よく考えてみると淡路島に足を踏み入れるのは人生で初めてだったと気がつく。四国に行くなら飛行機で行ってしまうし、本州側では大阪から神戸と向かったら次はどうしても姫路側に足が向かってしまい、どうしても遠いところに住んでいる人は、相当な目的がないと優先事項はかなり後のほうになってしまうのも理解できる。
そうなると近畿地方に住まう人が、「たまには足を伸ばして・・・」ということになるのだろうが、その目的地となるのはどんな場所があるのだろうと余計な想像を膨らませることになる。
瀬戸内海と大阪湾を隔てる場所にぽっかりと浮かぶ巨大な島である淡路国(あわじのくに)。その頭文字をとって淡州(たんしゅう)とも呼ばれるこの島国は、京の都から畿内ととおり、四国へと伸びる南海道の玄関口。日本書紀や古事記の「国産み神話」では、日本列島で最初に生まれた島とされ、島のほぼ中央に位置する一宮はである伊弉諾神宮の伝えは、その伝承に基づき伊弉諾尊(いざなぎのみこと)を祭神として祭っている。
現在では島は上からきれいに三つに分けられ、北から淡路市、洲本市(すもとし)、南あわじ市とそれぞれ仲良く人口4万人強でバランスを取っているようである。
鳴門うずしおや国立公園の花々など、豊かな自然に関する見所が多い様であるが、本州と四国の間に浮かぶ島としての独特の地政学的特長を持つこの島をいつかゆっくりと余裕を持ってめぐってみたいと思いながら、巨大な明石海峡大橋を渡り本州へと戻ることにする。