ミュンヘンがBMWならこのシュツットガルト(Stuttgart)はメルセデスにポルシェにダイムラー。一度オーストリアまで南下したのちわざわざドイツに舞い戻ったのは、この街の代名詞でもあるメルセデス・ベンツの博物館を見学するため。
ドイツ人の友人がこのシュツットガルト出身で、如何にも素晴らしい街だとことあるごとにアピールされ、田舎感を残しつつも程よい都会というイメージを植え付けられているが、建築を生業とするものにとってはなんといってもベンツ博物館とミースの取り仕切ったヴァイセンホフ・ジードルングに訪れるために足を運ぶ都市であろう。
ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州の州都であり、人口は約60万人のドイツ南西部の世界都市である。60万人と言えば、日本では都市人口ランキングで22位の鹿児島市(60万人)、23位の八王子市(58万人)、24位の川口市(56万人)、杉並区(55万人)と同程度。
そう考えると、決して人口的には多くはないのにも関わらず世界で十分に認知度の高い世界都市として渡り合っているのには驚くばかりである。逆に言えば、八王子市程度の規模にも関わらず、メルセデス、ダイムラー、ポルシェやボッシュなどドイツを代表する世界的な企業の本社が置かれ、ヨーロッパ中につながる国際空港を持ち、地上でもSバーン(都市近郊電車)にて連結される近隣都市とあわせて100万人以上の都市圏を作り出している。
これは東京一極集中で地方創生と言いながらもまったくビジョンが見えてこない国とは全く違った国づくりをし、各都市に多様な価値を守りながらも、21世紀の都市間競争の中でも十分に世界で闘っていける都市をいくつも持つドイツの国の先見性を感じずにいられない。
中世の都市の成り立ちとして多く見られるようにネッカー川沿い位置し、ドイツを代表する工業都市として非常に豊かな地域を形成している。豊かな財政に支えられ、優秀な大学を持ち、ミュンヘンのオリンピックスタジアムを設計したフライ・オットーもまたこの都市出身である。
19世紀にヴュルテンベルク王国の都となり、19世紀後半より街の工業化が進み、第二次大戦後には、アメリカ欧州軍の司令部が置かたということから、この都市がドイツの中でどれだけ重要な意味を持っていたのかがみてとれる。
そんな自然と都市の日本にはない豊かなバランスを成し遂げているこのシュツットガルトで、少しでもどうすればこの様な国の中の一点集中ではない多様な都市が共存しながらそれぞれの豊かさを実現する社会のあり方を理解すべく街へと入っていくことにする。
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