2014年3月11日火曜日

「The Walking Dead」フランク・ダラボン 2010 ★

体調を崩したことと、数日前に「ワールド・ウォー Z」を見て久々に「ゾンビ」の快感を覚えてしまったことで、数年前からやたらと流行っているアメリカのゾンビ・ドラマに手を出すことになる。

妻からは「そうやってすぐひきこもる」と詰られながら、同じパターンで押し寄せてくるゾンビ達に続々しながらついつい何話も見続ける。

そこで思うのは同じ質問。

「ゾンビの何が怖いのか?」

決して動きが速いわけでもない。
頭が良い訳でもなさそうである。
それなのに、なぜ捕まってしまうのだろう?
ウイルスによって力がもの凄く強くなるのだろうか?

なぜ?
なぜゾンビが現れる街では、車がひっくり返っているのだろう?
誰がやったのだろうか?
なんで戦車が放置されているのだろうか?
圧倒的な量ということと、一部を破壊しないと死なないという特性以外は、それといって特別な生物ではないように思われるゾンビ達。それに軍隊もやられてしまうのか?

そんなことに気が付くまでにすでにシーズン3まで来てしまった・・・
そしてそんな質問が頭の中で響きあうということは、すでにゾンビへの興味がなくなったということであろう。

そこにたどり着くまでに、随分無駄にした計算になる。結局同じパターンの繰り返しである、このようなドラマ。これを見ることで自分の人生にとって何かしらプラスの意味があるのかどうか。そんなことを考えてしまう時点ですでに動画を再生する気はすでにない。

このような娯楽映像。「今」は何もしなくても目に入ってきて刺激を与えてくれて、面白いかもしれないが、結局のところ何も残らない。しかし、それでも見続けてしまうのが堕落する生物である人間。本当に危険である。

「危ない危ない」と言ってIpadを閉じて寝室から出ていくと、

「ゾンビ死んだの?」と聞いてくる妻。

やはりこっちで「今」を生きなければと思わずにいられない。


成熟社会としてのパラリンピック

ソチ・パラリンピックでの日本人選手の活躍ぶりがテレビを賑わす。オリンピックの閉会式後、また別のスポーツの世界を見せてくれるこのパラリンピック。それを見てふと思う。

ソチ・オリンピック  参加国・地域数 83ヶ国+5地域(88地域)
ソチ・パラリンピック 参加国・地域数 45ヶ国

オリンピックに比べて約半数の国がパラリンピックに参加している。
そこでパラリンピックでのメダル獲得国を見てみる。

1 ロシア
2 ドイツ
3 カナダ
4 ウクライナ
5 フランス
6 スロバキア
7 日本
8 アメリカ合衆国
9 オーストリア
10 イギリス
11 ノルウェー、スウェーデン
13 スペイン
14 オランダ、スイス
16 フィンランド、ニュージーランド
18 ベラルーシ
19 オーストラリア


約半数という数字をどうみるかだが、恐らくパラリンピックに参加できるような選手をサポートするためには、選手個人の周囲および、社会自体がよっぽど成熟していないと無理なのではと想像する。

障害を負った選手が、モチベーションを保ちながら、国際レベルで通用するための訓練をすることは、通常の選手が練習をするのとは全く違ったレベルのことであろう。そのために周囲の理解、そしてサポート。時間もお金も相当に必要となってくることであろう。

それを所属する組織や会社、もしくは個人がすべてを負担するのは不可能に違いない。スポンサーや国の大いなるサポートがあってのことだと想像する。

生活を支え、なおかつ競技を続けることを支えていける社会。恐らく経済が行き詰まり、閉塞感に包まれた社会では、恐らく障碍者スポーツを維持していくことはかなり厳しいのだと思わずにいられない。そう考えると、生きにくいと言われがちな日本の成熟した社会のレベルが、今回のパラリンピックを見てその基礎の厚さを証明しているかのように思われる。

2014年3月10日月曜日

「東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図」 三浦展 2012 ★★


駅前には同じようなスーパー、ドラッグストア、コンビニが並び、同じ表情をした標準化されたハウスメーカーの住宅がならぶ住宅地を抜けてたどり着く自宅。そんな風景に誰も疑問を持たなくなった現代の郊外。

都心からひたすらスプロールし広がる郊外の波。人口が減っているのに、なぜその波は引かないのだろうか?


こんなキャッチフレーズで、若いカップルがほほ笑えむ広告。年収は28歳の夫が215万円、27歳の妻が140万円で、計355万円との設定。大阪の不動産屋の広告のようであるが、ネットで話題になっているようである。

縮小社会に突入した日本。では、いきなり都心から人が減るのかといったらそうではない。では、どこから人が減るのだろうか?それは無理に郊外化を推し進めた、本来的に価値の薄い開発地。

押し寄せた波以上の勢いの引き波でがっさりと数十年のうちに作り上げられた幻想の郊外都市が廃れていく。そうなれば、当然その土地の住宅価格は低下する。しかし、そんな街でも住宅を買おうと思うかどうか?

都市の時代に突入した21世紀。これからは弱肉強食の都市のサバイバルが始まる。生き残りのために、地域の特色、住民が選ぶ場所になるために、必死の努力をした自治体は不断の努力でなんとか人を留めるが、何も魅力がない街は、恋愛と同じく誰にも見向きもされず、誰にも手を差し伸べられることなく、恐ろしくドライにそっけなく、街から人を失い、活気を失い、あっという間に動くことのできない高齢者だけの死に絶える街へと変わっていく。

そんな消えていく郊外はどこであろうかを見ていくことにする。
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第1章 あなたの街がゴーストタウンになる!
/マンション300万円時代到来!
狭山市内の団地 2LDK、52平米のマンション
390万円 
管理費、修繕積立金、固定資産税
家賃収入 う家賃は4万円以上にしないといけない

/地価は20年で6割減、30年前に戻った

/郊外住宅地がゴーストタウンになる
都心まで電車で1時間かかるような物件には魅力が無い
全住宅のうち14%、約750万戸が空き家

/郊外の物件が値下がりする理由① 女性の社会進出
住宅の価格が下がるのか
女性は専業主婦になることが一般的だったから
長い通勤時間に耐えるのは男性だけでよかった、通勤定期代は会社持ち
通勤時間にさえ耐えればいい
世帯年収が上がるから、もっと都心近くに家が買える

/郊外の物件が値下がりする理由② 人口減少
人口が減少
日本の人口 2050年に9700万人
沢山の人々が地方から職を求めて東京に流入
郊外に移り住んだ、二人の若い夫婦が移住してきて、そこでまた子供を産んだ
仁k脳が増えるのは当然である
結婚をするものが減ったし、子供を産む人も減った

/郊外の物件が値下がりする理由③ 高齢化
高齢化が進み、2040年 36% 65歳以上
団塊ジュニアが60代前半となる2035年

/郊外の物件が値下がりする理由④ 結婚しない団塊ジュニア
未婚者で親元に住む人(パラサイトシングル)の増加
50歳になってもパラサイトシングル

/団塊ジュニアが多い地域は?
近年高層マンションが沢山建設されて、団塊ジュニアが住みやすくなったため
23句無い西側で増加が多い
埼玉県で団塊ジュニア率が高い 

/未婚で親元暮らし(パラサイトシングル)の団塊ジュニアはどこに多い?
パラサイトシングルの人口比率を地図
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本書のアウトラインを明確にする意味で、なぜ郊外で物件が価格を下げていくのかの理由を挙げていく。かつての専業主婦の幸せな核家族の幻想が通用しなくなった現代。働く場所が都心に集中していることでの通勤時間の短縮欲求。日本全体の人口減少。高齢化社会。未婚化やパラサイト・シングルの増加。

人をライフスタイルによって「選別」し、彼らを数値としてどんな生態を持っているかをあぶりだす統計データ。結婚し子供を持つ家族がどこに住み、未婚でパラサイトシングルがどこに集中しているのか。徐々に都市の格差を暴き出す。

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第2章 発展する街・衰退する街はどこか?
/発展するのは東急田園都市線? 中央線? さいたま市?

/「横浜東部・京急線」「さいたま市」「下町4区」も発展の可能性
/若い世代はブランド性より文化的な場所を求める

/「郊外の都市化」が望まれている
働く場所、遊ぶ場所、住む場所、将来性がある
郊外は自然も不足しているし、都心らしさも不足している、中途半端な地域
ブランド品よりもユニクロでOKという団塊ジュニアらしい価値観

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第3章 団塊ジュニア以降の世代はどこに住むのか?
/約半数が今住んでいる地域での住み替えを希望
/郊外に住む女性は地方に引っ越したい
/地域のイメージ
/南武線は活気がある
/住む人、働く人、遊ぶ人の奪い合い
/郊外がゴーストタウンになる危険

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第4章 団塊世代は親子二世帯同居をするか?
/団塊世代の子や孫が持続的に生活できる住宅地だけが生き延びる
地域にコミュニティ性がちゃんとあるかどうか

/居酒屋か、お茶か
/定年後の団塊世代
核家族が高齢化によって夫婦のみ、さらに好例単身世帯へと急速に「核分裂」

/多様な人々が住む郊外

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第5章 どういう郊外が生き延びるか?
/郊外で働く時代
郊外の個性
働く場所 
「郊外の都市化」
働く場所が出来ることである
消費の場に過ぎなかった
郊外では男女の役割分担が促進される
「職住の分離」という「空間の分離」が「夫婦の役割の分離」につながるのである

/自治体が若い人を奪い合う時代
働く場所、遊ぶ場所、娯楽の場所、散歩に行く場所、知的な交流の場所、文化を発信する場所などなど、様々な都市的な機能を郊外でも発展させていく必要がある

/職住近接へのニーズは大きい

/第四の消費社会における都市、地方、郊外
それとは違う様々な地方が分立する時代になるのではないか
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誰もが生きていくためには働かなければいけない。働かなくて生きていけることほどの贅沢はないこの世の中。それならば、どこに職場があるかといえば、良いといわれる職場ほど都心に集中しているのがこの新自由主義経済の現代。

働く場所か、住まう場所か、学ぶ場所か、遊ぶ場所か。街が何を持って人々を引き付けるのかをはっきりさせない限り、住民争奪競争の勝者にはなれない。これは行政単体ではどうしようもなく、町がどのようなビジョンを持って生き延びるのかを街全体として共有していかなければいけない時代に入ってきている。

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第6章 郊外をゴールドタウンにする方法
/都心は便利になったが、つまなくなった
便利になったが、つまらなくなる

/新しいビルにはもはや魅力はない
自然の魅力 ハーモニカ横丁

/空き家率が40%になり、東京圏に限界集落が増える!
住宅地全体をリノベーションする

/クズの山を宝の山に変えるには、住宅地マネジメントが必要
「住環境マネジメントー住宅地の価値をつくる」
明海大学教授 齋藤広子の提言
「住宅地の再生、本格的に新たなスキームが必要」
時代の変化に耐えうる空間のゆとり、多様な世代が住める多様な居住の場が無く
「働、学、憩、農」
住宅地をマネジメントする主体がいなかった
想定
マネジメントは面倒くさく、かつ儲からないから

/オールドタウンをゴールドタウンへ
居住性の再生、資産価値の再生
変化した時代に対応した機能を作り出していく
空き家は「働く場、学べる場、憩いの場」にし、空き地は農地に転換する。

/空き家、空き地の活用方法
災害時の拠点
カーシェアリングの拠点
職住分離から職住近接、職住一致へ

/市民の力
住宅地マネジメントを行う組織をどうつくるか
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縮小社会に入った日本では、必死に生き残りを模索する街以外は行政、ひいては国民への負担となるだけである。そういう街には残念ながら、さっさとゴーストタウンとなり消えていく運命を受け入れるほかない。

厳しい時代だからこそ、その中から、リトル東京、リトル中核都市ではなく、その地域の身の丈にあい、現代の流れをしっかりととらえた中での街の未来のあり方を真剣に考え、独自のコミュニティ、住まい方、住居のあり方、住宅価格の設定などを考えて、新しい地域の風景をつくり、その中には子供から若者、現役世代から高齢者まで、みんなが一緒になった集えるような場所が多くある街が、個性を打ち出しながら出てくることだろうと想像する。

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目次
/東京圏調査 調査概要
/首都圏主要鉄道網図

第1章 あなたの街がゴーストタウンになる!
/マンション300万円時代到来!
/地価は20年で6割減、30年前に戻った
/郊外住宅地がゴーストタウンになる
/郊外の物件が値下がりする理由① 女性の社会進出
/郊外の物件が値下がりする理由② 人口減少
/郊外の物件が値下がりする理由③ 高齢化
/郊外の物件が値下がりする理由④ 結婚しない団塊ジュニア
/団塊ジュニアが多い地域は?
/所得、未婚既婚などにより、団塊ジュニアの住む地域が分散
/未婚で親元暮らし(パラサイトシングル)の団塊ジュニアはどこに多い?
/団塊ジュニアの住む地域
/住宅地の将来は団塊世代の老後と死後の問題

第2章 発展する街・衰退する街はどこか?
/発展するのは東急田園都市線? 中央線? さいたま市?
/衰退するブロックの予測には震災の影響あり
/「横浜東部・京急線」「さいたま市」「下町4区」も発展の可能性
/若い女性ほど世田谷でhなく中央線でOK
/買い物は郊外でも十分間に合う
/団塊世代は湘南ブランド若者は下町好き
/若い世代はブランド性より文化的な場所を求める
/「郊外の都市化」が望まれている

第3章 団塊ジュニア以降の世代はどこに住むのか?
/住まいへの満足度
/郊外の住宅地でも住み替え希望は3割以上
/約半数が今住んでいる地域での住み替えを希望
/郊外に住む女性は地方に引っ越したい
/地域のイメージ
/南武線は活気がある
/住む人、働く人、遊ぶ人の奪い合い
/専業主婦のための東急田園都市線
/イメージの横浜に対して、実質の埼玉、千葉は団塊ジュニア向き
/郊外がゴーストタウンになる危険

第4章 団塊世代は親子二世帯同居をするか?
/団塊世代の子や孫が持続的に生活できる住宅地だけが生き延びる
/地域への愛着はあるのか?
/千葉、埼玉で多い地域での交流
/愛着と交流は別
/居酒屋か、お茶か
/都心部よりも郊外のほうが地域との関係が良い
/定年後の団塊世代
/二世帯同居希望が増える
/子どもの出戻りもある
/行政にとっても二世帯住宅はうれしい
/多様な人々が住む郊外

第5章 どういう郊外が生き延びるか?
/郊外で働く時代
/自治体が若い人を奪い合う時代
/ノマドワークの時代
/職住近接へのニーズは大きい
/さいたま市と東急田園都市線沿線の違い
/さいたま市は働きたい地域
/二子玉川の新しい動き
/「第四の消費」から見た都市
/第一から第三の消費社会における都市
/第四の消費社会における都市、地方、郊外
/地域間のサバイバル競争
/ブランド的地域と無印的地域

第6章 郊外をゴールドタウンにする方法
/都心は便利になったが、つまなくなった
/新しいビルにはもはや魅力はない
/リノベーションの時代
/空き家率が40%になり、東京圏に限界集落が増える!
/クズの山を宝の山に変えるには、住宅地マネジメントが必要
/オールドタウンをゴールドタウンへ
/空き家、空き地の活用方法
/市民の力
/市民、企業、行政の協力

「日本人はこれから何を買うのか? 「超おひとりさま社会」の消費と行動」 三浦展 2013 ★

先日、昔からお世話になっており、世界的エンジニリング会社であるArupの役員をやっている友人が北京に来た時に、「軽く飲まないか」と誘われて出て行った席で、「日本はこれから何を売るんだ?SONYは一体何を世界に売るんだ?」と質問された。

そんな会話を思い出しながら読むことにしたこの一冊。「日本人が何を買うのか?」は必然的に日本のマーケットの潮流を決定し、そこに視線を向けた日本の企業の主力商品を決定させる。しかし、それがイコールで海外でも受け入れられるかといったらそれはまた別の話。

その時に迫られる決断。自分の会社の主力マーケットはどこか?日本の市場がそれほどの魅力を持ちうるのか?それはそれぞれの会社の規模と、今後の成長戦略によって決定される。もし、多くの会社が、日本のマーケットに魅力を感じないと判断し、日本のマーケットの需要を顧みないようになったらどうなるか?

それでも必ず、そのマーケットで利益をあげる会社も残るので、必ずある程度の需要と共有のバランスは維持されるのだろうが、そんな二極化の世界での微妙なバランスを感じながら読んでいくことにする。

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第1章 老若男女すべて「おひとりさま」
/2035年、主流派おひとりさま
「おひとりさま」
上野千鶴子「おひとりさまの老後」
「アラフォー」の未婚女性
「負け犬の遠吠え」

/中高年のおひとりさまが増える
増えるのは45歳以上

/東京などの大都市圏で高齢の一人暮らしが増える
/増加する未婚・親元暮らし
/ライフスタイル、消費行動が変わる
一人暮らしが消費の中心となる
親と同居している40代、50代の未婚者が増える
個人化である。孤独化ともいえる。
一人で暮らし、一人でご飯を食べる人
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30代半ば。自分の周りでも当然ながら「おひとりさま」である友人がいる。実家に帰れば、家の近所でも、40代50代で親元暮らしの未婚者は驚くほど多くいる。その上を見れば、一人暮らしの高齢者家庭も数多くあるという。「婚活」などとラッピングされてはいるが、結婚できない、結婚しない人というのは、どの時代でも一定数いたわけで、それが核家族の増加によって高齢者の「おひとりさま」として目に映りやすくなってきた現代。

結局はマーケティングからの視点で現代社会を分析し、今の世の中「何が売れるか?」を代理店やメーカーに指南する立場で書かれている面もあるので、その切り口はある種ドライにも映る。

「おひとりさま」が社会の主流から外れたものでなくなり、社会を構成する大きな勢力となった時に、日本のマーケットはどう変わるのか?そんな問題提起の章である。
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第2章 おひとりさま消費の現状
(3)若年男性(34歳以下)
/かまない、果物を食べない
若い人ほど固形の物を食べるより、液体を飲む傾向が強まっている。これは食生活の下流化傾向ともいえるものである
下流的な若者ほどご飯と味噌汁とおかずと言った一汁三菜的な食事をせず、丼物、ラーメンなど食器が一つで済む食事をする傾向が強い
果物を食べない
皮をむいたりして子供に与えることを面倒くさがるケース
生ゴミも増えるし、片付けも面倒なのであろう。
ジュースなどの飲料を買っておけば、子供が勝手に飲むので親は簡単である。

/間食の主食化、外食・コンビニ依存度は86%
外食・コンビニへの依存度はますます高まっていくだろう

4 若年女性(34歳以下)
/下着から歯科医へ
歯の強制やホワイトニング
下着などの見えないところにお金をかけるより、人から見られる歯の矯正やホワイトニングにお金をかけるようになった
就職、転職、恋愛などにおいて、外見が重要だと考える若者が男女共に増えているためであろう

5 ミドル男性(35-59歳)
/快眠思考
不眠症
仕事のストレス、24時間型の生活、運動不足、パソコン作業から来る疲労
眠りが浅いことで悩む人


老若男女に共通のニーズに答える商品は、巨大なヒット商品になる可能性がある ユニクロ
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マーケティングに説得力を持たせるには、このような統計データを持ち出すしかない訳で、データがあるから正しいのだという流れには少々辟易するが、若年男性で描かれる、「とにかく面倒くさいのが嫌だから、少しでも楽に食事を済ませようとする下流な食生活の指摘は誰でも耳が痛いはずである。「楽」なことが、何よりも上位に来てしまう生活の価値観。これはすでに小さなころからの教育でしか養われないのであろう。

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第3章 おひとりさまは何が欲しいのか
/高齢男性も今後はコンビニ、外食に依存か?
/宅配ビジネスの拡大
/地域に友人を作れるか
地域の中に友人が増えていく可能性は低い
地縁ではなく「知縁」
仕事や趣味などを通じて親しい友人
>若い人でもそう

/オーダーメイド賃貸とセルフリノベーション
入居者と一緒にリノベーションをする時代
DIY住宅
メゾン青樹では住民同士のリビングも

/新しい公共交通が必要
/生涯学習は知的ケア
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ここで想定される高齢者というのは、団塊世代を想定されているわけで、必然的に十分蓄えがあり、なおかつ生活をしていくのに問題のない年金が受給されるために、他のどの世代よりも豊かに、旅行し娯楽を楽しむことができる。しかしこの世代の高齢者はあくまでも特殊な高齢者であり、今後何十年後に高齢者となる世代とは設定が違っていることは頭の中に入れておかなければいけない。

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第4章 コミュニティという商品を買う時代
/買物難民の増加
①宅配サービス(商品を顧客に届ける)
②移動販売(商品を積載した店舗ごと顧客まで移動する)
③店への移動手段の提供
④便利な店舗立地
コンビに 会社帰りの人々が主要な客 比較的駅の近くとか、人通りの多い道沿い

/通信販売か宅配か
セブンイレブンの「コムス」
セブンらくらくお届け便

/買物をサポートする
消費者が商店街で購入した商品を自宅に配達するサービス

/新しい外食が必要
おひとりさまは、宅配弁当やコンビに弁当などと近隣の安い居酒屋を使い分けながら食生活を楽しもうとする

/「コムビニ」が必要 CSVとしてのCVS
「コムビニ」 コミュニティ・コンビニエンス・ストア

/コムビニのイメージ
医療福祉関係
薬剤師
飲食店併設

/シェアハウスを拠点としたサービス
サービスの便利や
家電業界もサービスを売る時代になるはず

/住宅地を都市化する
地域の仕事をシェア

/制約社員が増えると待ちは面白くなる
昼間から町をうろうろする人が増えた
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こういう具体的な提案につなげていけるのはこの著者の素晴らしいところだと毎回思わずにいられない。恐らくこういう社会の現象を分析し、その背景となる問題を見つけ、それに対して社会がどのように変わっていくべきか、その前に社会がどうあるのが今後の日本にとって良いのかを考えることは、かなり広い視点を持たなければいけない。

そしてダメだしだけの理論だけで終わらせずに、具体的なフィードバックとしての提案につなげるためには、何かを作り出さす想像力と専門知識が必要とされる。そしてその立場に一番適切な職業なのは建築家であると思われる。

可能な方法としては、各自治体に地域の現状を把握し、その将来を自分の利益からではなく、純粋に地域社会の視点から考えられる建築家を地域建築家として任命し、5年くらいの期間を与えつつ、歴代の担当者と協議して5年、20年、50年くらいのスパンで、どのような地域社会になることが、この地にとってベストであるかをビジョンとして出していくこと。そして個別の問題を大きな視点を持って解決していくこと。

そういう地域のマスター・アーキテクト制度ができれば、ここで提案されているような、「コムビニ」のようなこと。さまざまな地域で発生している新しいシェア・ハウスなどもより効率的に機能していくのではと想像を膨らませる。

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目次
第1章 老若男女すべて「おひとりさま」
/2035年、主流派おひとりさま
/中高年のおひとりさまが増える
/東京などの大都市圏で高齢の一人暮らしが増える
/50歳以上の未婚・死別・離別が2510万人になる
/増加する未婚・親元暮らし
/ライフスタイル、消費行動が変わる

第2章 おひとりさま消費の現状
/おひとりさまたちの年収
(1)シニア男性(60歳以上)
/若者化する高齢者男性
/食の洋風化・スナック化
/クルマ、美容、スポーツの消費も伸びている
(2)ソニア女性(60歳以上)
/自動車、スポーツ、インターネットなどアクティブ化
/調理食品は少ない
(3)若年男性(34歳以下)
/自動車から自転車へ
/料理は増えたが基本は外食と調理食品
/かまない、果物を食べない
/間食の主食化、外食・コンビニ依存度は86%

・事例1 料理器具の人気
・事例2 男性快眠市場

4 若年女性(34歳以下)
/仕送り、寄付、信仰費が伸びる
/下着から歯科医へ
/晩酌は増加

5 ミドル男性(35-59歳)
/お部屋志向
/快眠思考

6 ミドル女性(35-59歳)
/墓石の準備が始まる
/健康志向
/者よりサービス
/老若男女に共通のニーズに応える
/サービスをワンストップでトータルに提供する必要


第3章 おひとりさまは何が欲しいのか
/おひとりさま社会は生活全体に「ケア」が必要
/高齢男性も今後はコンビニ、外食に依存か?
/女性は職の安全性を求める
/食の安全が町の魅力になる
/宅配ビジネスの拡大
/おふくろの味は不滅
/かかりつけの医者が欲しい
/マッサージも物からサービスへ
/地域に友人を作れるか
/身近な知人同士のちょっとしたお祝い
/おひとりさまも持ち家の時代
/中古住宅リノベーション
/おひとりさまだからこそ、住宅に性能を求める
/オーダーメイド賃貸とセルフリノベーション
/新しい公共交通が必要
/生涯学習は知的ケア
/働き方を変えれば、まだ働ける
/「節約社員」をケアする仕組みが必要
事例3 集合銃多君尾コミュニティ形成支援事業
事例4 血行き密着型百貨店
事例5 団地を建替えずにコミュニティ活性化

第4章 コミュニティという商品を買う時代
/買物難民の増加
/通信販売か宅配か
/買物をサポートする
/一人で食べるのはわびしい
/新しい外食が必要
/「コムビニ」が必要 CSVとしてのCVS
/コムビニのイメージ
/シェアハウスを拠点としたサービス
/住宅地を都市化する
/脱サラリーマン化で地位に活気
/制約社員が増えると待ちは面白くなる
/コミュニティ自体が商品となる
/コミュニティリビング

・事例6 団地の高齢者の買い物サポート
・事例7 副収入付きシェアハウス
・事例8 オーダーメイド賃貸
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自分だけの空白

体調を崩したために、数日オフィスに顔を出さない日々が続く。久々というよりも初めてオフィスに足を運ばなかった週末を経て、月曜日に戻ってくる。

数日間、来なかっただけで自分の中ではもの凄く長い時間が経過したように感じる。いなかった間に、どれだけ仕事が進み、何を逃したのかを心配する。しかしそう感じているのは自分だけで、意外と数日の空白はオフィスにとってなんてことはないようでもある。

時間というのは濃淡があるように、自分がどれだけ密にして時間を過ごし、そこから一瞬足を引いたとしても、その横では普通の濃度で時間が流れていく。そんなことを思いながら仕事を再開することにする。

2014年3月7日金曜日

人は忘れる

人は忘れる生き物である。

それは複雑な現象の中で生きていく現代人として自己防衛のための必要な手段でもある。しかし、一方では繰り返される映像を嵐のように浴びせてくるメディアによって、少し前のことを「すぐに忘れる」ように仕向けられているようにも思われる。

昨日まで、三重で起こった中学生殺害の容疑者として捕まった高校生のことについて熱を帯びていた報道が、今日には柏で起こった通り魔事件ばかりに重点を写し、昨日までの事件がまるでなかったかのように報道しない。

そして明日はまた違うものに重点をシフトしていくのだろう。

すぐに新しいものに、少しでも新しい刺激を視聴者に与えて、その見返りに視聴率を獲得する。メディアも競争社会である以上、生き残るためには、少しでも視聴者が求めるもの、つまりは新しい刺激を与え続けなければいけない宿命。

新聞やテレビといった鮮度を売りにするメディアでは、一度重点的に扱った事件であろうとも、それが何も解決していなくても鮮度が落ちたと判断したら、すでに扱う内容から外されていく。

ちょっと前に起こった大雪による断絶された地域の問題もそうである。本来は、その現象を報道するよりも、なぜそれが起こったしまったのか、何が問題なのか、どんな脆弱性を持ち、次にそれが起こらないためにはどのようなことを準備をすればいいのか、視聴者レベル、行政レベルで何を変えなければいけないのか。

そんなことを突き詰め、分析し、喚起し、提案していくのがメディアのある種の役割であることは間違いない。「一時あれほど騒いでいたのに、どうなったのだろう?」とふと思い出す事件はさまざまある。

餃子の王将
相模原の女児行方不明事件
広島少女遺棄事件
千葉・茂原「77日ぶり発見女子高生」
ゆうちゃん 遠隔操作
村人全員から虐められてた 山口県周南市集落放火殺人事件
京都府福知山市の花火大会
三鷹の女子高生殺害事件
尼崎の角田美代子 
尼崎の中学生男子監禁

「いったいどうしてそんなことが起こったしまったのか」と思いながらも、次から次へと押し寄せる鮮度の高い事件によって、記憶はどんどん棚の奥へとおしこめられ、次第に忘れ去られていく。本当に重要なのは、なぜそれが起こったかを知り、理解し、次に起こらないように気を付けること。

恐らく報道に携わる人間も、相当な葛藤を持って仕事に臨んでいるのだろうと想像する。本当に必要なのは、その真相をしっかりと最後まで視聴者に届けること。内容の薄い、新しいものだけを早く安く届けること、その繰り返しに対して恐らく思いを持ってこの世界に飛び込んだ人たちは相当な自己矛盾の時期を過ごしているのではないだろうか。

恐らく上司に、「いくら鮮度が落ちたといえども、社会的に考えたら重要な意味を持つ事件であるだけに、最後まで追い続け、世間に対して報道し続けるべきではないか?」などと押しかけても、「それでは会社の利益にならない。その取材を続ける経費は出せない」などと会社組織としての現実と、競争社会から抜け出すことができない現実を突き付けられ、次第にそのループに定着していくのではないだろうか。

いくら重要だと思っても、それに付きっ切りになることはできない。次から次へと起こる凶悪事件。世間の関心の高いほうへと人もエネルギーもシフトしていかねばならない。そうなるとどうしても「その後」を終えない。

「その後」

興味がある人が裁判などを追っていくしかなくなる。そうなるとほとんどの一般視聴者は事件があったことすら忘れられていく。本当に重要なのは、なぜその事件が起こってしまったのか、どうすれば防げたのかを理解すること。警察や行政だけでなく、一般の市民も次の犠牲者、次の加害者になるかもしれない現代。少しでも起こったことから教訓を学ぶこと。それが大切。

このような状況を考えると、ネットニュースのあり方としては、自分の興味を引くニュースがあれば、RSSとは違った形で、それを登録しておけば裁判の記録や、事件の背景を調べている記事などが定期的に更新されて調べられるようなメディアが表れていくのだろうと想像する。つまりは受動的にニュースを浴びるのではなく、あくまでも選択していくようなメディア時代。

人は忘れる。だからこそ、何を忘れるのかは自分で決めるべきであろう。

「下流同盟―格差社会とファスト風土」 三浦展 2006 ★★★★

一体どれだけ本を出版すれば気が済むのかと思えるほど定期的に郊外に関して本を出し続ける著者。そしてその内容も、やはりこの分野においては第一人者と呼んでよい内容ばかりなので、必然的に現代の都市、現代日本を考える上で手に取らなければいけないことになる。

モータリゼーションに大型店舗出店への規制緩和、新自由主義経済に支えられた大資本のスケールメリットで豊富な品ぞろえで便利で効率的な店舗が「どこよりも低価格」を打ち出せば、客の流れは必然的にそちらに向かい、イコールで地域社会を破壊していく。

そんな記念碑がファスト風土。その裏にあるのは、地域社会の必要性を真剣に考えることよりも、少しでも自分の生活が良くなることを考えて日常を過ごすだけの下流社会。

都市の時代に入った21世紀。数少ない勝ち残り、人を引き付けることができる都市以外では、住まう人をマーケットの数値としてしか見られず、その数値からはじき出される最大数の利益を生み出すために、地域社会や地域の将来などは顧みることなく、搾り取るように地域に入り込み、破壊していくグローバル化した新自由主義経済。

この世界で生きる中で、誰もその流れに背を向けることはできないが、少なくともどういうメカニズムでこの現象が日本全国を覆うようになっているのかを本文で見ていくことにする。

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第1章 下流社会とファスト風土 三浦展
/下流社会化とファスト風土化の根は一つ
「ファスト風土化する日本」
大型店の出店規制が緩和 血方の郊外農村部のロードサイドに大型商業施設が急増
ファストフードの様に均質

/自然と社会の四重の破壊
地域社会を4重に破壊
自然を破壊 
地域社会を破壊
中心市街地を破壊
「街の使い捨て」 自然、農村、市街地、旧郊外を破壊

/消費優先の価値観
古い流通制度 中間業者が多いため小売価格を上昇させるから消費者の利益にならない
郊外の大型安売り店の方が消費者の利益になる
消費者の選択だから当然だと俗流経済学者
それほど立派な価値なのか? 利益があるということは
同じものなら安い方が得だというだけの価値観
真理も、美も、正義も、利他主義も、消費者優位の価値観よりも低い価値なのだろうか

/24時間かの弊害=生活の不安定化
生活時間 24時間化 非正規雇用

/地域社会の流動化・匿名化・液状化
人間関係の流動化
道路網の整備とモータリゼーションの拡大
人とモノの移動を活発化する
地域社会を流動化し匿名化する
地域社会は液状化し、不安定になる
人々の大量の流入
なぜ犯罪は都市で多いかといえば、都市が流動的で匿名的な空間だからである。
こんな静かな街でなんでこんな凶悪な犯罪事件が?
静かな街ほど激しく変化したのである

/人間も大量生産品に見える
匿名性の感覚が肥大化する
ショッピングセンターにいる女の子一人くらい連れ去ってもいいだろうという感覚が生まれてくるのかもしれない

/ファスト風土化が生む都市伝説
現実と非現実の境界を曖昧化
都市建築家のアンドレス・デュアニー privatization
ルイス・マンフォード 「郊外居住とは、プライベートな生活を送ろうとする集団的な努力」
家の中に集中
関係こそが社会
街は社会を具体的名形で見せてくれる場
人間の関係が見えなくなる

/自閉的な私生活主義と青少年の社会化の阻害
距離的にはかなりの移動をしているが、心理的には閉じたプライベートな空間から外に出ていない
非効率で無駄の多いコミュニケーションこそが人間社会の基本

/体力の低下と下流化
体力と対人能力の不足した若者

/地域アイデンティティの危機とナショナリズム
土地の自然に制約
身分や職業がアイデンティティを決定

/ワーキング・プアが増加か?
「毎日低価格」を求める階層が確実に増えてきている

/ファスト風土は下流社会の温床
コンビニ
従業員の9割以上が非正規雇用者
製造業がアジアなどに移転 地方で製造業に従事していた人たちの仕事が無くなり、それを埋め合わせる形で大型商業施設の従業者は増加した
増えるのはほとんどが非正規雇用者

/本書の構成
太田市 構造改革特区第一号 英語教育特区
近年一大ピンク街
駅前商店街がピンク街に変わってしまった
壊滅した商店街の自然発生的な活性化 一番手っ取り早いピンク街化
年間100万円以上必要 一方、お金があれば国際的に通用する人間が育てられるという教育があり、金の為にセックスで稼ぐしかない人間が国内外から集まっている
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本書の重要な部分をほぼ網羅している感のあるのがこの第1章。

新自由主義経済の波に押され、大型店出店規制が緩和され、郊外のロードサイドに大型商業施設が波及する。その裏には「同じものなら安いもののほうが消費者の利益になる」という価格優先の価値観。それを成し遂げる為に、なりふり構わず資本の力が投下される。そして車に乗って郊外に向かう客の流れと、廃れる中心市街地。

消費活動を最大化する為に、消費が可能な時間を拡大し、すべてが24時間化され、それと同時に、その時間に働かなければいけない非正規雇用者も増加する。ワーキング・プアが増加し、彼らが望むのは「毎日低価格」。

道路網の整備とモータリゼーションの拡大は人とモノの移動を活発化させ、地域社会を流動化し匿名化するのを後押しする。留まることなく流動化する人間関係と地域社会。

怖いのは「良いモノをより安く手に入れられる」という消費者にとって間違いなく利益になることが、圧倒的な資本を背景にした利益至上主義の視点から攻められると、上記の様なスパイラルを生み出してしまうこと。誰が悪いわけでもなく、それが利益を上げることが最上位に持ち上げられた現代社会の必然である宿命。

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第2章 これがアメリカのファスト風土だ! 三浦展
/男女の格差から雇用の格差へ
二極化 主婦のパートタイマー

/ひどい風景と太った低所得者
高所得者ほど良い環境に住み、豊かな緑と綺麗な空気の中で健康を管理している
特に白人は肥満 低所得層ほど肥満気味

/無気力を生むファスト風土
/モールの格差
おしゃれでヘルシー
美と健康

/人生の意味の喪失
個人化 individualization
低賃金
「アメリカ大都市の生と死」
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なんでも最先端を行くと思われているアメリカへの著者の取材旅行のレポートとなっているこの章。見えてくるのは日本の先を行く格差と、下流といえども餓死する訳ではなく、逆に太っていく実体。その反面金持ちは金を払って時間を使い、健康と体型の維持に務める。

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第3章 ファスト風土化し下流化する地方 服部圭郎
群馬県太田市
/700m続く駅前の風俗街
風俗店に占拠 南一番街

/全国でも珍しい光景
北関東一の歓楽街
伊勢崎市と太田市が郡を抜いている
東京の吉原や大阪の飛田新地
渋谷の百件棚、川崎の堀の内、札幌のススキノ、名古屋の栄、福岡の中洲、池袋の西口、新宿の歌舞伎町、

/飲みと風俗のワンストップ・ショッピング

/二つの大型店が運命を変えた
1977 駅前ビルへのユニーの進出計画
人がいなくなると、「崩壊」は早まるものだ

/誰にも愛されなかった風土
郊外化とモータリゼーションによる中心街の空洞化、後継者不足のため商店主が店を占め、その店を賃貸に出す、商店主が不動産業者に転換する事による商業活力の衰退
愛着を持っていない
貸しビル業者
貸した店が毎月しっかり家賃を支払ってくれる事になって

/無計画な郊外開発
農地を次々とショッピングセンターへと転化
無計画な郊外開発
計画性の無い計画的な市街地の開発

/ファスト風土化する中心市街地
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この章が一番痛烈にファスト化した風景を作り出してしまったのは誰が悪いのか?を良く示しているかと思われる。その槍玉に挙げられたのが、太田市。駅前のかつての地域コミュニティの中心地が、「自分で商売をやりくりしていくのは大変だし、不安定だが、それを周囲からの目や羞恥心、罪悪感をかなぐり捨て、一番確実に定期収入に繋がるように商売を辞めて賃貸に土地を出してしまえばいいのでは?」と思った土地持ちのビル持ち。

恐らく最初は、厳しいからといっても地域を担っていく責任もあるし、周りも頑張っているから自分一人そんな道は選べない。

と連携をとりながら頑張っていたのだろうと想像する。それがあるとき、臨界点に達して、「テナント募集」の張り紙が張られるようになる。「○○さんのビル、ついに賃貸にだしたらしいよ・・・」なんて、顔の見える関係性の中でなかなかの罪悪感を感じながら、コミュニティから隠れる様に過ごす日々が続いたのではないだろうか。

そして募集してくる飲食店。そんなこんなで一度崩壊した堰は塞ぐことはできず、流れ込む洪水の様に、周囲のビル・オーナーも「なんだ、もう無理してがんばらなくてもいいのか」と良心を一緒に流されて貸しビル業へと転換していく。

そこで一度風景が変わる。

地域の関係性を持った駅前商店街が、チェーン店として全国どこでも同じ商品を同じサービスの元で提供し、その地位で可能な限りの利益をあげようとする企業群。街を巡回する人よりも、自分の店舗でできるだけ消費を促すようなメニューを揃える。そして束の間的に街には賑わいが戻ってくる。

そんな風に人の流れが戻ってくると、更に水の流れは増して、今度は更に高額な賃貸料が期待できるが、誰もがそこまでは・・・と弱腰になっていた「風俗店」への貸し出しを行うビル・オーナーの登場。

そうなるともう後には戻れない。人間の欲望と同じである。軽くお酒を飲んだ後、気が大きくなってその先の風俗店へ・・・・という「飲みと風俗のワンストップ・ショッピング」。

同じ条件でも飲食よりも風俗店のほうが高額な賃貸を望めることを覚えたビル・オーナー達は、すでに良心の呵責も罪悪感も感じないほどに地域社会からは断絶し、そこに見るのは、月々の家賃収入の数字だけ。その自分の利益最大化の為に街がどう変化しようと、「自分の責任ではない」と開き直る。そうなると誰も止めることができないままに、駅前商店街全てが風俗店に占拠されるという、全国的に見ても非常に稀な風景を逆に作り出してしまう。

しかし上記の様に想像力を働かせると、その風景の後ろに隠れるのは、苦渋の選択であったのかもしれないが、地域よりも自らの利益の最大化、安定化へと走っていたビルの数だけいるビル・オーナーの価値観が透けて見える。そしてその価値観の総体こそがこの街そのものである。

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第4章 嫌われるウォルマート 服部圭郎
/秋田で遭遇した巨大店舗
イオンスーパーセンター
世界最大の小売業

/ウォルマートとそっくり
24間営業で年中無休
エブリディ・ロープライス

/質素な経営者、愛車はフォード・ビックアップ
徹底したコストダウン

/スーパーセンターの後にはぺんぺん草も生えない
スーパーセンター誕生
生鮮商品、乳製品を販売する
ディスカウントストア
スーパーマーケット
ぺんぺん草も生えないほど略奪

/五つの悪影響
1 商品価格の低下
2 周辺小売業の淘汰
3 仕入先の経営の悪化
4 賃金の低下
5 ファスト風土化の促進

/嫌われるウォルマート
イオンはその地域でも最高レベルの賃金を従業員に払う
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風俗街とまではいわないが、現在日本全国で拡大するファスト風土化の勢力の筆頭といえば、間違いなくイオンであろう。パッケージ化され、全国何処でも投下することができ、アメリカのウォルマート同様、地域を多重に破壊していく、大型小売業者の宿命。

そうはいっても、イオンが悪いわけでもなく、こうしてイオンの弊害を理解しながらも、誰もが地元に帰ればイオンに車で向かい、イオンで生活必要品を買ってしまう事実。安いことと品物の豊富さ、そして利便性を兼ね備えるイオンの存在は、「地域社会が・・・」などという比較への思考を停止させるのに十分な威力を持つ。

現代社会からこうした郊外型の巨大小売店舗をなくすることは無理な以上、必要なのは、如何に彼らと共存しながらも、地域の個性を喪失することなく新しい形で地域を表すことのできる風景を作っていけるかにかかっているのだろうと思わずにいられない。

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第5章 日本のワーキング・プア 心の叫び 宮本冬子
/あるチェーン店の職場風景
自給1000円以下の労働に従事
セールス・アソシエイトSA 売り子

/ワーキング・プアが発生する理由
大企業の商品を買う意外に消費者に選択肢がなくなってしまっている

/有名コラムニストの体験取材
病気にかかっていたら即、アウト
人生を切り売りしている
切り売りせざるを得ないのが「ワーキング・プア」
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非正規雇用で不安定な状態で働くことの一番の恐怖は、「何かあった時」。もし家族に何かあり、介護が必要になった場合。もし自分が大きな病気をして仕事が暫く出来なくなった場合。そんな場合、非正規雇用ならなんの保護も与えられず、「残念だけどしかたないから」とクビにされるだけ。誰も働けない間の保障は与えてくれない。その為の蓄えも準備できるような収支状態ではないので、常に「何かあった時」に全てが終わってしまうことにおびえながら働くことになる。

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第6章 アメリカの下流社会 こぼれる若者たち 藤田晃之
/圧倒的な格差社会
/白人における格差

/「経済的に恵まれない者」に対する教育支援

/見えない貧困
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第7章 古いヨーロッパ・フランスは抵抗する 鳥海基樹
1 国土はフランチャイズ化されファスト風土が田園をむしばむ
/古いヨーロッパをむしばむアメリカ文化
/アメリカ化=グローバル化という図式
/グローバル化が加速する国土のファスト風土化

/ショッピングモールが狂わせる犯罪感覚
/中心市街地もフランチャイズ化されてゆく

2 マンジャンは提案する
/脱フランチャイズド・シティのための三つのコンセプト
都市計画を「現実の都市計画」「幻想の都市計画」「可能な事の都市計画」の三つに分類
道づくりの都市計画
通り抜けられる都市、
雑種都市

/セクト化の都市計画から道づくりの都市計画へ

/マンジャンは提案する
都市の高密化が必要
建築を集積させ人々がふれあって暮らす高密化と、単に建物の高さを競う高僧化は異なる
美よりも活力を好む事、速度よりも流動性を重視する事
さまざまな尺度で変化する異なった部分の集合体である事を認める価値観の転換が必要
雑種都市
パリのフォブール・サン・タントワンヌ界隈

3 都市計画もがんばっている
/それでもやはりフランスの都市と田園は美しい
同じ上流階級の人間同士が国を超えて交流している
異なる国の低い階層の人間同士は、一生出合うこともない
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この問題は、日本固有のものではなく、美しいコミュニティを保っているように見えるヨーロッパの何処の国でも、美しい観光都市のすぐとなりに、何の個性も無い殺伐としたヨーロッパというイメージを被せただけで、中身は上記のファスト風土となんら変わらない街がゴロゴロしていること。日本には少しだけ早く「高齢化」という要素がかぶさってくるだけで、解決すべき問題は世界規模であるという事実。

恐らく人類史上最も強烈な影響を都市に与えている現象であり、誰もがそれを良しと思っていない以上、何かしらの新しい提案がその流れを変えていくことになるだろうと予感する。

そしてそれは行政や市民の力もさることながら、建築家として行うべき提案が多く残されていると確信する。恐らく自分が死ぬまでには、何かしら新しい形の郊外都市が形成されているはずであるが、それが少しでも人類にとって美しいもの、幸福なものであるように、自分達にできることを必死に考えることにする。


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■目次
第1章 下流社会とファスト風土 三浦展
/俺は日本のプレスリー
/下流社会化とファスト風土化の根は一つ
/環境・エネルギー問題
/自然と社会の四重の破壊
/消費優先の価値観
/24時間かの弊害=生活の不安定化
/地域社会の流動化・匿名化・液状化
/再魔術化される世界
/人間も大量生産品に見える
/ファスト風土化が生む都市伝説
/自閉的な私生活主義と青少年の社会化の阻害
/体力の低下と下流化
/地域アイデンティティの危機とナショナリズム
/郊外の星条旗
/「華氏911」とショッピングモール
/ワーキング・プアが増加か?
/ファスト風土は下流社会の温床
/自由主義が民主主義を侵害している
/本書の構成

第2章 これがアメリカのファスト風土だ! 三浦展
/田園調布のモデル住宅地
/男女の格差から雇用の格差へ
/ひどい風景と太った低所得者
/市民意識の崩壊と人心の荒廃
/愛国者の楽園
/心の故郷
/悪い奴ら
/無気力を生むファスト風土
/モールの格差
/人生の意味の喪失


第3章 ファスト風土化し下流化する地方 服部圭郎
/700m続く駅前の風俗街
/全国でも珍しい光景
/飲みと風俗のワンストップ・ショッピング
/ファスト風土化の条件が揃った地域性
/開発される前は湿地帯
/二つの大型店が運命を変えた
/誰にも愛されなかった風土
/無計画な郊外開発
/ファスト風土化する中心市街地


第4章 嫌われるウォルマート 服部圭郎
/秋田で遭遇した巨大店舗
/ウォルマートとそっくり
/市場経済が生み出した「怪物」
/「ウォルマートもどき」の将来
/創業者サム・ウォルトン
/質素な経営者、愛車はフォード・ビックアップ
/情報システムの構築で急成長
/スーパーセンターの後にはぺんぺん草も生えない
/一週間の買物客は一億人
/五つの悪影響
/土地とエネルギーの浪費
/嫌われるウォルマート
/アメリカの「教訓」を活かすために


第5章 日本のワーキング・プア 心の叫び 宮本冬子
/あるチェーン店の職場風景
/徹底したコストダウン策
/「日の丸弁当」のフリーターも
/アメリカを追いかける日本
/ワーキング・プアが発生する理由
/低すぎる賃金と劣悪な待遇
/有名コラムニストの体験取材
/そして階級が再生産される
/日本に未来はあるか


第6章 アメリカの下流社会 こぼれる若者たち 藤田晃之
/圧倒的な格差社会
/アフォーマティブ・アクションの展開と苦悩
/白人における格差
/映画「ガンモ」が描く白人下流社会
/トレーラーハウスとウォルマート
/エーレンライクが経験した貧困のスパイラル
/「経済的に恵まれない者」に対する教育支援
/「Title I」に基づく支援
/ジョブ・コア
/見えない貧困
/日本は安泰か
/前途多難の可能性

第7章 古いヨーロッパ・フランスは抵抗する 鳥海基樹
1 国土はフランチャイズ化されファスト風土が田園をむしばむ
/古いヨーロッパをむしばむアメリカ文化
/アメリカ化=グローバル化という図式
/グローバル化が加速する国土のファスト風土化
/「フランチャイズ化される都市」
/マーケティング・オブリージュ
/巨大グループの戦略を暴く
/ショッピングモールが狂わせる犯罪感覚
/中心市街地もフランチャイズ化されてゆく
/国土はフランチャイズ化されファスト風土が田園をむしばむ

2 マンジャンは提案する
/脱フランチャイズド・シティのための三つのコンセプト
/セクト化の都市計画から道づくりの都市計画へ
/セキュリティの保障された環境の連続体から通り抜けられる都市へ
/マンジャンは提案する

3 都市計画もがんばっている
/それでもやはりフランスの都市と田園は美しい
/中心市街地の近隣商店街をまもる
/郊外大規模店舗を制御する
/都市計画も頑張っている

4 古いヨーロッパ・フランスは抵抗する

おわりに

本書をより理解するためのブックガイド
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