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所在地 鳥取県倉吉市仲之町
設計 日建設計
竣工 1973
機能 博物館
規模 地上2階
構造 RC造
敷地面積 13,071㎡
建築面積 1,663㎡
延床面積 2,220㎡
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第16回(1975年)BCS賞受賞作品
日本さくら名所100選 (打吹公園)
日本の都市公園100選 (打吹公園)
森林浴の森100選 (打吹公園)
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倉吉市庁舎の裏手に聳えるのは、倉吉のシンボルでもある打吹山(うつぶきやま)。その麓に広がる広大な敷地を持つ打吹公園はこの街の市民の憩いの場として親しまれており、市の主要な施設は全てこの公園周辺に位置している。その打吹公園の中にひっそりと建つのがこの倉吉博物館。
市庁舎から車を後ろに回すと、麓に駐車場があるのでそこに車を停めて、身体の芯まで冷えるような寒風吹きさす中を飛ばされないようにと傘を強く持ち階段を登っていく。恐らく晴れた日には、とても気持ちの良い公園なんだろうと思いながらも、その寒さの為にとてもじゃないが周辺の自然を楽しむ余裕もなく、目の前に見えてくる白い片流れのボリュームに吸い込まれるように入っていく。
全体としては雪国らしく、片流れの明快な形状を持った二つのボリュームが奥行きを変えながら向き合う形で配置され、手前に伸びてきた右手側のボリュームの下がピロティとなって、そこに向けてアプローチから徐々に床面が上昇しエントランスへと導いてくれる。
妻側には低い高さに水平窓が設けられ、平側には高い場所に光採りの窓が設けられている非常にシンプルな形状。内部のロビーはこの街の規模に適していると思える広さで、外部の緑に向けた開口部と段差をつけた床面が非常に上手く接合されている。
ロビー内部の螺旋階段から上部のギャラリーに登ると、逆側に設置されているスロープの存在も視線に入り、このロビー空間に多くの視線が交錯する豊かな空間だということが理解できる。
一部の展覧室が展覧会の準備中ということもあったことと、恐らく増築されて拡張されたアネックスと接合されたことから、動線計画がかなり行ったり来たりを繰り返さなければいけないのが残念ではあるが、恐らく天気の良い日には外の環境と上手く適合した心地よい空間なんだろうと想像できる建築である。