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所在地 埼玉県所沢市大字上山口
設計 中村拓志 NAP
竣工 2013
機能 霊園施設・事務所
規模 地下1階・地上1階
建築面積 458.89m2
延床面積 490.36m2
構造 S造・一部RC造・一部木造
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狭山湖のほとりに位置する霊園。その中の二つの施設を中村拓志(NAP)が設計し、なかなか良さそうなので見に行きたいなと思っていた場所である。まずは驚くのがそこへのアクセス。相当に細い住宅街の中の道を、急勾配であがっていく。一方通行で無いようなので、「この段階で対向車がきたら詰むな・・・」とビクビクしながら何とか坂を上っていくと、途中から霊園に入った模様で、坂の途中に目的地の一つである狭山湖畔霊園管理休憩棟が左に見てくる。
次に驚くのが、なんといっても霊園内の緑の豊かさ。なんというか、元々豊かな自然の中で住宅地に好まれないところに霊園があるのは当然といえば当然で、そのために周囲に緑が多いのはもちろんであるのだが、ここでは各お墓のスペースの中に小さなスケールの木々がしっかりと生きているという印象。あまりに印象的だったので、対応してくれた霊園の方に、「お墓を購入する際の条件として各スペースに緑を保たなければいけないというのがあるのですか?」と聞いたが、そういう決まりは無いが、ご家族が皆さん自分で手入れをされているとのこと。
そう考えると、恐らく一つ一つのお墓のスペースもやや広めに設定してあるのだろうし、木々が育ちやすい工夫は何か知らされているのだろうが、それにしてもこうして同じ場所に霊園を持つ人々が、ある種同じような意識を共有し、自然と緑の多い風景が作り上げられ、保たれていく。すごいことだと思わずにいられない。
さて、建物。これもまた素晴らしい。想像以上に素晴らしい。霊園の方も非常に丁寧に対応してくださり、コンペから設計者選定、そして設計過程といろいろとお話を聞かせていただいた。生と死に向き合う場所に建つ建築ということで、建築家なら一度は挑戦してみたい条件であるが、その際にやはり「光」や「水」といった要素をどう使うかが設計者の腕の見せ所になる。
その使い方次第では、「ああ、あの作品からの引用ね・・・」などと、使い古された元ネタが見え隠れしてしまいがちであるが、いやはや、斜面に建つ建築、水盤への日の光の反射の室内への取り込みによる揺らぎの挿入、大屋根に覆われた水平な空間、屋根を伝う水が水盤に落下してできる波紋と音の反響、低く抑えた家具の座ったときの視線が水平に拡がり周囲の風景が反射する水盤に永遠の世界を感じ取るなどなど、まぁ小さな空間に様々なアイデアが盛り込まれ、それが建築的にしっかりと作りこまれているのが体験できる。
奥の喫茶スペースの照明も、「アクリルの球の中のどれだけ気泡が入るかまでこだわってつくられていましたよ」と説明してくださったように、他の作品でも見るように、しっかりと素材と向き合い、そして自分たち独特の表現まで押し上げようとするそのグリグリとしたしつこさがいい感じにデザインになっており、非常に好感を持てた。「ぜひどうぞ」と勧められて、「それでは」と一人楽しみに霊園の中にある礼拝堂へと足を向けることにする。
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