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所在地 愛知県名古屋市昭和区八雲町
設計 アントニン・レーモンド
竣工 1966
機能 学校
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名古屋大学を出るとすぐ横に広がるのは南山大学。名古屋のこのエリアは名古屋大学、南山大学とともになって文教エリアとして素晴らしい住環境を形成している。それを感じさせるように、周辺を歩いていると比較的大きな家や有名ブランドの車を良く見かけることになる。
その南山大学を設計したのが帝国ホテルの設計に召集された世界的建築家であったフランク・ロイド・ライトと共に、彼の事務所スタッフとして日本に乗り込んできたチェコ人建築家:アントニン・レーモンド。
帝国ホテルの完成後とっととアメリカに戻っていたライトとは違い、その後も日本に留まりそしてキリスト教関係の建築を中心に良質な建築を日本各地に残した建築家であり、その後の日本のモダニズムの良いお手本として建築界においても重要な役割を果たした外国人建築家である。
恐らく日本で活躍した外国籍の建築家としてはもっとも知られ、もっとも影響力を持った人であろう。独立して設立したレーモンド設計事務所には、前川國男、吉村順三、ジョージ・ナカシマなど日本のモダニズムを支えていく多くの建築家がその事務所で働き、多くのことを学んだ。
そのレーモンドが南山大学の総合計画を手がけたのが1964年。キリスト教系神学校に分類される南山大学にとっては、そのキャリアの後期に入りつつあったレーモンドはまさにプロジェクトにうってつけの建築家であったと思われる。
ちなみに日本にあるキリスト教系神学校としては、カトリック系の上智大学や南山大学。そしてプロテスタント系神学校が同志社大学、関西学院大学、ルーテル学院大学、立教大学などという。
恐らくこの南山大学の計画参加がきっかけとなり、その隣の敷地に位置する神言神学院もまたレーモンドに依頼される流れになったのだろうと思われる。
ではその神言神学院とは何かと言うと、神言会の大神学校だという。では神言会とは何かと言うと、1875年にドイツのアーノルド・ヤンセンによって創設されたカトリック教会の修道会だという。そして神学校とはというと、キリスト教、神学について学び、次世代の教育者を育成する学校だという。
中央に円筒形をした鐘楼から入り口に向けて5つの扇形が張り出す形の礼拝堂が中庭の中心に配されて、それを囲む形で居住空間などが広がっている構成を持つ。坂が多い周辺環境の中でも一番高い丘の上に位置し、正面からは更に階段を上ってアプローチをすることになる。
綺麗に手入れをされているそのコンクリート壁面を見ると、この建物がどれだけコミュニティに愛され、大切にされてきて、長い時間をこの場所で過ごしてきたことが見て取れる。
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