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2016年2月9日火曜日

早稲田大学所沢キャンパス 池原義郎 1987 ★★



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所在地  埼玉県所沢市三ヶ島
設計   池原義郎
竣工   1987
機能   大学施設
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1988年日本芸術院賞
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所沢まで早朝の高速を飛ばして、徐々に山深くなるなか到着したのは早稲田大学の所沢キャンパス。大学時代は理工学部のあり大久保キャンパスと、本部のある早稲田キャンパスで行動をして、こちらのキャンパスには一度も足を運ぶことが無かったなと改めて思い出す。見てみると学部は人間科学部、スポーツ科学部、人間科学研究科、スポーツ科学研究科ということで、なるほど縁が無いはずだと納得。

平日の早朝ということで鳥の囀りも聞こえるのんびりした雰囲気。カメラを持って鳥を狙っている様子のおじさんに、仲間だと思われたのか頭を下げられ、負けずと首から提げた買ったばかりの新しいNikonにそっと手をかける。

大学で建築を学び、建築家として成長した後に母校の設計に携わることができるのは、建築家としてほんの一握りである。どんなに能力があったとしても、大学の拡張計画の時期に活動の時期が重なってなければ決して機会を得ることは無い、とても貴重な体験であろう。

そしてこの所沢キャンパスももちろん早稲田大学出身の建築家によって設計が行われた。その建築家は池原義郎(いけはらよしろう)で、自分もできるだけその作品を巡ってきている大好きな建築家である。

作品
1970年 岩窟ホール (42歳)
1970年 白浜中学校 (42歳)
1979年 西武ライオンズ球場 (51歳)
1985年 西武遊園地 (57歳)
1987年 早稲田大学所沢キャンパス (59歳)
1988年 箱根湯の花温泉ホテル (60歳)
1989年 北九州プリンスホテル(現ホテルクラウンパレス北九州) (61歳)
1990年 中国割烹旅館掬水亭 (62歳)
1994年 浅蔵五十吉美術館 (66歳)
1994年 広島プリンスホテル(現グランドプリンスホテル広島) (66歳)
1995年 北九州市立大学本館 (67歳)
1997年 酒田市美術館 (69歳)
1997年 熊谷文化創造館 (69歳)
1998年 ガレリアかめおか (70歳)
1999年 富山県総合福祉会館 (71歳)
2001年 唐戸市場 (73歳)
2002年 青い森アリーナ (74歳)
2003年 アルテリオ (75歳)
2005年 ゑしんの里記念館 (77歳)
2008年 いしかわ総合スポーツセンター (80歳)

作品を見ていくと、比較的キャリアの前半に位置するものだということが分かるのと同時に、近くに位置する所沢聖地霊園礼拝堂や、西武ライオンズ球場、西武遊園地そして掬水亭と恐らく半径数キロの地域に密集してほぼ同時期にプロジェクトを抱えていたのに驚くことになる。

細長いボリュームがゲートのような役割をしており、近づくとその壁面がいつもどおりボリュームではなく、独立した重なる面としての要素に還元されており、ぐるりと回りこむように左の坂に沿って上っていくと、シンボルとなるタワーが右手に見えてくる。

こちらも徹底してボリュームをより小さなスケールへと分割していく手法が繰り返され、壁と天井など要素ごとに見切られた隙間から内部へと入っていくと、とことん分割して二重の線へと変換されていく手すりなどその後の作品で素晴らしいディテールへと昇華していく要素があちらこちらに散りばめられ、ここよい朝の空気とともに爽快な気分になりながら大学を後にする。





















2015年3月8日日曜日

ル・ランシーのノートルダム教会(Notre Dame du Raincy) オーギュスト・ペレ 1923 ★★★★


朝早くチェックアウトして、美術館視察の旅の最後の目的地であるランス(Lens)に向かわなければいけない。しかしせっかくパリに来たのだから、まだ訪れたことのないあるオーギュスト・ペレ設計によるル・ランシーのノートルダム教会(Notre Dame du Raincy) にどうしても行きたいと思いいろいろとシュミレーションをしてみる。

パリの中心部からだと地下鉄に乗って東に向かう鉄道駅まで向かい、鉄道でおよそ20分。最寄り駅からは歩いて15分の様であるので、頑張ればいけないことはないとまだ夜も明けぬ朝の6時に起床して準備をする。

念の為にホテルの受付で教会へと電話をしてもらうと確かに教会の人が電話に出てくれた。まだ夜のざわざわした雰囲気が残り、新しい1日が始まっていない静かな路地を早足で駆け抜け最寄の駅から電車に乗り、駅の改札もまともに機能していないパリの郊外の駅へ到着する。

ほんの少し外に出るだけで、そこには華やかなパリの風景とは違ったフランスの長閑な郊外の風景が広がる。爽やかな朝の空気に包まれながら、ゆるい坂道を登りながら徐々に見えてくる教会の姿を視界に捉える。

近代建築の始祖であるル・コルビュジェ。彼の爆発的な活躍があったのは彼に先立つ先人たちが新たなる次回の新たなる技術の可能性を熱心に探求し、その機が熟したのとコルビュジェの先見性が見事に一致したためであるのは間違いない。

その先人の代表格なのがコルビュジェの師でもあったオーギュスト・ペレ(Auguste Perret)。ローマ時代から使われていたコンクリートという素材を新しい時代の構造体の主役へと押し上げるための研究を重ね、いくつも新しい時代を示唆する建物を残した建築家である。

サント・シャペルに見られるように、ゴシックが成した歴史的な功績は、組積造であれば構造体として立ち上がり外部と内部と遮断してしまっていた壁に対して、柱に構造の役割を持たせてそれ以外は自由に開口部とすることで、内部に光の降り注ぐ明るい空間を加納としたことである。

古来より用いられたコンクリートという圧縮に強い素材に、鉄筋という引っ張りに強い素材を組み合わせることにより、細い寸法で柱・梁として空間を立ち上げるフレームを作り出すことが可能になるのではと鉄筋コンクリートを用いて様々な実験的建築を生み出してきた。

その到達点がこのル・ランシーのノートルダム教会であるのは間違いない。外部からはコンクリート造の思い表情だと見て取れるが、一度内部に入ると両面の壁は構造を担当する円柱以外は全てステンドグラスがはめ込まれ太陽の光が様々な色に変換されて内部に満ちている。

現代社会において世界のどこだろうと当たり前の工法として採用されるようになって鉄筋コンクリート構造。そのコンクリート打ち放し建築として最古の建築と考えられるこの教会。鉄筋コンクリートが新しい時代の新しい表現の代表者としてなるために、余計な装飾を取り除いて、この素材と工法がもたらすダイレクトな表現を採用しようと考えた建築家の意思を感じる佇まい。

わざわざここまで足を伸ばしたことに満足し、恐らく同じ様に多くの建築を志す者が立ち寄ったと思われる隣の果物やでいくつかフルーツを買い込み、チェックアウトに間に合うようにと駆け足で駅への坂道を下ることにする。


















2014年12月16日火曜日

「ザ・メイズ・ランナー」 ウェス・ボール 2014 ★★

アメリカの人気小説の映画化ということでかなり話題になっているらしいが、やはりいたるところに世界観の詰めの甘さがちりばめられたまま映像化されたのが良く見て取れる。

目を覚ますとなぜか過去の記憶を思い出せないまま、高いコンクリートの壁で囲まれた謎の場所に閉じ込められている主人公。同じ境遇でこの地に送り込まれた先輩に当たる少年達に手荒い歓迎を受けているうちに自分の名前だけは思い出す。

尋常でない状況の中暮らす少年達から徐々にここの状況や秩序の説明を受け、月に一度必需品と共に新たなる仲間が送り込まれるこの場所は、周囲を背の高いコンクリートの壁で囲まれた環境であり、その中では自給自炊ができるほどの豊かな環境が与えられているという。

コンクリートの壁は朝になると開き、内部は迷路の様に入り組んでいて、かつ謎の巨大生物が襲ってくる上に、毎日迷路を構成する壁の配置が変わると言う。そんな環境下で少年達は自ら秩序を守り、「ランナー」と呼ばれる足の速く勇敢な少年を迷路に送りながら内部の様子を把握しながら、3年を過ごしているという。

そんな環境に送られた主人公のトーマス。勇敢で恵まれた身体能力を持つ彼は、どうしても迷路の謎を解くべきだと少年達の住まう村の中に少しずつ波風を立てていく。

迷路が変形するハイテク技術と、その迷路が遺跡の様に朽ちているローテクの混在。そしてハイテクが後ろに潜んでいることを感じさせながら、謎の巨大生物や「ズズッ」と動く壁のこれまたローテクぶり。その中を走り、蔦を伝って壁を登る、まさに遺跡の中を走り回るインディジョーンズのような姿。

この迷路を運営し少年達を監視する科学者のオフィスがあまりに細かく設定が考えられてない様子からも良く分かるが、やはりあまり詳しいリサーチを行うことなく、一発のアイデアを元にして書かれた小説なのだろうと安易に想像がつく。

突然飛んでもない状況に置かれ、その中で少年達が葛藤し、それぞれの性格によって沸く割をこなしていき、争いを乗り越えながら、手を取りながら困難に立ち向かっていく。そして現れる一人の少女の役割も、今までは少年ばかりだったのに、なぜいきなり女性?と突っ込みどころは無限にあるが、日本の若者に爆発的に流行った王様ゲーム的な魅力とどれだけ共通項があるのかと考えながら機上で眠りに落ちるには丁度よい映画だろうと納得する。
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スタッフ
監督 ウェス・ボール
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キャスト
トーマス  ディラン・オブライエン
アルビー  アムル・アミーン
ミンホ  キ・ホン・リー
テレサ  カヤ・スコデラリオ
ニュート  トーマス・サングスター
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作品データ
原題  The Maze Runner
製作年  2014年
製作国  アメリカ
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