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所在地 兵庫県淡路市浦
山号 佛照山
宗派 真言宗御室派
寺格 別格本山
創建 平安時代後期
別名 水御堂(みずみどう)
機能 寺社
設計 安藤忠雄
竣工 1991
規模 地下1階
構造 鉄筋コンクリート造
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浄土寺のある小野市から、再度高速を飛ばして向かうのは淡路島。本州と淡路を繋ぐ明石海峡大橋を渡り、淡路島に入ってすぐの出口で高速を下り、海岸沿いに少し進むと左の丘の上に見えてくるのが次の目的地である本福寺(ほんぷくじ)。この寺のお堂である水御堂(みずみどう)が安藤忠雄の設計のよって1991年に完成し、現代建築がつくる寺社建築としていつかは来てみたいと思っていた場所である。
丘を登った駐車場に車を停めると、お寺の参拝を終えて出てきた集団に出くわすが、どうやら中国からの観光客で、目の前に広がる大阪湾の眺望を背景に記念撮影を行い、観光バスへと向かっていく姿を見ると、「日本人でもあまりこないであろうこんなところまで観光ルートとして取り込まれているのか・・・」という驚きと、「そりゃバスの運転手不足にもなるわ・・・」と問題になっているトラックや大型バスの運転手不足とそれに伴う労働環境の悪化、そして多発する事故の問題の根の深さに思いを馳せる。
さて、この本福寺(ほんぷくじ)。檀家の一人でもある三洋電機の創業者一族も名を連ねており、そのつながりで安藤忠雄に設計の話がいったようであるが、現代建築によって寺院空間を作り、俗世と聖なる領域の境界をどう空間として表現するか、仏像の配置と光の入り方でどう極楽浄土の存在を感じさせるのか、などなどさまざまな寺院をめぐって研究した結果、一枚の緩やかに曲線を描くコンクリートの壁によって境界を作り出し、地面からわずかに浮いた大きな水盤の中心に設けられた直線の階段を下りることで聖なる空間へと足を踏み入れる演出をし、先ほどの浄土寺浄土堂と同じく、東を向いて設置された仏道の後ろに西に向けて朱色に塗られた蔀戸(しとみど)を設置し、夕方に高度を落として夕日が差し込むと、堂内は真っ赤に染まったような空間になるような手法など、非常にうまく伝統的な寺院の設計手法と現代建築を融合して作られている。
コンクリートの高い壁に挟まれた階段を上ると、自らの足音が反響して自分の身体を感じ、徐々に広がる空の面積と、急に開ける視界の先に水面に植えられた蓮の花が、現世へと再度戻ってきたことを教えてくれる。
伝統的な建築だけでは決してなしえない空間を作り出し、それがこうして日常の風景の中にそっけない顔をして存在しているというのは、やはり日本という国はすごいところだと改めて寒心することになると同時に、いつかは同じように新しい寺院空間にどのような可能性があるのかをどこかでチャレンジしてみたいものだと思いながら目の前に広がる大阪湾を見下ろすことにする。
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