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所在地 京都府京都市下京区堀川花屋町下
別称 お西さん
山号 龍谷山
宗派 浄土真宗 本願寺派
寺格 本山
創建 1591
開基 本願寺第11世・顕如
機能 寺社
文化財 書院、飛雲閣(国宝)
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世界遺産
百寺巡礼
日本の建築空間掲載 (飛雲閣)
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二条城からバスで南下し、5分もしない内に右手に見えてくるのが西本願寺の東門。その門をくぐると見えてくるのが巨大な御影堂(ごえいどう)。その北側には同じく巨大な阿弥陀堂。まずはその巨大さに度肝を抜かれるその境内。
西本願寺に対してその東にあるのが東本願寺。京都について北に向かうとまずは見えてくるのがこの両本願寺の巨大な伽藍。その強い印象のお陰で、京都と言えば「西と東」。その中心軸となるのはもちろん御所。と思ってしまいがちだが、この本願寺の東西問題に関しては、御所は関係無いらしい。
西本願寺はもちろん浄土真宗のお寺。浄土真宗と言えば、開祖の親鸞始め蓮如など日本有数の仏教勢力。歴史の中でももちろん重要な役割を果たしており、その結果秀吉に庇護された元々の本願寺と、秀吉の死後、神となった秀吉の庇護を恐れる家康の後進によって分派することで生まれたもう一つの本願寺。
この新しい本願寺は、真宗大谷派と呼ばれ、元々の境内の東に位置する場所に開かれたために「東本願寺」と呼ばれ、対して元々のものを本願寺派とし、東に対して「西本願寺」と呼ばれるようになったのが江戸の初期だという。
そんな経緯を知ると、ライバル心や敵対心などがあるのかと思ってしまうが、他にも色々と宗派のある巨大宗である浄土真宗なので、そんな心配はご無用な様である。
とにかく、西本願寺から東に向かっていくとまっすぐぶつかるのが秀吉を神として奉った豊国神社。その力を弱めるかのように、その軸上に立てられたのが東本願寺。なんとも複雑な政治背景が透けて見えてくるのも長い京都の歴史がなせる都市風景。
そしてその東本願寺をずっと北に上がっていくと、現在の御所の西側を通る現代京都の中心軸とも言える烏丸通り。俯瞰の視点を持たずに観光を繰り返していると、勝手に「御所」と「東西本願寺」というキーワードから、西と東の本願寺の真ん中を通る軸が整備されたのが烏丸通で、それを北に上がっていくと御所にぶつかる、とばかり思っていたが、随分左に偏差しているようである。
と言うよりも、本願寺の西と東は御所とはまったく関係ないところから来ているのが一つ。そしてもう一つは現在の御所は平安京の作られた時代の大内裏(だいだいり)内の天皇の住まいであった大極殿(御所)から同じではなく、応仁の乱などの理由で消滅し、その後今の京都御所の場所に移転している理由でもある。
この西本願寺からもう少し南に行くとある東寺は、本来は平安京の表玄関であった羅城門の東西に、国を護る寺として建てられた「東寺」と「西寺」という対称軸の真ん中こそが、オリジナルの平安京の中心軸であるという。
そんな訳で様々な時代の中心を基にした東西があるのもまたこの京都の懐の深さだと理解しながら境内を歩いて探すのは飛雲閣(ひうんかく)。秀吉が建てた聚楽第(じゅらくだい)の一部で、三層からなる楼閣建築。艶やかな桃山文化の雰囲気そのままに、なんとも自由な発想によって作り出されたその建築は金閣(鹿苑寺)、銀閣(慈照寺)とともに「京都三名閣」の一つに数えられる。
「なるほど、金閣も銀閣も楼閣建築だから閣なのか。」
と改めて感心してしまうが、この飛雲閣はその名の通り、空を流れる雲の様に、自然が作り出すようなアシンメトリーになっており、それでいて不規則ながら巧く調和された姿をしている。
建物は滴翠園(てきすいえん)の中の滄浪池(そうろうち)という池に面して建ち、1階は池から船で直接建物内に入ることが出来るなんともアイデアに飛んだ建物となっている。問題なのはこの建物が普段は一般非公開の為にその姿を見ることが出来ないのだが、いろいろ調べてみると、隣の興正寺の境内からだと見えるという情報をつかみ、書院を脇目に南門から龍谷大学の間を抜けて、ぐるりと回って興正寺へ。
この炎天下での外歩きに既に体力セーブの省エネモードに突入した妻を日陰に待たせ、
広い興正寺の境内を歩き回って「飛雲閣はどこだ・・・」とキョロキョロしていると、塀の向こうにひょっこり顔を出している小ぶりの建物の姿が視界に入ってくる。
「見えた!」と興奮しながら、なんとも絶妙なバランスを取りながら全体を保っているようなそのユニークでいながらも魅力的な建築の姿に、新しいものを作り出す想像力と創造力を感じ、世間に媚びることなくどれだけ自分を信じられるかが、本当に残っていく新しい価値を作り出すのだと改めて実感しながら、妻の待つ日陰へと戻っていくことにする。
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