2017年6月16日金曜日

ロンドン(London) 2017


母校のイギリス・ロンドンのAAスクールのExternal Examinerを引き受けて三年。そのお陰で毎年夏になるとロンドンを拠点に10日ほど過ごしながら、懐かしい友人達との再会を楽しんだり、新しくできた建築を巡ったりと妻と共に一年の中でも、最も楽しみにしている時期である。

External Examinerというのは、イギリスの大学のシステムの一貫で、一年の終了時に国が定める(この場合はイギリス建築協会)の大学教育として基準に、「学校が達しているかどうか」を外部の専門家によって判定してもらうというシステム。なので一般的なレビューと言われる学生の作品を見て批評するものではなく、むしろ先生とその教え方に対してのチェックをする訳である。

二日間にかけて、Intermidiateと呼ばれる1年から3年までのユニットを初日に、4,5年生を対象としたDiplomaのユニットを二日目に見ることになる。Examinerは二人一組となり午前・午後それぞれ一つのユニットを審査していく訳である。

審査の内容としては各ユニットを率いるユニット・マスターが最初にその年のアジェンダや学生についての概要をExaminerに伝え、その後そのユニットの最終学年に属する学生が、およそ10分程で一年通して学び行ってきたプロジェクトをパネル、模型、スクリーンなどを駆使しながら説明する。全員が終わった後に、学生を外に出し、ユニット・マスターに対して二人のExaminerがそれぞれにコメントをし、それを元に如何にユニットを良くしていけるかなどを議論し、最後に学生を再度部屋に呼び入れ、総括を行うという流れ。

それぞれのExaminerが持ち寄った結果をそれぞれの日の最後に全てのExaminerと学長が一緒になって振り返り、学校としてそれぞれの学年として、また個別具体的にそれぞれのユニットとしてどんな問題があるかどうか、それをどう向上させられるかどうかなど、喧々諤々に議論をし、それを踏まえ全てのユニット・マスターが待つ部屋に移動し、Examinerが一人づつ総括を伝えていくというもの。

External Examinerはイギリスやアメリカの大学でながく教鞭をとっているアカデミック畑の人と、建築家として実務についている人の間でおよそ半々のバランスで選ばれており、男女比もおよそ半々になるように考慮されているということ。

AA出身の人もいれば、学校のレクチャーやクリティックで縁ができて呼ばれた人もいるようであるが、一度引き受けたら最大4年続けるということで、流石に一年目は右も左も分からず、かなりハイクラスなアカデミック英語に辟易していたが、流石に三年目になると勝手も知ったもので、今回は余裕をもってこのロンドン行きを楽しみに迎えることができた。

毎年この時期にオープンするサーペンタイン・ギャラリーやオープンしたばかりの新しいデザイン・ミュージアム、昨年足を伸ばせなかったウィリアム・モリス美術館など少し時代を遡って建築を巡って鑑賞するのと、恒例の親友夫婦とのケント旅行にイギリスゴシックを見るためにヨークへ足を伸ばし、その後はパリに渡り今度はノルマンディー地方をぐるりと巡ってくる様に、今までとは違った過ごし方をする予定。

昨年はロンドンを出発する日がまさに国民投票で、ブレグジットに揺れに揺れたイギリスであったが、今年はその影響がどのように出ているのか肌で感じられる時間になることを期待する。

0 件のコメント: