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2013年4月15日月曜日

質問事項

普段は大体パートナーのマ・ヤンソンが、オフィスを代表して依頼されるレクチャーやイベントの出席するのだが、前持って予定していた参加イベントとのスケジュール調整がどうしてもうまくいかないというので、5月末に開催されるオーストラリア建築協会主催のシンポジウムにオフィスを代表してレクチャーに行く予定になっている。

レクチャー内容もシンポジウムの内容に沿って考え始めないとと思っていると、イベントのスポンサーでもあるオーストラリアの建築雑誌よりシンポジウムに合わせた号で掲載する様に簡単な質問に答えて欲しいと20の質問が送られてくる。

お国柄かと思えるくらい、「カジュアルに楽しんで答えて頂戴!」という言葉と共に送られてきた内容はなかなかウィットの効いた内容で、簡単に終えられると思っていたが、結局一日頭を悩ませて書き上げる事になった。

「なぜ建築家になったのか?」

というような質問から

「自分にとって一番大切な所有物は?」
「高校時代の一番好きな科目は?」
「ベッドサイドにおいてある本は?」
「一番の景色は?」
「一番の建築ホリデーの行き先は?」
「建築家になってなかったら何になっていた?」

などとなかなか抉られており、普段の生活をしているとなかなか思いを巡らせる事ができないような、しっかりと立ち止まって、時間を流れに任せず、落ち着いて自分自身の本質に向き合わないといけない様な内容。

自分の今、立っている場所、見ている風景を改めて実感するよいきっかけになったが、仕事が人生の一部であり、毎日過ごす時間というのはその人が選択し、何に興味を持って、どんな風景を日常の中で見ているのか?そんなことを喉元に突きつけられているような気がする。

「仕事が忙しくて・・・」

なんて言っていて時間を垂れ流すような時間の使い方をしていては、とてもじゃないが興味深い様な生き様は期待できないということだろうか。しっかりと自覚を持って時間を過ごしていかないと、流されるままに人生は終わっていくのだろうと改めて感じることになる質問事項。

2013年2月4日月曜日

MAD Annual Dinner


中華新年を間近に控えた年内最終週。スタッフが故郷へと帰っていく前に、すべてのスタッフで一年を労うためにとオフィスでのディナーを催す。

マネージャーと数人のスタッフが中心となって準備を進め、今年は現場が始まるパリで進めているマンションのプロジェクトのためという訳ではないが、北京で有名なフレンチ・レストランで、少し優雅な雰囲気の一夜を過ごすことにする。

Maison Boulud

天安門広場の脇に位置するこのレストランは、かつてアメリカ大使館だったということもあり、建物に風格もあり、年度末のオフィス・ディナーを過ごすのにはもってこいの雰囲気。せっかくということで、妻も誘い出し、一年の終わりを共に過ごすことにする。

スタッフや、アドミニ系の所員、そしてインターンなどを含めて総勢60人近い盛大なディナーに先立って、パートナーであるダン・チュンからスタッフに挨拶。一年のハードワークを労い、この一年がオフィスにとってどのような意義を持ったかを説明し、その後とても重要なアナウンスメントを行う。

まずは、この一年、オフィスにとってとても意義のあるパフォーマンスを発揮してくれた3名のスタッフの表彰。それぞれがどのような仕事でどのような意義を見出したか。上司のやるべき唯一の仕事は部下を公正に評価することだとかつて読んだことがあるが、このような発表は、きっと3名だけでなく、すべてのスタッフのモチベーションに良い影響を与えることだろうと想像する。

続いてはこの4月にMADとしても8年目を向かえ、次なるステップに向けて様々な形での構造改革を行ってきたが、その中でも極めて重要な意味を持つオフィスのストラクチャーの改革。

建築事務所として、建築家としてのスタッフが人生を過ごしていく上で、またキャリアを積み重ねていく上で、オフィスがどのように各スタッフの将来設計に関わることができるか?極めて個人事業主的な形態が主な設計事務所から、スタッフの数が増えて、徐々に組織内のシステムを整理し、会社へと変革していきながら、それでもデザインという個人に依るところの多い特殊性を許容しながら、より安定的、より効率的な姿へと変わっていく。

「シニア・アーキテクト」や「プロジェクト・アーキテクト」とういプロジェクトごとに変わるポジションから一歩進み、マ・ヤンソン、ダン・チュンと自分の3人のパートナーの下に位置し、パートナーと密に連携をとりながら、いくつかのプロジェクトを同時に「見る」ことをお願いする「アソシエイト」というポジションの導入。

オフィスのすべてのメンバーの特性を見極め、「デザインを生み出す」、「デザインを実現させる」、「チームを率いる」という極めて難しい業務の中で、それぞれの性格を活かしながら、今後のオフィスの発展に大きな意味をもつだろうと思われる「アソシエイト」となる3名のスタッフの発表。

やや恥ずかしげな表情をしながらも、それぞれが誇らしげにその発表を聞いている姿を見て、これからの自分のやるべきことに想いを馳せる。

堅い話を終えると、世界中から集まっているスタッフが準備した趣向を凝らしたゲームなどを楽しみながら、なかなか美味な食事に舌鼓を打ちながら時間を楽しむ。

東京にいる時には、行きたい場所は分かっているのだが、「今日を生きる」ことに時間とエネルギーを吸い取られ、グルグルグルグルと同じところを遠心状に巡っている気持ちで一杯だった気がする。しかしこの場所では力強いパートナーと一緒に確実に前に進んでいることを実感する。決して大きくなる必要はないが、確実に成長しているという実感。そしてその毎日を共に過ごすスタッフの存在に改めて想いを馳せることになる。

スタッフが準備してくれた過去、現在そしてこれからのMADのビデオ。その中で写された何年も前のオフィスでのパーティーの一枚。3人のパートナーが未来を疑うことが無いかのように笑顔で、皆若く痩せて写っている。あの時間が今に繋がっていて、より多くのメンバーと一緒にこの瞬間を迎えていることに、正直に感慨深くなる。

そんな気分にほだされて、余興の合間に、「では」と自分も一言皆に伝えることにする。

中国語で訳すとまどろっこしくなるので英語だけにとどめたが、どれだけ我々三人がスタッフ一人ひとりの頑張り、犠牲、苦しみ、ストレス、に感謝しているか。今日は一年の中でほんの数日だけ自分達がその感謝を堂々と表現できる一日であるということ。

恐らく10年後、誰もが毎日何に苦しんだかは覚えておらず、それよりもこういう記憶に残る一日に誰と過ごしていたか、そして自分達が魂をこめて設計をした建物で、オペラを観劇し、ふと横を見ると見ず知らずの観客が目を輝かせながら劇に没頭している姿を見て、それがその人にとって建築が記憶の中の空間へと昇華していく瞬間なのだと理解するだろうということ。

その瞬間が今、そこまでの多くの苦しみや辛さをペイオフしてくれること。
その瞬間をできるだけ多くの皆と一緒に共有したい。

そんなことを伝える。

デザートまでたっぷりと楽しみ、最後にマも挨拶をし、「良い正月を」ということで夕食が終わり、その流れで隣に先月にオープンしたというジョニー・ウォーカー・ハウス(Johnnie Walker House)へと店を移動する。渋いウィスキーを飲みながら、マーとチュンと数人のスタッフだけで建物を案内してもらう。一緒についてきている妻も、とても興味深そうに説明をしてくれているスタッフの方の話に聞き入っている。

明日からの上海へのプレゼンの為に、足早に帰っている二人のパートナーを見送り、残っている残りの仕事量を想いながらグラスを傾け、来るべき新年に想いを馳せる。












2013年1月30日水曜日

「Absolute Towers」竣工のお報せ

弊社MADの設計したカナダ・トロントに建つアブソリュート・タワー(Absolute Towers)が昨年竣工したのに伴い、プロジェクトの概要などがまとまってネットに紹介された。

Absolute Towers

そのほとんどが既に事務所を離れているチームの名前と共に、Director in Chargeとして自分の名前も載っている。


「今までの常識に囚われることなく、新しい時代に相応しい建築の姿を追い求める。」

そのプロセスで幾度と無くぶち当たる様々な困難。経済性や機能性など、決して後ろにおいてくることができない与件を、厳しい条件の中、捻り出すアイデアによってクリアすること。建築の世界に身をおいている人間なら、誰でも身に染み、理解している産みの苦しみ。

「美しい」だけでは建築は成立せず、その後ろ側、一枚の竣工写真の裏側に隠れた様々な過程と乗り越えてきた困難。外からは決して目にすることの無い、身を切る思いとともに時間を過ごし、容赦のないやりあいを経て設計を前に進めていく。

その過程で学んだのは、いくら経験が足りなくとも、想いによっていくらでもそれを補えること。

三人のパートナーである、マとチュンと一緒に、必死に考え、自分達の信じるものを実現するために、何ができるか、何をしないといけないか、その為に闘い、葛藤し、言い合い、苦しみ、すべてを投げ打ってでしか、成しえないこと。

安易な妥協では誰にも感動を与えられないことは誰もが分かっていながら、問題を解くためには既存の方法が一番容易だという甘い蜜に吸い寄せられる気持ちに胸をギュウギュウ締付けながら、それでもオリジナルであろうと前を向くこと。

それほど、常識の範囲から飛び出るということがどれだけ難しいかということを身をもって実感したプロジェクトであり、我々MADに多くのことを教えてくれた時間となった。

建築というのは、設計図として未来を思い描いた時から時間が進みだし、様々な思い、様々な経験を通してプロジェクトを体験し、それが完成し、世の中に見ていただける時にはすでに建築家は次のステージでより新しいことを考えているという建築というモノの集合体がもたらす時間のスパンという宿命を背負っている。

現在も、同じように別のプロジェクトに毎日、毎時間、苦しみながら、何でこんなことをしているのだろうと思いながらも、それでも投げ出すことができない想いをもって建築に向かっていく。

いつの日か、そんな想いを持って産み出した建築が少しでも多くの人の目にとまるように。それが少しでも多くの人の素晴らしき記憶の中の空間としていつまでも残っていくように。

建築家の毎日が、この竣工写真のような晴れがましい時間ではなく、その後ろに隠れた、そして決して外部に知られることも無く、またその必要もない苦しみの時間をただ粛々と消化していくことの積み重ねであるということ。それを改めて考えるひと時となった。

2011年11月3日木曜日

CREATIVE TOKYO フォーラム

文化の日。かつて日本国憲法が公布された日。

毎年、この文化の日前後に合わせて開催される東京デザイナーズウィーク。そのイベントの一環として「CREATIVE TOKYO フォーラム」が明日の11月4日に催されます。

そのイベントに、一緒にMADを行っている中国人のマ・ヤンソン(Ma Yansong)がゲストとして招待され出席します。


キーワードは「クリエイティビティが未来をつくる」ということで、様々なジャンルから国内外様々なゲストを交えてのセッションということで、ぜひ興味のある方は会場まで足を運んでもらえればと思います。