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2015年3月6日金曜日

シュトゥットガルト空港(Stuttgart Airport Terminal 3) GMP Architects 2004 ★★


夜の便で次の目的地のパリに向かうために帰宅の車で込み合う街中を抜けて山の南に位置するシュトゥットガルト空港(Stuttgart Airport Terminal 3)へと向かう。

北京空港などの自分がどこにいるか分からなくなるような巨大な空港ではなく、街の規模にあった程よいサイズのターミナルに入ると、視界に飛び込んでくるのはなんとも特徴的な樹木の様に枝分かれして屋根を支える構造体。

他は過剰なデザインなどなく、非常に機能的に配置されたチェックインカウンターが並び如何にもドイツの交通施設だと思われるが、どこを見てもその特徴的な構造が目に入ってくる。

後で調べてみるとやはりドイツの組織事務所のGMP Architectsによるものだという。「やはりな・・・」と思いながら調べると、どうやらこのシュトゥットガルト空港はターミナル1からGMPによって設計されており、その当時からこの特徴的な枝別れする柱は採用されていたという。

グローバル化後、空港で過ごす時間がどんどんと増える現代人にとっては、空港空間の意味も激しく変化していく。その中で世界の拠点都市に置かれる巨大空港ではなくて、このような地域の拠点都市に置かれる中規模の空港がどのような空間であるべきかは今後とても重要なポイントになりそうだと想像を膨らませながら、遅れていたがやっと到着した飛行機に乗り込むことにする。






シュトゥットガルト市立図書館(Stadtbibliothek,Stuttgart City Library) Yi Architects 2011 ★


「未来的な空間の図書館」として様々なサイトでも紹介されているのが2011年に開発の進むマイレンダー広場に完成したシュトゥットガルト市立図書館(Stadtbibliothek,Stuttgart City Library) 。

真っ白に漂白されたかの様な未来的な空間に、システマティックに階段がつく内部空間と、中が何の機能を持っているのか一切のヒントも与えないいくつもの正方形を積み重ねた巨大なキューブとしての外部。

それだけで世間の注目を浴びるのに十分なこの建築は1999年にコンペによってドイツに留学して建築を学んだ韓国人建築家のイ・ウンヨン(Yi Eun Young)によって勝ち取られたという。イ・ウンヨン(Yi Eun Young)はその後Yi Architectsという設計事務所をドイツのケルンにて設立し、この建物の設計に取り組んできたという。

写真では疑問に思わなかったが階段がまっすぐ降りているということは、それだけ下の階がせりだしているということであり、そのイメージを見ているとどうしてもこれは1階部分から徐々に上にいくにつれて床の張り出しが少なくなるのだろうと思ってしまう。

しかしこの建物の構成は非常に明確で、大きなキューブの中にはややサイズを小さくしたもう一つのキューブが一階の中心に位置しており、そこはまったく機能を与えられない空間となっている。

その周辺には階段が壁の後ろに隠されており、さらにその外には外壁に面して書架と読書室が設置されている。4階まで達するこのキューブの上の5階に上気したステップしてせりだしを減らしていく白い空間が設置されており、5階から9階まで逆さのピラミッドのような空間を作り出している。

つまり1階部分では4階分の高さを感じ、5階においては5階分の吹き抜けを体験するという、一つの建物を縦方向に二つに分断したように、まるで二つの建物を体験しているような感じである。

外壁に埋め込まれたガラスブロックは内部を半透明とし、また内部においては外部からの光をやわらかく内部まで届ける。銀座のレンゾ・ピアノによるエルメスと同じ効果である。

これだけ象徴性が高い立方体という言語を何重にも入れ子にし、かつ具体的な物語を表さず、内部と外部の関係性を分断し、ただただ四方の方位が重要かのように迫ってくるデザインだけに、きっとイスラム出身の建築家による設計で、アラブ文化に関する図書館なのだろうと思っていたが、調べてみると韓国人建築家による市立図書館ということでやや肩透かし。

それにしてもこれだけ徹底的に装飾をそぎ落とし、キューブに還元していく建物は、まさに1997年の映画「Cube」の世界を彷彿とさせる。どこまで行っても、上に行っても下に行っても、ひたすら同じ「Cube」。そしてその全体像もまた「Cube」。

やはり外部の環境との関係性が伺えない建築は、どんなに未来的でもあまり受け付けないなと思いながら、開発が進み、多くの若者がたむろするマイレンダー広場を急ぎ足で車へと戻ることにする。






















ヴァイセンホーフ・ジードルンク(Weissenhofsiedlung, Weissenhof Estate) Le Corbusier Mies van der Rohe 1927 ★★★


夜の飛行機までの時間を使って、このシュツットガルトにある建築をできるだけ見て回ろうということで、事前に調べていた住所をナビに入れて車で向かうことにする。

大学の建築の授業でも習うのが近代建築を作り出した後の巨匠であるミースやコルビュジェ、グロピウスらが勢ぞろいした建築展、ヴァイセンホーフ・ジードルンク(Weissenhofsiedlung, Weissenhof Estate) の存在。

第一次大戦を終えて、新しい規格化された良質な住居建築を考えるために、当時ヨーロッパで活躍していた若き建築家たちを集めて、共通のテーマのもとに住宅を設計して実際に建てるという壮大な目論見を持った展覧会。

その取り仕切りを行ったのが、ドイツ出身のミース・ファン・デル・ローエ(Mies van der Rohe)。彼が選らび、参加することになった建築家は、ル・コルビュジエ(Le Corbusier)、ハンス・シャロウン(Hans Scharoun)、ヴァルター・グロピウス(Walter Gropius)、J.J.P.アウト(Jacobus Johannes Pieter Oud)などの当時の若手建築家。

シュツットガルトの街の北西の小高い岡の上の風が吹きぬけ景色が開けるなんとも贅沢な敷地に、これまたゆったりと燐棟感覚を保って計画されたそれぞれの建物は、いくつかが失われたり新たな建物とされているが、それでも現在も多くが現役の住宅として使われているのはさすがに驚くばかりである。

簡易な立面、テラスとして使える陸屋根、水平窓、自由な平面そしてプレファブ化。これらが共通して与えられたテーマだといい、それをはほぼ前年にコルビュジェが出した「近代建築の五原則」を踏襲したものとなっている。

そんな訳でということではないだろうが、コルビュジェの建物は現在も非常に良い状態で残されており、このヴァイセンホーフ・ジードルンクを紹介する美術館として一般に開放されている。

日の暮れかけたシュツットガルトの街からうねる坂道を上がってきて、一気に視界が開けたなと思ったらいきなり目の前に飛び込んでくるのがこのコルビュジェ棟。新しい時代の幕開けを高々と宣言するようにスクッと凛々しく建っているように見える。

これがおよそ90年前に建てられた建物かと思うと、我々現代の建築家はデザインといって何をしているのだろうと反省させられるほど、その大きな構成だけでなく、細部のディテールも非常に細かく設計がされているのがみてとれる。

こうしてみると、時代と共に変わるべき場所と、そうではなく時代や社会に関わらず人が住まう場所としてあるべき機能とそのデザインは間違いなくあり、その線引きを明確に捉えて新しい建築へと挑戦していくことが大切なのだと思いながら、濃密な内部空間を体験することにする。