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2026年8月7日金曜日

立秋 (二十四節気の13番目、 四立 )

里山の奥に建つ、麻をたっぷりと使った友人の家を出ると、
目の前を鬼蜻蜓がすっと横切っていく。
その姿を目で追っていると、
森の奥から「ケケケケケケケ」とヒグラシの鳴き声が聞こえてきた。

暦の上では今日から秋が始まると言われても、この暑さでは信じられない――
そんなやり取りを毎年のように交わす時期だ。
それでも、鬼蜻蜓やヒグラシに出会うと、季節は確かに巡っているのだと気づかされる。

「誰でも人生の中で、ふと立ち止まり、自分の歩いてきた道と、
これから進むべき方向を見つめ直す時がある。」
             ── 星野道夫

人生にとって本当に大切な時間を意識して過ごせる秋となるように。
そのための準備を、一歩ずつ進めていく立秋の季節にしたい。  


 

2026年7月23日木曜日

大暑 ( たいしょ 二十四節気の12番目)

 


暑気至りつまりたる時節なればなり /『暦便覧』

ワールドカップの熱狂が冷めやらぬ中、梅雨も明け、
強烈な日差しが照りつける季節が始まった。

 全国では、甲子園への切符を懸けた熱い戦いが各地で繰り広げられ、
いよいよクライマックスを迎えている。
昨年の王者・沖縄尚学も苦しみながら勝利をつかみ、
三年生となった左右の二枚看板を中心に、夏の連覇へ挑む姿を見せてくれている。

思い返せば、昨夏の甲子園では二年生エースたちの活躍がひときわ印象的だった。
その彼らが三年生となり、再びあのマウンドに立つ姿を見られるのも、
この夏の大きな楽しみの一つだろう。

 大暑の木彫りは、夜空いっぱいに咲き誇る花火をイメージした。

 儚くも美しい一瞬を、一つでも多く心に焼き付けられる、
そんな季節になることを願っている。 


 


2026年7月7日火曜日

七夕

 

奇数の重なりも、すでに4つ目。 
「七夕」を迎えた今日、ふとそんなことを思いながら夜空を意識する。


暑さも徐々に厳しさを増し、そろそろ蝉の声も聞こえてきそうな季節。
浴衣に身を包んだ人々で街中がどこかふわふわと浮き立つような、夏祭りの夜が恋しくなる頃。


今年の夏も、様々な場所で彦星と織姫のような美しい再会を果たす人々がいることを、
夜空を見上げながら願わずにはいられない。
 
そんな温かな風景に思いを馳せつつ、
心待ちにしていた村上春樹の新刊を静かにめくる七夕の夜。 

2026年6月21日日曜日

夏至 (二十四節気の10番目)

 

どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終りには一杯の黒麦酒
鍬を立てかけ 籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける
 
どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮は
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる
 
どこかに美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる

——茨木のりこ「六月」(『見えない配達夫』所収)

地球の地軸が23.4度傾いているおかげで生み出される、豊かな季節の変化。
その変化のピークを示す二至の一つである夏至の日には、
日常では流れていってしまうような長いスパンの時間に想いを馳せたい。
そんな時に思い出されるのが、 今年、 生誕100年を迎える茨木のりこの詩。
人間らしく美しい街並みや人と人との温かい結びつきを、
仲間たちと共に力を合わせて形にしていきたいと、願う夏至の一日。






2026年6月6日土曜日

芒種 (二十四節気の9番目)

 

建築というのは、設計から竣工まで本当に長い年月がかかるものである。
我々が手掛けるプロジェクトは規模の大きなものが多く、
一つの建築が完成を迎えるまでに5年以上の歳月を要することは日常茶飯事でもある。
そんな中、今年の前半はいくつものプロジェクトが立て続けに竣工を迎えた。
長い時間をかけ、数え切れないほど多くの人が関わり、ついに社会へと手渡される。
そして人々に使われることで、ようやく建築に命が吹き込まれていく 。
穀物の種を蒔く時期を意味する「芒種」の季節。
何年も先に芽を出すであろう様々なプロジェクトの種に、
大きく健やかに育つようにと、改めて願いを込める 






2026年5月21日木曜日

小満 (二十四節気の8番目)

 

念願のオスロ・オペラハウスでは素晴らしいBOHの在り方に触れ、ドブロブニクではクロアチアワインの奥深さを知り、ロンドンでは建築の世界の幅広さを改めて実感する。そんな濃密な立夏の季節を経て、いよいよ緑が眩しく輝く小満の季節へと移っていく。

行く先々で出会う人々は、誰もが自分の仕事に誇りを持ち、それを心から楽しんでいるのが伝わってくる素晴らしい方ばかり。

そんな出会いから受け取った大きなエネルギーを大切に。目の前のプロジェクトと、その奥に広がる大きな社会をしっかりと意識しながら、一つ一つの仕事に誠実に向き合う二週間にしていきたいと思う。 



2026年5月5日火曜日

立夏 (二十四節気の7番目)

 

四立の一つ、夏の始まりを告げる「立夏」。
馴染みの蕎麦屋で始まる夏季限定の「バジル蕎麦」が、
この季節を彩る恒例の楽しみになったことに喜びを感じ る。

桜色に染まるオスロの夕焼けに包まれ、人々で賑わうオペラハウスを体感し、
都市の風景として鮮やかに溶け込む建築の在り方に思いを馳せながら、
今はハンプシャーの雄大な自然の中でこの立夏を迎えている。

かつて青春を過ごしたロンドンの街角には、
当時の青い感情が今も染みついているようで。
25年前の自分から改めてエネルギーをもらったような不思議な感覚に包まれる。

この夏は、さらにその先へと視線を投げかけて過ごす、
そんな季節にしたいと願う。




2026年4月20日月曜日

穀雨 (こくう 二十四節気の6番目)

 

春の最後を飾る「穀雨」の季節。
友人からのメールには、「これほどに振って音なし春の雨」という句が添えられていた。
優しい雨の静けさに春の終わりを感じるとともに、
意識はすぐそこまで来ている夏へと向かう。
この週末は衣替えを敢行し、初夏のヨーロッパを巡る旅の準備をする。
懐かしい街での旧友との再会、そして初めて訪れる国での新しい体験。
それらを楽しみに、この穀雨の季節をじっくりと慈しみながら過ごしていこう。



2026年4月5日日曜日

清明 (せいめい 二十四節気の5番目)


春もたけなわ、晩春の候。
咲き誇っていた桜が散り、新生活の華やぎが少しずつ落ち着きを見せるころ。
 
うららかな陽光が差し込み、すべての命が生き生きと輝き出す。
冬に溜め込んだエネルギーが、外に向かって一気に解き放たれる季節。 

季節の変わり目に揺らいでいた体調も、ようやく上向いてくる時期。
新しい出会いを心から楽しめる、そんな瑞々しい二週間になりますように。





2026年2月4日水曜日

立春(りっしゅん, 二十四節気の1番目)

 

昨年の立春は例年より一日早く、2月3日だったことを思い出す。 やはり3日の節分を経て、4日に立春を迎えるほうが、暦の流れがしっくりと体になじむ気がする。

節分の前夜には、澄んだ空に満月を見上げることができた。 あの月が少しずつ欠け、次に新月を迎える頃には春節がやってくる。 そう思うと、この15日間は一年の中でもどこか特別な時間に感じられる。

「今年の寒さは厳しい」と身を縮めて過ごしてきたけれど、 ふと届く日差しの中に、そこはかとない春の温かみを感じるようになってきた。

地面から顔を出す新芽のように。 これからは少しずつ、上を向いて過ごす季節にしていきたい。

 



2026年1月20日火曜日

大寒(だいかん, 二十四節気の24番目)

 

24節気の最後を担う大寒は、一年で最も冷え込みの厳しい季節でもある。

それに違わず、北京ではこの二日ほど雪がちらつき、気温はマイナス12度を記録した。
 全館暖房が基本の室内ではあまり違いを感じないが、
 一歩外に出ると、外気に触れる皮膚が痛みを覚えるほどである。

高校生にとって青春をかけたさまざまな戦いがクライマックスを迎えると同時に、
 大学進学に向けた大学入学共通テストも先週末に実施され、
 いよいよ次の春に向けて季節が動き出す時期でもある。

春の始まりとともに、新しい一年の巡りのスタートを告げる立春までの二週間。
 冬に溜め込んだエネルギーを、少しずつ外へ向けることを意識しながら過ごしていきたい。

2025年12月7日日曜日

大雪(たいせつ 二十四節気の21番目)

 

師走に入り、大雪を迎えると、
一年もいよいよ残りわずかだと実感が湧いてくる。

今年起きたさまざまな事件や出来事を思い返しつつ、
来年に向けての準備を始める頃合いでもある。

年初めに願ったことがどれほど実現できただろうかと振り返りながら、
せめて身の回りだけでも整えて年を越したいと願う。

机まわりをきれいにすると、次は本棚が気になりだす。
心と環境を整えながら、今年最後の24節気である冬至を迎えよう。







2025年11月7日金曜日

立冬 (りっとう 二十四節気の19番目)

 



MLBのワールドシリーズがあまりに盛り上がり、
野球とはこれほど面白いものかと改めて教えてもらえた7試合だった。
各年代にはそれぞれのスターが生まれるものだが、
大谷に山本と二人のGOATの共演を見られる幸せを噛みしめる数日間であった。
その熱が身体から抜けない気がするが、
気が付けば周りはすでに秋も終盤。
今年こそ目が現れるような真っ赤な紅葉に囲まれて、
この先の冬への準備に心を向けていければよいと願う。 







2025年10月23日木曜日

霜降 (そうこう 二十四節気の18番目)

 

暑い夏が遠い昔の様に朝晩の冷え込みが激しくなってきた霜降の季節。
遅れに遅れていた衣替えをどうにか週末に行わないとと思いながら、
日に日に冷たくなる風に耐える日々が続く。
昨年同様、アメリカではポストシーズンでの大谷率いるドジャースの活躍から目が離せず、
日本では両リーグのチャンピオンが順当に日本シリーズへとコマを進めた。
共に週末から始まる最終決戦を追い続けることになるこの霜降の二週間。
熱い闘いが終わった先には長く冷たい冬が来ていることを頭に置きつつ、
しっかりと冬ごもりの準備進めていこうと心に誓う。

2025年9月23日火曜日

秋分 (しゅうぶん 二十四節気の16番目)

 

気が付くと日差しの強さも幾分和らぎ、
空気の中に確かな秋の気配を感じるようになってきた秋分の日。

暦の上で秋の真ん中を示す節気に促され、
秋の味覚を楽しもうと炊き込みご飯でも作ってみようかと思い立つ。

木々の葉の彩りが移ろう速さのように、
秋分を過ぎればあっという間に年末へと突入していく。

そろそろ意識も来年へと向かい始め、
カレンダーを準備しながら過ごすことにする。

2025年8月23日土曜日

処暑 (しょしょ 二十四節気の14番目)

 

今年の甲子園で見せた県立岐阜商業の清々しい活躍は、
昨年夏の大社旋風や2018年の金足旋風を思い起こさせた。

野球が好きで、個性豊かなメンバーたちがそれぞれの持ち味を発揮し、
これまでの練習を信じて、バットを短く持ちながらもプロ注目の強豪校投手の球を打ち返す。

地元出身者が中心となる公立校の快進撃は、
甲子園がなぜこれほど多くの人の心をつかむのかを物語っているようだ。

今年の大会では、多くの素晴らしい二年生が活躍した。
来年の夏への期待を膨らませつつ、沖縄尚学と日大三高による決勝を楽しむことにしたい。 


 




2025年8月7日木曜日

立秋 (りっしゅう 二十四節気の13番目)

 

二十四節気を追っていると、昨年のこの時期や、
ひとつ前の節気からの2週間を自然と振り返ることになる。
昨年の今ごろ、私はどこにいて、何を考えていたのか。
そして、この2週間でどんな出来事を経験したのか。

東北の夏を彩る竿燈まつりやねぷた祭りを体験することができた今年の夏も、
立秋を迎え、暦の上では秋へと移ろっていく。
これからの2週間は、甲子園の熱戦が心を震わせてくれる時間になるのだろう。
新たな勝者が決まるころには、すでに秋の気配が漂いはじめているに違いない。 


やがて訪れる「収穫の秋」へとつながるような時間となることを願いながら、
この季節を丁寧に過ごしていきたい。