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2015年4月18日土曜日

「「悩み」の正体」 香山リカ 2007 ★★

大人になるほど、
仕事の責任が大きくなるほど、
家庭を持ち、家族が増えるほど、
日々の「悩み」は右肩上がりに増えていく。

人と接するから摩擦は起こり、仕事を頑張るからできないことで悩み、そんなことならいっそ、社会から離れ、上昇志向を待たず、できるだけ人との関係を絶って生きていく。そんな日常のほうがどれほど楽か。

なんて考えることも少ない無いが、それでもこの世の中で生きていくためにはどうしても、社会の中でストレスに晒されながらも生きるために、生活するために働いてお金を得ていかなければいけない。

自分一人がこの社会の中で生きていくだけでも、相当なお金がかかるのに、ましてや家族を養っていくとなるとどれだけ頑張って外で働かなければいけなくなるのかは想像に難くない。

そんな社会と、自分の感情との葛藤で生まれるのが悩み。複雑に絡み合い、様々な人たちの参加によって運営される社会であるからこそ、自分一人の思いのままに物事は運ばず、嫌な思いをしながら、不条理なことだと思いながらも、ぐっと心の中に溜め込み顔は笑顔を保たなければいけない。

そんな「悩み」だらけの現代社会。余裕があれば、それを「悩み」と取れることなく、うまく消化できるのかもしれないが、そんな時間的余裕を与えられるわけでもなく、ひたすら「悩み」に負けそうになりながらも、なんとか心を定常状態に保って今日も生きていく。

現代に生きるものとしてその状況から逃げ出すことができないならば、せめてその「悩み」に立ち向かい、分析し理解して消化を良くすること。そんな思いで手に取るが、中には出るわ出るわ、身の回りにもなんだか会ったことがありそうな人たちが。それぞれがそれぞれの「悩み」を抱えて生きている今、どこかの暗い路地裏で喪黒福造に「ドーン!」とされて悩みをリセットしたいと悶々としていそうな同志達。

これを読んでも悩みは解決しないのは、そのタイトルを見れば分かるけど、それよりも他の皆が自分と同じように悩み、もがいている姿を第三者の視点で眺めることで、結局は世阿弥の 「離見の見」 の様に自分を距離を置いて捉えることができる。

以下、本文より一部抜粋
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その「悩み」は悩みとして正当なのだろうか
そもそも、「世話になった祖父が恒例になったことに伴う介護」が、個人だけが抱える、「悩み」にならなければならないと言うこと自体が、おかしいのではないか

本書で取り上げる「悩み」の多くは、恐らく10年前、20年前だったら、「悩み」にならなかったようなもの、あるいは「悩み」になったとしても、ちょっとした生活の知恵や工夫、まわりの人の手助けで重症にならずにクリアできたようなもの

嫌われるのがこわい――人間関係編
/場の空気を読めなかったらどうしよう
優先されるのは、自分の意見や考えを主張することではなく、周囲の空気を読み取り、自分に期待されている役割をこなすことなのだ
自分の気持ちよりもまわりの秩序を大切にする

/他人の失敗が許せない
「いじめ」に加担する子供たちは、「次は自分が標的になるのではないか」という不安やおびえを抱え、「とりあえずこの子をいじめているうちは、自分はいじめられることはない」と目の前の「いけにえ」を激しく攻撃することで、その不安などを隠蔽している場合が多い

/若い人の要領のよさについていけない
自分自身が何かに真剣に取り組み、はっきり評価を下されるのを恐れている場合が多い

/暴力にどう対処したらよいか
日本社会が全体的に他人への寛容な気持ちが薄れ、他者への攻撃的あるいは暴力的態度を強める方向に向かいつつある

「自分がやられるかもしれない」とうい不安にかられ、プライドも恥も捨てて、生き残るために「社内いじめ」に象徴されるような他者への攻撃、さらには暴力に走る人が増え続ければ、この先、社会はどうなるのだろうか

/家族どうしなのに気持ちが通じない
子供にとって、人生の早い時期に一度は、「親は自分の命よりも僕を大切だと思ってくれているんだ」などと実感することが大切だ

/働いても生活できない
廃棄処分になる「無料バーガー」を求めて、夜のファストフード店の前に集合する若者たち
自分も富裕層の一部かもしれないと錯覚するようになる
自己イメージはセレブ、実質下流

/効率がすべてなのか
素直で優秀な人材が見つかるまで、何度でも交換することができます
モノ以下 堂々と「何度でも交換可能」などとうたう
効率や生産性がすべて

/地方にいても展望がない
「どこでもできる」はずのIT産業が振興すればするほど東京への一極集中が進む、という皮肉な現象
/恋愛したいけれど出会いがない
失望されたり軽蔑されたりして傷つくよりも、何も起こらないほうがまだいい。そういう無自覚の計算が、彼の心の中で働いているのだと思う。
恋愛もまた、心の境界を超えて相手が侵入してくる体験に他ならない

/結婚は失敗だったのだろうか
いったん結婚してしまうと、シングル時代に「どんな人でもいいから、誰か私を選んでくれないだろうか」と思ったことなどはすっかり忘れてしまい、「こんな人と結婚するんじゃなかった」と今の状況の不遇にばかり目が行く

人間には、いったんある状況に置かれると、比較する対象が同じ状況の中の人ーそれも自分より幸福そうな人ーだけに限れれ、自分が前にいた状況、他の状況の人たちのことはきれいさっぱり忘れてしまう

/病気になっても医者に診てもらえない
なぜ医学部が人気なのか
「医師免許」と言う資格を取れるから
医学部を卒業することが必須 医学部さえ卒業していれば、合格率は約9割と高い
意思志望者が増加しているのに、地方の医療は衰退し、小児科医や産婦人科医のなり手がいない
小児かも産婦人科 重労働の割りに収入が低い
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■目次  
まえがき
嫌われるのがこわい――人間関係編
/場の空気を読めなかったらどうしよう
/他人の失敗が許せない
/若い人の要領のよさについていけない
/暴力にどう対処したらよいか
/家族どうしなのに気持ちが通じない

無駄が許せない――仕事・経済編  
/忙しく働いていないと不安だ
/働いても生活できない
/効率がすべてなのか
/やりがいを感じられない
/地方にいても展望がない

このままで幸せなのだろうか――恋愛・結婚・子育て編  
/恋愛したいけれど出会いがない
/結婚できないかもしれない
/子どもがいないと不幸せなのか
/親になったが自信がない
/結婚は失敗だったのだろうか

老いたくない、きれいでいたい――身体・健康編  
/自分の顔、からだを変えたい
/健康のために何かしないと不安だ
/老いたくない、病気になりたくない
/病気になっても医者に診てもらえない
/現代の医療に信頼がもてない
 
いつも不安が消えない――こころ編
/自信が持てない
/前向きな気持ちになれない
/気分に浮き沈みがある
/「ありがとう」が息苦しい
/自分は誰にも大切にされていない

 
まじめに生きてきたのに――社会・人生編  
/まじめに生きて損をした
/「便利な世の中」についていけない
/自分は何の役にも立っていない
/おとなになりたくない
/この先、楽しいことはない
 
/あとがき
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2014年3月10日月曜日

「日本人はこれから何を買うのか? 「超おひとりさま社会」の消費と行動」 三浦展 2013 ★

先日、昔からお世話になっており、世界的エンジニリング会社であるArupの役員をやっている友人が北京に来た時に、「軽く飲まないか」と誘われて出て行った席で、「日本はこれから何を売るんだ?SONYは一体何を世界に売るんだ?」と質問された。

そんな会話を思い出しながら読むことにしたこの一冊。「日本人が何を買うのか?」は必然的に日本のマーケットの潮流を決定し、そこに視線を向けた日本の企業の主力商品を決定させる。しかし、それがイコールで海外でも受け入れられるかといったらそれはまた別の話。

その時に迫られる決断。自分の会社の主力マーケットはどこか?日本の市場がそれほどの魅力を持ちうるのか?それはそれぞれの会社の規模と、今後の成長戦略によって決定される。もし、多くの会社が、日本のマーケットに魅力を感じないと判断し、日本のマーケットの需要を顧みないようになったらどうなるか?

それでも必ず、そのマーケットで利益をあげる会社も残るので、必ずある程度の需要と共有のバランスは維持されるのだろうが、そんな二極化の世界での微妙なバランスを感じながら読んでいくことにする。

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第1章 老若男女すべて「おひとりさま」
/2035年、主流派おひとりさま
「おひとりさま」
上野千鶴子「おひとりさまの老後」
「アラフォー」の未婚女性
「負け犬の遠吠え」

/中高年のおひとりさまが増える
増えるのは45歳以上

/東京などの大都市圏で高齢の一人暮らしが増える
/増加する未婚・親元暮らし
/ライフスタイル、消費行動が変わる
一人暮らしが消費の中心となる
親と同居している40代、50代の未婚者が増える
個人化である。孤独化ともいえる。
一人で暮らし、一人でご飯を食べる人
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30代半ば。自分の周りでも当然ながら「おひとりさま」である友人がいる。実家に帰れば、家の近所でも、40代50代で親元暮らしの未婚者は驚くほど多くいる。その上を見れば、一人暮らしの高齢者家庭も数多くあるという。「婚活」などとラッピングされてはいるが、結婚できない、結婚しない人というのは、どの時代でも一定数いたわけで、それが核家族の増加によって高齢者の「おひとりさま」として目に映りやすくなってきた現代。

結局はマーケティングからの視点で現代社会を分析し、今の世の中「何が売れるか?」を代理店やメーカーに指南する立場で書かれている面もあるので、その切り口はある種ドライにも映る。

「おひとりさま」が社会の主流から外れたものでなくなり、社会を構成する大きな勢力となった時に、日本のマーケットはどう変わるのか?そんな問題提起の章である。
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第2章 おひとりさま消費の現状
(3)若年男性(34歳以下)
/かまない、果物を食べない
若い人ほど固形の物を食べるより、液体を飲む傾向が強まっている。これは食生活の下流化傾向ともいえるものである
下流的な若者ほどご飯と味噌汁とおかずと言った一汁三菜的な食事をせず、丼物、ラーメンなど食器が一つで済む食事をする傾向が強い
果物を食べない
皮をむいたりして子供に与えることを面倒くさがるケース
生ゴミも増えるし、片付けも面倒なのであろう。
ジュースなどの飲料を買っておけば、子供が勝手に飲むので親は簡単である。

/間食の主食化、外食・コンビニ依存度は86%
外食・コンビニへの依存度はますます高まっていくだろう

4 若年女性(34歳以下)
/下着から歯科医へ
歯の強制やホワイトニング
下着などの見えないところにお金をかけるより、人から見られる歯の矯正やホワイトニングにお金をかけるようになった
就職、転職、恋愛などにおいて、外見が重要だと考える若者が男女共に増えているためであろう

5 ミドル男性(35-59歳)
/快眠思考
不眠症
仕事のストレス、24時間型の生活、運動不足、パソコン作業から来る疲労
眠りが浅いことで悩む人


老若男女に共通のニーズに答える商品は、巨大なヒット商品になる可能性がある ユニクロ
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マーケティングに説得力を持たせるには、このような統計データを持ち出すしかない訳で、データがあるから正しいのだという流れには少々辟易するが、若年男性で描かれる、「とにかく面倒くさいのが嫌だから、少しでも楽に食事を済ませようとする下流な食生活の指摘は誰でも耳が痛いはずである。「楽」なことが、何よりも上位に来てしまう生活の価値観。これはすでに小さなころからの教育でしか養われないのであろう。

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第3章 おひとりさまは何が欲しいのか
/高齢男性も今後はコンビニ、外食に依存か?
/宅配ビジネスの拡大
/地域に友人を作れるか
地域の中に友人が増えていく可能性は低い
地縁ではなく「知縁」
仕事や趣味などを通じて親しい友人
>若い人でもそう

/オーダーメイド賃貸とセルフリノベーション
入居者と一緒にリノベーションをする時代
DIY住宅
メゾン青樹では住民同士のリビングも

/新しい公共交通が必要
/生涯学習は知的ケア
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ここで想定される高齢者というのは、団塊世代を想定されているわけで、必然的に十分蓄えがあり、なおかつ生活をしていくのに問題のない年金が受給されるために、他のどの世代よりも豊かに、旅行し娯楽を楽しむことができる。しかしこの世代の高齢者はあくまでも特殊な高齢者であり、今後何十年後に高齢者となる世代とは設定が違っていることは頭の中に入れておかなければいけない。

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第4章 コミュニティという商品を買う時代
/買物難民の増加
①宅配サービス(商品を顧客に届ける)
②移動販売(商品を積載した店舗ごと顧客まで移動する)
③店への移動手段の提供
④便利な店舗立地
コンビに 会社帰りの人々が主要な客 比較的駅の近くとか、人通りの多い道沿い

/通信販売か宅配か
セブンイレブンの「コムス」
セブンらくらくお届け便

/買物をサポートする
消費者が商店街で購入した商品を自宅に配達するサービス

/新しい外食が必要
おひとりさまは、宅配弁当やコンビに弁当などと近隣の安い居酒屋を使い分けながら食生活を楽しもうとする

/「コムビニ」が必要 CSVとしてのCVS
「コムビニ」 コミュニティ・コンビニエンス・ストア

/コムビニのイメージ
医療福祉関係
薬剤師
飲食店併設

/シェアハウスを拠点としたサービス
サービスの便利や
家電業界もサービスを売る時代になるはず

/住宅地を都市化する
地域の仕事をシェア

/制約社員が増えると待ちは面白くなる
昼間から町をうろうろする人が増えた
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こういう具体的な提案につなげていけるのはこの著者の素晴らしいところだと毎回思わずにいられない。恐らくこういう社会の現象を分析し、その背景となる問題を見つけ、それに対して社会がどのように変わっていくべきか、その前に社会がどうあるのが今後の日本にとって良いのかを考えることは、かなり広い視点を持たなければいけない。

そしてダメだしだけの理論だけで終わらせずに、具体的なフィードバックとしての提案につなげるためには、何かを作り出さす想像力と専門知識が必要とされる。そしてその立場に一番適切な職業なのは建築家であると思われる。

可能な方法としては、各自治体に地域の現状を把握し、その将来を自分の利益からではなく、純粋に地域社会の視点から考えられる建築家を地域建築家として任命し、5年くらいの期間を与えつつ、歴代の担当者と協議して5年、20年、50年くらいのスパンで、どのような地域社会になることが、この地にとってベストであるかをビジョンとして出していくこと。そして個別の問題を大きな視点を持って解決していくこと。

そういう地域のマスター・アーキテクト制度ができれば、ここで提案されているような、「コムビニ」のようなこと。さまざまな地域で発生している新しいシェア・ハウスなどもより効率的に機能していくのではと想像を膨らませる。

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目次
第1章 老若男女すべて「おひとりさま」
/2035年、主流派おひとりさま
/中高年のおひとりさまが増える
/東京などの大都市圏で高齢の一人暮らしが増える
/50歳以上の未婚・死別・離別が2510万人になる
/増加する未婚・親元暮らし
/ライフスタイル、消費行動が変わる

第2章 おひとりさま消費の現状
/おひとりさまたちの年収
(1)シニア男性(60歳以上)
/若者化する高齢者男性
/食の洋風化・スナック化
/クルマ、美容、スポーツの消費も伸びている
(2)ソニア女性(60歳以上)
/自動車、スポーツ、インターネットなどアクティブ化
/調理食品は少ない
(3)若年男性(34歳以下)
/自動車から自転車へ
/料理は増えたが基本は外食と調理食品
/かまない、果物を食べない
/間食の主食化、外食・コンビニ依存度は86%

・事例1 料理器具の人気
・事例2 男性快眠市場

4 若年女性(34歳以下)
/仕送り、寄付、信仰費が伸びる
/下着から歯科医へ
/晩酌は増加

5 ミドル男性(35-59歳)
/お部屋志向
/快眠思考

6 ミドル女性(35-59歳)
/墓石の準備が始まる
/健康志向
/者よりサービス
/老若男女に共通のニーズに応える
/サービスをワンストップでトータルに提供する必要


第3章 おひとりさまは何が欲しいのか
/おひとりさま社会は生活全体に「ケア」が必要
/高齢男性も今後はコンビニ、外食に依存か?
/女性は職の安全性を求める
/食の安全が町の魅力になる
/宅配ビジネスの拡大
/おふくろの味は不滅
/かかりつけの医者が欲しい
/マッサージも物からサービスへ
/地域に友人を作れるか
/身近な知人同士のちょっとしたお祝い
/おひとりさまも持ち家の時代
/中古住宅リノベーション
/おひとりさまだからこそ、住宅に性能を求める
/オーダーメイド賃貸とセルフリノベーション
/新しい公共交通が必要
/生涯学習は知的ケア
/働き方を変えれば、まだ働ける
/「節約社員」をケアする仕組みが必要
事例3 集合銃多君尾コミュニティ形成支援事業
事例4 血行き密着型百貨店
事例5 団地を建替えずにコミュニティ活性化

第4章 コミュニティという商品を買う時代
/買物難民の増加
/通信販売か宅配か
/買物をサポートする
/一人で食べるのはわびしい
/新しい外食が必要
/「コムビニ」が必要 CSVとしてのCVS
/コムビニのイメージ
/シェアハウスを拠点としたサービス
/住宅地を都市化する
/脱サラリーマン化で地位に活気
/制約社員が増えると待ちは面白くなる
/コミュニティ自体が商品となる
/コミュニティリビング

・事例6 団地の高齢者の買い物サポート
・事例7 副収入付きシェアハウス
・事例8 オーダーメイド賃貸
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2014年1月19日日曜日

「下流大学が日本を滅ぼす!――ひよわな”お客様”世代の増殖」 三浦展 2008 ★★★

数年前まで大学で若い学生相手に建築の設計を教える機会をいただいていた。

「人に何かを教える」ということについて、随分悩み、教育とは何だろうと今まで手にしない様な本を手にし、と同時に専門の内容も古典から現代までできるだけアップデートしながら毎年新学期に望む、そんな生活を数年に渡って過ごしていた。

そんな訳で学生の質の変容だけでなく、学校の体制や他の教師の面々など、様々なことを感じながら過ごした数年間の後だからこそ、この一冊が随分実感を伴って読み進めることが出来る。

恐らく現代においては、多くの学生が目的意識などなく、学習意欲など無いにも関わらず、取り合えず大学くらい行っておかないと、大学くらい出てないと就職にも不利だから、などという消極的な理由にて大学受験を行っているのだろう。


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今や大学を選ばなければ誰でも大学生になれる時代なのだ。

バカが多い大学はイヤだという噂が広まると、受験生が減って、学生が減って、大学がつぶれて、自分が失業するからである。

大学によるバカの大量生産
大学自らの保身の為にバカを大量生産している
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という導入部分に見られるように、全入時代を迎える前からも、一部のトップ大学以外においては、定員数の学生を得続ける為に、ある種の客商売のようなことが横行し、大学がその教育の質ではなく、他のサービスで学生とその親に媚び始めていたのは間違いないのであろう。

大学というのは、特別な専門知識を身につけるための場所であり、そこに通うのは贅沢であるのと同時に、ある種の選ばれたものでしか与えられなかった権利という時代のイメージだけが残りながらも、とうの昔に実体は大きく変わってしまった現代の日本。

「大学が商売になる」ということを嗅ぎつけ大学を増やし、本来なら若者に専門知識を教えるような立場に付けるようなレベルでない人々にも教授と言う安定した収入と立場を与え、本来なら大学に通うことなく、高校卒業と共に、社会に出てそれぞれの技能を身につけていくべき立場の人間も、親が援助してくれ、対して勉強もできないけどなぜだか入れる大学があるから、何とはなしに大学になって4年間を無為に過ごす。

一般的な社会を構成する為に、その何%に当たる人が大学という専門的知識を巳に付けていなければ社会が成立しえないか?といったら、恐らく20%にも満たないのではと思わずにいられない。

つまりは、高校卒業くらいの知識があれば、十分に幸福な職業人としての人生が送れるべきであり、大学へ進学するのは国や地域の為に役に立つべく高度な専門知識を得るために、大変な努力をし、その権利をつかんだ人間だけに与えられる時間であるべきであろう。

社会が成熟するにつれて、大学への進学率が上がるのは止められない。経済が成長するにつれて、それぞれの親が子供により高い学歴を得させたいと思うのが、競争社会においては避けられない。

しかしそれを放置することが本当に社会にとって良いことであろうかどうかは、政府なり誰かがしっかりと議論をするべきであることもまた事実。


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・私立大学では一般入試での合格者が半数以下
こどもの数が減ったから
進学率を上げないと学生の数が足りなくなる 学生が足りないと大学がつぶれちゃう
AO入試 アドミッションズ・オフィス入試

・AO入試組はウソつきばかり?
辛い受験勉強をしないAO入試組は一般入試組と学力において大きな差
大学が完全に大衆化
精神力は体力に比例する

・生き残りをかけた値引き合戦
大学側の生き残り戦略以外の何者でもない
・若者の人気スポットに大学集中

・学歴社会はより強固になっている
・酒の飲み方くらい大学時代に覚えるべきだ
・大学の先生自体が下流だ
・高校は職業に結びつかない
自分の会社の中でだけ通用する人間では生き残れない

・大学を出たけど何をしていいのかわからない
・大学も甘ければ、親も甘い
家族の問題
子供をペット化している
愛情と言うものを誤解しているのではないか
本来は自立するためにしつけとか教育をしていかなきゃいけないはずなのに、それは全部学校に任せている。いい大学、いい会社に入れることが親の役割と錯覚している人が圧倒的に多いのではないだろうか。
・授業料欲しさに高学歴ニートを量産

・教育費に圧殺される家計
・大学全入は大学貧乏と下流を増やす

・大学進学率は20%に
・職業大学をつくる
・若者を早く社会に出す
・大学では教養が必須
・履修ではなく習得を重視する
・大学の数を減らせる
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上記の様に本書の中で展開されるのは、大学の自己保身、大学教授の利権確保の為に、本来大学に進学する必要の無い水準の学生達が、親の経済的裕福さのお陰と、授業料さえもらえればいいという意識の低い大学サイドの思惑に乗せられて大学に入学し、結局何も身につけることなく卒業していき、どうしようもないレベルの低い社会人を大量生産しており、この現象は国に何の利益ももたらさないどころか、この利権構造はこの国の将来すら蝕むので、この際教育制度の改革をしたらどうかという内容。

恐らくどんなレベルの高いといわれる大学でも、本当に学問に喜びを感じ、自らの将来の為に日々ストイックに学ぶ学生と言うのは1割ほどというところだろう。8割ほどが可も無く不可もなく、ほどほどで単位を取得し、1割ほどが落ちこぼれる。そんなところか。

どんなに理想を掲げても、それでも社会は確固たる学歴社会がまかり通る。自分の子には苦労をかけたくなかったら、少しでもよい大学にいって学歴的優位性を手に入れさせたいのが親心。

しかし人口が減っていき、人口構成のバランスも変わっていくこれからの日本。今までの様な形では国が持たなくなるのは目に見えている中で、歪な構造はどうにかして修正していかなければいけない問題のど真ん中に位置するであろう教育の問題。

「こんな聞いたこともない学校で一体何を学んでいるのだろう?」と思うような大学にも、そこで教壇にたって学生の相手をしている教授がいる事実。一体その教授はどんな背景を持ってその場にたどり着いたのだろうかと勝手な想像を働かせたくなるものである。

専門的向上心の無い人物の昔取った杵柄とかなんやらで、ただただ安定した生活の糧として授業を受けることになることほど青春の浪費に違いない。と同時に、何の為に授業に出ているのかも考えることも、自分の将来がどういう風に進むのかも考えることも無く、ただただ惰性で単位の為に出席する学生相手の授業も同じくらい無為であろう。

若者が減り、生活水準が上がり、国の形が変わろうとする現代。今こそ教育、そして大学の在り方を再度考え、定義しなおす時期に違いない。大学が努力をし、学問を望むものだけの特別な場所であり、その難関を突破した学生にはドイツの様に、無料ほどの授業費で学問をさせてあげ、若くて活力に溢れ、まさに職業的向上を求める教授達の熱のある儒教を与えてあげるべきであろう。

その為には基準に満たない大学にはあっという間に消えてもらい、基準を満たした大学にも同じく、内部で既得権益となっている部門や学部にはメスをいれ、大いにスリム化と若返りを図ってもらいたいものである。

地域格差などと言うかもしれないが、やはり高度の学問を得るためには中心に出て行くことは避けられないであろう。中心までの距離が大きければ大きいほど、その人々の決意も強くなるであろう。

大学ほど既得権益の温床になりやすいところはないと本書でもあるが、国の根底を支える学問と、国の将来を担う人材を育成する大切な機関だからこそ、あるべき姿に少しでも早く戻って欲しいと願わずにいられない。

そうでなければこの世界的競争時代。誰がそんなデメリットの多い日本の大学に子供を通わせようというのだろうか?という時代がやってきてしまうと思わずにいられない。

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目次
第1章 大学がバカ学生を大量生産する
・偏差値48の高校からでも上智大学に推薦入学できる
・私立大学では一般入試での合格者が半数以下
・AO入試組はウソつきばかり?
・AO入試は見直しの方向
・証言①AO入試がバカを生む
・菓子パンの食べ残しが教室に散乱する女子大
・バカも大切なお客様
・証言②こんなバカ学生がいる
・泡を吹いて倒れる学生
・打たれ弱い、うつ気味の学生が増加
・メールで同期に「おはよう!」
・仕事のトラブルも同期に相談
・証言③打たれ弱い、すぐ泣く学生たち
・体力がない
・証言④いじめ世代の若者達
・時間のゆとりのない、ゆとり教育
・妙にまじめ
・証言⑤冗談が通じない学生たち
・証言⑥ゆとり世代の大学生
・大学こそが学力低下の原因
・教養の崩壊
・大学に学力低下を批判される筋合いは無い
・参考資料①学生の56%は基礎学力が無い
・参考資料②新しい学習指導要領の主なポイント

第2章 お客様化する学生とモンスター・ペアレンツ
・今の大学教師はファミリーレストランの店員みたいなもの
・クレーマー化する親
・宿題を出すとパワハラだと言う、バカ親
・モンスター・ペアレンツ急増
・消費者の歪んだ、サド的快感
・ファミレス、回転寿司化する大学
・証言⑦モンスター・ペアレンツ
・幼児化する学生
・ビデオカメラを持った親が、武道館に溢れる入学式
・低階層の親ほど、大学に文句を言うのか?
・子離れしない親
・証言⑧なぜ、モンスター・ペアレンツが生まれたのか?
・授業評価制度で、ますます増徴する学生
・証言⑨増長するバカ学生
・タレント教授花盛り
・忙しい有名人の為の新たな役職「特任教授」
・大学は吉本に運営してもらえ
・生き残りをかけた値引き合戦
・若者の人気スポットに大学集中

第3章 バカ学生は社会では通用しない
・今の新入社員は大人免疫力がない
・お客様大学生からお客様社員へ
・証言⑩新人教育で疲れ果てる
・同期同士がほめあうのはいじめの影響?
・証言⑪ゆとり社員に四苦八苦
・学歴社会はより強固になっている
・証言⑫企業人事部が重視する学歴
・大学が入学させるべき人間の基準は何なのか?
・酒の飲み方くらい大学時代に覚えるべきだ
・大学の先生自体が下流だ
・大卒者の72%が「友達づくり」に大学の意義を見出している
・社会科学系の大学生ほど何も得ていない
・経済学なんてわからない
・高校は職業に結びつかない
・高校にきてから教えても遅い
・大学を出たけど何をしていいのかわからない
・大学も甘ければ、親も甘い
・証言⑬子離れしない親達
・友達が作れない大学生、国立大の休学率は約20年で3倍
・授業料欲しさに高学歴ニートを量産
・大学院まで行って社会不適応者

第4章 「大学貧乏」の登場
・大学生のいる家庭の平均年収は低下
・教育費に圧殺される家計
・ケース1 通勤を車から自転車に変えて学費捻出
・ケース2 年収750万円の半分が娘の為に飛んでいく
・ケース3 両親の思いと裏腹に遊びまくる息子
・ケース4 大学進学のため、マイホームの頭金を切り崩す
・ケース5 無理やり大学に入れたが、バイトのほうがためになるという息子
・ケース6 ホステスをクビにして学費を捻出
・東大がタダの時代
・大学生の4割が奨学金制度を利用しているが
・ケース1 飲み大に消える奨学金
・ケース2 車を基準に大学を選ぶ
・ケース3 入学と同時に水商売を始める
・ケース4 入学金が払えずに二浪して授業料を貯める
・ケース5 奨学金をパチンコで使い果たすギャンブル狂女子
・大学全入は大学貧乏と下流を増やす

提言 オンライン大学で下流脱出を
・教育制度改革の提案
・大学進学率は20%に
・職業大学をつくる
・若者を早く社会に出す
・大学では教養が必須
・履修ではなく習得を重視する
・オンライン大学の提案
・地域格差、教育格差が縮小する
・時間に縛られずに学習できる
・学歴主義の解消
・教授の負担が軽減
・大学の数を減らせる
・地域拠点を作って交流の場に
・心の弱い若者はどうする?
・生活の知恵を学べる総合学習なら意味がある
・生活能力の格差を縮める
・携帯電話で大学に通う

あとがき
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