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所在地 兵庫県姫路市亀山
山号 霊亀山
宗派 浄土真宗本願寺派
寺格 由緒寺
創建 1515
開基 蓮如
別称 亀山御坊・亀山御堂
機能 寺社
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姫路を離れる間に、中心地から少し南に下って一つこの地域の重要な寺院に立ち寄っていくことにする。播磨国における本願寺派の根本道場として発展し、江戸時代には傘下に400近い寺院を要するまでに勢力を伸ばしたのがこの亀山本徳寺(かめやまほんとくじ) 。江戸末期には新撰組が屯所として占拠したこともあり、本堂の柱の一部にはその時の刀の痕が残る場所でもある。
やはり市街地から離れたことで、街並みもかなりゆったりとした雰囲気になってくる。駐車場に車を停めて正面の参道からアプローチするが、足元の舗装やその視線を受け止める築地塀、そして道の脇を流れる掘割に使われている素材に、この寺院の歴史と格の高さ、そして地域の中での重要性を読み解くことができるようでとても整った風景の中を通り境内へ。
大門をくぐるとその先には視線を遮るかのように目隠壁が訪問者の動線を左右に誘う。ここらへんも、ちょっとそこらの寺院ではなかなか見ることのできない品の良さを感じさせる。左に流れると屋根の曲線が美しく待ち受ける本堂。これは妻入りのために、その曲線を存分に堪能できる訳である。
整えられた砂利の左右に視線を遮らない程度に植栽が丁寧に整えられており、足元もほとんど落ち葉などの自然の乱れが感じられないくらい、しかしやり過ぎではない程度にしっかりと手を入れ整えられている。本堂への広い階段の脇にはちょこんと花が生けてあり、気持ちよく下足を脱ぐことができる。そこに誰もいないのに、この場の主人と気持ちの良いコミュニケーションを取れている、そんな心地のよさ。
風景を切り取る広縁の先にはこれも綺麗に張られた障子が待ち受けるのだが、少し手をかけてみるがなかなか開かないために、「閉まっているのでは・・・」と心配になり、渡り廊下を渡って母屋に向かう。その途中、渡り廊下を一度曲がったところで、ちょうど昼に差し掛かってきた太陽に光が心地よく時間の経過を感じさえてくれる床にさし込み、しばし一人その場に佇み贅沢な風景を堪能する。
母屋に向かうと待ち受けるのが大玄関。その正面に絶妙なバランスをもって生けられている立派な生け花。背景の余白と相まって、非常に美しい一枚の絵を作り出している。そしてその先の事務所に声をかけると、恐らく住職さんの奥さんであろうか、とても品のよい雰囲気で「どうぞ、開いておりますので、ご自由に見ていってください」と。「ここまで至る所に感じられた品の良さの源泉はこの方か・・・」と何だか納得して先ほど来た渡り廊下を戻って本堂へ。そして今度は両手で障子を開けるとスルスルと開き、南から差し込む光が障子のスクリーンを真っ白に飛ばすなんとも言えない室内空間へ。
最後に、境内の片隅に芽吹き始めた梅のつぼみを見つけても、「これもひょっとしておもてなしの心遣いなのでは・・・?」と思ってしまうほど、細部まで目の届いた本当に素晴らしく整った空間に感謝して境内を後にする。
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