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2016年2月18日木曜日

「七夜待」 河瀬直美 2008 ★

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スタッフ
監督 河瀬直美
脚本 狗飼恭子、河瀬直美
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彩子:長谷川京子
グレッグ(フランス人):グレゴワール・コラン
マービン:キッティポット マンカン
アマリ:轟 ネーッサイ
トイ:轟 ヨウヘイ 
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「蛇イチゴ」「ゆれる」「ユメ十夜」「夢売るふたり」で知られる西川美和(にしかわみわ)は1974年生まれで是枝裕和監督の薫陶を受けており、そしてこちらの河瀬直美(かわせなおみ)は1969年生まれで「萌の朱雀」「殯の森」「あん」などでカンヌを中心に国際的な注目を浴びる。

ともに年代も近く、名前に「美」が入るからなのか、いつもごっちゃになってしまうこの二人。そんな河瀬直美のカンヌグランプリ受賞後の作品となるのがこの「七夜待(ななよまち)」。「これはぜひとも観ておかなければ・・・」と手を伸ばした一作。

改めて主要な作品を時系列に並べてみると。

1992年 につつまれて 
1993年 白い月 
1994年 かたつもり 
1995年 天、見たけ 
1996年 陽は傾ぶき 
1997年 萌の朱雀 第50回カンヌ国際映画祭 カメラ・ドール(新人監督賞)
1997年 杣人物語 
1999年 万華鏡 
2000年 火垂 
2001年 きゃからばあ 
2002年 追臆のダンス 
2003年 沙羅双樹 
2004年 影-Shadow 
2006年 垂乳女〜TARACHIME〜 
2007年 殯の森 第60回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞
2008年 七夜待 
2009年 狛-Koma 
2010年 美しき日本・奈良 (日本アーカイブス) 
2010年 玄牝 -げんぴん- 
2011年 朱花の月  
2012年 塵 
2014年 2つ目の窓 第12回ウラジオストク国際映画祭グランプリ受賞
2015年 あん 第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品

15年以上映画を撮り続け、国際的な評価も得て、恐らく自分の撮りたいものを撮りたいように取れるような自由を得始めた頃ではないかと勝手に想像を膨らませる。そして選ばれたのは、自分探しにタイに向かい、そこでゆったりとした時間を過ごす日本人女性を演じる長谷川京子。

勝ってついでに想像を膨らませれば、何かの仕事で一緒になった長谷川京子にほれ込み、自身も足を運んだタイの日本とはまったく質の違った時間と空気が流れるなかで、なんとかその美しさを画面に描きたいと熱望して立ち上がった映画なのだろう思ってしまう。

異国の地に赴き、現地の言葉も何も分からず、その場の文化や振る舞いがどんなものかも知る準備をせずに、ただただ自分の価値観だけで人々を判断し、拒絶し、わめき散らす主人公の姿は、見ていたとても嫌悪感を感じる。感情を爆発させ、叩き、まったくコミュニケーションが取れてないにも関わらず互いに分かり合えた雰囲気を描き出す。

観る側に物語を掴みやすくするための説明的な要素が多い邦画やハリウッドの映画に慣れてしまいすぎた我々にはそれは苦痛となってしまうのか、それとも評価の高いフランスの映画の常識からみれば、十分にアート的な映画として成立しているのか。海外での評価が高いだけに、なんとも判断に混乱しながらも、これも映画の多様性なのだろうと次の「殯の森」へ判断を委ねることにする。
















2015年10月28日水曜日

「萌の朱雀」 河瀬直美 1997 ★★★

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スタッフ
監督 河瀬直美
脚本 河瀬直美
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キャスト
田原孝三:國村隼
みちる:尾野真千子
幸子:和泉幸子
栄介:柴田浩太郎
泰代:神村泰代
みちる(幼少期):山口沙也加
栄介(幼少期):向平和文
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フランスの映画祭、カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得するなど、海外にてその評価が非常に高い河瀬直美。1969年生まれでまだ若く、かつ女性ということもあり、現在の映画界の中でも非常に特殊なポジションを得ている。

そんな彼女が世間から注目を浴びるきっかけとなったのが、1997年の第50回カンヌ国際映画祭で「カメラ・ドール」とよばれる新人監督賞をこの「萌の朱雀」にて獲得したこと。

その後2007年に「殯の森」にて第60回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞するなど、確実にキャリアを伸ばしている映画監督であるが、やはりフランスの映画界で評価されていることもあり、なかなか日本での興行的にはそれほどヒットという感じではないようであるが、一部の映画ファンからは好評を得ているようである。


1992年 につつまれて 
1993年 白い月 
1994年 かたつもり 
1995年 天、見たけ 
1996年 陽は傾ぶき 
1997年 萌の朱雀 第50回カンヌ国際映画祭 カメラ・ドール(新人監督賞)
1997年 杣人物語 
1999年 万華鏡 
2000年 火垂 
2001年 きゃからばあ 
2002年 追臆のダンス 
2003年 沙羅双樹 
2004年 影-Shadow 
2006年 垂乳女〜TARACHIME〜 
2007年 殯の森 第60回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞
2008年 七夜待 
2009年 狛-Koma 
2010年 美しき日本・奈良 (日本アーカイブス) 
2010年 玄牝 -げんぴん- 
2011年 朱花の月  
2012年 塵 
2014年 2つ目の窓 第12回ウラジオストク国際映画祭グランプリ受賞
2015年 あん 第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品


劇中に描かれる監督の出身地でもある奈良の美しい風景。「なんだか少々見覚えがあるな・・・」と思って調べてみると、やはり奈良の西吉野周辺で撮影が行われたという。丹生川上神社中社を訪れた際に通った緑深い山の風景。その所々で現れる小さな集落の美しさ。その記憶をまざまざと蘇らせてくれる映像である。

もう一つ印象的なのは撮影の行われた奈良県吉野郡西吉野村出身で、当時地元中学校で靴箱の掃除をしている際に監督の河瀬直美の目にとまり、急遽主役として映画デビューすることになったみちる役の尾野真千子の美しさ。素朴でいながら、明らかに眼に留まるその素の美しさ。現在までのその後の活躍が裏付けるように、監督の目の付け所の正しさを物語っているようである。

映像として非常に美しく、見慣れたテンポの良い映画ではなく、映画ならでもゆったりとしたリズムを描き出し、物語自体は決して派手なドラマは起こらないが、しっかりとその地に生きる人々にとって一生に一度か二度ある大きな転機に際して、人々がどのように応じ、変化していくかを淡々と描き出す。そんな監督の手法がストレートに表現されている良作である。