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2014年5月4日日曜日

「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」佐藤信介 2009 ★

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フジテレビ開局50周年記念作品
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フジテレビが開局50周年を記念して、「日本からもピクサーに匹敵するようなアニメーション作品を世界に!」と意気込んで制作された作品だという。

「それは期待できる」と見てみるが、10分持たないうちに止めようかと思うほどのクオリティ。さすがに長年ピクサーのユーモアとリアリティに溢れた映像に慣らされている身にとっては、以下にそこにチャレンジしたといってもやはり脚本から世界観の作りこみというクリエイティブの部分と、かけられた人員の差が物語の背景や人物の動きなどのクオリティに反映してしまう部分で、ともにやはりピクサーの力量が圧倒的なのだと改めて感じさせられるのみ。

こういう作品を見れば見るほど、やはり日本からは世界的な作品は出ないのかと落ち込んでしまうが、あえて同じ土俵で勝負する必要も無いのにとも思わずにいられない。

たとえば「パプリカ」。あんなトチ狂ったお祭り騒ぎの物語とそれを忠実に3次元に立ち上げるアニメの力はまさに日本だからこそできた作品なんだろうと思わずにいられない。

他にも第86回アカデミー賞の短編アニメ賞にノミネートされた森田修平監督の「九十九」。こんな作品もやはり日本人独特の完成がアニメという表現方法と見事に融合して今までに見たことのない映像作品を生み出したと納得させてくれる。

そうして見ると、「アキラ」も「ナウシカ」もやはり日本から生まれたアニメである意味があるように思えるが、それが「3Dアニメ」となったとたんに、一気に世界がフラットになってしまう必要もないはずで、きっと日本の「3Dアニメ」だからこそ描ける特別な世界観があるはずだし、恐らくそれを目指して日々頑張っている映像作家がいるのだろうと期待する。


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スタッフ
監督 佐藤信介
製作 亀山千広
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キャスト
綾瀬はるか
沢城みゆき
戸田菜穂
大森南朋
谷村美月
家弓家正
松元環季
うえだゆうじ
甲斐田裕子
宇垣秀成
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作品データ
製作年 2009年
製作国 日本
配給 東宝
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2013年3月12日火曜日

「共喰い」 田中慎弥 2012 ★★★


ネットリするような「粘性」とここまで届きそうな「匂い」。

「釣り」も「川」も「女」も「血」も、形を変えども前編を通して共通するのは「時間」を「生きる」上で避けては通れない、「粘性」と「匂い」。


「川と違ってどこにでも流れていて、もしいやなら遠回りしたり追い越したり、場合によっては止めたり殺したりもできそうな、時間というものを、なんの工夫もなく一方的に受け止め、その時間と一緒に一歩ずつ進んできた結果、川辺はいつの間にか後退し、住人は、時間の流れと川の流れを完全に混同してしまっているのだった。」


むっとするような匂いに包まれた、こんなリアリティのある街の物語。都市化とは生活から「匂い」をとり、限りなく「透明」にしていくことだとしたら、現代都市とはまったく正反対の不条理に囲まれた街。現代都市で見えないフィルムに囲まれて生きていく人々の価値観から見ると、決して良いとは言えないその環境。一体このリアリティはどこから来るのかと見てみると、作者は下関出身だという。これはぜひとも一度足を運んでみないといけない都市のリストに追加しないとほくそ笑む。


「何もかもが遠ざかって消えてゆく感じがする。なのに、昔からこの川辺にあって何も変わらない全てのものが、いまのまま残り続けてゆきそうでもあった。」


世間一般で言われるような負のスパイラル。遺伝する格差によって生まれたときから決まっている「当たり前」。そこにいれば、それはそれで日常になり、抜け出したいとは頭の隅で思いながらも、それなりに楽しいことも悲しいこともあって時間が過ぎていく、その圧倒的なリアリティ。

生理の時は鳥居をくぐってはいけないだとか、川が女の割れ目だとか、セックスの時に殴りつけるとか、後頭部を鈍器で殴られたときのような苦い味が口の中で広がっていくその感じ。まさに「重みだけでどこまでも沈んでいゆくという感じ」。

そんな中で生きているのに、登場する女性の誰一人すら悲壮感を感じさせない。どこでも適応するのはまずは女性ということか。まさに女の強さ。芥川賞受賞が納得の現代らしい一冊であろう。
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第146回芥川賞受賞
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