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2015年12月13日日曜日

「フィッシュストーリー」 中村義洋 2009 ★★

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スタッフ
監督 中村義洋
原作 伊坂幸太郎
脚本 林民夫
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出版社の社長(1953年):中村有志
ハーフじゃなかった男(1953年):岡田眞善
岡崎の叔母(1953年):浅野麻衣子
繁樹(1975年:「逆鱗」のリーダー兼ベース):伊藤淳史
五郎(1975年:「逆鱗」のヴォーカル):高良健吾
谷(1975年:レコードプロデューサー):眞島秀和
雅史(1982年:気弱な大学生):濱田岳
健太郎(1982年 / 1999年:雅史の友人):山中崇
晴子(1982年:予知をする女子大生):高橋真唯
運命の女性(1982年):大谷英子
スズキ(1999年 / 2009年:シージャック犯):芦川誠
タナカ(1999年 / 2009年:シージャック犯):野仲イサオ
麻美(2009年:シージャックに巻き込まれた女子高生 / 2012年:宇宙飛行士):多部未華子
正義の味方(2009年:コック):森山未來(少年時代:岩井進士郎)
レコード屋店長 / 岡崎の息子(2012年) / 岡崎(1975年):大森南朋(二役)
谷口(1999年 / 2012年):石丸謙二郎
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しっかりと描かれているそれぞれの物語の年代を頭に入れていかないと、流れを追いかけるのが結構な物語。結局6つの時代の話が一冊の小説「フィッシュストーリー」にて繋がっているという物語。

1953年に海外の小説を翻訳して出版したいという若者と、やっと見つけた翻訳者による訳が飛んでもない出鱈目で回収されることになった小説。

1975年にはなかなか目の出ないバンド「逆鱗」が最後の一曲だけと自分達の好きな音楽で望む録音。そしてその曲が「フィッシュストーリー」。

1982年では田舎に住む大学生が合コンに向かう車の中で、都市伝説としてある曲の間奏部分に女の声が録音されているとカセットテープでかける曲が前出の「フィッシュストーリー」。

1999年では預言者によって「ノストラダムスの大予言」し示された最終日だと煽られた大衆が浜辺に集り最後の日を迎えるが、その翌日も綺麗に太陽が昇ってくる。

2009年には修学旅行中の女子高生が寝過ごすことでフェリーから降りられず、そのまま残された船中でシージャックに合うが、シェフとして同乗していた男が小さなころから父親に「お前は正義の味方になるんだ」と育てられており、悪者をやっつけて助かることに。

そして2012年。巨大な彗星が地球に近づき、街中は閑散としてこの世の終わりを迎えようとしている中、レコード屋に集る男たちは「フィッシュストーリー」の曲に耳を傾ける。テレビで流されるニュースでは、ある日本人女性化学者が解き明かした計算式によって発射されたロケットが見事に彗星に命中して危機を逃れることに。その科学者が2009年にシージャックされた際の女子高生。

という流れを時間を飛びながら描いていくので、背景を知らずに映画で始めてみるにはかなり難易度が高いのでは?と思う一作。最近多くの邦画に出演してすっかりお馴染みの顔となった濱田岳、多部未華子、森山未來、大森南朋らの安定した演技によって、突拍子も無い話であるが破綻せずに見終えることができる。

「アヒルと鴨のコインロッカー」に続いて伊坂幸太郎原作の映画化を手がけた監督の中村義洋。後に「ゴールデンスランバー」も撮影することから、伊坂幸太郎といえば、中村義洋のような感じになったが、恐らく小説を読みながら画が浮かんで気安いのだろうと想像する。

斉藤和義による主題歌「FISH STORY」は劇中バンド「逆鱗」の名によって発売されるが、これもいかにも映画全体に流れる不思議な雰囲気を漂う良い曲になっており、1982年のロケ地となった神奈川の厚木方面に向かう際には、ぜひともこの曲をかけて80年代の雰囲気を味わいたいものである。
中村義洋







2014年3月25日火曜日

「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎 2010 ★★★

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第21回(2008年) 山本周五郎賞受賞
第5回(2008年) 本屋大賞受賞
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何かの本を読んでいると、ミステリーなんていう娯楽小説は、読んでも毒にも薬にもならず、読み終えてもなんら職業的向上、人生の価値に繋がらない。そんなものに時間を使うよりも、専門書に向かう時間を増やすべきだと書いてあるのを耳が痛くなりながら見たのも束の間、やはりリラックスする事も必要だと手にした一冊。

様々な賞を受賞し、映画化など何かと話題になっていたので、間違いなく娯楽として楽しめると信頼を置きつつも、本棚にほったらかしにしてあった一冊。読み始めてみるといやはや、何とも面白い。久々に止まらなくなりながら読み進める。

途中から、出てくるものは必ず後半で回収される布石だと思って読むことになる。印象的な花火。放置された車。飄々としたキルオ。それぞれは話の中でそれほど重要ではなく、恐らく思いついてどうしてもこれらを書きたいがために挿入したと少々テクニックが過ぎる感もあるが、それでも十分に面白い。先日の「ソロモンの犬」ほど、技に溺れる感がでるほどは踏み込んでいない。

タイトルの「ゴールデンスランバー(Golden Slunbers)」はビートルズの曲名で、直訳すれば「黄金のまどろみ」となるらしい。心地良い眠りとなるらしいが、大きなプロットがしっかりしており、緊迫感のある構図がちゃんと描かれ、そして登場人物の設定は明確に描かれている。その上、物語に新鮮さのあるトリックが使われており、何ともアメリカのドラマ的なプロットが実際に日本で起こってもおかしくないかなと最後まで読み切らせる力量はさすが様々な賞を取っただけのことはあると納得。

2013年9月20日金曜日

「重力ピエロ」森淳一 2009 ★★

兄と弟。同じ男でありながら、一生変えることの出来ない自分のポジション。どんなに歳を重ねても、どんな経験を経たとしても、二人の仲での距離感は決して帰ることが出来ない役割。

「ゆれる」でも同じように描かれた男兄弟の切ない機微。長いこと時間を共にしてきたから家族だから、そして同じ子供と言う視線で物事を見てきたから、他の誰よりも世の中のことへの視点が近く、だからこそ違うことがより目に付くのが兄弟。

男だからこそ、そこにはプライドや虚栄心もより強く映し出される。仲間でもあり、家族でもあり、ライバルでもあるのが男兄弟。同じ人生を過ごすことはできず、必ず違う道を行くことになるのだが、どこかで確認することになる根っこ。

だからこそ、この世の中には多くの男兄弟の物語が生み出されるのだろう。そして自分も男兄弟の弟して、決して兄の視点は持つことが出来ない宿命を感じながら見る一作。直木賞候補になったその原作が山積みにされているのを書店で見て、なんだか毛嫌いしてしまっていた作品だが、ジムでランニングがてらに見始めたら結構見入ってしまった。

背も高く男前の弟・春(岡田将生)と、なんだか冴えない理系大学院生の兄・泉水(加瀬亮)。暮らしている仙台市内で発生する連続放火事件。そしてその近くで発見されるグラフィティ・アート。そこに残されたメッセージから見つける二つの関連性。

と仲むつまじい兄弟の姿と二人が追っていくミステリーの答え探しのような導入部だが、これはまったく本筋ではなく、徐々にリンクしてくるかつてこの街に起こり、この家族に大きな影を落とした事件。

「火」、「浄化」、「家族」、「愛情」、「意志」。

全編を通して問われるのは「自分で考える」こと。人生なんて自分の思ったとおりに行くはずもなく、「かくん」と躓くごとに如何に自分で考えて、その先を決めていけるか。その意志の積み重ねが人生であり、その積み重ねを共有するものが家族であるということ。

今ではすっかりベストセラー作家の常連となった原作者のいわゆる出世作の映画化。70年代生まれという非常に若い作家の小気味良いテンポで物語は進んでいき、確かにテーマは随分伝わってくるのだが、その突きつけ方があまりにも直截過ぎる感は否めなく、すっりきテーマを噛み砕けず、のどの奥に残った気分になるのは自分だけではないだろう。
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スタッフ
監督 森淳一
原作 伊坂幸太郎

キャスト
加瀬亮
岡田将生
小日向文世
吉高由里子
岡田義徳
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作品データ
製作年 2009年
製作国 日本
配給 アスミック・エース
上映時間 119分
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