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2016年11月8日火曜日

モンパルナス墓地 (Cimetière du Montparnasse) 1824 ★★★



隣に立つモンパルナスタワーは15区に属するがそこから東は14区。モンパルナスタワーから少し東に歩き出すとすぐに感じられる落ち着いた住宅街の雰囲気。そしてすぐに到着するのがパリでももっとも有名な公共の墓地の一つモンパルナス墓地 (Cimetière du Montparnasse) 。モンパルナスタワーの展望台から見下ろすと、まるで巨大な駐車場かと思って地元民に尋ねると、「あれは墓地だよ。サルトルなんかも眠っている有名な墓地さ」というので、それはぜひとも足を運んでみたいとお願いしてやってきた。

フランスはそのほとんどがカトリック教徒が占めるという。そしてカトリックの慣わしとして、死者は火葬せずに、埋葬するらしく、その為にお墓もかなりの大きさとなるという。

まるで公園かと間違えるくらい、明るく開け、緑に溢れる墓地で、そしてそのサイズも非常に広い。園内を歩いているととても品の良い老夫婦が花を持って家族のお墓に参りに行く姿を何組か見かけることになる。

この墓地を有名にしているのはここに埋葬される数々の有名人。作家のモーパッサンやボーヴォワール、詩人のボードレール、哲学者のサルトル、歌手のセルジュ・ゲンスブール、写真家のマン・レイなどなど、世界の歴史を作り出してきた面々がここに眠るということで、多くのファンが足を運ぶということである。

「パリに生まれ育ちながらも、一度も来たことがなかったよ。いい経験になったよ、ありがとう」と、パリに住む地元の建築家に言われるように、そこが日常になればその魅力に目を向けることはなかなか難しくなるのは世界どこも同じだろうなと思いながら、ゲンスブールに傾倒していた大学入学当初に思いを馳せる。



パリ14区




モンパルナスタワー(トゥール・モンパルナス,Tour Montparnasse,Montparnasse Tower) 1972



パリの北はモンマルトルの丘。そして南はモンパルナス。そのパリの南の顔となっているのがこのモンパルナスタワー(トゥール・モンパルナス,Tour Montparnasse,Montparnasse Tower) 。かつてこの場所にあった旧モンパルナス駅跡地が敷地となっているが、新しいモンパルナス駅はやや南に位置をずらし、駅はフランス西部と首都パリをつなぐ重要な終着駅として多くの人々をパリへと繋いでいる。

その敷地にパリの新たなる顔として計画された超高層ビル。1969年から1972年に建設されたということは60年代初頭から計画が進んでいたということであろう。用途は主にオフィス。59階建てで高さは210m。建築としては現在もフランスでもっとも高いビルである。というのは最頂部324mであるエッフェル塔は常時人が滞在する建築物ではなく、あくまでも工作物とう扱いなので、建築物として最も高いのはやはりこのモンパルナスタワーということである。

その設計はEugène Beaudouin, Urbain Cassan, Louis Hoym de Marienという3名の建築家が関わったとされており、その遠くから見ると黒い塔に見えるが、実際近寄ってみるとその色はチョコレート色というか、少々茶色を帯びており、恐らく向き合うことになるエッフェル塔の色を意識したチョイスであったのだろうと思われる。足元に寄り添うよそうように建つ商業施設と低層のオフィスはのちに建設され、別の建築家による設計ということであるが、その色合いは引き継がれ全体として一つの開発としての表情を見せている。

56階には展望台が設置されており、チケットを買うとエレベーターで一気に56階に上がることでき、室内の展望台からパリを見下ろすことができる。高層ビルの少ないパリ市内なだけに、その眺望はなかなかのものである。ぐるりと後ろ側に回ると目の前にはすぐそこの距離にエッフェル塔を見ることができる。この56階のエッフェル塔に面した部分はレストランともなっており、エッフェル塔を眺める贅沢な雰囲気が味わえる。

展望台から小さな階段を上がっていくと、途中で外部に出てさらに階段を上り、屋上にある露天展望デッキにでることができる。風を感じながら360度のパノラマを楽しみながら、「やはりパリにはパノラマだろう」とかつてあったパサージュ・パノラマに思いを馳せることになる。

この建物を有名にしたのは、その建設後、激しい景観論争を巻き起こし、美しいパリの街にふさわしくないデザインだということで、様々な非難を受けることになったこと。その為にこの建物の建設後、パリ市内では高層ビルを建設することはできない条例が作られることになる。

そのお陰で逆にパリ中心部はロンドン、NY、東京などの国際的大都市に比べたら中心部に高層ビルの無い、低層の街並みが保たれることとなっている。そしてそれはこのモンパルナスタワーにも逆のメリットを与え、パリをこれだけの高い場所から見下ろす展望台を備えているのはエッフェル塔と自らのみという状況を生み出し、さらに周囲になんら視界を遮る建物が無いという稀有な状況も助け、不名誉な評判を他所に多くの観光客がこの展望台を目指してモンパルナスにやってくるということらしい。

、「トゥール・モンパルナス最上階からの眺めはパリで一番美しい。なぜからパリで唯一トゥール・モンパルナスが見えない場所だからだ」

とまで言われるこのタワー。街中をあるいていても、まるでSF映画のようにスケール感と時代感の違った巨大なボリュームがいきなり現れるその姿を見ると、これも間違いなくパリの一つのシンボルであるのだろうと納得しながら展望台を後にする。



パリ15区