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所在地 高知県高知市五台山
山号 五台山
宗派 真言宗智山派
創建 724
開基 行基
別称 竹林密寺
機能 寺社
庭園形式 池泉観賞式庭園
作庭年代 南北朝時代
作庭 夢窓疎石
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高知に来たら間違いなく訪れる場所にあげられるであろうお寺がこの竹林寺(ちくりんじ)。この寺院を語るのにはいくつかの側面があるが、まずは何といっても、四国と言えばのお遍路さんで立ち寄ることになる四国八十八ヶ所の一つということ。
その名の通りに八十八ヶ所であるのだから、それを四国にある4つの旧国、今の県で割れば当たり前の様に各国22箇所となるのだろうと思うがそうは甘くない。
阿波国(徳島県)の24
土佐国(高知県)の15
伊予国(愛媛県)の26
讃岐国(香川県)の23
となり、この高知の前身である土佐にあるのは15の霊場で、平均よりも少ないこととなる。その分他の国は平均の22よりも少しずつ多くなっている。そんな訳でこの広い高知に15の寺院となり、その中でも高知市に位置する4つの寺院の中で一番観光地として知られているのがこの寺院ということである。
その住所にもなっている山号の五台山は、中国の山西省にある霊山である五台山に由来を持つ。それは聖武天皇(在位724〜49)がその中国の五台山を登り文殊菩薩に拝したことを夢で見る。そのために開基とされる行基に命じて、五台山に似た山を見つけさせ、この地を探し出し自ら文殊菩薩像を彫り安置することにする。その後弘法大師・空海がこの地に滞在したことから、そのゆかりの寺院であるとして八十八ヶ所に名を連ねることになる。
そして今回の訪問の一つの原因となったのは、この寺院内に作られた庭園。数年前から体系立ててみて回ることにしている庭園であるが、その歴史の中でもマスターとして常にあがる数々の名前。
重森三玲、小川治兵衛、中根金作、小堀遠州、石川丈山、雪舟、そして夢窓疎石(むそうそせき)。
鎌倉時代後期に生きた禅僧・夢窓疎石(むそうそせき)。時に夢窓国師とも呼ばれる彼がこの寺院に滞在し、その時に作庭したといわれる庭園があるという。日本庭園と言われるものの中でも、現在見られるものの中で最も古い時期にあたるのがこの鎌倉後期から室町前期に作られた庭園。その時代のマスターがこの夢窓疎石という訳である。
つまり700年以上も前にこの場に自然の力を美に昇華させようとした我々の先祖の価値観を見ることができる空間である。そんな訳でもちろん「日本の庭園100選」にも選出されており、多くの観光客が訪れる名勝となっている。
4つ目にあげられるこの寺院の特記事項は、その鎮座する五台山は標高145mで、山全体が県立公園として指定されており、豊かな自然が保護されている。そして寺のすぐ横には、高知と言えばといって名前が挙がる5人には入ると思われる植物博士の牧野富太郎の記念館が県立牧野植物園の中に建てられており、県を上げての文化・観光拠点としてのそのロケーション。
そして5つ目にあげられるのは、これはかなり建築的な観点であるが、2013年に完成したこの竹林寺の新しい納骨堂の設計が、建築家の堀部安嗣によって行われたことからも、和モダンな作風がどうやって歴史の中に溶け込んでいるのかを見るのもまた大きな楽しみである。
そんな訳でこの旅の中で間違いなく訪れる場所としてリストアップしていたこの寺院。一方通行でかなり急勾配な道を進み、高台に開けた公共の駐車場に車を停めると、どこが寺の入り口が分かりにくいために、売店の人に聞いて向かっていくのは寺の裏入り口。その脇にすぐに庭園入り口があり、入館料を払って中へと進む。
鎌倉という武士の時代に生きた禅僧らしいそのゴツゴツとした夢窓疎石の作風。室町や江戸の時代に作られた優雅さを感じさせる調和よりも、自然に厳しさに晒されながらも、それでも理想の世界を投影しているという無骨さが現れている。
その後境内を参拝し、寺院の人に聞いて見つけた納骨堂。しっかりと手を合わせ、死者の世界との境目をつかさどるその建築が、この世の大地からフッと浮かされているのを見ると、やはり菊竹清訓の「徳雲寺納骨堂」の階段を思い出さずにいられない。
寺院があって、庭園があって、見るべき現代建築もある。事前には情報過多で、あまり理解できていなかったが、実際に訪れてみてそのロケーションの特異さと、この場所がこの地域で神聖化されてきたのが良く理解でき、恐らく何百年と過ぎた後も、それは変わらないのだろうと思いながら次の牧野富太郎記念館へと足を進める。
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