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2014年1月19日日曜日

「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain」 黄瀬和哉 2013 ★

これほど人気シリーズになると、一体どれを見たのか?そしてそれぞれがどういう関係性か非常に分かりにくくなるが、押井守、神山健治と続いたシリーズの更なるアニメ化で、公安9課(攻殻機動隊)の創設される前の物語だと言う。その割には、キャラクターが一新されていたりと、どうにも関係性が分かりにくい・・・

黄瀬和哉を監督に向かえ新たなるアニメ化といことで、新しい世界観や映像ならではの表現方法が見られるのか?と期待するがそうでもないようである。

押井守によるアニメ化が1995年に公開され、それから20年近く経った今新たなるアニメ化を見ると、最初の衝撃がどれだけ強く、世界観がどれだけ緻密に構築されていたか。

見終わった後に、残念だが一つの衝撃の賞味期限が近づいて、そろそろ新たなるまったく新しいアニメならではの表現をする作品が出てきてもおかしくないのだろうと勝手に想像を膨らませる。

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スタッフ
総監督 黄瀬和哉
監督 むらた雅彦
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キャスト
坂本真綾 草薙素子
塾一久 荒巻大輔
松田健一郎 バトー
新垣樽助 トグサ
檀臣幸 イシカワ
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作品データ
製作年 2013年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 59分
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2013年7月22日月曜日

「銀色の髪のアギト」杉山慶一 2005 ★

ここ10年くらいのジャパニメーションをざーっと見ることにしている今年だが、その中でどうしてもリストの中に入ってくるようであるこの一作。なんとも深い意味が込められているのかと期待してしまうそのタイトルに重い腰を上げて見始める。

なんでも、300年後の未来の世界は人間の遺伝子操作の失敗によって自然が意思を持ち、人と都市を襲うようになってしまったという設定で、その中でも森と対峙することなく友好的に暮らしているある都市が舞台。

そんなある日、森の中でかつての自然と人類が対立する前の時代に生きた人間が、未来に向けて送り込む希望として冷凍睡眠状態で保存されていた美少女が目を覚まし、そこから自然をコントロールしようとする人間のエゴと、自然と共存しようとする人々との争いがテーマとして描かれていく。

が、様々なところで書かれているように全編を通してどうも既視感が拭えない。科学技術によって自然を支配しようとする人間のエゴと、その反作用としての森の反抗。時間を越えて蘇る高度な技術を持った古代の文明。自然とどうかしてパワーアップし髪の毛の色を変えて飛び回る主人公。

アニメの世界にまったく新しい世界観を生み出した宮崎駿。その影響を受けて思春期を過ごし、アニメの世界に入ってきたであろう製作者達。しかし、宮崎アニメがかつて見せてくれたように、実写でなくてアニメだからこそ描けるファンタジーの世界の魅力である、「誰も見たことのない世界」というのが、とてつもない創造力が下敷きになっていたということを返って浮き彫りにしている。

建築の世界でもそうであるが、まったく新しいことを始めるのは確かに難しい。新しいことがいいのかどうか、それは別にして、誰も見たことのない新鮮な価値観を想像することは、まさに天才のひらめきが必要であろう。

それでも想像された新しい価値観の上の延長線上でも、何かを更新していくこと。やり続けることのその先にきっと何か新しいことがあるのだろうと信じていること。外から見れば、小手先のパクリや、真似事の様に見られても、自分の中で新しい何かを見ていればそれはそれでいいのだと思う。

が、その何かがこの物語の中に、この映像の中にあるのかと問われれば言葉に窮する。同じように建築を設計しても、一度完成すれば必ず社会性を持ってしまう建築物だけに、背間は好き勝手にものを言い始める。その時に同じように自分達の中で見えている何かを持っているかどうか、そのことに思いを馳せずにいられなくなる一作。

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スタッフ
監督 杉山慶一

キャスト(出演(声))
勝地涼 アギト(声)
宮崎あおい トゥーラ(声)
遠藤憲一 シュナック(声)
古手川祐子 ヨルダ(声)
大杉漣 アガシ(声)
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作品データ
原題 Origin Spirits of the past
製作年 2005年
製作国 日本
上映時間 95分
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2013年5月12日日曜日

「イノセンス 」押井守 2004 ★★★★★


前作よりも圧倒的に洗練された様子の映像。そして恐らく同時期に制作されていたと思われる、「東京スキャナー」との類似点。恐らく作者の中には、「機械を通してみたこの世界」という、今まで誰も作りえなかった映像の姿が、明確に頭の中に描けているのだろうと想像する。

開くまでも世界観は香港をベースとしたミックスされたアジア。辛うじて物語から彼らが属するのは日本という国だと分かる程度で、映像からいわゆる「日本らしさ」という風景は一つも見えてこない。

アンドロイドによって引き起こされる持ち主の殺人事件。少佐が消えてから、喪失感を抱えるバトーを主人公にして物語りは進み、しっかりと前作で敷かれた伏線がここでも意味を持って登場する。

一体何処まで構想して作品を作り始め、どこまでも一作目で切り取るかと決断したのだろうと、その勇気に想いを馳せながら、再度、ここまでの世界観を成立させる細部とプロットへの作りこみに、作者の非常なる想像力に圧倒される一作。


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スタッフ
監督 押井守
原作 士郎正宗
脚本 押井守

キャスト
大塚明夫
山寺宏一
田中敦子
大木民夫
仲野裕
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作品データ
製作年 2004年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 99分
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2013年5月11日土曜日

「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」 押井守 1995 ★★★★★


1995年公開ということは、今から20年前の1993年には相当なところまで詰められていたということになる。相当レベルの高い想像力である。かつて見たときは恐らく「マトリックス」に影響を与えただとか「ブレード・ランナー「や「2001年宇宙の旅」などと並び、未来を描く作品の金字塔の一つとして良く語られるからとにかく見ておこうというような流れで、しっかり理解したかと言えば相当怪しいものだったはず。

士郎正宗による漫画が原作で、2029年を舞台としたSF作品ではあるが、その原作の構想力もさることながら、漫画というコマの世界から立体の都市の中で動き回る3次元の世界に立ち上げる時に、世界を補完するするために挿入される作者の想像力。

SFという近未来を描く作品では、どうしてもその物語りの背景となる社会情勢を説明することになる。それがあまりにも現在とかけ離れてしまっていると、その説明に多くの時間を要するし、様々な知識レベルの見ている観客全員に分からせようとすれば、それこそ小学校5年生にするような説明になってしまい、作品の品格はあっという間に損なわれてしまう。

そこで物語の序章部分で、説明らしくならずにそれでも物語の背景となる社会の姿を描き出す必要があるのだが、その理解の手がかりとなるような、現在の世界から理解しうる伏線を引くのが一般的だが、あまりに世界観が完結し、完成されているからなのか、そのようなおざなりの説明的シーンを取っ払って物語りは進行する。

その妥協の無さ。それを成し遂げるために、世界観を昇華させるたまのディテールへのこだわり。プロットの作りこみ。物凄いプロフェッショナルなチームの存在が感じられる。武器に関しても、電子技術、インターネットの世界の未来像、ロボット技術の発展とその後に起こるであろう問題点、現実と虚像の曖昧化とそこに現れる新たなるアイデンティティー・クライシスの形、電子時代における国家間の争いなど。その世界観が本当によく構想されている。その一つ一つに破綻がない。

それは登場人物の一つの台詞にも現れており、その台詞の裏づけがしっかりとれているのだろうと想像する。登場人物の中の一人に今の台詞について質問しても、おそらくすらりとその根拠について答えるだろうと思わせる。やはりこれがトップ・クリエイターと言われる人物の作品。そして各分野のプロフェッショナルが集ってつくることの成せる業。こういうものを見てしまうと、ハリウッドに対抗するよりも、こういう形である種の職人技的作品を世界に発表していくほうが、よっぱどその性に合っているという気がする。また、一人で妄想と狂気を抱え込み、それを自らの手で磨いていくことの差が明らかになるような気がする。

押井守といえば、かつて展示空間の設計を担当した「美麗新世界」という展覧会にて「東京スキャナー」という作品を出展しており、「これこそ新しい日本の映像作品の方向性だ」と、東京画廊の田畑さんとも話していたのを良く覚えている。

「東京スキャナー」は六本木ヒルズのオープニングに合わせて発表された押井守監修作品で、まるで地球外生命体が地球にやって来て、東京という街がどのような生態系を持ち、どのような生物が住んでいるのかをシュキャニングしていくという作品。そのアニメ的なカメラワークを現実の映像と融合させることで、今まで見たことの無い東京の姿を映し出すというもの。

この「攻殻機動隊」は「エヴァンゲリオン」とほぼ同時並行で世に出せれた作品であり、それまで未来、ロボットといえば「ガンダム」だった時代から、その硬質な機械の未来像から、透明で、粘々した、そして感情をもったアンドロイド像へと未来像を変換する。「エイリアン」の示した新しい未来に、さらに情報技術を融合させてようなものである。

その世界は極度の電脳化によって、脳へのハッキングが頻繁に起こることになる。これは後の「パプリカ」「インセプション」の世界に踏襲されていくことになる。ほぼ人間と見分けの付かなくなったサイボーグたち。感情も電子で作り出され、その先にたどり着くのは、自分が自分であることの根拠、つまりはロボットのアイデンティティ・クライシスの問題。こちらの主題は後に「イヴの時間」へ通じることになる。

虚構と現実が入り混じり、「人形使い」と言われる高度なハッカー相手が「ゴースト」を「義体」に入れ込みながら探し出したのは、鏡に映ったもう一つの自分。生命体と自分を定義するためにかけていた最後のリング。それは次世代を残すという生殖能力。そのつがいの相手。

とにもかくにも、原作の力も、それを映像化した作家の力、そしてそれをバックアップしていくチームの力。20年たった今でも全く古びないその世界観は、世界で評価されるのに相応しい名作である。

2013年5月5日日曜日

「鉄コン筋クリート」マイケル・アリアス 2006 ★★★★★


オシャレ漫画の代名詞のようなものだと思っていたこの「鉄コン筋クリート」。頭の片すみにちょっと引っかかっていた程度なので、松本大洋の名と「鉄筋コンクリート」として記憶されていたが、よくよく見ると「鉄コン筋クリート」なのだと改めて認識。

恐らく原作の完成度がとにかく高いのだろうが、鉄筋コンクリートを扱う建築の世界に身をおいているとよく分かるが、ある場面を想像した時にその角度からだけ成立するのなら、比較的簡単に素晴らしい建築は構想できるだろうが、それが空間を自由に動き回る現実の世界においても成立させるためには、何十倍もの気を遣って立体物としての建築を構築していくことになる。それを街というレベルで行うのは、相当な想像力と破綻を起こさない緻密さが要求される。

それが原作のレベルで成し遂げられていたのか、それともあくまでも2次元の漫画の世界から3次元のアニメの世界へと飛躍させるときの制作チームによってなのかは分からないが、とにもかくにも舞台となる街、その街を自由に「飛びまわる」クロとシロ。それを追いかけるカメラワーク。どこから見ても、その舞台に破綻が見えない。これは凄いことだと思う。

しかもその街並みが、どこかの風景の綺麗な田舎で写真を撮ってはパソコンで再現したようなヌルイものではなく、アヤソフィアがど真ん中に鎮座して、アジア中の神様のモチーフが散りばめられつつも、日本の路地が入り組んで、昭和の香りのする商店街が連なって、とにかくごちゃごちゃしているが成立しているということ。それを成立させるための執念のようなディテールの描き込み。

パプリカ」の映像でも、これだけ不思議なものを統一感をもって映像化するのはものすごい想像力と技術力だと思ったが、「パプリカ」に無かったのは総体としての枠組み。それがこの「鉄コン筋クリート」では、「宝町」として総体を持つ街として存在し、境界線を持つ実体として描かれる必要があるということ。

「街」というのは、どんなにその創成期に都市計画として神からの視点で描かれたとしても、「生活の場」として使われるうちに、様々な人が、様々な使い方をして、青図とはまったく違う姿を見せていくものである。トップダウンからボトムアップに変わる瞬間が間違いなく存在し、その瞬間から一つの生命体の様に日々姿を変えていく。

その人々の息吹とでもいうべき、足元で繰り広げられる様々な事象が、「街」を生活の舞台へと変換し、それがその場の豊かさ、魅力へと変わっていく。そしてそれは決して最初からは設計できないということを、世界中の建築家が既に知っている。

そんな存在しない「街」を想像し、生活の雰囲気までも創造していくその能力はまさに圧巻。様々な要素が盛り込まれているのだけども、通常そういうものはすぐに何人もの別のデザイナーが関与した取りとめの無い、曖昧なとってもつまらないものになってしまうのだけれど、様々なアイデアを盛り込むのをギリギリのラインで止めておいて、あくまでの一人のクリエイターの見た夢として統一感を与える。

「こちら地球星日本国白隊員。応答どーぞ」

目の離れたシロが、確かな人格をもった人物として徐々に認識してしまうように、その声優である蒼井優の演技もまた素晴らしい。

漫画原作というのは、どうにも好きになれないものだが、ここまで突っ走られると文句のつけようも無いというもの。明らかに00年代のトップに君臨するジャパニメーションであると思われる。

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監督 マイケル・アリアス

キャスト
二宮和也クロ
蒼井優シロ
伊勢谷友介
宮藤官九郎
田中泯
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作品データ
製作年 2006年
製作国 日本
配給 アスミック・エース
上映時間 111分
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2013年4月30日火曜日

「イヴの時間 劇場版」吉浦康裕 2010 ★★★



ここ10年近くで話題に上がったアニメ作品にざっと目を通そうと調べていると、なかなか評価が高そうなこの作品。

近未来の日本が舞台で、各過程に人間型ロボットであるアンドロイドが様々な生活の手助けをするのが当たり前になっている社会。

見た目もほぼ人間と変わらず、唯一頭の上に浮かぶホログラムのような円環のみがロボットだということを示す唯一の印。

社会もその状況に対応すべく、ロボット法なるものが存在し、「人間を傷つけない」などの条項が設けられるようになる。

そうなると必然的にもちあがる、「ロボットは感情を持ちえるか?」という問題。

それは同時に「人間はロボットを人間同様な感情をぶつける相手としてみることが出来るか?」という葛藤にもつながる。

そこで選ばれるのは、感情の揺れ動きやすい高校生の二人の男子。

一人は家のアンドロイドが可愛らしい女性で、そのアンドロイドが最近命令に無い場所に入り浸っていると疑問に思いだす。もう一人は小さなころから自分の世話をしてくれていたロボットがある日を境に自分に対してなんら言葉を発さなくなり、友達だと思っていたのに裏切られた、もうロボットなんか信用しないと心を閉ざしている高校生。

そんな二人がアンドロイドが立ち寄っている場所に足を向けて見つけるのは「イヴの時間」という喫茶店。その喫茶店のルールは「人間とロボットを区別しない」という一項だけ。ここではアンドロイドもその頭の上の円環を消して、人間と同じように振舞い、他の人と交流をする。その場にいる誰が人間で、誰がロボットかすら分からない状況。

そんな表のストーリーがありつつも、裏のストーリーとしては人間とロボットが感情的な交流を持つことに対しての危機感を持つある組織が操作を開始し、その組織の動きをまた別の組織が見張っているらしい様子も描かれ、その設定や技術的背景、登場人物のつくり込みなど、なかなかの緻密さを感じさせる内容になっている。

テクノロジーが発達すれば、必然の用に日常生活の中で機械が果たす役割は増えていく。その「技術的事実」だけを描く近未来映画は多々あるけれど、それによって人の感情がどのような影響を受けるか?機械の側がどのような問題を持ちえるか?社会として何が危険視されるのか?というところに目を向けるのは、更に総合的な視点が必要で、そういう意味では未来を描く作品の中で、一歩も二歩も抜け出ている、そんな印象を受けずにいられない。

ジブリ作品など過去の作品へのオマージュかと思うくらいの既視感を感じさせる作品とは大きく違い、絵の描き方も、各キャラの設定も独特で、ズームとかカメラワークが如何にもロボットっぽく実写でもアニメでもない3DCGならではの描き方も心得ていて、非常に好感の持てる内容であり、ぜひとも次の作品も見てみたいと思わされる良作。
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スタッフ
監督・原作・脚本 吉浦康裕

キャスト
福山潤
野島健児
田中理恵
佐藤利奈
ゆかな
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2013年4月13日土曜日

「雲のむこう、約束の場所」新海誠 2004 ★



「ほしのこえ」の新海誠が挑んだ長編アニメ。

個人製作から大きなチームでの製作に移行し、その規模も世界観も作画の緻密さもより一層向上した様である。

一見なんのこともない青森の風景だが、実は戦後に津軽海峡を南北にして国が分断され、青森から見える北の風景にはすっくりと聳え立つ一本の巨大な「塔」。その直線が自然を背景にした中でどう人工性を描き出すかは言わんまでもないが、また同時に様々な人にとって目的地や思い出など、様々な意味を持つ「塔」の効用を良く描いている。

ローカル線を待つほのぼのとした風景や、木造校舎の中学校などのレトロな雰囲気と、位相変換を行い異宇宙との接合を行うような科学的発展の異種勾配がつくりだす異様な世界観は前作同様で、そこに中学生であった主人公達の揺れ動く感情が重ねられる。

乗り物のデザインや建物のデザインなど、前作よりも独自性が見えてきているように感じられるが、つっこみどころ満載のストーリーはあまり作りこまないという作者の意図も感じられるが、同時にその感傷的でナイーブな世界観もまたより一層加速されているようである。


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スタッフ
監督 新海誠
原作 新海誠
脚本 新海誠
キャラクターデザイン 田澤潮
絵コンテ 新海誠

キャスト
吉岡秀隆 藤沢浩紀
萩原聖人 白川拓也
南里侑香 沢渡佐由理
石塚運昇 岡部
井上和彦 富澤
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作品データ
製作年2004年
製作国日本
配給コミックス・ウェーブ
上映時間91分
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2013年4月8日月曜日

「ベクシル 2077日本鎖国」曽利文彦 2007 ★


何百年後ではなく、数十年後の近未来。

一見現在と変わりないが、よくよく見ると生活の様々なところに明らかに変化がでていて、それを可能にしているのが最先端のテクノロジー。

そんなのが一番説得力のある未来の描き方ではないかと思う。そしてその近未来の社会の姿は現在のテクノロジーから十分に予想がつくものであるはずである。

そんな訳で50年後ほどの未来の世界をモーションキャプチャーを使って描いた3DCGの作品。ジブリ作品に見られるように、あくまでも2次元を主体としたジャパニメーションの中ではやや異端の位置に属するであろう作品だが、ロボットの質感や動き方など実写にどれだけ近づけるかを見せながらも、芸に溺れずしっかりとアニメだからこそ描けるものをしっかりと描いているのは好印象。

バイオテクノロジーとロボット産業の分野で圧倒的な力を持つ国際企業「大和重鋼」。国際社会が規制を求めるが、国家すらも支配に置いたその企業は、国際連盟から脱退し、物理的にも情報面でも一切の国外と交渉を持たないハイテク鎖国を開始する。

それから10年。日本国内の様子がまったく分からない国際社会。不穏な動きをキャッチしたアメリカ軍特殊部隊SWORDは日本への極秘侵入を試みて、その一人であるベクシルが日本国内のレジスタンスと協力し「大和重鋼」に立ち向かうというシナリオ。

もちろん細かいつじつまの合わないところや、気になるところは沢山あるが、大きなプロットとしては十分に魅力的な流れであると思われる。漫画原作や小説の映画化ばかりの現代の日本の映画界で、これだけオリジナルなプロットをつくったというのは相当なことであるだろう。

恐らくハリウッドでこんな企画書が持ち上がったら、軍、IT、ロボット、政治、企業、傭兵、医療など様々な分野の専門家が集い、プロットの内容を細かく検証し、それぞれの分野の最先端の技術とこの先に予想される技術的革新を踏まえて現実味のある精緻なプロットへと昇華させていくのであろうが、さすがに今の日本とこの作品のおかれた立場ではそこまで理想的なバックアップは望めない。

兎にも角にも、少なくとも近未来の日本の姿を描いた作品であり、それは限られた分野にすべての力を集中させて、外部との交渉を一切絶ち、自ら信じる価値を高めることで国際的な存在力を維持していく。多様性の中から生まれるイノベーションよりも、隔離の中で発生する純粋培養の可能性。こうして書くと近隣の国の姿が思い起こされるが、想像力は未来を見るための道具であり、そうして始めて未来に向かって薦めることを改めて教えてくるような作品であろう。


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スタッフ
監督曽利文彦
脚本半田はるか

キャスト
黒木メイサ
谷原章介
松雪泰子
朴路美
大塚明夫
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2013年4月5日金曜日

「星を追う子ども」 新海誠 2011 ★



00年代からのアニメ業界がどんな動きになっているのかをちょっと調べてみると、そこかしこで目にするこの作者の名前。賛否両論はあるものの、一過性のものとは思えないほどに、間違いなく時代の一プレイヤーとしての地位を得ているようで、これは「見ておかないといけない作品」のようであると判断しての鑑賞。一番洗練されているであろうということで、最新の作品から遡ることにする。

ネット上ではいろいろと言われているようだが、それはともかく、以前の作品に比べてもちゃんとストーリーも練られていて、黄泉の国と地下世界と古代文明という分かりやすいテーマに少年少女の恋というアニメの永遠の主題が加わって、それなりに最後まで見れるし、作者のかつての作品でもでてくる「アガルタ」という言葉が世界観をもって描かれて、その風景もそれなりにスケールの大きさが感じられるようになっている。

言われるような既視感は拭えないが、一部で圧倒的な支持を受けているというのも確かに分かるような一作。


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スタッフ
監督・原作・脚本 新海誠
音楽 天門

キャスト
金元寿子
入野自由
井上和彦
島本須美
日高里菜
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作品データ
製作年 2011年
製作国 日本
配給 メディアファクトリー、コミックス・ウェーブ・フィルム
上映時間 116分
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2013年4月4日木曜日

「千年女優」 今敏 2001 ★


演じることは時間を飛び越えることなんだと改めて思い知る。
それはある種のタイム・トラベルに違いない。

一人の女優の生き様を彼女の人生と、その中で演じてきた役の人生を横断しながら、ドキュメンタリーとして客観的な第三者を介入させる。その後に展開する監督の夢と現実の横断を先取りするかのようなストーリー。

「彼女が追い続けた男は誰か?」
「どこに行ったのか?」

という軸では、次から次へと変わる設定が「またか・・・」の繰り返しに陥るのを避けられるかと言えば少々辛い印象。「演じる」ことが「タイム・トラベルなんだ」という軸に匹敵するくらいのもう一つ大きな軸が必要だった気がせずにいられない。


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スタッフ
監督 今敏
原案 今敏
脚本 村井さだゆき

キャスト
荘司美代子 藤原千代子(70代)
小山茉美   藤原千代子(20~40代)
折笠富美子  藤原千代子(10~20代)
飯塚昭三  立花源也
津田匠子  島尾詠子
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2013年3月7日木曜日

「Perfect Blue」今敏 1998 ★★


今の日本ではどこにでもありそうな、アイドルから女優へと転進を遂げていく主人公とその周りに蠢く様々な人の想い。

ふわり、ふわりと浮遊していく姿や、夢がいつの間にか現実へと浸食していく感覚はまさに後の「パプリカ」への発展を暗示する。

ネットとバーチャルの世界で個人としてつながることが可能になったアイドルとオタク。目覚めたと思ったら、また夢の中。その入れ子構造の中で、どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが自分なのか次第におぼろげになる境界線。

底の無い沼に引き込まれるような、「ネット」という匿名世界によって解放されら人々の「欲望」。曖昧になった境界線は、自分の好きなように解釈され、引き直される。どこまでも自分の意識の世界だと。

現実の世界ではそれこそ起こりそうなサイコ・スリラー物。それがアニメの世界になることでその異常性がより強調される一作。

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スタッフ
監督 今敏
原作 竹内義和

キャスト
岩男潤子 霧越未麻
松本梨香 ルミ
辻新八 田所
大倉正章 内田
秋元洋介 手嶋
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2013年1月28日月曜日

「パプリカ」 今敏 2006 ★★★★


アニメにしかできないこと。アニメにしか描けない世界観。それよって様々なクリエイターやデザイナーに刺激を与える。その価値観を意識的かそれとも無意識的にかは別にしてしっかりと見据えていたからこそ、現在の日本のアニメ文化、ジャパニメーションがこれだけ世界中で文化として認知されているのだろう。

バイオハザードのようにCGが如何に実写に近づくかではなく、アニメというヴァーチャルな世界の中だからこそできり映画の撮り方。そのコマ割り。世界観の構築。未来の在り方。

そういう視点から見ていくと、歴史上評価されてきた、もしくは偉大な映画監督に影響を与えた作品というのはやはり限られてくるであろう。

映像作品として歴史に名を残すにはその世界観、ストーリー性、撮影方法などすべてにおいて高いレベルを要求されるが、その全ての点で高得点を獲得し「名作」として名があがってくるのはいつでも「アキラ」、「攻殻機動隊」、「宮崎駿の一連の作品」とお決まりになっていたところに、21世紀になってサマーウォーズなどの作品が新しい風として名乗りを上げてきているというのが現状である。

建築の世界で生きていると、このように未来を描く想像力豊かな映像作品はいつでも様々なところで引用され、「知っておくべきこと」として頭の中にインプットされている。そして知らず知らずの上でその動向にアンテナを張っていることが常となるのだが、ついついのサボり癖で、0年代初頭までしかキャッチアップしてなかった。

しかし10年代に突入し、その世界でもほぼプレイヤーが固まってきた感のある最近。重い腰を挙げてこの十年のアニメ事情を勉強するかと調べ出すと、上記の名作を超える評価を得たと、いろんなところで取り上げられているのがこのパプリカ。

原作含め全くの勉強不足・・・。映画の制作プロダクションをしているフランス人の友人と食事をしている時にこのパプリカの話になるとやはり知っている様子。このフランス人の友人は日本オタクでとにかく物知りな上におしゃべり好きなので、何か話をふってあげるとずっと喋っているので、その間に出てきた食事を食べ進めるという作戦が有効である。

それはさておき、パプリカ。人の夢に入り込むというインセプション的な内容にも関わらず、その世界観は科学の進化した未来という感じからは程遠く、あくまでもアキハバラ的なオタク世界の延長線上に位置し、その映像もまた見事。各コマの中で、ここまでディテールで破綻することなく映像を作り上げるには相当な想像力を要するだろうとゾッとする。オリエンタルな雰囲気も併せ持ってアメリカでの上々な興行収益というのも納得。

ストーリーは原作の筒井康隆に依るのだろうが、それに目をつけ、キャラクターに真の命を吹き込み、行の間に見える360度の世界を構築していくそのクリエイティビティティー。監督の今氏が脳裏に見たであろう毒々しい世界がとても新鮮。とにかく音楽含めて素晴らしい。デジタルの刺激に慣れすぎて何も新しくない世界において、それでも圧倒的な刺激を与えてくれて、アニメのあるべき姿を見せてくれる必見の一作。


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スタッフ
監督 今敏
プロデューサー 丸田順悟
制作 プロデューサー 豊田智紀
企画 丸山正雄
原作 筒井康隆
脚本 水上清資・今敏

キャスト
林原めぐみ パプリカ/千葉敦子
江守徹   乾精次郎
堀勝之祐  島寅太朗
古谷徹   時田浩作
大塚明夫  粉川利美
山寺宏一  小山内守雄
田中秀幸  あいつ


2010年7月13日火曜日

「サマー・ウォーズ」 細田守 2009 ★★



映像系の仕事をしている友人が、興奮気味に「あれは良かった。ぜひ見るべき。」と薦めてきていたのを思い出し、「せっかくなので・・・」と手にとってみて一作。

近未来の日本はデジタル・メディアが発達して、今では想像もつかないほどにヴァーチャルとリアルの世界の境界線が曖昧にあり、複雑に入り組むようになっている世界観を構築しながらも、信州上田というとんでもない「ローテク」な田舎を舞台にし巻き起こるドタバタ劇。

高校の憧れの先輩に夏の間の彼氏役というバイトを頼まれ向かう先輩の実家の長野。名家だけあって、とんでもなくデカイお屋敷と、いろんな人が出入りする大家族像。そこで迎えるのは大婆ちゃんの誕生日会。

仮想空間OZで繰り広げられるAIの攻防。アメリカ軍から探査衛星なども登場し、とても複雑なプログラミングを打ち出したかと思えば、結局は「花札」というゲームで「こいこい」と勝負が決められたりと、しっかりとデジタルとアナログのバランスをとっていく。

全編にわたってちりばめられるその独特な映像表現は、何かのキノコを食べたときにでも見えてきそうな毒々しくも魅惑的な世界観。「時をかける少女」に続いてのアニメ作品ということで、期待も大きかったために賛否両論あるという作品だが、映像的にみたらそこまで飛びぬけているかといったら疑問符もつくだろう。

しかし、原作が監督である細田守自身の作だと知ってしまうと、「花札」のルールからOZの設定まで考える思考力と、そして各シーンの細部まで破綻していない世界観を作り出す想像力の絶妙なバランスを考えると、やはり凄い才能なのだろうと思わずにいられない。

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監督  細田守
原作  細田守

キャスト
神木隆之介 小磯健二
桜庭ななみ 篠原夏希
富司純子  陣内栄
谷村美月  池沢佳主馬
斎藤歩   陣内侘助
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