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2015年3月4日水曜日

ブランドホルスト博物館 (Museum Brandhorst) Sauerbruch Hutton 2009 ★★


ピナコテーク・デア・モデルネを見学し、これで予定をしていた建築をすべて見たかなと思っていたら、視線の先になにやらカラフルな建物が。ガイドが言うにはこれも近年オープンした現代美術の美術館だという。

どうやらこちら側は裏側にあたり、サービス用のエントランスがあるようである。丁度搬入用のゲートが開いて、トラックが出てくるところのようである。美術館を設計していながら、なかなかこのような美術館のサービス側の搬入がどのようにして行われるのかを見る機会はなかなか貴重であるので、走り出してパチパチと写真に収める。

「何がそんなに見たいのだろう?」と怪訝な顔をする美術館のスタッフを横目に、ゲートが閉じるとそこに扉があるとは分からない一枚のファサードとしてデザインされた手法に、「これだけパブリックに見られる面であればそうするよな・・・」と思いながら今度はその特徴的なファサードをじっくり見る。

どうやらミュンヘン在住のガイドの中国人はこのファサードがお気に入りのようで、随分とその良さを説明してくれる。ネットで調べてみると、設計において遮音や断熱、雨水利用など一通りの環境設計については考慮されているようで、その上でいくつかのグループに分けて色づけされた細長い陶磁器の角柱がルーバーとして建物に取り付けらている。

建物の外周をぐるりとしてみるとやっと分かるのだが、この色合いは入り口から始まって反時計回りにグラデーションになっているようで、どの場所からこの建物を見るかによって色合いが変わって見えるという仕掛け。

この歴史的な街並みの中でこれだけカラフルな色合いを使いながらも、ポップや商業主義的に見えないところでうまくバランスを取り、上品に仕上げているという印象。

外形はシンプルであるが、その中に様々なデザインを取り込むこと。それがこの地の建築家の優れた能力なのだと理解して内部を見学することにする。










2015年1月1日木曜日

Ninetree Village 九树公寓 David Chipperfield 2008 ★★★★


今回、杭州で見る現代建築の中で最も期待していたのがこの建物。先ほど訪れた博物館の設計者である、イギリス人建築家David Chipperfield(デイヴィッド・チッパーフィールド)。彼らの中国で二作目となったのがこの杭州南西部の山を越え、海からの逆流が見られるという珍しい川である銭塘江(せんとうこう、Qiántáng Jiāng)に面すように建てられている高級アパートメントプロジェクト。

「チッパーフィールドの建物を見に行きたいんだ」とメンターに伝えると、「マジシャンみたいな名前だね」とかつて日本でもかなり取り上げられていた壮大なマジックショーを行うマジシャンを思い出させてくれる。「そういえば、同じ名前か?」と調べてみると、こちらはデビッド・カッパーフィールド (David Copperfiel)で、アメリカ出身のロシア系ユダヤ人だという。

「この建物は木製のルーバーで覆われていてね」と話していると、女性人二人が「ルーバー?」とどうも理解に苦しんでいるようなので、「建物の外についている細い材での目隠し機能などに使われるあれ」と伝えてもどうにもピンとこない様子。

そんな訳で杭州北西部の見学を追え、西湖の西に広がる有名な龍井茶(ロンジン茶、龙井茶、Lóngjĭngchá)の産地である山々を突っ切り、銭塘江沿いをさらに南下し明らかに高級住宅地という感じの良さげな竹の生い茂る山の麓へと到着する。

「ひょっとしたら入れてもらえないかも」と思いながら、なんとわなしに妻と二人でエリアの入口に向かうが、オシャレな制服に身を包んだガードマンが止めに来て、「ここは住宅エリアだから部外者は入れない」という。「どうして部外者だと分かるんだ・・・」と思いながら、「見学したいのでマネージメント・オフィスはどこです」と聞いてみる。

プロパティを管理しているそのオフィスに行き、「見学をしたいのだけと」と申し入れるが、「プライベートな物件なので見学は不可」とつっけんどんな対応。「購入を検討しているんだ」と言ってみるが、「既に2007年に売り切れている」とあっさり切り返される。

しょうがないという訳で、敷地に入らず周囲から見えるだけ見学していこうと、横の坂道を上がっていき、竹やぶの隙間から見える雰囲気良いアパート達とその間の空間を観察する。普段はあまり建築に興味を示さない妻も、「ここは雰囲気いいのが伝わってくるね」と。

その名から分かるように敷地内に9つの棟が微妙に地形に対応しながら、間の空間を構成しつつ配置され、各棟は5階建てでぞれぞれの階が400平米の一つのアパートとなっているという何ともゴージャスなプロジェクト。

入口から出てくる人たちも如何にも余裕のありそうな雰囲気で、先ほど鬼の様な形相で追ってきたガードマンとも顔見知りらしく挨拶を交わしていく。「そりゃ止められるわ・・・」と理解しながら、我々も進めているプロジェクトでしばしば参考にするこのプロジェクトの設計の仕方。その配置計画と、シンプルな施工でありつつも、新しい建築の見え方を獲得しながら、この地での施工レベルでも対応できる工法とデザインのバランスをとった非常にスマートな設計に納得しながら、再度坂を下りていくことにする。












2014年2月2日日曜日

大社文化プレイス 伊東豊雄 1999 ★★


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所在地  島根県出雲市大社町杵築南
設計   伊東豊雄
竣工   1999
機能   劇場、図書館
構造   鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
規模   地上4階
敷地面積 20400㎡
建築面積 5567㎡
延床面積 5847㎡
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出雲の地には、その風景に相応しい名匠の作品が体験できるいくつもの建築がある。こちらも2013年プリツカー賞受賞者である伊東豊雄氏の作品。出雲の文化活動の中心となる、図書館と劇場を併せ持った複合施設である。

この作品の大きな特徴と言えば、図書館部分を覆うスロープ状の屋上緑化。地面の芝生がそのまま丘を形成し、「緑のカーペット」となりその下に建築が埋まっている構成で、下記のリストの様に、伊東氏の作品の中で何度も何度も繰り返し現われ、一つの建築言語として発展させてこられた要素である。

1991 八代市立博物館・未来の森ミュージアム
1999 大社文化プレイス
2005 ぐりんぐりん
2006 国営昭和記念公園・花みどり文化センター(アトリエ・ワンとの共同設計)

建築が如何に大地と一体となり、そして訪れる人が地形を楽しむように緑の丘を登り、自然を楽しむように寝転がったり駆け上がったりとする場として建築が存在し、自然の中に建築を埋もれさせることができるか。そんなビジョンを感じることが出来る作品である。

円形を切り取ったようなプランを採用し、アプローチしてくるとまず徐々にせりあがる緑の丘を目にしながら、今度は円形の平面が奥へ奥へと引き込んでいくように立ち上がってくる壁面を見せていく。

背が十分に高くなったところから中心に向かって内部に入って行くと、太陽光が燦燦と降り注ぐ背の高いロビーの中に、矩形と円形の二つのホールのコンクリート壁が現われる。右を見えるとこの建物の肝でもある屋上緑化のスロープがせり上がる断面が内部から良く見えるようになっている。

地域の文化拠点として上手く使われているのが良く分かるように、当日もホールの一部は地元の高校の吹奏楽部によって練習場として使用されているようで、ホールには練習をサボった様子の高校生のカップルが床に腰を下ろしておしゃべりを続けている。

そんな様子になんだか懐かしい思いをしながら外にでると、緩やかにせりあがっていく「緑のカーペット」の脇に設置されたベンチに、こちらも練習を終えたのか二人の女子高生がおしゃべりをしている様子。

こちらも「なんだかいい」と気分も上々に、小走りで緑の丘を駆け上がってみる。その後、なんだか高校時代に戻ったような気分で木製ルーバーの詳細などを観察し、次なる目的地に向けて車に戻ることにする。