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2015年10月6日火曜日

那珂湊おさかな市場(なかみなと) ★★


「関東近郊で新鮮な生カキが食べられる港」と検索すると一番に出てくるのがこの那珂湊おさかな市場(なかみなと)。都内から二時間ほどで港に着き、漁港に併設された市場にて水揚げされたばかりの新鮮な魚介を楽しめるということで、生カキ好きの妻と一緒に、朝食を我慢してなんとか8時台に市場に到着。

恐らく少し前のシルバー・ウィークでは相当な賑わいだったのだろうが、平日ということもあり人の姿はまばら。おかげでゆっくりと市場を見て回ることができる。

大分産だという生カキは大体どこも「1つで400円。2つで600円」という相場の様子。海水の塩気に少しのポン酢を垂らしなんとも贅沢な味を楽しみ、塩辛やかに味噌、汐昆布など如何にもこれからの寒くなる時期に焼酎や日本酒に合いそうなおつまみとシラスなどのお土産をを買い込んで、次の目的地へと向かうことにする。









2015年2月18日水曜日

芹沢光治良記念館 菊竹清訓 1970 ★★★★


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所在地  静岡県沼津市我入道
設計   菊竹清訓
竣工   1970
機能   記念館
規模   地上2階
構造   RC造
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期待していた富士山周辺巡り。それが予想しなかった雪の為に突然のルート変更を強いられ、気分が落ちていたときに雲間から差し込む陽の光と覗く青空。そして訪れた心地よい神域空間。

それですっかり気分を良くして、できることなら後三つ回りきってしまおうと、予定していた沼津漁港近くでの食事を諦め、夕方の渋滞で込み合う道を脇道にそれて住宅街の中を通り抜けたどり着いたのがこの文学館。

漁港の街というイメージの強い沼津であるが、その中でも我入道(がにゅうどう)というかなり個性の強い海沿いの地域に立つこの文学館は、この地出身の明治の文学者である、芹沢光治良(せりざわこうじろう)の功績を記念して建てられ、彼の作品や生い立ちなどを紹介している。

もちろん作家が好きでこの建物を訪れたいと思った訳ではなく、その設計をしたのが大好きな菊竹清訓という建築家であるからという理由からであるが、こうして建築を見に来ることは必然に、その中身である作家を知ることにつながることでもある。こういう機会が無ければきっと一生この作家がいたことを知ることも無くすごしてしまうかもしれないが、こうして建物を通して知り、そこから興味を持ち一冊でも彼の小説を読んでみる。それが建築が繋いでくれた文化の縁でもあるのだろう。

そんなことを考えながら、徐々に西に沈んでいき、オレンジ色に輝きだす夕日の中、うっそうとした防風林を背にして建つ、なんとも不思議なプロポーションと様相を見せる建物にまずは驚くことになる。

明らかに普通の住宅でも、そして美術館でもないそのプロポーション。やたらと背が高く、まるで何かエネルギー関係の施設なのかと思わせるその概観。来る途中、渋滞にはまってしまい閉館時間に間にあわなそうだと電話をしたら「まだ待っていますから焦らずに来てくださいね」となんとも感じの良い受け答えをしてくださった係りの方が待ち受けてくれており、いろいろと建物について説明してくれる。

「この前もどこかの大学の建築の学生さんが来られて、いろいろと調べてらっしゃいましたよ」と、沼津市の木である松の葉をイメージした天井のパターンが完全な東西南北を指し示しているとか、トイレの男女を分ける壁の上に伸びている梁の特徴的なディテールなどについて教えてくださる。

こうした交流は本当に気持ちの良いもので、互いに良いと思うものを共有しているという文化的な安心感に包まれながら、「ぜひとも上の階も見ていってください」という言葉に甘えて「肥大化した4本のコア」というコンセプトの上下移動を担う一つのコア内部にある階段に向かうことにする。

このコア内に収められた螺旋階段。建築家の魂のこもったディテールの宝庫を言っていい至極の空間となっており、一人階段を上り下りしながら「ほぉぅ」と感嘆の言葉をこぼしてしまう。中央吹き抜け部に上部からつられた照明器具はガラス玉の漁具をモチーフとしているらしく、そこから放たれる暖かい光が階段の手すりの壁を周囲の壁に投げかける何とも幻想的な雰囲気を作り出す。

階段は一段一段浮いているように仕上げられているのはもちろんのこと、コアという垂直性を強調するために踊り場のみが壁と接地して、階段部分は壁から離されているために、下から見ると壁沿いに上からの光がうっすらと落ちているのが見て取れる。

「うーん」と一人唸りながら、今度は中間の踊り場にはめ込まれたガラスのフィックス窓が明らかにおかしな形状をしているなと思って写真に収めておくと、後ほど下におりて先ほどの係りの方に聞くと、それが「光の十字架」を作り出しているのだと教えてもらい、さらに唸り声を上げることになる。

階段をあがり、二階の展示室から外の駿河湾に沈んでいく太陽の光がいっぱいに室内に入り込んでくるのを感じ、さらに階段を上に上っていく。屋上階レベルには中央部の吹き抜けに浮いている照明器具を吊るす為に中央から伸ばされたコンクリートの梁が象徴的に空間に漂っており、ここもまた「建築的」に空間をつくろうとした建築家の執念を感じて唸ることになる。

氏の作品の年表を見てみると

1958年 スカイハウス(30歳時)
1970年 芹沢光治良記念館(42歳時)
1975年 パサディナハイツ(47歳時)

30代後半のもっとも充実した設計時期の後期に属する作品だと見て取れる。

下の階で展示を見ていた妻に、如何に階段がすばらしいかをざっと説明し、再度階段を上り下りし、せっかくだからと建物の後ろに広がる海岸線まで足を伸ばし、水平線を描く駿河湾とそこに沈みゆく太陽の姿を眺めあと少しで一日の終わりが訪れるのだと感じながら次の目的地へと向かうことにする。
























2013年7月20日土曜日

南紀勝浦温泉(なんきかつうらおんせん) ★★


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日本百名湯
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飛瀧神社の参拝を終えたのが17時過ぎ。

普通なら日の入りまでの2時間近くを有効利用するために、この近くで手ごろな聖域はないかとマップを探るところだが、和歌山縦断の山道運転が身体にきたのに加え、明日は最大の山場である和歌山から三重縦断という最長距離の行程への恐れも手伝い、今日くらいは早めに宿に入って温泉につかり疲れを癒し、温泉街の夜の街へと繰り出そうと勝浦温泉へと車を向かわせる。

和歌山県にある日本百名湯は南紀白浜温泉、南紀勝浦温泉、湯の峰温泉、龍神温泉の4つ。

日本百名湯

既に昼に龍神温泉に立ち寄っているので、この南紀勝浦温泉で一日に二つ目の百名湯となる。18時前にホテルに到着し、本日の走行距離を調べると朝の8265キロから始まって現在8497キロ。つまり230キロ以上の山道を走ったことになる。

「今日は疲れたな・・・」と感じながら、とりあえず一度大浴場で汗を流すことにする。外に広がる海を眺めながら暫くぼーっとしてお湯に身体を浸す。汗と一緒に少しだけ疲れも流れた気になって着替えを済ませレセプションで美味しい魚介を食べれるところを教えてもらう。

今日くらいは外でお酒が飲めるだろうということで、歩いて駅前の繁華街まで歩くこと15分。なんだか随分寂れてしまった雰囲気を醸し出す駅前繁華街が見えてくる。「大丈夫かな・・・」と思いながら、なかなか開いている店が無いのに心配になりながら、折角だからと漁港まで足を伸ばす。

現在進行形の生きた漁港らしく、小さな漁船がいくつもつけられている漁港の前には、公共の足湯が出来るスペースがつくられており、地元の小学生が足湯をしながら、ニンテンドーDSをやっていたりとなんだか良い風景をつくっている。

港町の雰囲気もつかめ、日も徐々に落ち始めてきたので、いい加減にお店を決めようと商店街の横道に。「良さげなお店が無いものか?」と探すと居酒屋らしきお店が向かい合っているので、外にでているメニューを眺め品定め。

迷っていると、外に電話に出てきていた女性のお客さんが「美味しいですよここ」と薦めてくれる。「それならば」ということで中に入るが既に席は一杯。厳しいかなと眺めていると、カウンターで一席だけスペースが空いており、たまたまその横は先ほどの女性客。

薦めてくれたお礼を言って、料理とお酒のお勧めを教えてもらいながら話しをしてみると、隣で既に顔を赤らめている旦那さんと一緒に高野山の麓の九度山から来ていると言う。今日は横の太地町でイルカと泳いできた帰りなんだという。

「イルカと泳げる?」と聞くと、なんでもその太地町は捕鯨の街ということもあり、入江のなかの生簀にイルカを放して子供達がイルカに触れ合えるという企画をやっているとのこと。

ドルフィン・べェイス

確か昔、知り合いに南房総で鯨の解体を見学できるところがあるから一緒に行かないかと誘われていたのを思い出す。後に調べると現在日本では、捕獲された鯨の鯨体処理場が許可されているのは以下の5箇所だけという。

網走市(北海道)
函館市(北海道)
石巻市鮎川浜(宮城県)
南房総市和田町(千葉県)
太地町(和歌山県)

「でもなんで、鯨の街にイルカ?」

と思わなくも無いが、気さくに地元情報を教えてくれ、何処に泊まっているかなんて話で盛り上がる。逆の席には同年代と思われる男性一人客。美味しそうな日本酒を飲んでいるので、「地元のお酒か?」と会話をしてみると、なんでも名古屋在住で休みを利用してきていると言う。どのお酒が美味しいかいろいろ教えてくれるので、それを頼んで会話を続ける。

今日訪れた寺社の話をすると、「あー、あそこの参道はいいですよね」なんてかなり詳しい。聞くと、休みを使っては電車でいろんなところに足を伸ばして寺社などを見ているという。「これは何かの引き寄せだな」と思いながら、先日の日枝神社での神木の話をすると、昨日の宿の主人同様「玉置神社の神木は凄い」と言う。

「いつか行かないと・・・」と思いながら、熊野本宮が想像していたよりも観光色が強くて驚いたというと、「熊野はねぇ、やっぱり王子とか古道を歩いて行かないと本当の意味は分からないですよね」と。流石。

他のお勧めを聞いてみると、「そういう場所が好きならば、瀧原宮は凄いですよ。伊勢神宮の五十鈴川と同じで、手水が川に下りていくスタイルなんですよ。いい参道ですよ。」と言うので、「既に明日の行程に入ってますよ」といい感じにお酒がすすむ。

そんなこんなしていると、隣のご夫婦が土曜の丑も近いことから鰻のひつまぶしを注文し、なんともいえない匂いが漂ってくる。「季節ですね」なんて言っていると、「少しどうですか?」と我々二人にお椀に取り分けてくれる。

「すいません」なんて言いながら、「こうしてふらっと地元の美味しい店に入って、地元の人にいろいろ教えてもらう。これこそが日本の旅行の醍醐味だな」なんてしみじみしながら更にお酒を注文する勝浦の夜。