2014年1月14日火曜日

「言の葉の庭」新海誠 2013 ★★

未来や創造上の世界を描くものばかりと思っていたが、今回は現代。しかもど真ん中の東京。「現代で勝負するなら、それこそ直球で勝負してやろう」という想いが伝わるようなセッティング。

その中で「新宿御苑」を舞台とすることで、喧騒の街の中へ静けさを挿入する。
そして使われるのが「雨」と「和歌」。

雨の日だけ午前の授業をサボる高校生が足を向けるのは「新宿御苑」の中の東屋。そこで靴作りの為のスケッチに没頭する。その東屋である日、スーツに身を包み、仕事をサボっている年上の女性がチョコレートをつまみにビールを飲んでいるのに出くわし、その後徐々に二人の距離が狭まっていくというストーリー。

木々の葉っぱに滴となって溜まる雨。
庭先に置いておいたバケツがいつの間にか一杯になっていた「雨」。

そんな小さな頃から無意識のうちに、「雨」の時間をある風景によって認識していたんだと改めて理解させてくれるような様々な「雨」の描写が繰り返される。

日常に生きていると、傘を持って出て行ったり、服が濡れてしまったりと、ただただ「うっとうしく」思ってしまう「雨」の時間。それでもやはり日本の風景の一部であり、「雨」のお陰で楽しくなったり、美しく見えたりする時間や風景があるのもまた日本。

前作までのような突拍子もない設定が無いだけに、「一体どんな謎解きがあるのだろう?」と最後まで引っ張る要素も無いので中だるみするのは止むを得ないが、それでも現代の中で日本の美しさがしっかりと描かれているのではないだろうか。
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スタッフ
監督 新海誠
原作 新海誠
脚本 新海誠
キャラクターデザイン 土屋堅一
作画監督 土屋堅一

キャスト
入野自由 秋月孝雄(タカオ)
花澤香菜 雪野百香里(ユキノ)
平野文 タカオの母
前田剛 タカオの兄
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作品データ
製作年 2013年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 46分
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