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2014年3月4日火曜日

コンペの締切り

ロシアで行っている都市計画のコンペの締切り。

やはり最後はいつもの通りにカオス状態に陥る。ロシア時間で決められた時間までに、パネルを含めた紙媒体の提出物を、郵便会社に渡した、期限時刻内に受け取ったという認証を貰わねばならない。

その為には印刷しなければいけない、100ページを超えるA3サイズの資料を何冊も印刷するのと、A1サイズのパネルを印刷するのを同時に行わなければいけなく、印刷会社で印刷にかかる時間を逆算しながらギリギリまでの作業となる。

既に期限が迫り、オフィスに待機してもらっている郵便会社のスタッフ。事情を説明し何とか待っていてもらっているが、まだ印刷物が届かない。同時にコンペの指定されたFTPサイトにデータをアップデートしていかなければいけない。

しかし、中国のファイヤーウォールの為に、アップデート速度が非常に遅く、何度も途中でエラーとなってしまう。このままじゃきりが無いのでコンペ運営側に電話し、状況を説明し、変わりにファイル転送サイトから送るのとドロップボックスで共有する二方向からファイルを転送することを伝え了承してもらう。

ブックレット、パネル、PPT、A4のステイトメント、それらのプロジェクトに関係することとは別に、設計料の提案書や今回のコンペに関するインボイスなどには引証を押して、最後に郵便会社の時間内での受け取り証明書を同封したりする。

プロジェクト関係の資料は英語とロシア語併記の為に、最後にもう一度確認していくと、ロシア語が何度も同じテキストが使われているのを発見し、ロシア人のスタッフに再確認して訂正してもらう。

結局郵便会社のスタッフが会社を出たのは受け取り印を押してもらった約二時間後。「問題ないですよ」といって忍耐強く待ってくれる姿に感謝の念を感じずにいられない。

そんな訳で分かってはいるけれども、いつも最後はこうなってしまう。それはあまりに多くのことを用意しなければいけなく、そしてそれにかかる時間がどれほどか、そして締め切り間近という緊迫した中でどれだけ集中力が落ちミスがでて、効率が低下していくかを初めてのメンバーは理解していないから。いくら逆算して早めに進めて行ってもこればかりはどうしようもない。そしていつも必ず最後には間に合うことになるから不思議である。

次に残されたのは、最終プレゼンで流す5分のマルチメディア・プレゼンテーションの作成。アニメーションを使ってプロジェクトをよりビジュアルで説明するものである。クタクタに疲れ果てた状態でも、誰かがその動画の為のナレーション・テキストを考えなければいけない。しょうがないので、動画の流れとコマ割を考えながら、テキストを考え始めて家路に着くことにする。

2014年2月26日水曜日

欧米スタンダードの生活を求めてくる外国人

幾つものプロジェクトの締切りが同時に迫っている。それぞれのチームメンバーがストレスと疲労を抱えて時間を過ごす。オフィスに長い事在籍しているスタッフは締め切りを控えたプロジェクトがどの様なスピード感覚で進んでいくか、どの様にしてデザインを落とし込んでいくか、どのようにしてプレゼン資料を纏めていくのかをある程度理解している。

が、比較的新しくオフィスに来たメンバーは、ここでどの様に物事が進んでいくのか分からない中で、緊張感を持った時間を過ごすことになり、周りの見えない暗闇の中で手探りで歩くように余分な疲労を感じやすい。

そんな環境の中では、「このような短い時間では思うように設計ができない」ということを言ってくるスタッフが出てくる。

そういう言葉を耳にするたびに思うのが、欧米のしかもかなり恵まれた環境の設計事務所でのスタンダードを求めてこの中国にやってきている外国人がかなりいるということである。

先進国と呼ばれる国の建築家達からは「どうせ中国だから・・・」と呼ばれながら、そういうフィルターをかけることで本当に何が起こっているのかを見えなくしてしまう環境の中で、それでも必死にできることとを伸ばし、新しい建築の可能性を見出そうとし、ドロドロになりながら時間を過ごす者がいる。

この国で何を得るのか、そしてその為には何を犠牲にしなければいけないのか。

他の場所では手がける事ができない面白い可能性を秘めた建築プロジェクト。それに関与できることは、その代償として何を求めるのか。

一つのプロジェクトが安定した状態を保ち、建築家が望むような十分なスタディを行う時間を与えられるような環境がどこで得られると思うのか。夕方になればオフィスでワインでも開けて、皆でプロジェクトについて議論をする。そんな夢の中のスイスの建築事務所の様な時間の過ごし方ができると思うのか。

できないのは、時間の短さのせいではなく、自らの能力不足の為だとは思わないのだろうかと、不思議に思ってしまう。大学を出て数年の実務経験で、いきなり常識の違う国に来て働こうというのに、根拠の見えない自分の常識を押し付けようとするその身振りには、大国の身勝手さを感じないわけにはいかない。

グローバル化の進んだ建築業界。そこで求められる人材となるためには、まずは他人は自分と違う事を認識する、文化人類学の基礎をしっかり理解し、そして違う国には違う国の物事の進め方があり、自分に必要な事はその枠組みの中でも必要とされる、求められるだけの職業人としての能力を高める事ではないだろうか。

2013年4月27日土曜日

こむら返り

かつてロンドンで働いている時に、同じくAAの大学院を出て、同じタイミングでザハ事務所で勤務し始めた当時10歳くらい年上のオーストラリア人がいた。

その年齢からか、もしくは彼の経験からかわ知らないが、こちらが必死にコンペで最後の仕上げをしているのに、定期的に画面を覗きに来ては「どうなってる?」「問題ない?」「ここはちょっと直した方がいいね」などと偉そうに言ってくる役割を担っていた。

「オマエは何もしてないのに、何を偉そうに・・・」

と思いつつ、顔が似ているということで、チームの周辺にやってくる度に「ミスター・ビーンがやってくる」と皆でコソコソ言っていたのを思い出す。


恐らくその時の彼の年齢に自分も達したであろうこのごろ。

大きな大きなコンペの締切りを控えたこの時期、今の自分はオフィスの中でよく歩き回っている。

チームのメンバーのパソコンの前まで行き画面を覗き込み、印刷させてはスケッチをし、イラストレーターでの着色を微調整し、インデザインのレイアウトに使う参考写真を探してわたし、レンダリングの雰囲気を描きこむなどととにかく歩いて回る。

そのおかげでかこの数日、朝方にこむら返りになる程。

指示をして、そのスタッフが正確に意図を理解し、テイストを感じ取り、クオリティを確保でき、時間通りに仕上てくれるのなら、こちらはきっと歩く必要はないのだろう。

しかし、これだけ様々なバックグランドを持った人間がいると、それぞれの仕事への姿勢も大きく差があり、ましてはインターンという学生もチームに入っていると、どうしても誰かがこまめにグルグル回って、全体を統合していかなければいけなくなり、その作業は外から見ているよりもずっと難易度が高いものである。

「やれる、やれる」といいながら、一向に仕上がらない平面図。遠くからその作業振りを見ていると、ちょっとやってはすぐに携帯をいじっているスタッフの姿・・・。思い通りに行かないと、必要のないことをやりだしてみるスタッフ。全体を見渡す役割を担わせて見ても、ついつい一つのタスクに視野を取られてしまうスタッフ。

それが人間の性だと分かりつつ、その為には時間と経験が必要だと知りつつ、「勝てるプロジェクト」に磨き上げるために、期限内で仕上るために、明日の朝もまたこむら返りだと思いながらまた歩くことにする。