ロンドンの中心地メイフェア(Mayfair)に建つ古い歴史を持つコノートホテル(Connaught Hotel)。その前の三叉路の中心に二つの大きな樹を抱え込むようにして立ち上がる黒い御影石の基壇。これがこの地域の行政府が、区内の幾つかの重要な「通り」を再整備しようと進めている計画の一環で、コノートホテルとの共同出資で安藤忠雄に依頼されたプロジェクト。
建物よりも、「通り」こそが街を作り出してきた重要なエレメントで、現代においてどのような「通り」の経験をつくれるか?
という問いに対して安藤忠雄が出した答えが、水が縁より常に溢れ出し、ついつい触れたくなる高さに水面が設置された水盤。水盤のそこにはガラス盤と照明が仕込まれ、夜にはまた違った風景をつくりだすという。更に15分毎に霧が吹き出し、「通り」を冷やす効果を兼ねつつ、不思議な風景をつくりだす。
ちょうど通りがかった母親に連れられた小さな子供が、楽しそうに手を水面に触れながら、広がる波紋を追いかけるように歩いていくのが印象的。
コノートホテル(Connaught Hotel)