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2014年4月10日木曜日

塔のある風景

モスクワの地に数日滞在することで、日常の中に塔のある風景を持つことの意義について考えることになった。と同時にその効果を身体的に理解をすることができた。

街のどこにいても、あれがセブンシスターズの一つであり、あれがどの大聖堂かを理解していることは、頭の中でのメンタル・マップの作成に大いに役立つことになる。

姉妹が多くいれば、それこそ不細工なものもいるかもしれない。それでも姉妹がそろっているからこそ愛嬌があるものと同じように、ある程度の数があるからこそ塔のある風景として成立している。そしてその姿がなんとも愛らしい。

西方教会の教会が持つようなカテドラルと訳される、祭壇の内陣中央に設けられる司教が座るための椅子を持ち、天に繋がるかのような高貴な光が落ちてくる空間を持つことの無かった、東方教会の大聖堂。そして権力の集中したモスクワの地の力。それが重なることで生み出されることになったこの「塔のある風景」。

セブンシスターズという150mを超える近代の塔。救世主ハリストス大聖堂に代表されるような100mの大聖堂の塔。そして街中に散らばる地区教会の塔たち。スケールと時代を異なる様々な塔が共存することで、多様性のある塔の風景を作り出す。

アジアには決して生まれることの無いこの風景にある種の美しさを感じずにいられない。