ギャラリストの友人から招待券を頂いたので、折角だからとオペラシティへまで足を伸ばすことにする。メディア系ギャラリーとして認識はしていたが、こうして展覧会を見に来るのは意外と初めてになるICC。磯崎新設計のオペラシティと言う事もあり、いい機会だから建築と合わせて展覧会を楽しむ事とする。
そのキャリアの中で常に「都市」に向き合ってきた現代の建築業界における巨人・磯崎新。氏の時代ごとのプロジェクトの変遷を辿りながらその都市論を再考しながら、現在進行している世界での都市計画を展示しながら最新の都市論を考えるという趣旨のようである。
「ソラリス」と聞けば、タルコフスキーの映画を思い出してしまうが、使い古されながらもそれでもまだ近未来の面影をかすかに待とうその言葉を巧みに使いながら、数年前に日本を襲った津波を引用しながらも、〈しま〉から〈しまじま〉へ、そしてフーコーの〈ビオス〉などの引用を経て〈しまじま〉が今度は〈ギャラクシー〉へと成長していく過程にある現代において、一体どんな都市論が議論できるのだろうかと投げかける。
常に建築言論のトップを走ってきた氏ならではの、広範囲でかつ非常に深い総合地が無ければ疑問すら挟めないような雰囲気にさせてくれるその言説。留まる事のない大衆化が押し寄せる現代の建築界において、それでも建築家と自らを称するならば求められる教養のハードルの高さを改めて実感させられるその入り組んだ言葉達。
眩暈のするようなその展示方法と同様に、少々その言葉達にも酔いそうになりながら、何とかその重厚な手すりを握りながら階段を下りることにする。