ラベル 駐車場 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 駐車場 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年7月15日土曜日

那覇市立小禄(おろく)南公民館・図書館 同人GAN 1983


--------------------------------------------------------
所在地  沖縄県那覇市高良
設計   同人GAN
竣工   1983
機能   公民館・図書館
構造   RC造
--------------------------------------------------------
13時半発の飛行機にギリギリ間に合うかと空港に到着すると、「出発が遅れている。出発する便が北京から到着しておらず、何の理由なのかも良く分かっていないので、出発予定時刻は良くわからないが一応16:30くらい」だと、なんとも消化しきれない説明を受け、時間を無駄に過ごすのも癪なので、トランクだけチェックインをして、やたらと運賃の高いモノレールである「ゆいレール」に揺られ市内まで戻り、折角だからと地元で有名なジャッキーステーキハウスで肉でも食べていこうと炎天下の中、パソコンの入った重い手荷物を持ちながら、汗だくで到着するとそこには地元の人も海外からの観光客もごった返し、40分待ちの行列。

名前を記入してしばらく様子を見てみるが、一人として待ち時間が長いからと諦める人がいないようで、きっと味が素晴らしいのだろうと、珍しく時間に余裕があるのをいいことに、しっかりと40分ほど待っておススメだというテンダーロインステーキをがっつり頂くことに。

運転を気にすることもないので冷えたビールで水分を補給し、量の割りにあっさりと食べ切れてしまって、行列の長さに納得しつつ、まだまだある待ち時間を有効に使うべく、リストにあげていた建築を訪れるために、再度「ゆいレール」に乗り込むことにする。

向かった先は空港近くに位置する那覇市立小禄(おろく)南公民館。設計を担当したのはこの公民館の位置する小禄地区に事務所を構える同人GAN。竣工が1983年ということで、1981年に竣工した象設計集団の設計による名護市庁舎とほぼ同時代。もちろんその設計内容も知っていたはずで、これらの行政建築を見ることで、当時の沖縄での建築がどのような方向に向かっていたのかが良く分かる。

周辺の街並みを理解しようと、最寄り駅の「ゆいレール」赤嶺駅から徒歩で向かうのだが、炎天下の中、手荷物を持っての道のりはとにかく厳しい。7月の日中に外を歩く人の姿もまばらで、建物に到着したときには熱中症寸前。地形の高低差を利用し計画されているようで、どうやら裏の搬入口から到着してしまったようで、右手に見える階段を脇目にしながら、裏口らしきところから入りエレベーターで一階へと上がる。

下層が公民館機能を持ち、中庭は今は駐車場として利用されており、それを取り囲むように植栽が階段状に配置されており、なんとも儀式性の高い空間となっている。2階に上がり、植栽の中をぐるりと巡って内部に入れる位置口を見つけるとそこには図書館の表示が。2階と3階が地域図書館機能として使われている様子で、子連れの母親が絵本を探していたり、受験生が机に向かっていたりと、すでに35年近い歳月が流れた建物が地域に良くなじんでいる様子が見て取れる。

一通り見てまわり、あまりの疲労の為に、少し早くても空港に向かい出発まで体力回復に努めようと思っていたが、空港に着くと、なぜか先ほど言われた16;30の出発予定より時間が早まっていた為に、危うく飛行機を乗り過ごしそうになりながら、出発ゲートへと向かい今回の沖縄訪問を終えることにする。





ゆいレール












2016年2月9日火曜日

深大寺(じんだいじ) (伝)平安時代初期 ★★


--------------------------------------------------------
所在地 東京都調布市深大寺元町
山号  浮岳山
宗派  天台宗
創建  伝・天平5年(733年)
寺格  別格本山
開基  伝・満功上人
機能  寺社
--------------------------------------------------------
東京出身でないものとして、東京で大学時代を過ごし、社会人として何年か過ごすうちに、うっすらとその存在を知ることになるのがこの深大寺(じんだいじ)。そしてその印象は、恐らく東京出身の人にとっては原風景となるような重要な場所であろうというもの。どうしても23区よりになりがちな生活の中ではなかなか足を伸ばすことも無く、三多摩地区を理解する上でどうしても立ち寄らないといけないと思われる名刹であろう。

随分と自然が残る風景の中を進むと、道の左右に「駐車場」の看板が見えてくる。一体どれが有料で、どれがお寺の専用駐車場だろうとキョロキョロしながら運転するが、どうにも参拝者専用駐車場は見つけられず、しょうがないので一番お手ごろそうなコインパーキングへと車を滑り込ませる。

このような観光地となっている寺院などの門前町で、商売っ気たっぷりのこの駐車場の看板を見ると、せっかくの景観が台無しになってしまうことに鬱々とするが、何よりもその剥き出しの欲望に参拝前に少々あてられてしまう。

調べてみるがどうやら無料の参拝者専用駐車場は無いようで、参拝に訪れる人は周囲の蕎麦屋が提供する有料駐車場やコインパーキングを利用しないといけないようである。多くの参拝者が訪れる有名寺院としては当然のことなのかと思うが、結構敷地に余裕がありそうな寺院だけに、少しくらい駐車場を用意したらいいのに・・・と思いながらも、これも門前町に住まう人々との共存の仕方の一つなのだろうと車から境内へとむかう。

東京では浅草寺についで歴史の古い寺院らしく、初詣には20万人以上もの人が訪れる東京における特別な寺院として知れらているようである。天台宗の別格本山というその寺格からも、その歴史の長さを感じることができる。

境内よりも、なんといっても周囲の豊かな湧水の恵みを利用した蕎麦つくりで知られており、「深大寺そば」は名物として広く知られているという。確かに深大寺の「そば饅頭」はどこかで耳にしたことがあるなと思いながら、妻の実家と今夜久々に会う建築関係の仲間たちにお土産としていくつか買い込むことにする。集まる人数分よりも一つ多く入っていたので、下手な問題を起こさないようにと、パクリと一つ処理をする。

なんだか全体的に商業主義的な雰囲気が漂う気がするが、それでもやはり長い歴史の中で多くの人々から信仰され続けてきている寺院だというのが良く分かる雰囲気をもった境内である。












2016年2月8日月曜日

としまエコミューゼタウン(豊島区庁舎,Brillia Tower 池袋) 隈研吾 2015 ★★


--------------------------------------------------------
所在地  東京都豊島区南池袋
設計   隈研吾
竣工   2015
機能   商業施設、区役所、マンション
規模   地上49階・地下3階・塔屋2階
建築面積 5,319m2
延床面積 94,681m2(アマン東京)
構造   SRC造・RC造・一部S造
--------------------------------------------------------
池袋の会計士さんの事務所に挨拶に行くと、その事務所の階段からすぐ近くに見える異様なほどの高さのビルがある。それが新しく移転した豊島区役所とその上に立つ高層マンションの複合施設であるとしまエコミューゼタウン(豊島区庁舎,Brillia Tower 池袋) である。昨年から、マンションと庁舎の一体となった開発で、上層のマンションの販売によってプロジェクト全体のコストをカバーするどころか返って利益が出たプロジェクトとして、建築の分野だけでなく、日本中の市町村からも見学が殺到しているとメディアで多く取り上げられている注目のプロジェクトである。

行政にマンションを売り出すディベロッパー、それを高層ビルで上下に重ねるという非常に複雑な建築ということで、まったく異なる分野の建築に対しての経験とノウハウを持ち、かつまったく違った行動規範を持つクライアントを折衷できる能力を持つ設計事務所となったら恐らく今の日本では間違いなく一番に名が挙がるのが、設計者である隈研吾であろう。

断面図を見てみるとその複雑度は度を越しており、1階から9階までは南に向けてステップする屋外テラスを併設する区役所。10階が免震層として11階が上部マンションのスカイエントランス。つまり住民は一階部分の片隅にある小さなロビーからエレベーターにのり11階に到着し、そこでエレベーターを乗り換えてセントラル・コアとなる真ん中に位置するエレベーターを利用して自分の部屋のある階へとアクセスするわけである。

さらに地下では有楽町線東池袋駅に直結しており、確かに区役所に用事がある人は駅直結で区役所にアクセスできるわけである。そして地下鉄が走っているために、地下が思うように利用できなかったのであろう、これだけの住居数をもつマンションだけにそれなりの駐車場を併設しなければならず、しかしそのスペースが地下には取れない。ではどうするかというと、幅の広い平面を持つことになる区役所部分の真ん中、つまり外部から光の入らない機能空間としては価値の低い部分を立体の機械式駐車場として利用するというアクロバット。

さらに区役所の縦方向の動線はエレベーターにそって背の高いアトリウムとなっており屋上庭園から自然光を取り込むとともに、ベンチュリー効果の利用によって各階の自然喚起を促進する。そして10階の屋上庭園は「豊島の森」として自然環境を作り出し、そこからステップする各階テラスに流れ落ちるように緑化壁面と階段が各階をつなぎ、エコウォールと呼ばれる空間になっている。

そして一階のもっとも不特定多数の人が訪れる場所のサイン計画はできるだけ邪魔にならないようにと、壁や床に直接象嵌するタイプの新しい試みがされているなど、全体的に派手なことは決してせず、できるだけ標準化を行いながらも質の高い空間をつくりだしている。詳しい関係業者などはこちらで。


恐らく訪れた人の誰もが、このプロジェクトの複雑さに一切気がつくことなく、ただその快適性、区役所でありながら解放的で明るい空間に満足して帰っていくのだろうと想像し、これはこのプロジェクトに対してある意味完璧な解答である設計であるなと納得しつつも、それでも自分たちであればそれ以上に何ができるのかを考えながら、池袋駅前のブックオフへと足を向けることにする。