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2014年2月16日日曜日

数多の項目

数週間先に迫った来たモスクワの都市計画のコンペの締め切り。
現場が進み今年中には竣工を目指すハルビンのオペラハウス。
シンガポールよりのマレーシアの海上に浮かぶ新しい都市計画のプレゼン。
日本で設計をした住宅のその後の寒気への対応。
北京の798アート地区に計画されている美術館の提案。
朝阳公園脇に計画中のオフィスビルのファサード・コンサルタントのワークショップ。
アモイで進むアパレル会社の本社ビルの内装デザイン。
泉州のコンベンション・センターのプレゼン。
黄山で第一期が既に建設中の住宅プロジェクトの第二期の設計。
南京で進むオフィス地区の設計。

進行中のプロジェクトはそれぞれのプロジェクトに5-7人のチームを組むことになる。プロジェクト・アーキテクトを中心に、数人のフルタイムのメンバーと、それをサポートするインターンの学生達。

それぞれのプロジェクトには、クライアントがいて、LDIと呼ばれる地元の設計会社がいて、様々な分野のコンサルタントがいて、それぞれがそれぞれの役割をもって全力でプロジェクトに関わっている。

毎日多くのやり取りが行われ、でてくるのもののほとんどは「あれはできない、これは無理」という難題ばかり。それをどうにか頭をひねり、知識と経験を駆使して、なんとか良いアイデアで実現できるようにと考える。そしてそれを人に伝える。

そんな構築的と言うよりは、どちらかというとマイナスをなんとか少なくする為に時間を過ごす毎日である。

各プロジェクトですら一日に行わなければいけないこと、進めなければいけない項目は数多になる。それが10を超えて、その全てを見てやり取りをしていかなければいけなくなると、それはある種曲芸の様なものである。

ウツウツとするような時間も与えられず、ひたすらに短時間に如何に効率よく処理をして、指示をしていけるかだけ。現状に文句を言う暇があれば、少しでも自分の能力を高め、そのスピードを増して、経験値を上げて見えることを増やしていくしかない。

恐らくどこかで臨界点は来るのだろうと思うが、それまではできるだけ職業的能力の向上を自分に課して、何処までいけるか試してみるかと自分を納得させてまた机に向かうことにする。

2012年11月20日火曜日

伸びきったゴム

「I'm very stretched....」

stretch;〈神経などを〉極度に緊張させる, 張りつめる;((〜 -selfまたは受身))〈人が〉能力[限度]いっぱいに働く

頭の中に思い浮かべるのは、ダラダラに伸び切ったゴムのイメージ。これ以上どんだけ引っ張っても何も出てこない感じか。


朝一から大連市の海辺に計画している新しい文化複合コミュニティアイランドの打ち合わせを、チームとパートナーと一緒に行う。約一時間かけ大きく二つの方向性を確認し、チーム内で各メンバーがどうやって進めていくか、フルタイムのスタッフがスタディをし、インターンがリサーチをしていく。30万平米の敷地に35万平米の延床面積の巨大プロジェクトで陸地からの見え方や高さ方向の決定方法など、検討項目は山ほどになる。

いくらオフィスでこなすプロジェクトが増えようとも、同じメンバーでこなさなければならず、出来るのはその効率を如何に向上させれるか。オフィスにいるすべてのメンバーがやることが無い時間をなくすこと、何をやっていいか分からずに無為に過ごす時間をなくすこと、それが至上課題。多くのプロジェクトが同時に進行中なので、少ない人数で明確な進行をはかること、それがオフィスを回していく上で非常に重要になる。

一時間の打ち合わせを終えると、昨日(日曜)の夜に、こちらも二人のパートナーとチームと一緒にレビューをした南京で進行しているプロジェクト、38万平米の敷地に、こちらも38万平米の延床面積という都市計画レベルのプロジェクト。夏に行ったコンペを勝ち抜き、来年度の施工開始に向けてものすごい勢いで進んでいくプロジェクトには、フルタイムが5人とインターンが2人の計7人体制。商業、オフィス、住居、文化と機能的にもかなり複雑であり、更に空中都市を夢見るクライアントの要求に応えるべくさまざまな挑戦が求められる。明日の夜までにまとめないといけない資料に向けて、誰が何と担当して進めていくか?それを明確にして、誰もが悩まないように、どんなダイアグラムを作り、どんな図面を作成し、何を3次元で立ち上げ、どんな角度で、どんな色合いのパースをつくるのか、一人一人に指示を出していく。

それが終わるとこれもハルビンで現在建設中の文化施設周辺のランドスケープデザインのための照明を担当する照明コンサルタントに、プロジェクトの概要を説明し、どのような照明効果を期待しているかを共有していく。質疑をあげてもらって問題が無いようにしたら、求める資料をいつまでに、どのように仕上げてもらうかを協議する。

それが終わると、アモイで進行中のアパレル会社の新社屋のプロジェクトのプロジェクト・アーキテクトとマネージャーと一緒に、迫ってきているSDパッケージの提出について、どのような進行状況かを確認して、何を準備するかを指示。それと共に、プランニングと平行して進んでいるファサードのデザインの方向性がオフィスとして固まってきたので、再度パースを作り直し、ファサード、構造、環境の各コンサルタントに伝えるようにお願いする。

下階の会議室では、ハルビンで建設中のオペラハウスのクライアントが来ていて、ランドスケープ・デザイナーの進行中の案を精査しており、オペラハウス周辺を担当するオーストラリア人のデザイナーと、全体を担当している中国の会社との調整をいsている。各コンサルタント会社から担当している3-5人が来ているので総勢40人近い人数になってしまうのだが、昼食時になったので打ち合わせの状況を知る為に、オフィスの担当マネージャーを連れ出して一緒にランチに。

ランチを食べに行く間も、注文する間も、食事が運ばれてきて食べている間もずっとそのマネージャーの携帯はなりっぱなしで、「こういうコミュニケーション関係の仕事は本当にしんどい・・・」と愚痴をこぼすのを、「君しかこれはできないからさ。」と励ましながらランチをかきこむ。

つかの間のランチを終えてオフィスに戻ると、そのマネージャーはまた始まっているオペラの打ち合わせに消えていき、こちらは毎週月曜日の恒例行事となってしまっている、応募して来てくれているインターンのポートフォリトとCVをチェックし、どの国のどの学校のどの学年で、どのレベルの学生が精査し、現在進行中のプロジェクトのスケジュールと、彼らが来れる時期を考慮し、現在いるインターンとこれから来るインターンの男女比や国籍比などを考慮して、返事を送る数人をオフィスのマネージャーと一緒になってピックアップしていく。

それが終わると日本で始まった保育所兼住宅の設計のために、中国で進行するような大きなディベロッパーがやる大規模のプロジェクトではなく、数百平米で内装まですべてを手がけて、法規的な理解も必要になってくるので、元フォスター事務所で細かいところまで手の届くドイツ人のスタッフを担当にして、日本人のインターンを翻訳担当として入れて、もう一人ハンガリーからのインターンと一緒にチームを組んで、プロジェクトの概要を説明し、最初のリサーチと設計の前段階になる資料の準備をお願いする。

このくらいの時間になると、午前に打ち合わせをした各プロジェクトごとにテーブルを回って、進行を確認し、方向性に間違いが無いか確認していく。スケッチや言葉ではどうしても逸脱していってしまう方向性を画面を指差しながら修正してもらう。各チームは3-7人構成なので、それを5-7プロジェクト見ていたらそれこそ数時間後とに様々なデスクを走り回ることになる。

それが終わると、今度はオペラハウスの外装材とランドスケープデザインに関して、二人のパートナーと一緒にプロジェクト・アーキテクトとマネージャー、そしてファサードを担当している担当者を交えて議論をする。どうしても、中国の現在の施工精度を考慮して、その現場施行性の悪さすら飲み込んで、滑らかなファサードを実現するディテールを作り出そうと、何が一番いい方法かそれこそ言い争うように必死に議論する。

最後は8時からまた二人のパートナーと一緒に、昨日レビューをした南京のプロジェクトの進行状況を再度確認し、デザインの方向性をまた決めていく。明後日の上海でのプレゼンのために、どういう資料を揃えていくか議論し、再度打ち合わせを踏まえてチームメンバーと誰が具体的に何を作っていくのか話し合い、それが終わったらほぼ10時前。

こんな時間の過ごし方をした一日は、「どのプロジェクトのどのコンサルタントに連絡しようと思っていたのか?」すら分からなくなり、「どのプロジェクトのどのことを話し合って、何を変えなければいけないのか?」それすら分からなくなる。

苦しいといっても何も解決されないわけだから、ただただ出来るのは、自分の能力が足りないからだと自らに言い聞かせる。さっさっと指示して、みんなにスムースに動いてもらって、正確に無駄なく、良い設計を作っていける。そんな一個の生命体の用に事務所が動いていけるように何をできるか、考えながら完全に神経のゴムを伸びきらせて、また頭を働かせながら自転車を飛ばして家路に着く。

2012年8月15日水曜日

アモイ出張

今進めているプロジェクトの中でかなり重要なステージにあるのが、アモイで進めているあるアパレル会社の新社屋計画。

やっとSDの承認がおり、PDを進めながらも、ファサード、ランドスケープ、照明、構造、キッチン、インテリアなど沢山のコンサルタントがそれぞれの担当部分の設計を進めるのと歩調を合わせつつ、内部の公共的空間のインテリア・デザインも受け持つことになり、そのコンセプト・デザインのプレゼンにやってくる。

このアモイ。中国語では厦门と書いてシャーメン(Xiamen)という。では、このアモイという名はどこから来たのか?というとかつて、ご当地の方言での発音を英語表記にした時の表記から来ているということらしい。

アモイは福建省の港町で、アヘン戦争後、国際的に開港され、イギリスを代表とする帝国主義国の租界が築かれたこともあり、今でも海岸沿いには当時の西洋様式の建物を見かけることができる。海を渡ればすぐに台湾があり、金門県を通しての往来も多く、街にも多くの台湾料理屋を見かけることができる。ちなみに福建省の省都は福州市(Fuzhou)で、アモイよりもやや北東に位置する。

アモイには世界遺産に登録されている有名な土楼が存在するので、これはプロジェクトが竣工するまでになんとか一度は訪れてやろうと思っているが、アモイは空港が非常に市街地に近いところに位置しており、また北京からも飛行機で2時間40分ということもあり、朝一の便に乗れば昼前にはアモイに到着し、午後一からの打ち合わせに間に合うことができる。夕方に打ち合わせが終れば、最終の21時の飛行機に乗って、北京に23時過ぎに戻ってこれるので、ギリギリ日帰り出張が可能な境界線となる。

ランドスケープ・アーキテクトはシンガポールからやって来て、同じくコンセプト・デザインのプレゼンを行い、その後各フロアの機能の配置について説明をし、その後インテリアの説明に。

全体のコンセプトから、メイン・エントランスから中心部の縦方向の動線空間であるアトリウムから各フロアに分散された展示空間とオフィス空間。多機能空間と地下の食堂、アトリウムを見下ろす会議室と、最上階に広がるラウンジと 社長さんのオフィス空間。

中国語での挨拶の後、間違いが無いようにと英語で説明をし、同行する中国人スタッフがその都度、翻訳して説明を行う。その後各フロアのプログラム配置を説明し、決定権を持つ社長さんの意見を貰うことに。

そうすると、自分のオフィスに行って話そうということになり、スタッフとディベロッパーの担当者と一緒に、階下のオフィスの中を突っ切って、彼のオフィスに通されると、おもむろに何枚かの写真を持ち出し、「中心の空間にはこれが必要なんだ」と、より開放的な空間の写真を見せられる。

これをするためには、根本的な構造の変更をしなければいけないし、それを行うと行政に提出したSDの資料の再提出になり、大幅に竣工も遅れるし、この空間は現状案の空間のよさとは少し違う方向性にあるということをとうとうと伝えるが、「これは自分のオフィスで、スタッフが働いたり打ち合わせをしたりしているところを見える必要があるんだ。どんなに変更になろうとも、自分はかまわない。こういう空間を作ってくれ。」という言葉に、プロジェクトを預かって資産管理をするディベロッパーの担当者も、プロジェクト管理を行っているマネージメント会社の担当者も青ざめた顔でこちらを見てくる。

とにかく現場も一度止めて、一週間以内にどのような変更の可能性があるか検討させてもらって、それをもって再度クライアントに判断を委ねるという形で話がまとまり、皆で肩を落としながら上階の会議室に戻る。

インテリアの後に設備とLEEDについてのプレゼンを控えていたARUPのエンジニアも、この大きな変更によってプレゼンする意味すらなくなってしまい、苦笑いしながら「お疲れさん」と声をかけてくれる。とにかく、この変更は全体のプロジェクトに相当なインパクトを与えるが、最終決定者の要求だけに、何とか満足させる修正案をひねり出そうという変な一体感を持って、せっかく来たのだからと敷地の見学に向かうことにする。

夕暮れ迫る敷地に立って、ドイツ人のスタッフに「どうであれ、後二年後にはここに建つ建築を見れば、今日のような不条理もすっかり忘れているんだろうな。」などと言いながら、「こういう日は少しはアルコールの力を借りる必要があるから。」と北京から一緒に来てくれた設計院のシニアの方と一緒に空港でビールを飲みながら搭乗を待つことに。

このプロジェクトが無かったら訪れることも無かったであろう街でビールを飲みながらいると、パートナーからメッセージが届き、平行して進めている南京のプロジェクトの締切が2週間前倒しになり、来週の月曜日に上海でプレゼンになったから、今日は何時に北京に戻ってこれる?かと。

肩を落としながら、「大きな問題を抱えているときに、さらに大きな問題が振ってくると、最初の問題が相対的に小さく見えるからいい事だな。」なんていいながら、さらに一本冷えたビールを開ける。