2014年1月22日水曜日

「すーちゃん、まいちゃん、さわ子さん」御法川修 2012 ★★★

なんだかとてもホッとする作品。

人気マンガの映画化だというから、なるほどと納得してしまう、なんら大きな事件も起こらない凡庸なる日常を描いた、なんとも「ほんわか」してしまう一作。

かつてのバイト仲間で、今は恋愛や結婚、仕事に悩むアラサー女性のなんともない日常を描いていく。好きだと思える男性に出会えるかどうか、このままで結婚できるのだろうか、家族などの世話で忙しいのにどうやったら出会いに出くわせるのかなど、世の誰もが同じように悩み、過ごしてきた日常を描き、それでも生きていかないといけない、その為に仕事もしていかないといけないという葛藤と、それらの日常の悩みや蓄積する鬱憤を友人との会話で「ザーッ」と洗い流して明日を生きている日常を見せられると、なぜかホッとする。

恐らくマンションの各フロアに一人は、同じように悩み同じような日常を送る女性がいるのだろうと想像する。真面目に生きてきて、決して派手でも、浪費家でもなく、しっかりと毎日を生きていく。

親心からの心配も、逆にプレッシャーとなりすぎて「もう、そのことはいいから」と邪険に扱いながらも、時々に届く仕送りなどに親の子を思う気持ちを受け止める。

そんな風に真面目に、しっかりと人生を生きていて、それほど高望みをしている訳でもないから、きっと自分がいいなと思える男性に出会い、恋愛を始められるはずだと願って何が悪い。と言っても、自分が好意を寄せる男性は、同じように他の多くの女性も好意を寄せるのだという事実にぶち当たる。

「この人かな?」と思った出会いでも、ちょっとしたことだけど、自分にとっては大切な価値観の相違でやっぱり運命の相手ではないのだと思ってしまう。

人生というのは、本当は限られた数人の人と共に歩くもので、決してドラマがある訳でもなく、平凡な中でもそれなりに波風が立ち、心が揺れ動き、そして波が去るまで一緒にいてくれるのは友人なんだと教えてくれる作品。

見終わってから妻に、「女友達と旅行に行きたくなったら、遠慮しないで行っていいんだよ」と声をかけると、なんだかポカンとしながら、「ありがとう」という妻の顔を見て、これが自分の日常なのだと改めて認識する。
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スタッフ
監督 御法川修
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キャスト
柴咲コウ 森本好子(すーちゃん)
真木よう子 岡村まい子(まいちゃん)
寺島しのぶ 林さわ子(さわ子さん)
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作品データ
製作年 2012年
製作国 日本
配給 スールキートス
上映時間 106分
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