誰にでも必ず訪れる、一日がいつもの24時間よりも濃密に、そしてそれからの人生を決定づけてくれるそんな一日。
夕方が、昼と夜、明るいと暗いの境界線上を明確なラインを持って分けてるのではなくて、1秒づつ微妙に比率を変えてゆくものだとしたら、18歳というのは同じように、微妙なバランスを取りながら子供と大人の境界線上で毎日、大人からは見えない繊細さで比率を変えているんだろう。
毎年恒例の高校のイベント・歩行祭。修学旅行の代わりに行われる、一晩全校生徒で夜通し80キロ歩き通す、ただそれだけの設定。
普段一緒にいるはずの無い時間に、一緒の目的を持って時間と苦痛を共有する中には、恋愛、友情、思い出、高校時代の全てが現れる。
歩きながら友人から浴びせられる説教は、いつも親戚のお兄さんが毎年くれていた本。その中のナルニア物語。最近になってやっと読み終え、思ったのは「しまった、タイミングを外した」ということ。中学までに読んでいれば絶対に大事な本になったはずで、今の自分を作るためのものになったはずだと。それが分かるだけに悔しい。だから今お前が感じる雑音もお前をつくるものなんだ。煩わしいけど、やっぱ聞いて置く必要があって、このノイズが聞こえるのは今だけなんだということ。
非常に深い・・・
他にも「太陽は偉大だ。たったひとつで世界をこんなに明るくする」なんてのも、一日歩き続けた夜明けに見る太陽だからこそ感じるもの。
とにもかくにも久々の徹夜本。
2005年・吉川英治文学新人賞、本屋大賞、文句なしのダブル受賞。18の自分を忘れない為にもぜひ。
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