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2015年12月29日火曜日

香港国際空港ターミナルビル(HongKong Airport) ノーマン・フォスター(Norman Foster) 1998 ★★★



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所在地  香港
設計   ノーマン・フォスター(Norman Foster)
竣工   1998
機能   空港
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建築に携わる人間であれば、香港に到着した途端に教科書で見ていた建築を体験できるのはなんともいえないお出迎えとなる。設計者はそのキャリア自体が現代建築の教科書のようになっているまさに現代の巨匠ノーマン・フォスター(Norman Foster)。

六本木の森美術館においても「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」と題して来年の元旦から展覧会が開催されるほど、建築家でありながらその職能の枠を超えた存在として社会に影響を与える存在となっている建築家である。1935年生まれであるから、2015年現在はすでに80歳。主な作品を見てみると

1978年(43歳) センズベリー視覚芸術センター ノリッチ イギリス
1985年 香港上海銀行・香港本店ビル 香港 中国
1989年 リバーサイド・オフィスとアパートメン ロンドン イギリス
1991年 スタンステッド空港ターミナルビル ロンドン イギリス
1991年 サックラー・ギャラリー ロンドン イギリス
1991年 センチュリータワー 東京都千代田区 日本
1992年 テレコミュニケーションタワー バルセロナ スペイン
1995年 ビルバオ地下鉄 ビルバオ スペイン
1997年 コメルツ銀行タワー フランクフルト ドイツ
1998年 九廣鐵路 (KCR)・紅磡 (ホンハム) 駅舎 香港 中国
1998年 香港国際空港ターミナルビル 香港 中国
1999年 ドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク ベルリン ドイツ
1999年 カナリー・ワーフ駅 ロンドン イギリス
2000年(65歳) 大英博物館グレート・コート ロンドン イギリス
2000年 ミレニアム・ブリッジ ロンドン イギリス
2001年 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス図書館 ロンドン イギリス
2002年 ロンドン市庁舎 ロンドン イギリス
2003年 トラファルガー広場 ロンドン イギリス
2004年 30セント・メリー・アクス (スイス・リ本社ビル)  ロンドン イギリス
2004年 鎌倉の住宅 神奈川県鎌倉市 日本
2005年 ベルリン自由大学・フィオロジカル図書館 ベルリン ドイツ
2006年 ハースト・タワー ニューヨーク アメリカ
2007年 ウェンブリー・スタジアムの改修 ロンドン イギリス
2007年 スミソニアン博物館コートヤード ワシントン アメリカ
2008年 北京首都国際空港ターミナル3 北京 中国
2010年 ボストン美術館 ボストン アメリカ
2011年 ザ・トロイカ クアラルンプール マレーシア
2011年 ザ・インデックス ドバイ アラブ首長国連邦
2014年 帝国戦争博物館 ロンドン イギリス
2015年 ミラノ万博 アラブ首長国連邦館  ミラノ イタリア
2015年(80歳) アップルストア ウェスト・レイク 杭州市 中国

1985年に完成した「香港上海銀行・香港本店ビル」によって当時の英国出身建築家による建築の流れを総じて呼んだ「ハイテク建築」の旗手として、その後大規模な建築を環境に配慮しながら非常に繊細なディテールを見せる建築を多く手がけることになる。

フォスター・アンド・パートナーズと呼ばれる設計事務所は個人事務所の規模を超え、世界有数の組織設計へと成長し、世界中で最先端の技術と技能を駆使し、さまざまなタイプのプロジェクトを定期的に手がけ続けており、現在ではアメリカでアップル本社ビルを建設中であり、また世界中のアップルショップの設計も手がけており、あの恐ろしく透明で薄く軽やかなショップはこのフォスターの長年の経験が後押しして実現しているものである。

そしてこの香港国際空港ターミナルビル。それに先立ってロンドンのスタンステッド空港ターミナルビルを手がけており、空港というテイポロジー、その機能的要求、そして航空交通が主流になる世界における空港という場所の意味の変換を理解して臨んだであろうこの香港の新しい顔となるターミナル。

背の高い円柱で支えられた軽やかなパネルが一定のリズムを刻みながら、上空からの暖かな太陽の日差しを室内に取り込んでおり、アーチ型立体トラスによる構造のある完成形を見せてくれる。

大量の人が出発と到着という二つの流れの方向性を持ちながら、24時間留まることなく、動き、休み、食事をしながら数時間過ごすことになるメトロポリス的な要素を持った都市としての空港を、非常にたくみにプランニングすることで、ストレスを感じることの少ない空港空間を作り出している。

そんなことを思いながら上を見上げながら、到着駅でも支払えるという非常に旅人に対して配慮の行き届いた空港に直結する高速鉄道にチケットを買うことなく乗り込み、数日間の滞在でどれだけこの街のリズムを感じ取れるか楽しみとする。