ラベル 光文社新書 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 光文社新書 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016年1月9日土曜日

「35歳のチェックリスト」 齋藤孝 2014 ★★


この本の存在を知ったときにはすでに35歳を過ぎてしまっていたが、「念のために・・・」と自らの今までの人生の過ごし方とこれからの時間のために「人生の棚卸し」をどうするかの参考書として読んでみる。

好きな友達と遊んで、興味のある異性とデートを重ね、自分の時間とお金を自分の好きなように使える時期から、結婚をし家族ができて自分のためだけではなく、誰かのために、誰かを守るために人生を生きるようになってくる35歳。そんな時間の過ごし方の変化は、そのまま今までの人生の過ごし方を何かしら違いを求めることになる。

「誰と過ごしているのが一番楽しい時間ですか?」と問うのは、今までどおり愚痴を言い合いストレスの発散目的だけの楽しい時間を過ごす生ぬるい友人との時間ではなく、「5年後の自分にわくわくした喜びを与えてくれる」を基準にして、自らの周りで誰がその刺激を与えてくれるのか、その人と時間を過ごすことがどう自分の明日に活力を与えてくれるのかを基準とすることとする。

これは分かっているけどとても難しい。誰もが働き盛りとなる40代に向けて、昨日よりも今日、今日よりも明日の自分が職業人としてどう向上するか考えて日々過ごすのであるが、それと同時に毎日やるべきことはたくさんあり、終われるようにして目の前の業務をこなし、それに付随するさまざまな人間関係、ストレスに追い詰められ、そんな中でどうにか息抜きと気の置けない友人とあーだこーだといいたくなるのもまたこの年代の求めるところ。

「自分の出身大学を話題にすることはありますか?」では、社会にでてすでに15年近く経った今、それでも出身大学の話で自らのプライドを保とうとするのはすでに賞味期限が切れており、それよりも社会に出てから今まで自らの実績は何かをもとに人間関係を構築すべきだと釘を刺す。フロイトを引用し「人間は生まれつき、快を求め、不快を避けようとする快楽原則を本能的欲求として持っています」という高きから低きに流れやすい人の惰性に苦言をさす。

「ツイッターやフェイスブックを頻繁にチェックしていますか?」では、誰でも日常的に友人や人生で一瞬すれ違ったような人の日常を否が応でも見せ付けられるような現代のSNS漬けの社会。その中で、自らのアイデンティティを誰かとの比較、相対的に位置づけるような過ごし方をしていれば、いつまでたっても「つながっていないと不安だ」「自分の存在感を示すために発信せずにはいられない」ということに陥りやすくなると。

「知的好奇心にブレーキをかけない」では、「何かに対して興味、好奇心が持てないと、人は閉じていきます」と著者らしい言葉で読者を煽り「知的好奇心を失った時点から、老け込んでいく。年寄りくさくなります」とばっさりと切って捨てる。「本を買うことに我慢しない」では、「知的好奇心とは、何かを吸収したいと言う意欲を持てているかどうか。知的体力は、若いころの差よりも、むしろ35歳以降をどうすごしていくかでどんどん差が開いていく部分。読書量。それから何かを習う。学ぶこと、自分へ投資し続けることをやめてしまうと、人間、頭打ちになってしまいます」とたたみかける。誰もが分かっていながらも、疲れていたり、子供の相手で忙しかったり、ネットの動画をついつい見てしまったりと、読書というある種の時間と集中力と身体の拘束を必要とする作業よりも、現代社会で他に幾らでも無料で得られる受動的で享楽的な時間の過ごし方についつい流れてしまうことを反省する。

「目から鱗」のことは決して多くはないが、35歳と自分の将来を心配して本気で自分の毎日の過ごし方に対して苦言を呈し、怒ってくれる人がいなくなる年頃にとって、こうして耳が痛いと思う言葉を胸に刻んで先の人生に向けて、今までの、そして現在の自分の日常の過ごし方を振り返る良いきっかけとなる一冊であろう。

----------------------------------------------------------
■目次
はじめに

【第1章】人は35歳で大人になる
1)35歳で何が変わるのか?
2)35歳は「大人」になる最後のチャンス
3)「35歳から」をデザインしよう
コラム あの人の35歳をチェックする 池井戸潤/堀江貴文/タモリ

【第2章】不安を自信に変える作法
1)人生の収穫期への準備をしよう
2)今の会社で「攻め」の姿勢を貫こう
3)30代の仕事力チェック
4)35歳、「できる人」と言われるには
5)できる人ほどポリバレント
コラム あの人の35歳をチェックする ビートたけし/安藤忠雄/奥山清行

【第3章】人生の迷いを吹っ切る技術
1)20代と30代で「幸せ」は激変する!
2)あなたが本当に「急ぐべき」リアルな理由
3)幸せを更新しよう
コラム あの人の35歳をチェックする ヤマザキマリ/菊間千乃

【第4章】35歳からの心技体の整え方
1)ビジネスマンにとって体力とは何か?
2)「疲れさせない」技術
3)ビジネスは「対人体力」で決まる
4)知的好奇心にブレーキをかけない
5)35歳で「真の花」を咲かせよう

おわりに――なぜ35歳なのか。
あとがき
----------------------------------------------------------

2014年6月26日木曜日

「商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道」 新雅史 2012 ★★★

1973年生まれというから、まだ40歳前後の社会学者ということになる作者。社会の構造的に利権が隠れているところで、なかなか皆思っていても気を遣っていえないところにバッサリ切り込んでいく感じはなかなか好感を持てる。

街を歩いているとこんな閑散とした商店街でも、なんだか普通に店を営業しているお店を良く見かける。とてもグローバル化した現在の競争と更新の激しい経済活動で勝ち残っていくような営業努力をしているとも、またそれができるともとてもじゃないが思えないような店構え。

車を走らせれば、電車で二駅行けば、すぐにたどり着ける郊外型の大型ショッピングモール。デフレスパライラルに嵌まり込んでいるうちに、低価格競争はそれを支える非正規労働者の待遇を犠牲にしても、他店よりも少しでもコストカットでプライスダウンというスローガンの下に、かつて無いほどの低価格競争で競合相手を振り落としていった。

世界の地図を見ながら、どこで原料を仕入れ、どこで生産し、どこで加工し、どうすれば輸送コストを削れて消費者に届けられるか。そんなミリ単位の競争を勝ち残っていけるだけの体力を身につけた超巨大企業体が市場を独占していくことがすぐ視界の脇で行われいるにも関わらず、そこだけ昭和の時間が流れているかのようなのどかな商店街の風景。

どう考えてもおかしい。

サービスに付加価値をつけて、少しでも差異化をはかり、消費者がどんなことを求めているのか普段の分析を続けながら、商品の質を高める開発も続け、サービスから報酬を得る職能人として能力の向上に努めながら、それでいながら地元に密着する活動にも参加する。

そういう真面目に、危機感を感じながら、自己革新を行っている自営業者はもちろんいるはずである。しかし、世の中全部が全部、そんなにがんばりもののはずも無い。がんばりモノのであれば、あのような店構えになっているはずもない・・・

都会で生きていくならば、家賃を支払うのだけでも大変である。従業員を雇えば、彼らの給与や社会保障などの負担も大変である。事業をまわしていくには、相当な資金も必要になるだろうし、内装を少しいじるだけでも相当な経費が飛んでいく。通常の感覚で言ったら、やはり商売として回っていないのではと思わずにいられない。

やはり何かがおかしい。

ということは、何かのカラクリがあるという訳だ。そこには何かの利権構造が出来上がっており、何かしらの優遇制度が適応されているはずだと。

今でこそ資本主義を背景とした郊外の大型ショッピングセンターの強力な波に押され、地元の付き合いよりも、自分のメリットを価格で図るドライな世代の顧客を奪われる形になり、続々とシャッター街となっている地方の商店街。

しかし、それはそんなショッピングセンターの登場というきっかけがあったらか顕在化しただけで、根本的な問題は常にそこに横たわっていたはずである。既得権益に安穏とし、自らイノベーションを起こして価値の更新をしてこなかった商店街という場所の居心地の良さ。

それがいったい何だったのか?現在では大多数を占めるようになった、勤め人からでは決して見ることができない、中小小売商に対する優遇策とはどんなものだったのか、国策としてどうやって創り出されていったのか、そしてその利権の中で、彼らがどうやって外から閉じ、家族という単位で利権を囲い込んでいったのか。

新書と言うのは本来、こうして社会が抱える構造的な問題が、結局は誰かの利権に繋がっているからであるということを専門以外の人にも分かりやすく描き出し、その利権を守ることが一部の人を保護することであっても、社会として硬直化がどんな悪影響を後世に残していくのか、その中でいったいどんな建設的な提案が可能なのか。そういうことを、「それは言って喋って欲しくなかった」と言う人がどれだけ多くても、学者と言う立場を利用して世間に発することが必要なのだと思わずにいられない。

以下、本文よりいくつか抜粋。
----------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------
序 章 商店街の可能性
外部の人を引き寄せる「余地」 人々の生活への意思があふれている場所

第1章 「両翼の安定」と商店街
/「抜け道」のない日本社会
村上春樹 「金は無いけれど就職もしたくないなどという人間にも、アイデア次第ではなんとか自分で商売を始めることができる時代だったのだ」
チャレンジをおこなうことが徐々に難しくなった
土地・建設費が、猛烈な勢いで上昇してしまったから
抜け道の数が多ければ多いほどその社会は良い社会であると僕は思っている

/「雇用の安定」と「自営業の安定」
雇用の流動化
商店街の経営主、豊かな自営業 自営業の安定
小売業の距離制限やゾーニング(土地利用規制)の緩和
・自営業の安定に対する誤解
「旧中間層」と「新中間層」 旧中間層は土地を自己所有する豊かな自営業層、新中間層は豊かな雇用者層

/商店街は伝統的なのか
商店街は20世紀になって人為的に創られたもの
20世紀前半に生じた最大の社会変動は、農民層の減少と都市人口の急増

/近代家族と商店街
家族 家族経営 近代家族
家族の集団性の強化 社交の衰退 非親族の排除
地域に開かれている存在であるはずなのに、それぞれの店舗は「家族」という枠に閉じていたわけ

第2章 商店街の胎動期(一九二〇~一九四五)――「商店街」という理念の成立
/発明された商店街
商店同士の連携 地域社会のシンボルとみなされている

/都市の拡大と零細小売商
第一次世界大戦移行の社会変動
零細小売商が大きく増えた
農業をやめて都市に出てきた
第一次大戦後、不景気により中小企業が没落し、財閥に吸収される
工場の大規模化
企業による直接雇用に置き換わる
・物価不安と協同組合
急速な都市人口の増加
・百貨店の登場
百貨店と言う新しい小売業態の存在感が増した
日本の百貨店が大衆の消費空間として花開いた 初田亨
陳列販売方式へと変化

/「商店街」という理念
・組織としての商店街
小売商の組織化
異業種同士の連帯であった。それこそが商店街
横に地を這う百貨店
繁華街以外の手近な場所
10分か15分で到着できるところ
・地元商店街を制度的に支えた距離制限
「繁華街」と「地元」
生活インフラとしての商店街

/燗熟する商店街
流通革命 レジスター スーパーマーケットと言う新たな業態が生まれた
/経済成長と完全雇用の矛盾
・零細小売商のスーパー出店反対運動
1973年には大規模小売店舗法(大店法)
コスト主義 消費者は無視 バリュー主義
販売者の所得を引き下げても仕方が無い
・消費者運動
生産活動がすべてに優先されている 生産されたものを、如何に消費させるかが考えられる

第4章 商店街の崩壊期(一九七四~)――「両翼の安定」の奈落
/コンビニと商店街の凋落
コンビニほど日本のランドスケープを変えた存在はない
なぜこれほどにコンビニが増えたのだろうか
「便利」を追求
元零細小売店によって経営された
なぜ小売店主が、コンビニに手を出したのか
跡継ぎ問題
事業の継承性
商店街を内部から壊すもの コンビニ
専門店同士の連帯を無視して成り立つ業態であるから

/日本型福祉社会論と企業中心主義
企業福祉と家族福祉を機軸とした「日本型福祉社会」
企業と家族
そこに自営業や地域は含まれていない
サラリーマン家庭以外の人々は、日本における例外的な層と位置づけられたのである
日本型福祉社会論 「家族だのみ」「大企業本位」「男性本位」の社会政策
1985年の年金改革
第三号被保険者が創設された 厚生年金や共済年金の加入者(第二号被保険者)に扶養される配偶者
第三号被保険者が、保険料を自分で払わなくても、老後に基礎年金を受け取れることを可能にした
男性サラリーマンと専業主婦というカップリングは、多くの恩恵を受けていた
・日本型福祉社会における家族像
年収130万円以上稼ぐことを避ける
年金保険料まで支払う必要が出てくる
男性サラリーマンと専業主婦のカップリングを「理想的な標準世帯」としていたからだえある
・前川リポート
製造企業には、生産拠点を海外に移転するように求める

/財政投融資と「地域」の崩壊
・加速する郊外化
消費空間のあり方が、1980年代に大きく変化した
流通に関する規制緩和
大規模な小売チェーンが、地方に進出しやすくなった
地方都市の郊外化
公共事業の拡大によって地方の道路事業がすすんだ
市街地の道路整備 時間がかかるし、資金もかかる
地方都市間のアクセス道路は、市街地ではないために整備がスムーズに進む
商業用地に変換
地方都市の郊外-国道のバイパス沿い-に、商業用との土地が大量に発生
バブル崩壊以降の野放図な国土開発は、塩漬け状態の土地を大量に生み出し、区尾外の商業化を加速させた
ショッピングモールが建設
自動車での消費活動を前提としていた

/商店街の内部崩壊とコンビニ
コンビニ化という生き残り戦略が、商店街を内側から崩壊させた
スーパーマーケットを経営していた大規模小売資本
零細小売商そのものをスーパーマーケットの理論に染め上げると言う戦略
零細小売業種は、その権益を、地域のためと言うよりも、家族のために使うことを考えた
権益を引き継ぐ先は子供に限られていた

第5章 「両翼の安定」を超えて――商店街の何を引き継げばよいか
/近代家族と日本型政治システムに支えられた商店街
商店街が、恥知らずの圧力集団になった
保守政党と政治的な結託を見せた
免許などの権益は親族の間で移譲された 権益の私物化
親族間での経営以上は小売店のイノベーションを妨げた 閉ざされた権益
ジリ貧の状況から抜け出すため、コンビニ経営へ乗り出した
1980年代以降の日本は、本来ならば個人化に即して、家族ではなく個人を支援する政策を行うべきだった。日本は、企業福祉、家族福祉にたよった社会保障政策を以前よりも重視すると言う欧米社会の基準からみれば時代錯誤の選択をおこなった。
自営業が握り崩される中、人々は正社員に安定を求めるようになった
/規制と給与のバランスをめぐって
1990年代に入ってからもゾーニングの緩和が実施 ショッピングモールが地方の郊外に増加した
今の若者たちは新卒採用という選択にしか目が行かず、ほかにどのような選択があるのか分からない状態
・新しい商店街理念とは
地域単位で協同組合が商店街の土地を所有し、意欲ある若者に土地を貸し出すとともに、金融面でもバックアップする
----------------------------------------------------------
■目次  
序 章 商店街の可能性
第1章 「両翼の安定」と商店街
/「抜け道」のない日本社会
/「雇用の安定」と「自営業の安定」
/商店街は伝統的なのか
/近代家族と商店街
/社会理論と商店街
/本書の構成

第2章 商店街の胎動期(一九二〇~一九四五)――「商店街」という理念の成立
/発明された商店街
/都市の拡大と零細小売商
/「商店街」という理念
/二つの商店街-「繁華街」の商店街と「地元」の商店街

第3章 商店街の安定期(一九四六~一九七三)――「両翼の安定」の成立
/成熟する商店街
/経済成長と完全雇用の矛盾
/小売商の保護施策
/価格破壊と商店街

第4章 商店街の崩壊期(一九七四~)――「両翼の安定」の奈落
/コンビニと商店街の凋落
/日本型福祉社会論と企業中心主義
/日本問題と構造改革
/財政投融資と「地域」の崩壊
/商店街の内部崩壊とコンビニ

第5章 「両翼の安定」を超えて――商店街の何を引き継げばよいか
/近代家族と日本型政治システムに支えられた商店街
/規制と給与のバランスをめぐって

あとがき
----------------------------------------------------------

2014年3月10日月曜日

「日本人はこれから何を買うのか? 「超おひとりさま社会」の消費と行動」 三浦展 2013 ★

先日、昔からお世話になっており、世界的エンジニリング会社であるArupの役員をやっている友人が北京に来た時に、「軽く飲まないか」と誘われて出て行った席で、「日本はこれから何を売るんだ?SONYは一体何を世界に売るんだ?」と質問された。

そんな会話を思い出しながら読むことにしたこの一冊。「日本人が何を買うのか?」は必然的に日本のマーケットの潮流を決定し、そこに視線を向けた日本の企業の主力商品を決定させる。しかし、それがイコールで海外でも受け入れられるかといったらそれはまた別の話。

その時に迫られる決断。自分の会社の主力マーケットはどこか?日本の市場がそれほどの魅力を持ちうるのか?それはそれぞれの会社の規模と、今後の成長戦略によって決定される。もし、多くの会社が、日本のマーケットに魅力を感じないと判断し、日本のマーケットの需要を顧みないようになったらどうなるか?

それでも必ず、そのマーケットで利益をあげる会社も残るので、必ずある程度の需要と共有のバランスは維持されるのだろうが、そんな二極化の世界での微妙なバランスを感じながら読んでいくことにする。

----------------------------------------------------------
第1章 老若男女すべて「おひとりさま」
/2035年、主流派おひとりさま
「おひとりさま」
上野千鶴子「おひとりさまの老後」
「アラフォー」の未婚女性
「負け犬の遠吠え」

/中高年のおひとりさまが増える
増えるのは45歳以上

/東京などの大都市圏で高齢の一人暮らしが増える
/増加する未婚・親元暮らし
/ライフスタイル、消費行動が変わる
一人暮らしが消費の中心となる
親と同居している40代、50代の未婚者が増える
個人化である。孤独化ともいえる。
一人で暮らし、一人でご飯を食べる人
----------------------------------------------------------
30代半ば。自分の周りでも当然ながら「おひとりさま」である友人がいる。実家に帰れば、家の近所でも、40代50代で親元暮らしの未婚者は驚くほど多くいる。その上を見れば、一人暮らしの高齢者家庭も数多くあるという。「婚活」などとラッピングされてはいるが、結婚できない、結婚しない人というのは、どの時代でも一定数いたわけで、それが核家族の増加によって高齢者の「おひとりさま」として目に映りやすくなってきた現代。

結局はマーケティングからの視点で現代社会を分析し、今の世の中「何が売れるか?」を代理店やメーカーに指南する立場で書かれている面もあるので、その切り口はある種ドライにも映る。

「おひとりさま」が社会の主流から外れたものでなくなり、社会を構成する大きな勢力となった時に、日本のマーケットはどう変わるのか?そんな問題提起の章である。
----------------------------------------------------------
第2章 おひとりさま消費の現状
(3)若年男性(34歳以下)
/かまない、果物を食べない
若い人ほど固形の物を食べるより、液体を飲む傾向が強まっている。これは食生活の下流化傾向ともいえるものである
下流的な若者ほどご飯と味噌汁とおかずと言った一汁三菜的な食事をせず、丼物、ラーメンなど食器が一つで済む食事をする傾向が強い
果物を食べない
皮をむいたりして子供に与えることを面倒くさがるケース
生ゴミも増えるし、片付けも面倒なのであろう。
ジュースなどの飲料を買っておけば、子供が勝手に飲むので親は簡単である。

/間食の主食化、外食・コンビニ依存度は86%
外食・コンビニへの依存度はますます高まっていくだろう

4 若年女性(34歳以下)
/下着から歯科医へ
歯の強制やホワイトニング
下着などの見えないところにお金をかけるより、人から見られる歯の矯正やホワイトニングにお金をかけるようになった
就職、転職、恋愛などにおいて、外見が重要だと考える若者が男女共に増えているためであろう

5 ミドル男性(35-59歳)
/快眠思考
不眠症
仕事のストレス、24時間型の生活、運動不足、パソコン作業から来る疲労
眠りが浅いことで悩む人


老若男女に共通のニーズに答える商品は、巨大なヒット商品になる可能性がある ユニクロ
----------------------------------------------------------
マーケティングに説得力を持たせるには、このような統計データを持ち出すしかない訳で、データがあるから正しいのだという流れには少々辟易するが、若年男性で描かれる、「とにかく面倒くさいのが嫌だから、少しでも楽に食事を済ませようとする下流な食生活の指摘は誰でも耳が痛いはずである。「楽」なことが、何よりも上位に来てしまう生活の価値観。これはすでに小さなころからの教育でしか養われないのであろう。

----------------------------------------------------------
第3章 おひとりさまは何が欲しいのか
/高齢男性も今後はコンビニ、外食に依存か?
/宅配ビジネスの拡大
/地域に友人を作れるか
地域の中に友人が増えていく可能性は低い
地縁ではなく「知縁」
仕事や趣味などを通じて親しい友人
>若い人でもそう

/オーダーメイド賃貸とセルフリノベーション
入居者と一緒にリノベーションをする時代
DIY住宅
メゾン青樹では住民同士のリビングも

/新しい公共交通が必要
/生涯学習は知的ケア
----------------------------------------------------------
ここで想定される高齢者というのは、団塊世代を想定されているわけで、必然的に十分蓄えがあり、なおかつ生活をしていくのに問題のない年金が受給されるために、他のどの世代よりも豊かに、旅行し娯楽を楽しむことができる。しかしこの世代の高齢者はあくまでも特殊な高齢者であり、今後何十年後に高齢者となる世代とは設定が違っていることは頭の中に入れておかなければいけない。

----------------------------------------------------------
第4章 コミュニティという商品を買う時代
/買物難民の増加
①宅配サービス(商品を顧客に届ける)
②移動販売(商品を積載した店舗ごと顧客まで移動する)
③店への移動手段の提供
④便利な店舗立地
コンビに 会社帰りの人々が主要な客 比較的駅の近くとか、人通りの多い道沿い

/通信販売か宅配か
セブンイレブンの「コムス」
セブンらくらくお届け便

/買物をサポートする
消費者が商店街で購入した商品を自宅に配達するサービス

/新しい外食が必要
おひとりさまは、宅配弁当やコンビに弁当などと近隣の安い居酒屋を使い分けながら食生活を楽しもうとする

/「コムビニ」が必要 CSVとしてのCVS
「コムビニ」 コミュニティ・コンビニエンス・ストア

/コムビニのイメージ
医療福祉関係
薬剤師
飲食店併設

/シェアハウスを拠点としたサービス
サービスの便利や
家電業界もサービスを売る時代になるはず

/住宅地を都市化する
地域の仕事をシェア

/制約社員が増えると待ちは面白くなる
昼間から町をうろうろする人が増えた
----------------------------------------------------------
こういう具体的な提案につなげていけるのはこの著者の素晴らしいところだと毎回思わずにいられない。恐らくこういう社会の現象を分析し、その背景となる問題を見つけ、それに対して社会がどのように変わっていくべきか、その前に社会がどうあるのが今後の日本にとって良いのかを考えることは、かなり広い視点を持たなければいけない。

そしてダメだしだけの理論だけで終わらせずに、具体的なフィードバックとしての提案につなげるためには、何かを作り出さす想像力と専門知識が必要とされる。そしてその立場に一番適切な職業なのは建築家であると思われる。

可能な方法としては、各自治体に地域の現状を把握し、その将来を自分の利益からではなく、純粋に地域社会の視点から考えられる建築家を地域建築家として任命し、5年くらいの期間を与えつつ、歴代の担当者と協議して5年、20年、50年くらいのスパンで、どのような地域社会になることが、この地にとってベストであるかをビジョンとして出していくこと。そして個別の問題を大きな視点を持って解決していくこと。

そういう地域のマスター・アーキテクト制度ができれば、ここで提案されているような、「コムビニ」のようなこと。さまざまな地域で発生している新しいシェア・ハウスなどもより効率的に機能していくのではと想像を膨らませる。

----------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------
目次
第1章 老若男女すべて「おひとりさま」
/2035年、主流派おひとりさま
/中高年のおひとりさまが増える
/東京などの大都市圏で高齢の一人暮らしが増える
/50歳以上の未婚・死別・離別が2510万人になる
/増加する未婚・親元暮らし
/ライフスタイル、消費行動が変わる

第2章 おひとりさま消費の現状
/おひとりさまたちの年収
(1)シニア男性(60歳以上)
/若者化する高齢者男性
/食の洋風化・スナック化
/クルマ、美容、スポーツの消費も伸びている
(2)ソニア女性(60歳以上)
/自動車、スポーツ、インターネットなどアクティブ化
/調理食品は少ない
(3)若年男性(34歳以下)
/自動車から自転車へ
/料理は増えたが基本は外食と調理食品
/かまない、果物を食べない
/間食の主食化、外食・コンビニ依存度は86%

・事例1 料理器具の人気
・事例2 男性快眠市場

4 若年女性(34歳以下)
/仕送り、寄付、信仰費が伸びる
/下着から歯科医へ
/晩酌は増加

5 ミドル男性(35-59歳)
/お部屋志向
/快眠思考

6 ミドル女性(35-59歳)
/墓石の準備が始まる
/健康志向
/者よりサービス
/老若男女に共通のニーズに応える
/サービスをワンストップでトータルに提供する必要


第3章 おひとりさまは何が欲しいのか
/おひとりさま社会は生活全体に「ケア」が必要
/高齢男性も今後はコンビニ、外食に依存か?
/女性は職の安全性を求める
/食の安全が町の魅力になる
/宅配ビジネスの拡大
/おふくろの味は不滅
/かかりつけの医者が欲しい
/マッサージも物からサービスへ
/地域に友人を作れるか
/身近な知人同士のちょっとしたお祝い
/おひとりさまも持ち家の時代
/中古住宅リノベーション
/おひとりさまだからこそ、住宅に性能を求める
/オーダーメイド賃貸とセルフリノベーション
/新しい公共交通が必要
/生涯学習は知的ケア
/働き方を変えれば、まだ働ける
/「節約社員」をケアする仕組みが必要
事例3 集合銃多君尾コミュニティ形成支援事業
事例4 血行き密着型百貨店
事例5 団地を建替えずにコミュニティ活性化

第4章 コミュニティという商品を買う時代
/買物難民の増加
/通信販売か宅配か
/買物をサポートする
/一人で食べるのはわびしい
/新しい外食が必要
/「コムビニ」が必要 CSVとしてのCVS
/コムビニのイメージ
/シェアハウスを拠点としたサービス
/住宅地を都市化する
/脱サラリーマン化で地位に活気
/制約社員が増えると待ちは面白くなる
/コミュニティ自体が商品となる
/コミュニティリビング

・事例6 団地の高齢者の買い物サポート
・事例7 副収入付きシェアハウス
・事例8 オーダーメイド賃貸
----------------------------------------------------------