最先端の遺伝子研究、
暗殺、
ナチスの残党、
第4帝国の秘密を残す南米、
細胞の分裂回数を決める遺伝子:テロメア、
バチカンの陰謀、
驚異的な回復力を備える文明と隔離された民族。
これだけ見ると笹本稜平の本かと思ってしまうが、原発、自然災害、エネルギーとその活動を広げる作者の新しいフィールド。
「ES細胞―万能細胞への夢と禁忌」ではないが、ノーベル賞の受賞で一気に加速するであろうIPS細胞の研究が突きつけるであろう、究極の選択。それは自らのクローン製作と拒絶反応を起こさない若い細胞に満ちた「自らの」身体への移植を通して見られる不死の世界。
その時に人類に求められるのは、「神の炎」と呼ばれた原発の技術を手にした時と同様に、「どこで止めるか」の勇気と自制を持つことであるだろう。
こんなにせちがなく閉塞感に漂う世界でも、そこに生きる生命たちは未だ「たった一度の」命を生きている。そして皮膚の後ろには誰もが真っ赤な血を循環させて、フラジャイルなその存在を支えているからこそ、人生は悪くないと言えるのだろうと思いを馳せるにいられない。
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