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2016年2月6日土曜日

展覧会 「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」 森美術館 2016 ★★

森美術館で行われている 「村上隆の五百羅漢図展」 を見に行こうとしたら、同時にイギリスの超有名建築家であるノーマン・フォスターの展覧会も同時にやっているようなので、「一体どうやって展示室を分けているのだろうか?」と不思議に思い六本木に到着する。


そうしたら何のことはなく、通常の森美術館の展示室のある階の一つ下の階で、展望台となっている東京シティビュー内の内側を「スカイギャラリー」と呼んで、少しでも空間の有効活用として展覧会を開催している様子である。

しかしかつては展望台だけの機能であった東京シティビューはゆったりとした空間で眼下に広がる東京のパノラマを見ることができたのだが、そこにある種強引に展覧会を押し込んでいるので、動線が混み合ってしまって、展望台に来た人も、展覧会に来た人もかなり窮屈な思いをしながら先を進むことになる。恐らく「インバウンド」の外国人旅行者が増え、それに対応するために少しでも多くのコンテンツを用意し、その都度料金が発生するようにと利用可能なものは少しでもコンパクトにしつつコンテンツを重ねていくという商業主義の臭いがプンプンしてくる気がしないわけでもない・・・

それにしても、世界の多くの都市でこのようなノーマン・フォスターの展覧会を行っているような気がするが、これは一体どのような意図が隠れているのだろうかと想像を膨らませながら、展示される大小様々な模型を見ながら先を進む。

ザハ・ハディド事務所に勤めていたときにも思ったが、やはり世界の一線で活躍する建築事務所というのは、展覧会が常の世界のどこかで開催されており、建築の展覧会ということでどうしても模型がかなりのインパクトを持つことになる。その為に古いプロジェクトでも必ず作成した模型はしっかりと倉庫を契約してよい保存状態に保っておく。そしてこの様な世界各国での展覧会に専門業者の手によって運ばれていく。同じこと東京でやろうとしたら、そのスペースだけでオフィスの経営業態をかなり圧迫することになるのは想像に難くない。などと、かなり下世話なことに想像を馳せながら先を進む。

場所によっては写真を撮ってはいけない模型があったり、かと思えば大丈夫なものがあったりと、恐らくプロジェクトの性質上、クライアントとの契約でそうなっているのであろうが、展覧会に来ている身としては非常に分かりにくく、まるで監視するようにあちこちに立っている美術館関係者の顔色を伺いながら撮影となる。

上記したように、円形をしたフロアの外周にそって進む展覧会で、その外には展望台としての機能を求めてきた人たちもいる訳で、その余白のスペースに大小様々な模型が所狭しと置かれているために、どうしても動線は時にかなり厳しくなる。

「やはり、ここで展覧会をするのはかなり無理なのでは・・・」と思って調べてみるが、今後も「美少女戦士 セーラームーン展」や「ジブリの大博覧会」が計画されているようで、これは2016年からの試みなのかと少々腑に落ちない。

しかし、この様な外国の規模の大きな設計事務所での仕事ぶり、そしてそこで働く雰囲気を動画などで実際に見ることができるというのは、これがきっかけになって「海外で外国人と一緒になって働くなんてかっこいい」、「自分も同じように世界に出て、彼らと同等に働いてみたい」と思うような若者もきっといるのだろうと想像する。

昨年久々に訪れたイギリスの母校のAAスクールでも、長く教鞭をとっている日本人教員が「長らく日本人の生徒を見なくなった。今の若い人はもう外の世界に出てやってやろうと思うことがなくなったんだろうね」となんとも寂しい表情で語っていたのを思いだす。

実際に外に出るのは思ったほど難しくは無いが、その先いつか訪れる「いつまで外にいるのだろう。。。」、「いつか日本に戻らなければいけないし、その時にこの海外での時間はどういう意味を持つのだろう・・・」という終わりのない不安と葛藤は誰もが体験することであるが、それでもまずは日本だけが世界の全てだと捉えずに、少しだけでも、一歩だけでも、多くの若者が世界にでていくことのきっかけにこのような展覧会がなることを期待して、上の階へと足を向けることにする。



2015年12月29日火曜日

香港国際空港ターミナルビル(HongKong Airport) ノーマン・フォスター(Norman Foster) 1998 ★★★



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所在地  香港
設計   ノーマン・フォスター(Norman Foster)
竣工   1998
機能   空港
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建築に携わる人間であれば、香港に到着した途端に教科書で見ていた建築を体験できるのはなんともいえないお出迎えとなる。設計者はそのキャリア自体が現代建築の教科書のようになっているまさに現代の巨匠ノーマン・フォスター(Norman Foster)。

六本木の森美術館においても「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」と題して来年の元旦から展覧会が開催されるほど、建築家でありながらその職能の枠を超えた存在として社会に影響を与える存在となっている建築家である。1935年生まれであるから、2015年現在はすでに80歳。主な作品を見てみると

1978年(43歳) センズベリー視覚芸術センター ノリッチ イギリス
1985年 香港上海銀行・香港本店ビル 香港 中国
1989年 リバーサイド・オフィスとアパートメン ロンドン イギリス
1991年 スタンステッド空港ターミナルビル ロンドン イギリス
1991年 サックラー・ギャラリー ロンドン イギリス
1991年 センチュリータワー 東京都千代田区 日本
1992年 テレコミュニケーションタワー バルセロナ スペイン
1995年 ビルバオ地下鉄 ビルバオ スペイン
1997年 コメルツ銀行タワー フランクフルト ドイツ
1998年 九廣鐵路 (KCR)・紅磡 (ホンハム) 駅舎 香港 中国
1998年 香港国際空港ターミナルビル 香港 中国
1999年 ドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク ベルリン ドイツ
1999年 カナリー・ワーフ駅 ロンドン イギリス
2000年(65歳) 大英博物館グレート・コート ロンドン イギリス
2000年 ミレニアム・ブリッジ ロンドン イギリス
2001年 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス図書館 ロンドン イギリス
2002年 ロンドン市庁舎 ロンドン イギリス
2003年 トラファルガー広場 ロンドン イギリス
2004年 30セント・メリー・アクス (スイス・リ本社ビル)  ロンドン イギリス
2004年 鎌倉の住宅 神奈川県鎌倉市 日本
2005年 ベルリン自由大学・フィオロジカル図書館 ベルリン ドイツ
2006年 ハースト・タワー ニューヨーク アメリカ
2007年 ウェンブリー・スタジアムの改修 ロンドン イギリス
2007年 スミソニアン博物館コートヤード ワシントン アメリカ
2008年 北京首都国際空港ターミナル3 北京 中国
2010年 ボストン美術館 ボストン アメリカ
2011年 ザ・トロイカ クアラルンプール マレーシア
2011年 ザ・インデックス ドバイ アラブ首長国連邦
2014年 帝国戦争博物館 ロンドン イギリス
2015年 ミラノ万博 アラブ首長国連邦館  ミラノ イタリア
2015年(80歳) アップルストア ウェスト・レイク 杭州市 中国

1985年に完成した「香港上海銀行・香港本店ビル」によって当時の英国出身建築家による建築の流れを総じて呼んだ「ハイテク建築」の旗手として、その後大規模な建築を環境に配慮しながら非常に繊細なディテールを見せる建築を多く手がけることになる。

フォスター・アンド・パートナーズと呼ばれる設計事務所は個人事務所の規模を超え、世界有数の組織設計へと成長し、世界中で最先端の技術と技能を駆使し、さまざまなタイプのプロジェクトを定期的に手がけ続けており、現在ではアメリカでアップル本社ビルを建設中であり、また世界中のアップルショップの設計も手がけており、あの恐ろしく透明で薄く軽やかなショップはこのフォスターの長年の経験が後押しして実現しているものである。

そしてこの香港国際空港ターミナルビル。それに先立ってロンドンのスタンステッド空港ターミナルビルを手がけており、空港というテイポロジー、その機能的要求、そして航空交通が主流になる世界における空港という場所の意味の変換を理解して臨んだであろうこの香港の新しい顔となるターミナル。

背の高い円柱で支えられた軽やかなパネルが一定のリズムを刻みながら、上空からの暖かな太陽の日差しを室内に取り込んでおり、アーチ型立体トラスによる構造のある完成形を見せてくれる。

大量の人が出発と到着という二つの流れの方向性を持ちながら、24時間留まることなく、動き、休み、食事をしながら数時間過ごすことになるメトロポリス的な要素を持った都市としての空港を、非常にたくみにプランニングすることで、ストレスを感じることの少ない空港空間を作り出している。

そんなことを思いながら上を見上げながら、到着駅でも支払えるという非常に旅人に対して配慮の行き届いた空港に直結する高速鉄道にチケットを買うことなく乗り込み、数日間の滞在でどれだけこの街のリズムを感じ取れるか楽しみとする。