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日本の建築空間掲載
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清和源氏を始祖に持ち、伊豆国韮山で世襲によってその地を治めてきた代官が江川家。現当主は42代目に当たるという。その中でも幕末に活躍した36代当主である江川英龍(ひでたつ)が、お台場に設置された大砲の製造などで広く世に知られているが、その江川家の住処として様々な時代におけるこの地の生活の雰囲気を現代に伝えているのがこの江川邸。
何代目といえば老舗を思い浮かべるか三代目 J Soul Brothersとなるのが平成の世であるが、40代以上、年数で1000年程を遡ることができる系譜があるというのも、土地と共に生き、大きな変化の影響を受けなったこの伊豆の地の地政学がなせるものなのであろう。
その江川家。代々当主となると江川太郎左衛門(えがわたろうざえもん)を名乗り、テレビで良く見かける「お代官さま」としての役割を果たしていたことになる。その仕事ぶりが分かるように、室内は様々な時代の資料が展示されており、「お代官さま」がどのような日常を送っていたのかを知ることが出来るようになっている。
さてそんな江川家であるが、建築的にも「日本の建築空間」に掲載されるほど建築史の中で重要視されるのは、なんといっても50坪もの土間空間。そしてその上に架けられた巨大な屋根を支える木造の構造。そこに上部から取り込まれた光が架構を下りてくる様子は圧巻。
飛騨高山の吉島家住宅を思い出させるその空間であるが、あちらはそれでも1907 年と近代に入ってからの民家建築。それに対してこちらは慶長5年(1600年)前後に建てられたとされているので、ゆうに400年は経っていることになる。その為に民家として国内初の重要文化財として指定されたという。
平面図を見ても、一階部分のおよそ3分の1を占めるのが荒々しい土間空間。北と西から入り込む光でその床はうっすらと光を反射し、多くの人が訪れたであろう当時の雰囲気を伝えている。その脇にある生柱とよばれる、この場所に元々生えていたケヤキの木をそのまま柱として利用したものもみることができ、自然の中に溶け込んでいた当時の生活が伺えるようになっている。
様々な映画やドラマのロケ地としても利用されてきたようで、施設内には特にNHKの大河ドラマ「篤姫」での撮影の様子が写真と共に展示されている。表門脇にある枡形には春を待つようにして桜の木が凛凛しく立っているのをみて、竹林と塀と桜で、それはそれは美しい風景として地元に人に愛されているのだろうと思いながら、入り口まえの直販店で旬を迎えた地元名産のイチゴをお土産に買って次の目的地へと向かうことにする。
表門
枡形