗そして天狗へと変化し、それが日本古来の山岳信仰に組み込まれ、役小角(えんのおづぬ)を開祖とする修験道に仏教が融合し、天台宗、真言宗の山岳仏教へと発展し、その山伏の姿がいつしか天狗のイメージへと定着していく。

という話はなかなか面白かった。

「在るものを見るのではなく、見えるものを在るとする」という心霊の本質をつく言葉にふむふむとし、駱駝の背中に藁を乗せ、その一本を乗せると背中がポキリと折れる最後の一本があるという「ラストストロー現象」も、ほぉーっと聞いてしまう。

そんなわけで、流石に物語を読ませる安定感は感じられ安心して読めるが、大きな期待にこたえるほどではなかったのが率直な感想か。