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2013年7月17日水曜日

記憶の整理

読書をする時は、読みながら気になる部分に蛍光ペンで線を引く。
読み終えた後に、再度1ページ目から捲っては、線を引かれた文章をパソコンに打ち込む。
箇条書きになったそれらの文章を元に、自分の言葉でその一冊の読書体験を纏める。

3度その本と向き合うことで、なんとか消化していく。読んだだけでは、ほとんどのものが数週間もすれば忘れてしまい、読んだかどうかもあやふやに。しかしこうして消化しておくと、少なくとも海馬に痕跡を残すのと同時に、ブログとグーグル・カレンダー上に検索できるアーカイブとして残っていく。

恐らく人間の脳なんでそんなものだと思う。

見たものや経験したもの。その時は強烈な印象として記憶するが、その色彩を持ちながら記憶の中に留まるのはせいぜい数週間。如何にそれらを血として肉としていくか。

まずは、気になるところをマッピングする。城や神社、名勝や建築。自分の興味にひっかかるかで、随分フィルターをかけることになる。

そして旅程を決めた時に、マッピングの中の選択。事前に余計な偏見を入れないようにしつつも、ある程度の背景をしるためにざっくり調べる。そのリサーチと選択の過程で再度海馬に叩き込まれる。

実際現地で目の前にして感じ、体験し、写真に撮る。

撮った写真を選別し、水平をそろえたり、センターを出したりと編集する。

再度詳しく訪れた場所の来歴などを調べる。

その内容と写真を元に、記憶を辿りながら自らの言葉で体験を纏めアップする。

この6段構成。正直言って手間が掛かるし、しんどい。しかし効率の先に近代を超えるヒントがるのもまた事実。

読み散らかしの子供じゃあるまいし、建築を生業とするものとして体験を言語化し、記憶の中に整理しておくことの重要さは身に沁みて分かっているつもりなので、こんなことを書いては自らを納得させようとし、再度纏めの作業に戻ることにする。

2013年7月4日木曜日

とぐろ


この時期、日が暮れた後の胡同を自転車で走っていると、犬や猫などの小動物らしきシルエットが避けるように足元を駆けていく。

轢かないようにと避けながら、きっと今宵もこの迷路のような道のどこかで、胡同の主がむくりと寝床から起きだし、夜の街へと出て行く姿を想像する。

そんなことを思いながら道を進んでいくと、別の寝床のイメージが頭によぎる。

暗い森の奥地。ぽっかりと開く横穴。

その奥は外部よりも幾度か温度の低いひんやりした暗闇が横たわる。
その闇の中にとぐろを巻きながら、長い身体を横たえて、深い眠りに潜む大蛇の姿。

うっかり穴に足を踏み入れて、小枝でも踏みつけたものなら、
その音を逃すことなく聞き取って、優雅に頭をもたげ、
音も無く入り口に向かって、その長い首を伸ばしながら、
紅く長い舌をペロリと出す姿を想像する。

湿度の高い夏の夜に、
夜空を漂うような勝手な妄想によって、
背筋にゾクリと震えを覚える。

そんな妄想が脳裏から離れず、いつもは追い込まれながら、駆け込むようにゴールに飛び込んでくる動物達の姿を追いながら一年を終えるが、今年の様に神々しいその姿にせこせこした振る舞いは似つかわしくないと思い立ち、6ヶ月の猶予を持って木彫りに着手することにする。

その下絵の参考にと、ネットで参考になるような作品を探しながら、妖しくそして艶かしいその姿にうっとりしていると、横から覗いてくる妻が言い放つ。

「やめてよ、そんなの気持ち悪い。
うんこみたいだし、家の中にあったら気持ち悪い」

と・・・

「???」

何を言っているのか一瞬分からなかったが、どうも「とぐろ」が彼女の想像力を刺激したようである。


「正確に彫れるほどまだ腕が無いから大丈夫だけど、それでも踏んじゃわないように気をつけてね。」

と言い放ち、完成後は我が家の中にも安心できる横穴と寝床を探してあげないといけないなと勝手の妄想を続けることにする。

2013年7月3日水曜日

寝床


年初から街自体を覆った大気汚染がやっと晴れ、この世にはこんな鮮やかな青色があったんだ、と思わせるようなここちよい夏空が広がるようになった北京の街。

そんな青空を見上げていると、ランチを終えてもそのままオフィスに戻るよりも、少し胡同を散歩していこうかと思うものである。

歩きながら大きく深呼吸できることに感謝する心地よい天候。そんな時は毛細血管かと思うような複雑の胡同の奥へ奥へと足も進んでいく。

ある角を曲がってみると、

「これは、やつの寝床か?」

と思われる場所を発見する。

数台の自転車の荷台に高々と積まれたゴミたち。その積み方がどうにも自分好みなマッスな感じ。どうもゴミの集積所らしく、「ここかぁ・・・」と感慨深く思いながら、さりげなく写真におさめ、「さっそく今夜にでも夕方から張り込みだな・・・」とほくそ笑む。

気分も上々にそのまま歩き続けると、この時期の胡同の風物詩とも言っていい、シャツをあげてお腹を出すして歩く男性の姿を眺めながら、更に道をゆく。

道を南に進み、木々が茂るあたりに差し掛かると、道の左右では思い思いの姿で午睡をむさぼる人間の姿が見えてくる。

昼を食べて、風の流れる木陰の下で眠る。

なんとも贅沢。できることなら便乗したいものだが、狭いフートンの中で身体を横たえられる場所を探すのは一朝一夕にはできるものではないらしく、彼らは自転車の荷台や道端に置かれたソファーなど、それぞれの想像力を発揮することで彼らなりの様々な寝床を発見している様子である。

「胡同の奥に寝床を持つのは猫バスだけではないんだな・・・」

と、この宇宙を見せてくれるような胡同の一面になんだか嬉しくなりながら、そろそろオフィスに戻ることにする夏の昼下がり。