もう一箇所どうしてもこの玖珠町(くすまち)で訪れておきたかったのは豊後森駅の東側にあった機関庫である旧豊後森機関庫(ぶんごもりきかんこ)。かつて「銀河鉄道999」で想像力を逞しくさせた子供時代を過ごした世代にとっては、機関庫はやはり特別な意味を持ち、しかも扇形に広がり最盛期には21台も収納することができたというその姿が現存し見ることができるというのは鉄道ファンのみならず、やはりロマンをそそるものがある。
そんな訳で豊後森駅まで行き、案内所で聞いてみると、「ここに車を停めて歩いていってください」と言われるので、「私は大丈夫」という妻を車に残し、なんともいえないのどかな雰囲気の駅前の街並みを見ながら東へ数百メートル進み、踏切を渡るとその先の空き地に目的の旧豊後森機関庫が見えてくる。
その前ではどうやらNHKのラジオが公開収録をやっているようで、20人近い人々が集まっている。この機関庫は鉄道ファンの主人公を描いた「僕達急行 A列車で行こう」でもロケ地とされており、それを見てぜひとも行ってみたいものだと思っていた場所でもあったが、玖珠町が2006年にJR九州から買取、現在も「豊後森機関庫公園」として整備を進めているという。機関庫の逆の位置には小さなプレハブ小屋が建っており、覗いてみると、「豊後森機関庫ミュージアム -BUNGOMORI ROUNDHOUSE MUSEUM-」ということで、この機関庫や路線の歴史が学べるようになっている。
水平的な建物の後ろに広がる山々の姿と、さえぎるもののないために一面に広がる青空を見ながら、鉄道の好きな子供たちにとっては、一日かけてもこういう場所に訪れるのはきっと一生残るような思い出になるのだろうと思いながら車へと戻ることにする。
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