2003年12月27日土曜日

21世紀型、異邦人的ライフスタイルの現在形


2003年師走、深夜3時。
おそらく気温は-10度を切るぐらい。

同じく疲れた顔の横の同僚に聞いてみた。
「こういう生活でハッピーか?」と。

そうして彼はいつものように答える。
「イッツ・オーケー」と。

手がけてるマスタープランの仕事でロンドンから北京へと派遣されて、約一ヶ月。独特の喧噪とした空気と、コミュニケーションの困難さに、久々に自分が異邦人だと感じられる国に来たんだと実感する。

2001年、水無月。好きな建築家に雇ってもらいにオランダ行きを決め、ロンドンへと東京を旅立った。熱意さえ伝われば、なんとか雇ってもらえるだろうと本気で思っていた。

結局は、取りあえずのはずのイギリスに留まることとなったのだが、その時の建築家が今回の仕事を闘う相手とは、縁なのだなと感じずにいられない。

しかし、正直今考えるとそら恐ろしい。と同時に頼もしい。

根拠が無い自信でも、それでも良いのだと。

自分を信じ続け、謙虚に、そして大胆に足を踏み出すこと。

そこにはすでに違う環境が開けていて、その環境が今度は背中を押してくれる。

大胆に踏み出した先が、崖だったとしてもそれは自分で選んだこと。

笑って落ちるくらいの覚悟が無いとやってられない。

自分が選んだのは職業ではなく、ライフスタイルそのものなのだと。

そんなライフスタイルにいつでも言ってやる。

「イッツ・オーケー」と。

2003年11月19日水曜日

「I am Sam/アイ・アム・サム」 ジェシー・ネルソン 2001 ★★★★★



当時一番好きな子役と、一番好きな男優の競演だった思う。しかも親子として。

知的障害を持つサムは、売春婦との間に子供をもうけてしまう。子供を生んだ母親は直に姿をくらまし、仲間に支えながらサムは娘のルーシーを育てようとする。

泣かせるのは、サムの知的年齢が9歳ということで、子供が成長し親と同じ9歳の誕生日を迎えるときに、それ以上は親としての役目を果たせないのではという政府の勧告と、一緒にいたいという、娘と父親の感情。その交差点で起こる様々な心の葛藤が知的障害者と子供という媒体を通して、ダイレクトに表現されている。

明らかに親よりも成熟しているルーシーが、どこまでもサムを愛し、逆に自分が面倒をを見ようとする健気さ。そして暖かく見守る周囲の人々。誰かを愛し、誰かに愛されることに、なんの条件もいらないんだと教えてくれる作品。

最初の10分から最後まで怒涛の感動が押し寄せる名作。
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ショーン・ペン、ミッシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング
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7歳の知能しか持たないサムは、コーヒーショップで働きながら、ひとり娘ルーシーを育てるが、ソーシャル・ワーカーに娘を取り上げられ、敏腕女性弁護士に助けを求める。彼女は夫と息子との関係に悩んでいた。
監督は「コリーナ、コリーナ」(監督・脚本)、「グッドナイト・ムーン」「ストーリー・オブ・ラブ」(脚本)と家族愛を描き続ける女流ジェシー・ネルソン。主人公の友人役で実際に知的障害を持つ人々も出演。
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原題: I Am Sam
監督: ジェシー・ネルソン
脚本: クリスティン・ジョンソン
製作国: 2001年アメリカ映画
上映時間: 133分
配給: 松竹/アスミック・エース
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