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2012年11月7日水曜日

一年検査


設計・監理を行わせてもらった住宅の竣工後一年を過ぎたということもあり、季節ごとの様々な負荷にさらされて出てきた改善点や、実際に生活してみて分かってきたところなど、毎日この家と時間を共にするお施主さんからの正直な意見を聞かせていただき、担当していただいた工務店の担当者の方と共に、どのような対応策が一番効果的かを検討するために熊本にやってくる。

住宅の設計というのは、住むための家を想定して設計を行うことであり、本来の目的は建てることではなく、住まうことであるということをつくづく再認識させてくれる瞬間である。

設計の時には実際にお施主さんもその家に住んではいないので、できるだけ細かい部分まで想像しながら、こうなるのでは?と想定をベースとして設計を進めていく。しかし、人の生活とは想定どおりいかないもので、ましては日々変化する自然に晒される建築の宿命から、理想的な青図からの徐々に徐々にづれていってしまう。

そのズレを修正し、施主の生活に合わせてカスタマイズしていきながら、実際に住宅という建物が、その人たちだけの「家」と成長していく。その過程を見守りながら、そして一緒に悩みながら、より良い「家」を作っていくことこそが、建築家の仕事なのだと痛感する。

引渡しとしてとりあえず、社会的な職責は果たすことになるが、工事を担当した工務店と共にその後の成長がいかに自らの頭の中にあった青図を完成させていけるか。それが同じ必要もなければ、もっと良いように描きなおすことだって可能だということ。

そんなことを思いながら、建築が物理的な存在で、一つ一つの部材の組み合わせであり、自然素材はソリや膨れで日々形状を変えて、日の光によってはげてきた塗装や、鉄から出てくる錆びなどを見て、時間の先を見据える力の大切さを再度思い、それと共に時間と共に色あいを変え、より周囲の環境に溶け込み始めたその姿に喜びを感じる。

想像する青図の中から聞こえてくる沢山の喜びに満ちた声が、実際にこの家の風景になっていけるように建築家としてできることは沢山あるのだと心に誓う。










2012年3月1日木曜日

宮原邸:第17回くまもとアートポリス推進賞選賞受賞のお報せ




2011年夏に竣工しました、熊本の「宮原邸」が第17回くまもとアートポリス推進賞選賞を受賞いたしました。

第17回くまもとアートポリス推進賞受賞者決定 - 熊本県庁

くまもとアートポリスとは細川護煕氏によって推進され、質の高い優れた建造物等を顕彰することにより、熊本県民の環境デザインに対する意識の高揚と、都市環境並びに建築文化等の向上を目指し、併せて豊かな地域づくりを図ることを目的とし、熊本県内に建てられた建築に対する賞として建築業界では広く認知されています。

くまもとアートポリス推進賞受賞施設

表彰式が3月13日に予定されておりますので、その様子もまたブログなどで御報告できればと思っております。

今後もMADとして、住まうことの豊かさを少しでも多くの人に感じてもらえる様、また建築を体験した時に少しでも感情が揺さぶられるような作品をできるだけ残していければと思っておりますので、今後とも今まで同様の温かいご支援をいただければ大変嬉しく思います。

それでは今後とも、どうぞ宜しくお願いします。





all photos © Takeshi YAMAGISHI

2012年2月15日水曜日

アジアデザイン(DFA)大賞2011 Merit賞 賞状



「宮原邸」がアジアデザイン大賞2011のMerit賞を受賞いたことは先日お報せさせていただいたが、その表彰式が香港で開催され、もちろん出席はかなわなかったのだが、その賞状が海を越えて届いた。

建築家といて職業をしながら生きていると、もちろん最終的にこの世の中に持ち込まれた建築は、大切な人生の大切な時間とエネルギーを注ぎ込むくらいだから、自分が素晴らしいと思っているからできている訳である。

つまりどんなに意識していても、ついつい近視での見方に寄っていってしまう。

そこに少し客観的な視点を持って判断してもらう人といえば、なんと言ってもお施主さん。この人がいなければこの建築が生まれることどころか、構想されることも無かった訳で、しかも予算という大きな要素のバランスを取りながら、最終的に住い手として厳しいジャッジを下す施主。

この人が一体どう建築を評価するか、もちろん自分が欲しかった家が建つわけだから、どちらかといえば近視サイドだが、建築家ほどの厚メガネはかけていないので、生活が豊かになったと言ってもらえることこそ、建築家にとっての何よりの賞であると思う。

ではその次というと、建築家の周りの建築仲間ということになろう。これはもう少しドライ。くだらないオープンハウスに行って、使えそうなディテールの写真を何枚も納めるよりも、本当に近しい仲間の建てたものを見に行って、「いい」か「悪い」。「悔しい」か「まだまだ」か。緊張感のあるコメントをもらうのが何よりの成長の糧であろう。

さてその次となると、通常雑誌という建築メディア。しかし建築メディアが一般の読者が思うほど、健全な視点を持ち合わせているかというと、非常に時代によっての浮き沈みがあることは間違いない。

発行部数が雑誌の存続になるという現実が、建築の文化を守るという美徳を簡単に超えていく。そんな時代に生まれる建築は可哀想だが、そんな時には世の中に数多ある建築賞という視点も存在する。こちらも得てして政治の手垢がつきまとうが、それでも客観性のあるジャッジを受ける格好の場であるのは間違いない。

少なくともこういう受賞という機会に乗っからない限り、竣工した「○○邸」があれあれこれこれで素晴らしいです!なんてことは、ちょっとした羞恥心と自尊心を持ち合わせていたらなかなか恥ずかしくて言い出せないだろう。

そんな訳で難産の末に生まれた建築に、日の目を浴びせることができたことに感謝して、報告できることを励みにし、また次に便乗できる機会を作り出す為に、明日も頑張ろうかと少し思う。

2012年1月25日水曜日

審査


アートポリス推進賞の最終候補に残りましたので、現地審査の為の段取りをお願いします。

と、熊本県庁のアートポリス担当者より連絡が入る。現地審査と言っても、詳しい内容は教えてくれないので、一体どんな準備をすればいいのか分からない。とりあえずお施主さんと施行業者の担当者さんに連絡を入れて、まずは当日住宅を見せてもらうことを了承してもらい、できることを準備して前日より現地入り。

恐らく「若手」と言われる建築家で、いくら巨匠の事務所に勤めていたといっても、恐らくこのような審査は先生が立ち会っているはずだから、結構皆どんな風に審査が進むのかを知るのは難しいのでは?とネットを検索しながら思う。

例えばスリッパは審査員分+県の担当者分を用意すればいいのか?などとお施主さんから聞かれると、確かにそうだな・・・と思わずにいられない。

そんな訳で県の担当者さんに電話をして、聞いてみると、スリッパは用意してもらえれば助かりますが、必須ではないので気にしないで下さいとのこと。そう言われれば逆に気にするのが人間というもの。そうなると、お茶や茶菓子などはどうなるんだ・・・と前日からお施主さんと頭を悩ます。

しかしそんな心配がなんだったかと思うほど、審査と言うのは嵐の様に過ぎ去っていくものらしく、ほぼ時間通りに到着した数台の車が敷地の前に無造作に駐車され、青木淳氏を筆頭に東京から数名の有名建築家などで構成された審査員と担当者さんが降りてきて、さらっと挨拶をしたかと思うとすぐにそれぞれ好きな様に見始める。

お施主さんのご好意で実家より用意してもらったスリッパは当たり前の様に履かれて、それぞれが結構勝手知った感じで歩きまわって、更には気になった納まりなんかを詳しく聞いてくる。流石に事前に提出図面で構成は分かっているだろうが、これはいかんと、建物を一番理解してもらえるルートに沿って各空間を説明し、ぐるっと周囲も回ってもらう。

そんなこんなしているうちに、あっという間に30分が過ぎて、こちらが伝えたいと思っていたことなどはほとんど言えぬ間に「では次もありますので・・・」と嵐の様に過ぎ去っていく審査員達。お茶など飲む時間などは皆無。

審査員として住宅を見るのは皆さんお手の物で、言われなくても見るべきところは分かってるという感じなのだろうが、恐らくどの審査対象作品の建築家も産みの親としては子供の良いところがちゃんと伝わったか一抹の心配を感じずにはいられない夜を過ごすのだろうと想像する。







2012年1月12日木曜日

アジアデザイン大賞2011 Merit賞 受賞のお報せ











昨年夏に竣工しました、熊本の「宮原邸」がアジアデザイン大賞2011のMerit賞を受賞いたしました
日本語でいうと奨励賞みたいなものかと思います。

2011 アジアデザイン大賞 受賞者一覧

DFA Award 2011 Merits Winnersの
「19. Miyahara House MAD」が我々の作品となっております。

MADにとって日本国内最初の住宅作品となりますが、
高温多湿の日本の気候に配慮し、内部空間が3次元的に組み合いながら、
流動的な空間の構成と、室内に様々な風景をつくることができたのではと思っております。

少しでも多くの人に喜んでもらえる建築を作って、
今度は是非もっと良い色の賞をいただけるよう2012年も引き続き頑張っていきますので、
今後とも今まで同様の暖かいご支援をいただければ大変嬉しく思います。

それでは2012年も、どうぞ宜しくお願いします。