ここ10年近くで話題に上がったアニメ作品にざっと目を通そうと調べていると、なかなか評価が高そうなこの作品。
近未来の日本が舞台で、各過程に人間型ロボットであるアンドロイドが様々な生活の手助けをするのが当たり前になっている社会。
見た目もほぼ人間と変わらず、唯一頭の上に浮かぶホログラムのような円環のみがロボットだということを示す唯一の印。
社会もその状況に対応すべく、ロボット法なるものが存在し、「人間を傷つけない」などの条項が設けられるようになる。
そうなると必然的にもちあがる、「ロボットは感情を持ちえるか?」という問題。
それは同時に「人間はロボットを人間同様な感情をぶつける相手としてみることが出来るか?」という葛藤にもつながる。
そこで選ばれるのは、感情の揺れ動きやすい高校生の二人の男子。
一人は家のアンドロイドが可愛らしい女性で、そのアンドロイドが最近命令に無い場所に入り浸っていると疑問に思いだす。もう一人は小さなころから自分の世話をしてくれていたロボットがある日を境に自分に対してなんら言葉を発さなくなり、友達だと思っていたのに裏切られた、もうロボットなんか信用しないと心を閉ざしている高校生。
そんな二人がアンドロイドが立ち寄っている場所に足を向けて見つけるのは「イヴの時間」という喫茶店。その喫茶店のルールは「人間とロボットを区別しない」という一項だけ。ここではアンドロイドもその頭の上の円環を消して、人間と同じように振舞い、他の人と交流をする。その場にいる誰が人間で、誰がロボットかすら分からない状況。
そんな表のストーリーがありつつも、裏のストーリーとしては人間とロボットが感情的な交流を持つことに対しての危機感を持つある組織が操作を開始し、その組織の動きをまた別の組織が見張っているらしい様子も描かれ、その設定や技術的背景、登場人物のつくり込みなど、なかなかの緻密さを感じさせる内容になっている。
テクノロジーが発達すれば、必然の用に日常生活の中で機械が果たす役割は増えていく。その「技術的事実」だけを描く近未来映画は多々あるけれど、それによって人の感情がどのような影響を受けるか?機械の側がどのような問題を持ちえるか?社会として何が危険視されるのか?というところに目を向けるのは、更に総合的な視点が必要で、そういう意味では未来を描く作品の中で、一歩も二歩も抜け出ている、そんな印象を受けずにいられない。
ジブリ作品など過去の作品へのオマージュかと思うくらいの既視感を感じさせる作品とは大きく違い、絵の描き方も、各キャラの設定も独特で、ズームとかカメラワークが如何にもロボットっぽく実写でもアニメでもない3DCGならではの描き方も心得ていて、非常に好感の持てる内容であり、ぜひとも次の作品も見てみたいと思わされる良作。
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スタッフ
監督・原作・脚本 吉浦康裕
キャスト
福山潤
野島健児
田中理恵
佐藤利奈
ゆかな
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