--------------------------------------------------------
所在地 兵庫県神戸市中央区熊内町
設計 竹中工務店
竣工 2014
機能 博物館
規模 地下2階、地上1階
建築面積 539m2
延床面積 1,884m2
構造 鉄筋コンクリート造・鉄骨造
--------------------------------------------------------
今回神戸を巡る中で一番期待をしていた現代建築がこの企業博物館である竹中大工道具館。その期待を裏切らないどころか、予想を遥かに超える建築の質に圧倒されて、建築の素晴らしさを改めて感じながら建物を後にすることになる。
午前中にナビに導かれていってきた場所にあった旧館は1984年に建設され、30年を記念して2014年に昨晩レンタカーを借りたJR新神戸駅の脇のかつての竹中工務店の本社跡地に移転し新築されたという。
案内に誘われて敷地の中に入るが、用意されている数台分の駐車場はすでにいっぱいで困っていると案内のスタッフの方が出てきて、「申し訳ないですがいっぱいなので、この先を左に行ったところにある有料の駐車場を利用してください」とのこと。これは神戸全体での印象でもあるが、もう少し地方都市というところなら、これらの公共施設には広大な駐車場が整備されており、車社会と余裕のある土地利用が感じられる、逆にもっと都心部であればもっと過密度を感じるところであるが、どうもその中間地に位置するような感じで、施設側の人もそれらの外部の駐車場と共存するのが当たり前のような態度に少々驚くことになる。
そんな訳で車を停めて徒歩で坂を下りながら建物に向かうのだが、地上1階に対して、地下が2階と、目に見えないところに多くのお金をかけることで、外に出てくる建物のスケール感を押さえ、元々この地にあったという茶室と対応させるように施されている。
アプローチの石畳から、地形に合わせて持ちげられた基壇への数段の階段とその手すりと、人が動いて言う中で必ず視線を落とさなければいけない場所に、これぞというディテールが過剰ではなく、それでいて雄弁に散りばめられている。
そして庇の下に入る際にふと視線を上げる先に浮いているのは庇から距離をとって虚空に浮く雨樋。雨の流れを想像して追っていく先に待ち受けるのは寺社などで良く見かける鎖樋。その一つ一つの鎖に伝わる雨水を想像して、重力による加速を受けて地面と衝突で水しぶきを上げる水を制御するかのように、地面に散りばめられた玉石によって音と飛び散りを抑えられるその設計者の心遣いと想像力がしっかりと形として現れている風景に心を洗われる。
床の場の縁に、落下防止でありつつ、人が軽く腰をかけられ様に設置された手すりの縁は折り曲げられながらもギリギリのところで床と縁を切っており、強い人工性と意図を表現している。
つまり入り口に入るまでに建築家であれば、あちこちでこのような強い感動に誘われて、設計の最初から施工の最後まで、一つの高い精度を持った心遣いと、気配り、そして素材や工法を熟知して制御する設計集団の質の高さに真に感服することになる。
そんな訳で「一体どんな空間が待ち受けているのか・・・」と相当に心を整えて向き合うことになる正面玄関。その表面材にも、「職人」の魂を展示する企業博物館であるだけに、またしても中に入る前に相当な時間がかかるだけの想いが感じ取ることができる。
そんな訳で内部には機械製材と伝導工具が普及したことに伴って、徐々にその姿を消していっている職人の手道具とその発展の歴史および、職人の技を、どうにか後世へと伝えていこうとする様々な展示が展開する。
その展示ももちろん素晴らしいのだが、残念ながらその展示に目が行くよりも、やはりその周囲を形作る様々な建築エレメントの絡み取られ、階段の裏やトイレの隅、展示室の天井の設えなどに視線を泳がしながら、「なんとも素晴らしいものを見せてもらったものだ」と一人ごちながら、建築を学ぶ学生には大学に籍を置く間に一度は訪れる場所としてぜひとも推薦したいものだと思いながら建物を後にする。
午前中にナビに導かれていってきた場所にあった旧館は1984年に建設され、30年を記念して2014年に昨晩レンタカーを借りたJR新神戸駅の脇のかつての竹中工務店の本社跡地に移転し新築されたという。
案内に誘われて敷地の中に入るが、用意されている数台分の駐車場はすでにいっぱいで困っていると案内のスタッフの方が出てきて、「申し訳ないですがいっぱいなので、この先を左に行ったところにある有料の駐車場を利用してください」とのこと。これは神戸全体での印象でもあるが、もう少し地方都市というところなら、これらの公共施設には広大な駐車場が整備されており、車社会と余裕のある土地利用が感じられる、逆にもっと都心部であればもっと過密度を感じるところであるが、どうもその中間地に位置するような感じで、施設側の人もそれらの外部の駐車場と共存するのが当たり前のような態度に少々驚くことになる。
そんな訳で車を停めて徒歩で坂を下りながら建物に向かうのだが、地上1階に対して、地下が2階と、目に見えないところに多くのお金をかけることで、外に出てくる建物のスケール感を押さえ、元々この地にあったという茶室と対応させるように施されている。
アプローチの石畳から、地形に合わせて持ちげられた基壇への数段の階段とその手すりと、人が動いて言う中で必ず視線を落とさなければいけない場所に、これぞというディテールが過剰ではなく、それでいて雄弁に散りばめられている。
そして庇の下に入る際にふと視線を上げる先に浮いているのは庇から距離をとって虚空に浮く雨樋。雨の流れを想像して追っていく先に待ち受けるのは寺社などで良く見かける鎖樋。その一つ一つの鎖に伝わる雨水を想像して、重力による加速を受けて地面と衝突で水しぶきを上げる水を制御するかのように、地面に散りばめられた玉石によって音と飛び散りを抑えられるその設計者の心遣いと想像力がしっかりと形として現れている風景に心を洗われる。
床の場の縁に、落下防止でありつつ、人が軽く腰をかけられ様に設置された手すりの縁は折り曲げられながらもギリギリのところで床と縁を切っており、強い人工性と意図を表現している。
つまり入り口に入るまでに建築家であれば、あちこちでこのような強い感動に誘われて、設計の最初から施工の最後まで、一つの高い精度を持った心遣いと、気配り、そして素材や工法を熟知して制御する設計集団の質の高さに真に感服することになる。
そんな訳で「一体どんな空間が待ち受けているのか・・・」と相当に心を整えて向き合うことになる正面玄関。その表面材にも、「職人」の魂を展示する企業博物館であるだけに、またしても中に入る前に相当な時間がかかるだけの想いが感じ取ることができる。
そんな訳で内部には機械製材と伝導工具が普及したことに伴って、徐々にその姿を消していっている職人の手道具とその発展の歴史および、職人の技を、どうにか後世へと伝えていこうとする様々な展示が展開する。
その展示ももちろん素晴らしいのだが、残念ながらその展示に目が行くよりも、やはりその周囲を形作る様々な建築エレメントの絡み取られ、階段の裏やトイレの隅、展示室の天井の設えなどに視線を泳がしながら、「なんとも素晴らしいものを見せてもらったものだ」と一人ごちながら、建築を学ぶ学生には大学に籍を置く間に一度は訪れる場所としてぜひとも推薦したいものだと思いながら建物を後にする。
0 件のコメント:
コメントを投稿