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所在地 埼玉県所沢市三ヶ島
設計 池原義郎
竣工 1987
機能 大学施設
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1988年日本芸術院賞
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所沢まで早朝の高速を飛ばして、徐々に山深くなるなか到着したのは早稲田大学の所沢キャンパス。大学時代は理工学部のあり大久保キャンパスと、本部のある早稲田キャンパスで行動をして、こちらのキャンパスには一度も足を運ぶことが無かったなと改めて思い出す。見てみると学部は人間科学部、スポーツ科学部、人間科学研究科、スポーツ科学研究科ということで、なるほど縁が無いはずだと納得。
平日の早朝ということで鳥の囀りも聞こえるのんびりした雰囲気。カメラを持って鳥を狙っている様子のおじさんに、仲間だと思われたのか頭を下げられ、負けずと首から提げた買ったばかりの新しいNikonにそっと手をかける。
大学で建築を学び、建築家として成長した後に母校の設計に携わることができるのは、建築家としてほんの一握りである。どんなに能力があったとしても、大学の拡張計画の時期に活動の時期が重なってなければ決して機会を得ることは無い、とても貴重な体験であろう。
そしてこの所沢キャンパスももちろん早稲田大学出身の建築家によって設計が行われた。その建築家は池原義郎(いけはらよしろう)で、自分もできるだけその作品を巡ってきている大好きな建築家である。
作品
1970年 岩窟ホール (42歳)
1970年 白浜中学校 (42歳)
1973年 所沢聖地霊園・礼拝堂・納骨堂 (45歳)
1979年 西武ライオンズ球場 (51歳)
1985年 西武遊園地 (57歳)
1987年 早稲田大学所沢キャンパス (59歳)
1988年 箱根湯の花温泉ホテル (60歳)
1989年 北九州プリンスホテル(現ホテルクラウンパレス北九州) (61歳)
1990年 中国割烹旅館掬水亭 (62歳)
1994年 浅蔵五十吉美術館 (66歳)
1994年 広島プリンスホテル(現グランドプリンスホテル広島) (66歳)
1995年 北九州市立大学本館 (67歳)
1997年 酒田市美術館 (69歳)
1997年 熊谷文化創造館 (69歳)
1998年 ガレリアかめおか (70歳)
1999年 富山県総合福祉会館 (71歳)
2001年 唐戸市場 (73歳)
2002年 青い森アリーナ (74歳)
2003年 アルテリオ (75歳)
2005年 ゑしんの里記念館 (77歳)
2008年 いしかわ総合スポーツセンター (80歳)
作品を見ていくと、比較的キャリアの前半に位置するものだということが分かるのと同時に、近くに位置する所沢聖地霊園礼拝堂や、西武ライオンズ球場、西武遊園地そして掬水亭と恐らく半径数キロの地域に密集してほぼ同時期にプロジェクトを抱えていたのに驚くことになる。
細長いボリュームがゲートのような役割をしており、近づくとその壁面がいつもどおりボリュームではなく、独立した重なる面としての要素に還元されており、ぐるりと回りこむように左の坂に沿って上っていくと、シンボルとなるタワーが右手に見えてくる。
こちらも徹底してボリュームをより小さなスケールへと分割していく手法が繰り返され、壁と天井など要素ごとに見切られた隙間から内部へと入っていくと、とことん分割して二重の線へと変換されていく手すりなどその後の作品で素晴らしいディテールへと昇華していく要素があちらこちらに散りばめられ、ここよい朝の空気とともに爽快な気分になりながら大学を後にする。
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