2016年2月6日土曜日

Apple Store 表参道 Bohlin Cywinski Jackson 光井純 2014 ★★


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所在地  東京都渋谷区神宮前6-13-3
設計   Bohlin Cywinski Jackson、光井純
施工   竹中工務店
竣工   2014
機能   商業施設
建築面積 623m2
延床面積 1968m2
規模   地下2階,地上1階
構造   S造一部RC造
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もう二年前にできているはずなのに、あまり気にすることの無かったのがこのApple Store 表参道。世界中で一気にリニューアルされて増殖している旗艦店の一つ。基本的に前面ガラス張りで背の高いワンルーム空間を徹底的に追求し、透明度の高いファサードを作るために、構造や設備、そしてディテールなども徹底して排除され、ミニマルに、ガラスの面だけの存在に還元する。その為に最高峰の技術が駆使されるのは、まさにiPhoneに代表される最先端のプロダクトに通じるものを感じさせる。

建物は表参道に面する長手のファサードだけでなく、両サイドのファサードも含めて3面総ガラス張り。これだけの透明度と横の分割なしで一枚パネルでいくために、何枚もの厚いアクリルを重ねて成立させているのだが、同じものを普通のプロジェクトで要求すると、まぁコストや構造やらいろんな問題が起きる起きる。

そしてその上には後部から12mも張り出したキャンティレバーの薄い鉄骨屋根。一体どうやったら室内空間に対しての天井設備、構造、屋根としての排水や防水などの様々な機能層を確保できるのか本当に不思議に思ってしまうその薄さ。

ある程度建築の実務をこなして、実際このような透明度の高く、ミニマルなディテールを纏った設計をやろうとしては様々な問題にぶち当たっている建築家にとっては、これがいかにすごい技術の結晶か感動してしまうのだが、その内部で最新のiPhoneを手に取っている人たちにとっては、そこはただの存在感の消えた背景としての空間になっているのだろうと想像する。

しかし、これだけ技術を駆使して、たどり着くのが世界中に繰り返され、現地での技術が足りなければ全ての素材をアメリカから輸入するほどの徹底されたクオリティ・コントロール。そこには、まさに世界どこでも同じ質のものが手に入るグローバリゼーションの中のプロダクトと同じ考え方が見え隠れする。この様な技術的に素晴らしい建築がこの様にして、その敷地や地域性とどんどんと乖離していく姿は、現代のある一つの方向性として否定できないのだろうと思いながら坂をあがっていくことにする。



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