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2017年10月26日木曜日

「ザ・サークル」 ジェームズ・ポンソルト 2017 ★

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スタッフ 監督: ジェームズ・ポンソルト 
原題: The Circle 
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スタッフ メイ・ホランド : エマ・ワトソン 
イーモン・ベイリー : トム・ハンクス 
タイ・ラフィート: ジョン・ボヤーガ 
マーサー:  エラー・コルトレーン 
アニー・アラートン:  カレン・ギラン   
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フェイスブック、ツイッター、インスタグラム・・・

次から次へと生み出される様々なSNS。テクノロジーは我々の生活の効率を高める手助けになるはずが、いつの間にか「SNS疲れ」が叫ばれる程に逆にそのテクノロジーに追われるかのように時間を過ごすようになった現代社会。SNSと上手く距離をとりながら、仕事やプライベートを充実させるために使える人はいいが、そうでなければ自分の誰かを比べストレスを感じ、ネットの先の不特定多数に認められるために自分を演じ、いつの間にかSNSに怯えながらも、それでもやめることができず時間を過ごす人は一体どれほどいるのだろうか。

誰もが発信者になり、誰ともコミュニケーションが取れる燦燦と光が差すような時代の、強い光だからこそ生まれる濃い影。テレビ東京の経済番組では勇ましいナレーションと共に紹介される現在の様子かと思ってしまうほど、手を伸ばせばすぐそこにある遠くない未来を描いたかの様な作品。

カジュアルで効率的で、開かれた社会と世界と人々の為になるイノベーションを追い求める若いテック企業。世界中の誰でも想像できるような企業のことを描いているのかと勘違いしてしまいそうなほど、この映画で描かれる企業の働き方、組織のあり方はインターネットによって生み出された様々なネット巨人の姿が頭に浮かぶ。

プライベートとネットの境目が無くなり、同じサービスでオンタイムで繋がった会員のカメラが全世界を覆う監視社会になり、警察がその行方をつかむことのできなかった犯罪者をほんの数十秒で追い詰めるのは、どこかのテレビ番組か、それともある種の宗教儀式かと思わされる。

この映画が公開されるころには、テック業界では遥か先に進んでいて、ここで描かれる問題はとっくに昔に解決済み課題となるくらいのスピード感で世界は進んでいくのだろうが、かつて毎年でる新しい家電やパソコンに終われたように、今は毎月現れる新しいSNSやアプリに追われるのでは、数年後は数週間で生活が変わるのかとぐったりする気持ちになりながら、自分の中でぶれないものをしっかりもって生きるのが唯一の舵取りなのかと自らの日常を振り返ることにする。

























2016年3月5日土曜日

「中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇」 中沢彰吾 2015 ★


電車の中、20代後半と思わしきスーツ姿の若い男女。上司の男性に部下の女性という感じ。身に着けているものは年齢に比べたら少し上等なモノのようだが、なんだか少しチャラチャラした感じ。一体どんな職業なのかと想像を広げていたら、男性がおもむろに電話を取り出し、「終了報告のメールさせとけよ」と指示の電話。そして読んだこの本。なるほど、ああいう彼らが派遣会社の若い社員で、中高年に高圧的に指示を与えては高収入を得ているのかとピンとくる。

つい先日のNHKの「クローズアップ現代|増える“正社員ゼロ職場”~公共サービスを担う現場で何が」でも、この数年で、今までは「公」の機関としてかなり好待遇で正社員として働いていた京都の保育士が、業務を外部の運営会社に委託するに伴い、その運営会社との再契約という契約の切り替えが行われ、今までの半分ほどの給与になったり雇い止めとなったりした話を報じていたばかり。

どこまでが過剰な好待遇で、競争に晒される市場原理から隔離された利権と呼ばれるようなものなのかは難しいところであるが、できるだけ組織をスリム化し、経費を削減して利益を上げていくことを迫られた企業にとっては、固定費として毎月のしかかる人件費は最も手をつけたいところである。だが、同時に従業員の生活と、会社のサービスに直結するところでもあるので、細心の注意を払って精査して「仕分け」していくこと、これはグローバル化し、どんどんと効率という波が押し寄せる現代においては、どうしても避けては通れないことも事実。

そんな中でこの10年近く、長きにわたって問題とされてきた格差問題と非正規労働者の問題。その問題の中にも既に10年以上の時間が流れたためにある種の歴史が生まれており、その概要を知ることと、この問題の現在の状況を把握するために手にした一冊。


第3章 人材派遣の危険な落とし穴―「もう来るなよ。てめえみてえなじじい、いらねえから」の「人材派遣が急拡大した本当のワケ」によれば、1995年に日経連が発表した「新時代の日本的経営」で、今後は働き手を、「長期蓄積能力活用型グループ(正社員の終身雇用)」、「高度専門能力活用型グループ(専門的な能力を要する働き手を期間だけ雇う)」、「雇用柔軟型グループ(パート、派遣労働者などの低賃金不安定労働者)」の三種に分けて、労働力を効率的に使い企業収益を高めようと宣言。つまり、今までの大量に従業員を抱え、組織内部で重い負担を抱えつつやりくりをするのではなく、より効率的に外部の人材も借りながらやりくりをしていきますということである。

しかしそれには「40代以上の社員の削減」という長年の慣行である終身雇用が壁になり困難であった。そこに登場したのが人材派遣業界で、企業が受けていた契約社員やパート労働者の賃金差別訴訟の頻発した状況を受け、労働者を本来の職場から切り離して人材派遣会社が雇用すると言う形にすれば、面倒な訴訟は回避でき、人事責任も負わないという新しい理論を提示する。企業としては「使えない社員」や「お荷物となった社員」に対し、自分たちで会社を辞めてもらう話し合いをすることなく、企業に人減らし合理化を提案するコンサルタントにアウトソーシングし、同時に足りなくなった労働力は派遣会社を通して補充することになる。

リーマンショックによる年越し派遣村など、社会がその問題を現実問題として受け止めるきっかけになったのは2008年。その当時を含め、「2010年頃までの第二時代の人材派遣会社に食い物にされた犠牲者は20代、30代の若年労働者が多かった」という。「だが、2015年の今は違う。2000万人を超えた非正規労働者のうち、6割以上が40代以上の中高年だ」と、5年を経た現在はその様相が変わり、30代だった派遣労働者が正社員になることなく、そのまま派遣労働者として40代に突入したのと、今までは正社員として働いていたがその身分を失って派遣として働かざるを得なくなった40代から50代、そして退職後の生活の為に収入を得るために仕事を求めるがやはり派遣の仕事しか得られない高齢者。これらの人がこの5年の間に数字を伸ばしたのだと想像できる。

「自己責任」だとか、「時代の流れだ」とか言ってしまうのは容易であるが、これが現在の日本の風景であり、多くの人が望んでその状況にいるのではなく、より安定し高収入な正社員として社会に関わりたいと望んでいるが、それがかなわない状況があること。それが「二極化」する世界の中で技能を持ってそれを正当に評価してもらえ、見合った報酬を払ってもらえる職場を見つけられる人はいいが、それ以外の人は生きていくためにこのような決して望ましいとは言えない労働状態に定常しなければいけない。これが今後も当たり前の風景として定着していくのが望ましいのか否か。それを考え、決めていかなければいけない時代に入ってきたのだと良く分かる一冊である。

以下本文より。

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―奴隷労働の現場
人材派遣は「使いたい人数を安価に、必要最低限の時間だけ単純労働に従事させ、人事責任を負わない」という派遣先企業にとって、すこぶる好都合な制度になっている

第1章 人材派遣という名の「人間キャッチボール」
特定労働者派遣と一般労働者派遣
一般派遣のうち労働期間が30日に満たない短期派遣を日雇い派遣という

/政府・財界による労働者の流動化政策
1985年に労働者派遣法が成立

/日雇い派遣でも有給休暇をもらえる
派遣社員は派遣先の福利厚生施設を利用できるのか否か
深夜食を食べようとしたら食堂を使わせてもらえず、外で食べろと追い出された。飲み物も自販機に格安の値段が設定されていたが、これは社員の為に会社が補助している者だから派遣は外のコンビニで買えと指示された

/人材派遣会社20代社員の異常な高収入
合理化を指南するコンサルタント
要するに企業に入り込んで組織改編と人減らしを促す事業

第2章 人材派遣が生んだ奴隷労働の職場
/未登録でも派遣する人材派遣会社がある
人材派遣の要でもあるマージン率の公開を義務付けた。かつては一部で50%にも達していたピンハネ率は30%程度に抑えられている
人材派遣会社にとってピンハネだけが問題だから、子供でも外国人でも誰でもいいのだろう

/就業規則で「おまえ、態度悪いからクビ」
派遣先で他の労働者と会話してはいけません
複数の人材派遣会社が一つの職場に労働者を派遣
派遣先との契約時期や派遣人数、ピンハネ率の違いなどで賃金に差
派遣先への移動に際しての交通費はお支払できません

/就業条件外の過酷負担
横浜市 問題の職権は市内を走る循環バスの乗客の誘導員
トリエンナーレ
/中高年は美術品が似合わない?
広域に広がったイベントであるにもかかわらず、該当に道案内のガイドが全く配置していなかった
頭を使うガイドとなると、自給は2000円に跳ね上がる

/二重帳簿ならぬ二重マニュアル
トリエンナーレのブラックバイトリポート

/ノロウイルス感染者に「食品工場に行け!」
大手製パン会社のクリスマスケーキ

/官公庁と自治体、外郭団体でも非正規労働が拡大
官庁のそれまでの随意契約方式による民間事業委託を否定し、競争入札制度を採用
図書館司書、役所の各窓口、公立学校の教職員、カウンセラー、消費生活相談員、博物館や大ホールの運営スタッフなどが続々と外部の民間業者に委託され、同時に人材派遣会社が低賃金労働者を送り込む仕組みができあがった
最低価格落札方式の場合、提案企業の業務の質、労働者の待遇など事業の中身が問われることは無い

/不正の温床になりかねない危うさ
人材派遣会社が提案する「コストダウン」
知恵が無い。単に派遣労働者の賃金と待遇を最低のレベルに設定するだけ

/恐怖をふりまく正規社員たち
正社員「感情を抑える」「相手の立場を思いやる」といった社会人として必要な節度が欠落している

第4章 悪質な人材派遣会社を一掃せよ
―「二度と仕事紹介してもらえないよ。かわいそう」
/拡大する一方の非正規労働者
雇用者数を押し上げたのは123万人増えた非正規雇用
アルバイト、パート、派遣社員などの日正規社員は2014年 2000万人を超えて2012万人
中高年は45-54歳 387万人
65歳以上141万人
/週5日終夜勤務/従順な派遣労働者
いったん正社員の座から落ちてしまったら、もう絶対に元には戻れないのが日本という国

/人材派遣を推進する識者たち
人材派遣を活用するのは、派遣スタッフの奴隷制、使い捨てに魅力があるから
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■目次
はじめに
―奴隷労働の現場

第1章 人材派遣という名の「人間キャッチボール」
―「いい年して、どうして人並みのことができないんだ!?」
/迷走する労働行政
/元祖はドヤ街の手配師
/政府・財界による労働者の流動化政策
/行政処分された第二世代人材派遣
/衰退と復活の第三世代
/労働内容の説明は虚偽
/派遣はエレベータ使用禁止
/監禁労働のタコ部屋
/悪意の果ての無駄
/人材派遣会社のシステム
/派遣労働者は保護されているか
/派遣元責任者と派遣先責任者
/日雇い派遣でも有給休暇をもらえる
/派遣労働者使い捨ての「待機」
/派遣先責任者によるひどい仕打ち
/一日中倉庫で重さ20キロのスーツケース運び
/人材派遣会社20代社員の異常な高収入
/求人サイトの矜持と責任
/ヤラセだった英会話通勤バス
/日雇い派遣の原則禁止問題
/近年稀に見る悪法
/中高年が職に就けない現実
/「年齢制限なし」の「裏メッセージ」
/「三種の辛技」
/いい加減な「人間キャッチボール」
/労働基準法に刃向う労働者派遣法

第2章 人材派遣が生んだ奴隷労働の職場
/極限まで単純化された派遣労働
/巨大ダンボール箱と格闘した中高年の「善意」
/人材派遣の定番「ピッキング」で実はトラブル続出
/派遣労働者に損害金を請求
/カゴテナーと接触して負傷
/出勤確認連絡
/マニュアルによる効率化は本当か
/予定調和のストーリー
/人材派遣会社が紀勢線を張ったワケ
/マニュアルは金科玉条
/未登録でも派遣する人材派遣会社がある
/就業規則で「おまえ、態度悪いからクビ」
/現代の派遣切り「お父さん、酒臭いよ」
/違法な人材派遣会社との二日間の攻防
/派遣労働者の差別待遇
/困難な業務でも派遣が担当
/就業条件外の過酷負担
/私たちは税金泥棒ではありません
/中高年は美術品が似合わない?
/二重帳簿ならぬ二重マニュアル
/テレビ局派遣で逆立ち強制
/ノロウイルス感染者に「食品工場に行け!」
/人材派遣会社の女性社員が必死なワケ
/東南被害も泣き寝入りの派遣労働者
/疑惑の「登録費」

第3章 人材派遣の危険な落とし穴
―「もう来るなよ。てめえみてえなじじい、いらねえから」
/人材派遣が急拡大した本当のワケ
/官公庁と自治体、外郭団体でも非正規労働が拡大
/時給2000円が900円に
/研修日当なし、交通費なし、最低賃金以下
/人材派遣会社の狡猾な手口
/人材派遣の安値受注が生んだトラブル
/人材を集められない人材派遣会社
/試験監督が逃亡しちゃった
/不正の温床になりかねない危うさ
/給与踏み倒し計画逃散?
/斜塔は元CAで名古屋財界のアイドル
/恐怖をふりまく正規社員たち
/事件の現場は巨大モール
/混乱する運営の尻拭い
/繰返される監視役の無意味な指導
/踏みにじられた買い物客の夢
/無知な派遣先責任者との攻防
/強要、脅迫、監禁
/労働者の救済要請を無視
/奴隷派遣は本当にお得なのか?
/熟練者と素人の差
/無責任体質
/人材派遣活用のリスク
/人材派遣会社に頼ったら事業が行き詰った
/カタカナ肩書き乱発のハレーション
/イベントでの日雇い派遣は業務上横領?
/除夜の鐘が鳴る頃、てんやわんやの大騒ぎ
/若者と中高年との格差
/意気消沈する派遣先責任者
/企業の稼ぐ力を削ぐ無責任人事

第4章 悪質な人材派遣会社を一掃せよ
―「二度と仕事紹介してもらえないよ。かわいそう」
/拡大する一方の非正規労働者
/週5日終夜勤務/従順な派遣労働者
/中高年を殺すな
/従順な派遣労働者
/権利意識に欠ける中高年労働者
/労働環境によるワナ
/現実を直視してほしい
/人材派遣を推進する識者たち
/重要な情報をネグレクト
/欠けている労働者保護の視点
/人材派遣と景気浮揚
/副社長が帰っちゃった!欧州の労働事情
/日本にスウェーデン流を持ち込んだ企業
/欧米先進国比較 ドイツ・米国・フランス

あとがき―すぐにできる改善策の提案
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中沢彰吾

2016年1月1日金曜日

「つくし世代 「新しい若者」の価値観を読む」 藤本耕平 2015 ★★



数年に一度、如何にも現在社会を短いキーワードで言い表していますよという言葉が出現するようになって随分久しい。

ゆとり世代 さとり世代 つくし世代 負け犬 婚活 マウンティング スクールカースト・・・

結局どんな世界でも短いキーワードでキャッチーなコピーを持つことはマーケット的にも非常に有効なのだろうし、キーワードが定着してそれがじわじわと世間で当たり前なこととして認識を広めていくのだろう。

それにしても結局こうして、新しい言葉をある種強引に生み出すことによって、社会の中に、若者文化のマーケットの中で、何かしら新しいことが起きており、その最前線に自分はいますと世間に対してのアピールであり、その問題の第一人者としてコメンテーターとしてテレビに、講演として企業に、そして何より著書が世間に売れるようにと、仕事につなげようとするなんとも胡散臭い意図を感じずにいられないが、それでも毎日何時間もかけて現在の若者がどういう生態を持っているのか向き合っていることは事実だろうし、自分が同じように時間をかけられる訳もないので、現代の若者の動向を理解し、その彼らが主役となる社会の形をするうえでもやはり目は通しておかなければいけない一冊となろう。

「ゆとり」の次に「さとり」が来て、その後だと著者が定義する「つくし」とは、「自分たちのフィーリングで、コスパを徹底しながら、つくし、つくされ、みんなでハッピーになろうとする」だとする。

「努力が自分のためになるとは限らないし、まじめに頑張れば頑張るほど馬鹿を見ることもあるため、ほどほどに頑張って、ほどほどの生活ができればいい」という空気に覆われた世代だという。

なので「さとり世代」との定義の差異化をどう図ろうとしているかというと、コスパにとことんこだわりながら、欲望を収縮させながらも自分らしさを求めつつ、何よりも常に身近な誰かへの意識が幸福度や行動原理に組み込まれている若者たちということらしい。

その思考経路を決定付けているのは、物心ついたときから当たり前に身近にあったネット環境であり、常に誰かとつながっているという意識ありきの行動を行っているためだということか。

電通、博報堂に告ぐ大手広告代理店であるADKのマーケティングを行う著者だけに、自らの企業が行った「1本満足バー」のCMを画期的なものだと自らの著書で紹介する場合はせめてそれを手がけたのが自社だと宣言しておくほうがいいのではと思わせるところがあったり、様々な意図が隠されているのはしょうがないと思いながら、ビッグデータを活用できる巨大企業だからこそ見える様々な若者の現在進行形を知るために一読しておいて損はない一冊かと思われる。
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■目次
【序章】さとっているだけじゃない 今時の若者は何を考えている?
/広告で若者を動かすことが難しい時代
/流行や文化の作られ方が変わっている
/「チョベリバ」と「激おこぷんぷん丸」
/若者研究のスタンス
/若者たちと一緒に行う若者研究
/1992年というターニングポイント
/若者たちの「波及力」をどう活かすか?
/「ゆとり」「さとり¥だけではない、若者たちの特徴
/本書の構成

【第1章】チョイスする価値観
/若者関連事象からの分析
/なぜきゃりーぱみゅぱみゅなのか?
/「下着コーデ」「メギンス」-常識にとらわれず生み出す新しい流行
/ユニクロ+ユザワヤ
/「自分ものさし」で世の中をはかる
/お酒の飲み方も常識にとらわれない
/「個性尊重教育の第一号世代」
/クリスマスより二人の記念日
/自分らしさを「強調」よりも「協調」したい
/「世界に一つだけの花」と「ありのままで」
/ブランド感の押し付けを嫌う若者たち
/「スキマづくり」の成功事例
/一人一人に「ブランド・ベネフィット」を表現してもらう広告

【第2章】つながり願望ー支え合いが当たり前じゃないからつながりたい
/若者にとっての「宅飲み」
/スーパー銭湯とバーベキューの復権ー手軽な非日常感
/「カラーラン」「エレクトリックラン」-フォトジェニックという要素
/恋愛よりも義理よりも「つながり感」
/「街コン」と「狩りコン」の盛況
/「つながり」に関する意識の変化
/「リア充」と「ぼっち」の二極化
/「一人カラオケ」と「ぼっち席」-つながりからの開放と孤独感の解消
/つながりをサポートする「いじられ役」
/シェアしたくなる動画「バイラルムービー」という手法
/「SNSにアップしたくなる商品」という発想

【第3章】ケチ美学ー「消費しない」ことで高まる満足感
/お金をかけたいものがないから貯金になる
/「レンタル高級品」ー買わずに借りる
/「カーシェアリング」「相乗り」「シェアハウス」-見栄のための消費を嫌う
/「ハイボール」「ストロング缶」「センベロ酒場」-同じ酔うなら安く酔いたい
/「イエナカ消費」「弁当男子」「水筒男子」-外でお金をかけたくない
/消費意欲が芽生える中学時代からデフレ
/納得してお金を払う「イイワケ」が要る

【第4章】ノット・ハングリーー失われた三つの飢餓感
/物質的にもっとも満たされた時代に生まれた世代
/出会いがありすぎて「一期一会」にならない
/「ときメモ」と「ラブプラス」の違い
/「ウィル派」「三平女子」「女子会男子」-ドキドキよりも安心がほしい
/なぜ不良が減ったのか?
/「何でもあった世代」でも見たことがない新しさ
/情報過多の時代に存在感を示す工夫

【第5章】せつな主義ー不確かな将来よりも今の充実
/社会の恩恵を享受したことがない世代
/「若者ボランティア」の流行が意味するもの
/尋常ではない「若者の献血離れ」
/「即レス願望」をマーケティングに活かす手法

【第6章】新世代の「友達」感覚ーリムる、ファボる、クラスター分ける
/日本における「デジタルネイティブ世代」
/大学の入学式前から学生同士が知り合っている
/友達をクラスター分けする意識
/「リムる」「ファボる」-つながりの最小化
/「リツイート」か「リプライ」か
/なぜツイッターを連絡ツールとして使うのか?
/「つらたん」「やばたん」-タイムライン上を汚さない配慮
/つながりから解放されるための切り替え術

【第7章】なぜシェアするのかー「はずさないコーデ」と「サプライズ」
/「複数の自分のチャンネル」を持っている
/「はずさないコーデ」-自分らしさを消す方法
/「コミュ障」「自己満」「リア充撮り」-空気を読みあう意識
/テレビ番組の話題は「それ見てない」で終わってしまう
/「サプライズ」ーつながり感を高められる最高のネタ
/「チュープリクラ」「双子コーデ」「○○会」-つながりの確認作業
/若者たちが「シェアしたくなる」仕掛けを作る
/「推し面メーカー」はなぜ若者たちに受けたのか?
/「制服ディズニー」「コスプレディズニー」-非日常体験をする口実づくり

【第8章】誰もが「ぬるオタ」ー妄想するリア充たち
/8割近くが「オタク要素を持っている」と自覚
/サブアカ、趣味アカが生み出した新しいオタク像
/熱気が生じやすい「趣味コミュ」
/「初音ミク」「カゲプロ」とのコラボで成功した事例
/クリエイター心を刺激した「1本満足バー」のCM
/商品を「擬人化」させるキャンペーン
/バーチャルで妄想させる仕掛け
/「みんなはどう思っているんだろう?」を視覚化し、共有する

【第9章】コスパ至上主義ー若者たちを動かす「誰トク」精神
/使えるお金の減少=満足感の減少ではない
/「い・ろ・は・す」が若者に受けている理由
/ネットワークを活かして情報を駆使する
/「お得な情報」をシェアして感謝されたい
/「2ちゃんまとめ」「Naverまとめ」-情報収集も効率重視
/iPhoneが若者たちに普及したきっかけ
/なぜ、「読モ」の彼氏・彼女まで紹介するのか
/グルメガイドの変遷ー「顔が見えるユーザーの情報」が求められている
/「雪マジ!19」のヒット要因ー明確な「誰トク」を提示する
/年齢でセグメントする広告が効果的なもう一つの理由
/サンプリングも若者ほどシェアされやすい
/若者たちを動かす「友トク」精神

【第10章】つくし世代ー自分ひとりではなく「誰かのために」
/「自分以外の誰か」が意識されている
/「自分ごと」の範囲が広がっている
/「つくし世代」とは何か?
/冷たく合理的な時代だから「GIVE」が感動を生む

【終 章】若者たちはなぜ松岡修造が好きなのか
/「ボスとリーダー」の違い
/若者たちに共感を伝える「それな」マインド
/若者にもっとアウトプットの機会を!

あとがき
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2015年10月12日月曜日

「ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか」 香山リカ 2014 ★

一時期の盛り上がりはなりを潜め、Facebookに定期的にアクセスしている人は仕事で使っている人か、それとも食べた物や子供の写真などをアップしリア充アピールに余念が無い人たちばかり。

SNSの枝分かれはまるで生物の進化の過程を見るかのように分化を早め、Twitter、Instagram,Facebook,Google+にLineとメジャーどころの面子がほぼ決まりつつあり、Twitterで呟いて、Facebookで「いいね」を押して、そしてInstagramに画像を上げる。なんてことをしている人はよっぽどのスーパーマンか暇人かというところであろう。

このタイトルが多くの人の目を惹きつけるのは、世にあふれるこれらのSNSは自分が望まなくてもどうしても自分の日常に他の人の様子が目に入ってきてしまう。目の前で実在として存在する人間として発せられるのではなく、パソコンのモニターを前に、他の人がどう思うか十分に考えを巡らせた末に自らのイメージのプロモーションとしてアップされる様々な言葉や画像たち。

「他者」の様に、自分は皆よりも賢いんだと覚めた考察を語ってみたり、毎日いろんなところへ出かけては様々な人に囲まれる幸せな日常を語ったりと、それが視界に入るこちらとしては、「身の回りで承認欲求が満たされるなら、わざわざそれをこうしたパブリックな場に向けて発しなくてもいいのに・・・」と誰もが思ってしまう。その気持ち悪さに完全に覆われた現代の社会。

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「つながり」のメディアが生まれれば生まれるほど、他者の気持ちをいっさい慮らず、「私がこういったり行動したりしたら、他の人たちはどう思うか」という想像ができない人たちが増えている

SNS上にはいつも無数の意見、批判、見解などが渦巻いているので、探そうと思えば必ず自分の考えに近いもの、あるいは自分から見て言語道断だと思うものが見つかる。
サイバーカスケード

人間には本質的に多重な感情や欲望があると主張する。地理的・身体的・社会的制約により抑制されていた多重化への欲望が、コンピュータやネットの出現でその分陰を解かれた。ネット上の多重人格者たちは、テクノロジーの力を借りてその欲望を実現した人たちと言うことだ。

「私のことが問題。他の人がどうなろうと、知ったことではない」というウルトラ個人主義

大学生の4割が一日の読書時間ゼロ、平均27分 本は全く読まずに、スマホを一日5,6時間いじっている

「感動した」「いいね!」が感染症の様に広がる社会。文章はどんどん圧縮されて短くなり、さらには言葉ではなく、スタンプや画像でやり取りをする。果たしてSNSでつながることで、コミュニケーションが深まっていると言えるのか?それとも私たちは何かをなくしつつあるのか?
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人は現在の自分を肯定しなければ生きていけない。自らを否定し絶望の中で生きることは相当に辛い作業である。その為にどうにかして、「自分は幸せである」と思い込ませる必要があり、その為には自分の中である基準を設けて幸せを感じる絶対的なものと、それとは別に周囲の人や他人と比べることによって相対的に自分が幸せだと判断すること。

後者にとっては楽しげな写真をアップし、周囲から「いつも充実してていいね」、「毎日楽しそうだね」と言われ、思われることが何よりも自らの幸せを実感させてくれる承認作業となる。

そして薬やお酒と同じように、一度得た承認欲求はより強いものへ、より多くのものへと増加するのみ。「もっと褒めてほしい」、「もっと認めてほしい」と。

人が誰でもその心のうちに秘めていた様々な欲望。それらがネットという世界の出現により、様々なうちに背中を押され、加速され、増殖されていった。100年後くらいには「ネットが出現し、社会インフラとなった30年で、それ以前には見られなかった犯罪や社会現象が何だったのか」ような分析が、しっかりと統計立ててされるのだろうと想像できるくらい、恐らく今までとは全く違った質の欲望が身体の外、社会の中に渦巻きだしているのだろうと思わずにいられない。

そんな時代に自分を見失わずに生きるには、欲望としっかり向き合い、退屈とうまく付き合って日常を生きるしかほかにない。

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■目次
序章 ソーシャルメディアへの違和感
・不思議な「新型うつ」
・「本音を隠さなくなった人たち」のうつ病?
・「つながり」がはらむカン違い
・不自由なツイッター
・東日本大震災とSNS

1章 「SNS疲れ」という新たなストレス
・「スケスケ下着」に「分娩台」なう」
・SNSでぜんそくの発作が! ?
・心のエネルギーの大量消費
・24時間自分をさらけ出し続ける、『トゥルーマン・ショー』の世界
・「出会い系」のサクラは男!
・会えないほど、純愛度数が高まる法則
・出会い系の驚愕のシステム
・増加する「ネタ消費」
・木嶋佳苗に見る「ウソ」と「盛る」の境目

2章 ネットで人はなぜ傷つけあうのか
(1)非抑制性と匿名性という“魔法"
・広島LINE殺人事件
・「社会的手がかり」の伝わりにくさ
・なぜ「ネット世論」は極端に走るのか
・サイバーカスケードでよく起こる二者択一
(2)自分で自分をだます人たち――ネット多重人格の出現とひとり歩き
・「女装の精神科医」の顛末
・大阪の「子ども放置」事件
・ネットのなかの「こうであってほしいもうひとつの現実」
・ブログに書いた内容に、自分でも心あたりがない
・ネットで「悪意」が解放される理由

3章 ネトウヨが生まれる理由
・「ネットde真実」の女性たち
・何をもって「真実」を判断するのか?
・『アンネの日記』破損事件についてのネトウヨの反応
・「陰謀論」の生成プロセス
・陰謀論に陥った家族を救う方法
・「大きな物語」が終わったがゆえの「自分さがし」
・グローバル化と「新型うつ」の関係
・東日本大震災が復活させた「大きな物語」
・安倍総理の頭のなか

4章 SNSとプチ正義感
・「ゆがんだ平等主義」と「いびつな正義感」
・わかりやすく、攻撃しやすいものに向けられる怒り
・正当な抗議とクレーマーの境目
・「過剰な道徳」をめぐるふたつの問題
・他人に対してだけ道徳的な人たち
・ネット空間を逃げ出した「リベラル知識人」たち
・浅田彰氏のSNS論
・ニューアカの旗手たちに「見捨てられる」不安
・ネトウヨ暴走の責任は誰にあるか

5章 ネット・スマホ依存という病
・「ネット依存」が引き起こす事件
・治療が必要な「ネット依存」の基準
・依存を狙う、「餌付け」ビジネスモデル
・依存症治療に効果がある「動機づけ面接」

6章 SNSは日本人をどう変えるか?
・「自分らしさ」の虚しい内実
・「実は自由ではないのに自由に見せる」ことほど疲れる
・JR九州・新幹線CMのどこが「日本的」なのか?
・「感動した」の広がり方は、まるで感染症
・「いいね! 」によって、何が失われていくのか
・文章だけでなく、思考もスカスカになっていく
・「文字なしの画像」の世界
・画像は文字のおかわりになるのか?
・バイトテロ問題――悪事5分拡散の法則
・ネタ作りのために“放火"する
・「画像で自分を伝える」ことの危うさ
・主流になりつつある「一か八か型コミュニケーション」

終章 SNSがつくる「1・2の関係」の世界
・「携帯電話がなかった時代」は文化人類学の研究対象! ?
・小此木氏が予見した「1・5」の関係
・電話してくるのは困った人
・限りなく自分だけの「1・2」の関係へ
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2011年1月21日金曜日

「ソーシャル・ネットワーク」 デビッド・フィンチャー 2010 ★★★

極東の国ではネットが受験に不正使用され、中東ではネットを使っての革命の勢いが止まらない。

そんな現代を代表するのが世界最大のソーシャルネットワーキング、つまりSNSとなったFacebook。その若き創設者マーク・ザッカーバーグの半生を描いた映画ということでとにかく話題になっている一作。

あのデビッド・フィンチャーがメガホンを取ったことでも話題だが、なんと言ってもまだ現在進行形の一会社の社長の半生がすでに映画化されるということで、その創造力によって世界にもたらされた世界への影響力を物語っているかのようである。

ハーバード大学在学中の主人公が、好きな女の子の興味を引くために特異なプログラミングで学生同士のソーシャル・サイトを開設するところから始まる。何ごろのきっかけは、「もてたい」という根源的な欲望から。

そして「知ってる人の写真だから興味がある」という「知り合いの知り合い」という繋がり感が爆発的に受け、あっという間に急成長をし、ファイル共有サイト「ナップスター」創設者であるショーン・パーカーとの出会いを経て、社会現象を巻き起こすほどの巨大サイトへと急成長するなかでの、摩擦や葛藤を描きながら物語は展開する。

ハーバードというアメリカを代表するアイビー・リーグの伝統が良く描かれているのも楽しめる。フラタニティとソロリティという男子・女子学生サークルによって護られるエリート主義。イエール大学出身のパートナーは構内でKKKのサークルも見かけたことがあるといっていたが、やはりどんなところでも若者は気の会う一生の仲間を見つけていくものであろう。

見終えて感じる少なからぬ危険性。

何かを成し遂げる人は目的がお金じゃなく、ただやりたいから我武者羅にやっているのが、結果的に抜き出ている。毎日、毎時間、ずっとそのことばかりを考えてる。毎日やらなければいけないこと、こなさなければいけないこと、そんなことは考えない。

そういう生き方が出来るのは、ある種の才能を持った人間だから。その準備ができている人だから。

そうではなく、向上するために緊張感を持ってではなく、ただただ惰性と共に日常を過ごしている人間も同じく、「自分もこういうまっすぐな生き方ができるのかも」と思い始めたら、この社会は成り立たない。

創造的活動には、それを支える経済という下部構造が必要だとマルクスも言うように、自由な創造活動を行うためには、その為の下地が必要で、大学というのはまさにその時間的余裕を与えてくれるところ。生きることに必死になって過ごす必要は無く、自分のやりたいことに必死になって向き合う時間。

それが本来の大学のあるべき姿なのだろうと思わずにいられない。それに比べ日本の大学の風景といったら、社会という砂漠にでるまでの猶予期間としてカウント・ダウンされる時間を貪るように刹那的に生きる。

SNSの中で退屈な日常に手を加えて知り合いの知り合いに「素敵な一日だね」と言われて喜ぶような今を過ごすのではなく、今の自分のやれることを必死になって過ごすことが大切なのだと矛盾を孕みながらも突きつけられるような一作であろう。
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スタッフ
監督 デビッド・フィンチャー

キャスト
ジェシー・アイゼンバーグ;マーク・ザッカーバーグ
アンドリュー・ガーフィールド;エドゥアルド・サベリン
ジャスティン・ティンバーレイク;ショーン・パーカー
ジョセフ・マッゼロ;ダスティン・モスコヴィッツ
ルーニー・マーラ;エリカ
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作品データ
原題 The Social Network
製作年 2010年
製作国 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間 120分
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